業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染者数再拡大の影響や、原油価格高騰等によるコスト増、為替変動の影響等もあり、今後の先行きについては依然として懸念がみられます。

一方、当社グループが事業を展開している国内のインターネット広告市場については新型コロナウイルス感染症の影響が緩和し、2021年のインターネット広告費は前年比121.4%の2兆7,052億円(株式会社電通「2021年日本の広告費」)と継続的に高い成長率を維持しております。

また、当社グループのもう一つの対面市場であるEC市場については、2021年国内BtoC-EC市場規模は前年比107.4%の20.7兆円となりました。分野別では、物販系分野に関して前年比108.6%と伸長しており、物販系分野におけるEC化率についてもBtoC-ECで8.8%(前年比0.7ポイント増)と伸長しております。また、BtoB-EC市場におけるEC化も35.6%(前年比2.1ポイント増)と増加傾向にあり(いずれも経済産業省「令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書」)、国内のEC市場規模拡大は継続しております。

このような事業環境の下、当社グループは、データとテクノロジーによって世界中の企業によるマーケティング活動を支援し、売り手と買い手の幸せをつくる企業を目指して事業展開を行っております。当連結会計年度の業績は、売上高3,334,143千円(前年同期比12.7%増)、営業利益392,659千円(前年同期比7.4%増)、経常利益399,971千円(前年同期比9.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益236,057千円(前年同期比1.5%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は以下のとおりとなりました。

(マーケティングプラットフォーム事業)

当事業は、インターネットにおける消費者行動を横断的に測定し、マーケティングに活用するためのクラウドサービスを提供する事業であります。当事業では、中期戦略としてマーケティング・トランスフォーメーション・プラットフォーム戦略(MXP戦略)を掲げ、既存サービスの成長加速と新サービスの複数展開により、国内顧客企業のマーケティングDXを支援するプラットフォームビジネスを目指しております。広告効果測定プラットフォーム「アドエビス」を主力サービスとし、分析レポート自動作成サービス「アドレポ」等の広告代理店向けプラットフォームビジネスや、マーケティングに関するソリューションパートナーを紹介するマーケティング特化型マッチングプラットフォーム「アドフープ」、その他クリエイティブ領域等のマーケティング成果向上を目的とした新サービス開発にも取り組んでおります。

当連結会計年度においては、「アドエビス」のメジャーバージョンアップを行い、媒体データを自動で取得・統合する機能をもつ「アドエビス シンク」をリリースいたしました。また、「アドフープ」におけるサービス提供領域の拡大や、ファーエンドテクノロジー株式会社の子会社化によるプロジェクト管理ツール事業への進出等、新規事業領域の売上拡大にも積極的に取り組んでまいりました。

新型コロナウイルス感染症の影響としては、対面型ビジネス領域顧客のサービス利用は減少したものの、EC業界等の非対面ビジネス領域顧客のサービス利用が好調であったという傾向が継続し、全体としては売上を伸長させております。

この結果、マーケティングプラットフォーム事業の売上高は2,924,982千円(前年同期比12.5%増)、セグメント利益は279,530千円(前年同期比13.3%増)と増収増益になりました。

 

(商流プラットフォーム事業)

当事業は、EC構築のためのオープンプラットフォーム「EC-CUBE」及びEC構築からマーケティング支援までのECソリューションを提供する事業であります。「EC-CUBE」はフリーミアムモデルのオープンソース・パッケージとして提供しており、EC事業者のインフラ整備や売上向上に貢献する一方、「EC-CUBE」と連携する各種サービス(決済代行等)の提供事業者から決済手数料収入を得るというエコシステムを構築しております。また、このオープンソース版「EC-CUBE」に加えて、サーバ運用やインストール作業が不要なクラウドECプラットフォームとして「ec-cube.co」のサービスを提供しております。

当連結会計年度においては、セキュリティ強化や新機能を拡充した「EC-CUBE 4.2版」のリリースや、ボクブロック株式会社の子会社化によるEC構築・運用支援領域への参入を行い、競争が激化するECカート市場における競争力強化のため、ECサービスの垂直統合モデル構築に取り組みました。

この結果、新たに子会社となったボクブロック株式会社の売上貢献により商流プラットフォーム事業の売上高は414,170千円(前年同期比15.6%増)と増収になったものの、M&Aによるコスト増等の影響を受けセグメント利益は108,124千円(前年同期比9.0%減)と減益になりました。

また、財政状態については次のとおりとなりました。

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は1,834,048千円となり、前連結会計年度末に比べ36,972千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が71,151千円減少したこと等によるものであります。

また、固定資産は1,269,616千円となり、前連結会計年度末に比べ1,501千円増加いたしました。これは主にのれんの増加33,794千円、有形固定資産の増加32,459千円、差入保証金の減少49,314千円等によるものであります。

この結果、総資産は3,103,664千円となり、前連結会計年度末に比べ35,470千円減少いたしました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は883,369千円となり、前連結会計年度末に比べ36,510千円減少いたしました。これは主に未払法人税等の減少99,650千円や短期借入金の増加50,000千円等によるものであります。

また、固定負債は415,850千円となり、前連結会計年度末に比べ155,388千円減少いたしました。これは主に約定返済により長期借入金が162,991千円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は1,299,219千円となり、前連結会計年度末に比べ191,898千円減少いたしました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は1,804,444千円となり、前連結会計年度末に比べ156,428千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益236,057千円の計上と、自己株式の増加71,785千円等によるものであります。

