業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①  財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

 当社グループの当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウィルス感染症を想定した「新しい生活様式」の実践、感染予防と経済活動の両立への取り組みが継続しました。ワクチン接種が開始されましたが、新型コロナウィルス変異株の流行や、感染者数の再拡大がみられる地域などにおける緊急事態宣言等の再発令等により、新型コロナウィルス感染症が、社会及び経済活動に対して及ぼす影響が不確実かつ不透明な状況が続いております。世界経済においても、国・地域ごとの感染状況やワクチン接種の進捗、コロナウィルス変異株の蔓延度合い、経済対策の違いなどにより、国・地域ごとの経済の状況には差異が生じておりますが、新型コロナウィルス感染症の及ぼす影響が不確実かつ不透明な状況は継続しております。

 マーケティング・リサーチ業界の世界全体の市場規模については、「Global Market Research 2021(An ESOMAR Industry Report)」によると、2020年は$89,750 million(前年比0.2%減)となり、ほぼ横ばいの傾向にありました。また、国内市場については、一般社団法人日本マーケティングリサーチ協会の「第46回経営業務実態調査」によると、2020年度の市場規模は2,202億円(前年比3.9%減)となりましたが、そのうちの当社グループの主力事業であるインターネットリサーチの市場規模については、前年比5.9%増と上向きな結果となっております。

 このような経済・市場環境は、顧客が行う定量・定性マーケティング・リサーチのオンライン化の加速やDIY型のリサーチへのニーズの高まりなど、当社グループが強みを発揮できる事業環境の変化をもたらしております。また、新型コロナウィルス感染症が及ぼす影響の不確実性と不透明性に対する顧客の慎重な姿勢はみられるものの、「新しい生活様式」の定着に応じて、新型コロナウィルス感染症の感染拡大が当社グループの業績に影響を与える程度は低減してきております。

 このような状況の中、当社グループは、「想いを、世界に」の経営理念のもと、インターネットリサーチ事業におけるナンバーワンを目指し、事業にまい進してまいりました。

 国内市場に関しては、DIY型リサーチシステムである当社プラットフォーム(GMO Market Observer)の機能及びサービス体制の強化を進めシェア拡大に努めるほか、オペレーション業務の標準化と顧客対応力の強化による生産性の向上に一定の成果が見えました。また、新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止のための行動様式として、対面式オフライン調査からオンライン調査への移行のニーズに応えるため、消費者へのインタビューによる定性調査を対面することなくオンライン上で完結できるサービスである「MO Insights」の提供を開始いたしました。また、一般事業会社における手軽で簡素なリサーチニーズに対して、顧客が利用するDIY型(セルフ型)アンケートツールから、国内・アジア最大級の調査用パネルへのアンケート調査ができるサービスである「MO Lite アンケート byGMO」、国内・アジア最大級の調査用パネルへのインタビューができるパッケージ型のオンラインインタビューサービスである「MO Lite インタビュー byGMO」を提供しております。

 海外市場に関しては、顧客や競合他社によるアジア拠点の強化といった動きにより競争が激しくなる中、顧客とのシステム連携の推進や、品質の向上といった施策を講じ、アジアでの強みを発揮するとともに、国内市場と同様に、「MO Insights」や「MO  Lite アンケート byGMO」、「MO Lite インタビュー byGMO」を提供しております。

 このほか、新型コロナウィルス感染症の感染拡大を踏まえて、リモートワーク環境の整備やオフィスにおける感染防止対策の実施、「新しい生活様式」下における新しい勤務様式・企業活動様式の進化に取り組んでまいりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は4,086,401千円(前年同期比20.4%増)、営業利益は352,642千円(前年同期比33.7%増)、経常利益は385,201千円(前年同期比59.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は274,065千円(前年同期比56.0%増)となりました。

 

 

 

 

 

事業のサービス別の経営成績については、以下のとおりです。

 

(1) アウトソーシングサービス

アウトソーシングサービスは、近年調査会社業界からの需要が拡大傾向にあるアンケート作成からローデータ・集計までのサービスを一括で受託するサービスです。当連結会計年度においては、調査会社からの大型案件の受託本数が堅調に推移し、当サービスの売上高は、2,779,643千円(前年同期比16.2%増)となりました。

 

(2) D.I.Yサービス

D.I.Yサービスは、当社が独自に開発したリサーチ・ソリューション・プラットフォーム(GMO Market Observer)を利用して、顧客自身がアンケート作成から集計までを行うサービスです。当連結会計年度においては、当サービスの浸透により、利用頻度が増加し、当サービスの売上高は、1,222,182千円(前年同期比29.5%増)となりました。

 

(3) その他サービス

その他サービスは、アウトソーシングサービスとD.I.Yサービス以外のオフラインリサーチサービス等となっております。当連結会計年度においては、その他サービスの売上高は、84,577千円(前年同期比42.3%増)となりました。

 

 (財政状態の状況)

当連結会計年度末における総資産は、2,799,835千円となり、前連結会計年度末に比べて568,188千円増加(25.5%増)いたしました。
 当連結会計年度末における負債は、1,123,085千円となり、前連結会計年度末に比べて374,583千円増加(50.0%増)いたしました。
 当連結会計年度末における純資産は、1,676,749千円となり、前連結会計年度末に比べて193,604千円増加(13.1%増)いたしました。
 

