業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2021年10月1日~2022年9月30日)におけるわが国の経済は、2021年10月1日より全国的に緊急事態宣言が解除され、個人の行動制限の緩和により日本経済に回復の光が差し始めたように思われたところ、変異株の世界的拡大などにより、予断の許さない一進一退の状況が続いておりました。その後、上半期後半へ進むにあたり感染者が減少し、経済活動と感染予防対策の両立が進み、回復傾向と予測されておりましたが、ウクライナ情勢の悪化・長期化、物価上昇などの世界情勢の影響から予断を許さない状態が続いており、依然として先行き不透明な状況が続いております。また、全国旅行支援の開始や水際対策の緩和など、経済対策を行うも、海外旅行客の割合を多くしめていた中国のゼロコロナ政策が続く以上、大幅な回復は見込めないと予測されているなど、今後も世界情勢の影響が大きく日本経済に影響してくることが考えられます。

他方、新型コロナウイルスの影響により、在宅時間が増え、人との接触を回避する行動を余儀なくされていたことから、人々のライススタイルが徐々に変化し、インターネットで気軽に楽しめる動画配信サービスなどのデジタルコンテンツのサービスの利用が主流となるほか、非接触という価値を持つ多くのキャッシュレスサービスが推進されるなど、一般消費者が利用するサービスにおいても大きな変化をもたらしました。また、企業のデジタル化も取り組みが推進されるなど、国内のIT市場は2022年に昨年度を上回る見込みと予測されているなど回復傾向にあります。

当社グループを取り巻く市場においては、引き続きインターネット広告の成長は顕著であり、巣ごもり需要によりEC市場が成長したこと、及び一般消費者のネット通販利用の増加などによる、社会全体の急速なデジタル化を受け、インターネット広告へのシフトが進み、2021年度のインターネット広告市場は前年度から更なる成長を遂げて、2兆7052億円に到達、マスコミ四媒体の広告費の総計2兆4538億円を上回る結果となりました。また、巣ごもり需要により動画コンテンツの利用増加から、動画広告の市場が拡大、インターネット上のコミュニケーションを活用したSNS広告の市場拡大など、引き続きの成長を見込んでおり、今後も更なる市場の拡大が予想されております。また、フィンテック市場におきましては、コロナ禍によるライフスタイルの変化から、非接触であるキャッシュレス決済が浸透し、スマートフォンを利用した支払いが日常生活に浸透している昨今、モバイル決済の更なる拡大が見込まれており、2025年度のキャッシュレス決済市場は約153兆円まで拡大すると予測されております。

経済産業省も将来的には世界水準の80%まで上昇させることを目指し、一部の調査においては9割以上がキャッシュレス決済を利用すると回答しているなど、国内のキャッシュレス決済の市場は成長の兆しを見せており、今後のフィンテック市場においても大きく影響することが考えてられます。また、デジタル給与払いの解禁予定や、ブロックチェーン技術を活用したサービスを提供する企業が世界的に増加するなど、フィンテック市場を後押し、更なる成長が見込まれると考えられております。

 

このような状況の中、当社グループは10年後も成長し続ける生産性の高い新たな事業モデルの創出を目的とするGAFAメディア戦略を推進する「GAFAメディア事業」、コロナ過における非接触型マーケティング支援ツールとしてデジタルギフト®のサービスを中心に展開する「フィンテック事業」の2つの事業を中心に展開をしております。

当連結会計年度においては、抜本的経営改革の推進後における重要な期として、売上総利益率を担保しながらの成長を実現させることを目標として、Afterコロナに適応したサービス展開を推進、「GAFAメディア事業」「フィンテック事業」の2つのセグメントを中心として、積極的に資金・人材の投資を行い、利益最大化を実現すべく、事業強化を推進しておりました。GAFAメディア戦略においては、成長市場に当社の保有するテクノロジー、リソースをかけあわせ、高い収益性を実現する新たな事業モデルの構築を目指し、メディア買収、メディア運営、及びメディアの新規立ち上げを行い、フィンテック事業においては、加速するDX化の波を受けオンライン上ですべてのフローに対応できるデジタルギフト®サービスを中心として、マーケティング分野におけるDX支援サービスを推進しております。その結果、売上総利益率95%と高い水準を維持しながら成長を実現、通期営業利益において6年ぶりとなる3百万円の黒字化を達成いたしました、また、当社の重要な指標の1つであるEBITDAにおいても、前年対比で大きく改善、来期以降の成長を後押しする結果となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は623,885千円(前年同期比105.8%増)、営業利益は3,213千円(前年同期は営業損失133,941千円)、経常損失は1,559千円(前年同期は経常損失128,391千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は179,638千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益33,389千円)となりました。

 

セグメント別の経営成績は次の通りです。

<GAFAメディア事業>

10年後も成長し続ける生産性の高い新たな事業モデル創出を目的として、インターネット分野の成長を牽引するGAFAトラフィックを活用した利益性の高い新規メディア事業の買収、立ち上げを推進してまいりました。
当連結会計年度におきましては、買収したメディアに加えて、新たなメディアを自社で立ち上げ、運営を開始するなど順調に推移しておりましたが、第3四半期において外部環境の変化や、コロナ緩和の影響により、主要メディアの売上成長率が一時的に鈍化傾向となるも、買収した4つのメディアを中心に事業運営の安定化を推進してまいりました。

結果として、メディア買収当初に掲げていた目標である、EBITDA率の向上によるキャッシュフローの改善を実現し、当社グループの中心的な事業のひとつとして大きく貢献いたしました。

