業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナウイルス)による厳しい状況が緩和される中で、持ち直しの動きがみられております。

このような市場環境の中、当社グループは、社内業務改善・効率化のためのデジタル化を「Corporate DX」、デジタルを活用した事業創造のためのデジタル化を「Industrial DX」と分類して2つのDX(※1)を促進させ、新たな市場を開拓すべく、積極的な成長投資を継続し事業に取り組んでまいりました。

まず、当連結会計年度における「Corporate DX」の状況については、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いテレワークが普及し、テレワークに使用する端末の管理・運用に資する「Optimal Biz」のニーズが高まっており、ライセンス数も順調に推移しております。

また当連結会計年度では、新たなサービスとして「Optimal Remote Web」、「Optimal Remote IoT」、「OPTiM ID+(プラス)」、「OPTiM Contract」、「OPTiM Digital Marketing」を発表しました。

次に、当連結会計年度における「Industrial DX」の状況についてお知らせいたします。

「Industrial DX」における農業分野の取り組みについては、圃場別デジタル解析による適期防除が可能な「ピンポイントタイム散布」サービスの提供を開始しました。これまで培ってきた生育予測技術や病害虫発生予察技術とドローン防除の知見を組み合わせた「ピンポイントタイム散布」サービスにより、適切な時期に最小限の農薬を散布することで、最大の防除効果を見込むことができます。また、本年も引き続き、AIやドローンを使い農薬使用量を抑えたあんしん・安全なお米「スマート米」の2021年度産新米「スマート米2022」の販売を開始しております。

医療分野においては、国産初の手術支援ロボットシステム「hinotoriTMサージカルロボットシステム」(以下、hinotoriTM)の製品導入が推進されている中、当社グループは「hinotoriTM」のネットワークサポートシステムのプラットフォームである「Medicaroid Intelligent Network System」(MINS)をはじめとし、ソフト面において製品導入のサポートや、周辺サービスの整備、機能強化・追加等の協力を継続しております。また、新たに大型案件を受注するなど、進捗が顕著になっております。

建設分野においては、スマホ3次元測量アプリ「OPTiM Geo Scan」の提供を開始しました。「OPTiM Geo Scan」とは、スマートフォン又はタブレットで土構造物等の測量対象をスキャンすることで、土木現場で求められる高精度な3次元データを生成可能なアプリケーションです。また「OPTiM Geo Scan」と、3次元点群データをクラウド上で処理・解析・共有することができる、スキャン・エックス株式会社のサービス「スキャン・エックス」とのサービス連携や、「OPTiM Geo Scan」の無料オプションとして、測量精度が向上する、GNSS(※2)測量・杭打ちアプリ「OPTiM Geo Point」の提供も開始しております。

更に、様々な分野における当社の活動やすぐにビジネス活用できるAI・IoTソリューションを紹介するオンラインイベント「OPTiM INNOVATION 2021」を開催しました。本年は「あなたの仕事を変えるDX」をテーマとして建設業・農業・医療などの分野向けに開催しております。同イベントにご参加いただいた方々へ、各産業におけるDXを実現するソリューションや事例を紹介することで、当社グループのAI・IoTソリューションの普及活動を実施しております。

 

※1 DX…デジタルトランスフォーメーション。「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念であり、企業がテクノロジーを利用して、事業の業績や対象範囲を根底から変化させるという意味。

※2 GNSS…Global Navigation Satellite Systemの略。人工衛星(測位衛星)を利用した全世界測位システム。

 

 

 

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

(資産の部)

当連結会計年度末における資産合計の残高は、7,387,477千円となり、前連結会計年度末と比較して1,138,570千円増加いたしました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が470,304千円、ソフトウエアが866,904千円、敷金及び保証金が224,771千円増加した一方で、現金及び預金が474,277千円減少したことによるものです。

 

(負債の部)

当連結会計年度末における負債合計の残高は、2,138,674千円となり、前連結会計年度末と比較して245,656千円増加いたしました。これは主に、短期借入金が497,400千円増加したことによるものです。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産合計の残高は、5,248,802千円となり、前連結会計年度末と比較して892,913千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が943,561千円増加したことによるものです。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高8,310,717千円(前年同期比10.5%増)、営業利益1,534,621千円(前年同期比15.2%減)、経常利益1,485,545千円(前年同期比25.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益943,561千円(前年同期比23.8%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して474,277千円減少し、979,399千円となりました。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は698,237千円(前年同期は1,323,462千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,485,545千円、減価償却費492,789千円、売上債権の増加額470,304千円、法人税等の支払額830,769千円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は1,666,254千円(前年同期は1,151,757千円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出1,110,901千円、関係会社株式の取得による支出167,027千円、敷金及び保証金の差入による支出331,475千円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により獲得した資金は493,739千円(前年同期は620千円の獲得)となりました。これは主に、短期借入れによる収入500,000千円があったことによるものです。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する該当事項はありません。

 

c.販売実績

当社グループは単一セグメントのため、サービスごとに記載しております。

 

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(千円)