この結果、自己資本比率は57.1%(前連結会計年度は51.8%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ132,001千円減少し、1,259,748千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は433,646千円(前年同期比24.4%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を388,746千円、減価償却費184,653千円及びのれん償却額108,400千円を計上したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は258,704千円(同7.7%減)となりました。これは主に、自社開発ソフトウェアの計上等の無形固定資産の取得による支出173,985千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出35,241千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は315,629千円(前年同期は23,973千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出232,340千円及び自己株式の取得による支出100,023千円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当社グループの事業内容は受注生産形態をとらない事業が多く、セグメント別に生産の規模を金額あるいは数量で示すことがなじまないため、記載しておりません。

 

b.受注実績

 当社グループの事業内容は受注生産形態をとらない事業が多く、セグメント別に受注の規模を金額あるいは数量で示すことがなじまないため、記載しておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

マーケティングプラットフォーム事業

2,924,982

112.5

商流プラットフォーム事業

414,170

115.6

調整額

△5,010

合計

3,334,143

112.7

(注)調整額は、セグメント間取引消去額であります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産の分析)

当連結会計年度末における資産の合計は3,103,664千円となり、前連結会計年度末に比べ35,470千円減少いたしました。

当連結会計年度末における流動資産は1,834,048千円となり、前連結会計年度末に比べ36,972千円減少いたしました。これは主に子会社株式取得等により現金及び預金が71,151千円減少したこと等によるものであります。また、固定資産は1,269,616千円となり、前連結会計年度末に比べ1,501千円増加いたしました。これは主にファーエンドテクノロジー株式会社及びボクブロック株式会社の子会社化によるのれんの増加33,794千円、本社移転に伴う有形固定資産の増加32,459千円、旧本社退去に伴う差入保証金の減少49,314千円等によるものであります。

なお、セグメント毎の内訳については、マーケティングプラットフォーム事業が2,725,535千円、商流プラットフォーム事業が423,788千円であります。

 

(負債の分析)

当連結会計年度末における負債の合計は1,299,219千円となり、前連結会計年度末に比べ191,898千円減少いたしました。

当連結会計年度末における流動負債は883,369千円となり、前連結会計年度末に比べ36,510千円減少いたしました。これは主に前連結会計年度に係る納税による未払法人税等の減少99,650千円及び運転資金への充当や今後の事業拡大のための資金調達により短期借入金の増加50,000千円等によるものであります。また、固定負債は415,850千円となり、前連結会計年度末に比べ155,388千円減少いたしました。これは主に約定返済により長期借入金が162,991千円減少したことによるものであります。

 

(純資産の分析)

当連結会計年度末における純資産合計は1,804,444千円となり、前連結会計年度末に比べ156,428千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益236,057千円の計上と、自己株式の増加71,785千円等によるものであります。この結果、自己資本比率は57.1%(前連結会計年度末は51.8%)となりました。

 

b.経営成績の分析

当連結会計年度における経営成績の概要については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。連結損益計算書の主要項目ごとの前連結会計年度との主な増減要因等は次のとおりであります。

 

 

(売上高、営業利益)

当連結会計年度の売上高は3,334,143千円(前年同期比12.7%増)、売上総利益は2,259,532千円(前年同期比10.8%増)営業利益は392,659千円(前年同期比7.4%増)となりました。

売上の9割近くをマーケティングプラットフォーム事業が占めており、同事業については新機能追加や利用量増による顧客平均単価向上が功奏し、同事業の売上高は2,924,982千円(前年同期比12.5%増)となりました。なお、当連結会計年度において連結子会社となったファーエンドテクノロジー株式会社による増収効果は97,836千円であります。

また、商流プラットフォーム事業については、ボクブロック株式会社の子会社化によりEC構築・運用支援領域への参入を行い、売上高は414,170千円(前年同期比15.6%増)となりました。なお、当連結会計年度において連結子会社となったボクブロック株式会社による増収効果は81,850千円であります。

 

(経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、投資有価証券評価益10,037千円及び持分法による投資利益2,914千円等を計上したことにより16,332千円(前年同期比37.6%増)となりました。また、営業外費用は借入金に係る支払利息5,482千円等を計上したことにより9,019千円(前年同期比30.8%減)となりました。この結果、経常利益は399,971千円(前年同期比9.8%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、一部ソフトウェアに係る減損損失11,225千円を計上したことにより388,746千円(前年同期比7.6%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は236,057千円(前年同期比1.5%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

また、当社グループの資本の財源については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入れによる資金調達によっております。今後の資金需要のうち主なものは運転資金及びシステム開発等にかかる設備投資等によるものであります。

なお、当連結会計年度末における借入金の残高は884,073千円(前年同期比9.6%減)であり、現金及び現金同等物の残高は1,259,748千円(前年同期比9.5%減)となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 また、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に対する新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、既存事業に加えて新サービスの創出及び育成や、M&Aによる事業領域拡大に取り組んでおり、当連結会計年度を初年度とする3カ年の中期経営計画『VISION2023』を策定しております。この中期経営計画の下、当連結会計年度の売上高目標については、当初36億円(2021年11月5日公表値)としておりましたが、この当初目標に対して達成率92.6%での着地となりました。

 また、2023年9月期の計画については『VISION2023』を修正し、連結売上高39億円、連結営業利益率10%、連結株主資本配当率2.5%以上という指標の達成にむけて取り組んでまいります。

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得