しかしながら、事業の特性上、マクロ環境を含む外部環境の影響が事業のKPIに直接的に与える影響が大きく、事業運営のコントロールが容易でない局面が発生する可能性を無視できないと考え、より安定した経営環境と絶対的な利益成長を実現することができる事業に一定程度置き換えていくことは不可避であると判断し、GAFAメディア事業が運営する「すーちゃんモバイル比較」、「漫画大陸」及び「脱毛ドコイコ」を事業譲渡することを決定いたしました。

今後、GAFAメディア事業においてはメディア運営のコンサルティングに加え、マーケティング機能を拡張していき、収益チャネルとしての強化を図ることはもちろん、フィンテック事業とのシナジーも活かして全社におけるマーケティング基盤としての成長を目指してまいります。

以上の結果、GAFAメディア事業の売上高は442,040千円(前年同期比96.6%増)、セグメント利益259,932千円(前年同期比144.4%増)となりました。

 

<フィンテック事業>

国内のキャッシュレス化の浸透、在宅ワークの拡大、副業解禁などにより個人の稼ぎ方がより多様化する社会的背景の中で、現金以上に価値のあるポイントが利用できる報酬支払インフラの構築を目指し、事業を運営してまいりました。

当連結会計年度においては、提供を開始したデジタルギフト®(旧:RealPayギフト)において、サービス強化を実施すべくプロダクト開発を推進し、10兆円とも言われている国内ギフト市場に向けたサービスの認知度向上を図るべく「デジタルギフト®」の商標の取得を契機として、2022年1月11日付けでサービス名を「デジタルギフト®」に変更することを公表し、さらに事業成長を目的としたサービス強化を実施するためシステム投資を実施し、サービスをサブスクリプション型へとシフトいたしました。

サービス変更後の目標として、登録アカウントを1000件に到達させるべく、展示会を中心とした営業活動を強化し、積極的に人材に投資し、また代理店契約の推進を行うなど、営業活動強化の動きを積極的に行った結果、目標として掲げていた登録アカウント1000件を突破することに成功いたしました。

今後も加速するDX化の波を受け、デジタルギフト®を軸としたマーケティング分野におけるDX支援サービスを更に推進し、サービスの質の向上に向けた取組を実施し、事業成長を推進してまいります。

以上の結果、フィンテック事業の売上高は181,845千円(前年同期比132.2%増)、セグメント利益は24,156千円(前年同期比31.9%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は前連結会計年度末より519,431千円増加し、921,172千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により増加した資金は、41,826千円(前年同期は83,155千円の増加)となりました。

これは主として、税金等調整前当期純損失146,079千円を計上したものの、減損損失144,216千円の計上及びのれん償却費80,284千円の計上によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動により増加した資金は、170,121千円(前年同期は482,900千円の減少)となりました。

これは主として、事業譲渡による収入10,000千円、及び定期預金の払戻による収入200,000千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動により増加した資金は、307,484千円(前年同期は84,583千円の減少)となりました。

これは主として、短期借入金の純増減額△200,000千円はあったものの、長期借入れによる収入230,000千円、及び株式の発行による収入216,076千円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

受注に該当する事項が無いため、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

GAFAメディア事業

442,040

196.6

フィンテック事業

181,845

232.2

合計

623,885

205.8

 

(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

バリューコマース株式会社

111,216

36.7

201,174

29.9

株式会社リンクエッジ

57,313

18.9

48,794

7.2

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表等は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表等の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、後記「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。また、会計上の見積りを行ううえでの新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)(新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 財政状態の分析
a.資産の部

流動資産は、前連結会計年度末に比べて、433,423千円増加し、1,313,278千円となりました。これは主として、現金及び預金が319,431千円増加したことによるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて、201,494千円減少し、216,766千円となりました。これは主として、権利金が107,144千円増加したものの、「すーちゃんモバイル比較」、「漫画大陸」及び「脱毛ドコイコ」の事業譲渡に伴い、のれんが320,645千円減少したことによるものであります。

この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて、231,929千円増加し、1,530,044千円となりました。

 

 

b.負債の部

流動負債は、前連結会計年度末に比べて、5,941千円増加し、463,096千円となりました。これは主として、ポイント引当金が40,804千円減少したものの、収益認識に関する会計基準等の適用により契約負債が39,351千円増加、株主優待引当金が4,437千円増加したことによるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて、267,121千円増加し、267,121千円となりました。これは主として、長期借入金が133,788千円増加、長期前受金が133,333千円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて、273,062千円増加し、730,217千円となりました。

 

c.純資産の部

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて、41,133千円減少し、799,827千円となりました。これは主として、資本剰余金255,671千円増加したものの、自己株式が81,784千円増加したこと、利益剰余金が179,638千円減少したことによるものであります。

 

③ 経営成績の分析

経営成績の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

④ キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、システム投資、人材確保、借入金の返済等であります。また、その資金の源泉といたしましては、営業活動等によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入金等により、必要とする資金を調達しております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は210,072千円となり、現金及び現金同等物の残高は921,172千円となっております。

これにより、資金の流動性は十分に確保されているものと判断しております。

 

⑦ 経営者の問題認識と今後の方針について

当社の経営者は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社が今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。

なお、今後の方針につきましては「第2 事業の状況」「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「(3)会社の経営環境と中長期的な経営方針」に記載しております。

 

⑧ 経営戦略の現状と見通し

当社グループの経営陣は、現在の事業環境並びに入手可能な情報に基づき、迅速かつ最善な経営戦略の立案、施策の実施に努めております。そのような中、当社グループが今後も持続的に成長するためには、戦略的な選択と集中を推し進め、成長事業に積極的に投資を行い、10年後も継続する事業の柱を創造することが必要であると考えております。

 

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