前年比(%)

IoTプラットフォームサービス

6,922,893

112.8

リモートマネジメントサービス

778,587

98.2

サポートサービス

114,864

88.2

その他サービス

494,372

107.8

合計

8,310,717

110.5

 

(注) 当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

KDDI株式会社

2,494,784

33.2

2,870,756

34.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1) 財政状態

財政状態の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりです。

 

2) 経営成績

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、8,310,717千円(前年同期比10.5%増)となりました。これは主に、IoTプラットフォームサービスの売上高が6,922,893千円(前年同期比12.8%増)となり、ライセンス収入が増加したことによるものです。

 

 

(売上原価)

当連結会計年度における売上原価は、3,728,929千円(前年同期比26.7%増)となりました。これは主に、IoTプラットフォームサービスの収入の増加に伴い売上原価が増加したことによるものです。

この結果、売上総利益は4,581,787千円(前年同期比0.2%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は3,047,166千円(前年同期比10.2%増)となりました。これは主に、当連結会計年度に東京本社オフィスを移転したことに伴い、利用不能となる固定資産について耐用年数を移転完了日までの期間に変更し、残存期間で償却を行なったことにより、減価償却費が増加したことによるものです。

この結果、営業利益は1,534,621千円(前年同期比15.2%減)となりました。

 

(営業外損益)

当連結会計年度における営業外収益は30,474千円(前年同期比85.1%減)となりました。これは主に、消費税差額によるものです。

当連結会計年度における営業外費用は79,550千円(前年同期比550.3%増)となりました。これは主に、持分法による投資損失によるものです。

この結果、経常利益は1,485,545千円(前年同期比25.7%減)となりました。

 

(特別損益)

当連結会計年度における特別利益の発生はありません(前連結会計年度の発生はありません)。

当連結会計年度における特別損失の発生はありません(前連結会計年度は16,294千円)。

この結果、税金等調整前当期純利益は1,485,545千円(前年同期比25.1%減)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における法人税等合計は、542,293千円(前連結会計年度は741,438千円)となり、前連結会計年度と比べて199,144千円減少いたしました。これは主に、販売費及び一般管理費が増加したことにより課税所得が減少したことによるものです。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は943,561千円(前年同期比23.8%減)となりました。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び検討内容

当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向や技術革新への対応等があります。当社グループが事業展開するMDM・EMM市場は堅調に拡大を続けており、その市場の中での当社グループの位置づけも優位な状況であることは変わっておりません。一方で、世界の大きな潮流は、AI・IoT・Roboticsを活用した「第4次産業革命」へと加速度をあげて移行しております。この時代の大きな転換点において当社グループは、MDM・EMM市場において培った技術をAI・IoT・Robotics分野に昇華させることで、「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるべく、引き続き研究開発投資が必要であると考えております。具体的には、ここ数年取り組んでまいりました、各業界・産業とITを融合させる「○○×IT」によりITの力で業界・産業基盤を再構築する取り組みを引き続き推進し、技術革新への対応を進め、知的財産権の取得等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存です。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、売上高の増加が研究開発投資の源泉であり、将来的な利益の源泉となるものと考えており、売上高の増加、並びに研究開発投資の成果として知的財産権(特許権)を重視しております。

当連結会計年度における売上高は8,310,717千円を達成しました。売上高の多くを占めるストック型のライセンス収入については、IoTプラットフォームサービスを中心にライセンス数を積み上げることができ、順調に推移しております。

知的財産権(特許権)については、他社との差別化の根幹となるものであり、あるいは新市場・新顧客開拓のための重要な手段でもあるため、事業展開と同期した知的財産権の獲得となるよう、事業戦略と知的財産戦略の一体的立案・推進に加え、業務の迅速化・効率化にも取り組んでまいりました。

このような取り組みの一例として、令和3年度九州地方発明表彰で文部科学大臣賞を受賞した「契約書管理システム」 (特許第6290459号)が挙げられます。この特許は2021年5月発表の新サービス「OPTiM Contract」での研究開発成果を権利化したものとなります。

また、取り組みで得た知見は、知的財産による産業発展に寄与すべく国内外に発信しております。2021年12月の世界知的所有権機関(WIPO)主催シンポジウムでは、当社代表取締役社長の菅谷から知財を活用した第4次産業革命への挑戦について講演しました。また、直近ではWIPOのIP Advantage(世界各国の知財活用事例データベース)にて、当社農業事業での知財活用事例が掲載されました。

今後も、「第4次産業革命」実現の中心的な企業になるべく、更なる研究開発体制の強化、知的財産権獲得による競争優位の確保に取り組んでまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、研究開発投資に向けた労務費及び外注費等です。必要な運転資金については、手元資金及び事業から創出される資金によることを基本としておりますが、事業拡大に向けた大型のM&Aの実行に追加的に資金が必要となる場合は、金融機関からの借入等をはじめとした資金調達手段を実施する可能性があります。

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、資産合計の13.3%を占める979,399千円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、実績の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルスの影響に係る仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

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