②  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて351,745千円増加し、1,264,928千円となりました。

また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、482,160千円(前年同期は363,002千円の収入)であります。

これは主に、税金等調整前当期純利益385,201千円、仕入債務の増加91,645千円等による資金の増加があったためです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、50,652千円(前年同期は95,028千円の支出)であります。

これは主に、無形固定資産の取得による支出65,167千円等があったためです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、96,532千円(前年同期は82,557千円の支出)であります。

これは、配当金の支払額87,832千円、リース債務の返済による支出9,328千円等があったためです。

 

 

③  生産、受注及び販売の実績

(1) 生産実績

当社グループは生産活動を実施しておりませんので、該当事項はありません。

 

(2) 受注状況

当社グループでは、受注から納品までの期間が短く、受注に関する記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度のサービス別の販売実績は、次のとおりであります。

サービス名称

当連結会計年度
(自 2021年1月1日
 至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

アウトソーシングサービス

(千円)

2,779,643

16.2

D.I.Yサービス

(千円)

1,222,182

29.5

その他サービス

(千円)

84,577

42.3

合計

4,086,401

20.4

 

(注) 1. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社野村総合研究所

465,370

13.7

428,556

10.5

 

2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

①  重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択、適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を及ぼす見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

なお、新型コロナウィルス感染症の世界的な流行や変異株の発生等により、経済や社会、企業活動に広範な影響が生じており、新型コロナウィルス感染症が及ぼす影響の不確実性と不透明性はあるものの、新型コロナウィルス感染症を想定した新しい生活様式の実践の定着や、感染予防と経済活動の両立への世界的な取り組みにより、新型コロナウィルス感染症の感染拡大が当社グループの業績に与える程度は低減してきております。ワクチンの普及が進む一方で、新型コロナウィルス変異株が出現するなど、新型コロナウィルスの今後の収束については、確かな予測ができない状況が続いております。

以上のことから、依然として新型コロナウィルス感染症による影響は継続するものと考えられるものの、当連結会計年度において当社グループに実際に発生した影響を勘案するとともに、当連結会計年度末時点で入手可能な情報に基づき、繰延税金資産の回収可能性や固定資産の減損会計などの会計上の見積りを行っております。会計上の見積りに用いた仮定について、新型コロナウィルス感染症の影響により、大規模な経済活動の停滞等が起こるなどの重要な影響はないと考えております。

 

②  財政状態の分析

(1) 資産の部

資産につきましては、2,799,835千円となり、前連結会計年度末に比べて568,188千円増加いたしました。主たる変動要因は、関係会社預け金の増加350,000千円、売掛金の増加147,963千円等であります。

 

(2) 負債の部

負債につきましては、1,123,085千円となり、前連結会計年度末に比べて374,583千円増加いたしました。主たる変動要因は、買掛金の増加95,895千円、未払法人税等の増加69,733千円、前受金の増加46,577千円等であります。

 

(3) 純資産の部

純資産につきましては、1,676,749千円となり、前連結会計年度末に比べて193,604千円増加いたしました。主たる変動要因は、利益剰余金の増加181,763千円等であります。

 

③  経営成績の分析
(1) 売上高

当連結会計年度における売上高は4,086,401千円(前年同期比20.4%増)となり、内訳は、アウトソーシングサービス2,779,643千円(前年同期比16.2%増)、D.I.Yサービス1,222,182千円(前年同期比29.5%増)、その他サービス84,577千円(前年同期比42.3%増)です。国内インターネットリサーチ事業の収益面の強化を図るとともに、グローバル展開やアジアでのパネルパートナーの拡大に向けた成長戦略を積極的に推進し受注増加に結実いたしました。

 

(2) 売上原価、売上総利益

当連結会計年度における売上原価は2,106,113千円(同16.4%増)となり、結果、売上総利益は1,980,288千円(同24.9%増)となりました。売上原価の主な増加要因はオペレーション人員の人件費の増加によるものですが、原価効率の改善により売上総利益が増加する結果となりました。

 

(3) 販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,627,645千円(同23.1%増)となりました。これは主に、人件費、宣伝広告費、販売促進費等の増加によるものであります。この結果、当連結会計年度における営業利益は352,642千円(同33.7%増)となりました。

当連結会計年度における営業外収益は33,213千円、営業外費用は654千円発生しており、経常利益は385,201千円(同59.8%増)となりました。

 

(4) 親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は385,201千円(同60.4%増)となりました。法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額111,135千円、親会社株主に帰属する当期純利益は274,065千円(同56.0%増)となりました。

 

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、第一部[企業情報]第2[事業の状況]2[事業等のリスク]をご参照ください。

 

④  キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、第一部[企業情報]第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]をご参照ください。

 

⑤  資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、インターネットリサーチ事業を展開しており、売上金の回収期間は数ヶ月と、比較的短い傾向にあります。また、当社グループの主な資金需要は、人件費、外注費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びにソフトウエアに係る投資であります。これらの資金需要につきましては、利益の計上等により生み出される自己資金により賄うことを基本方針としており、当連結会計年度末において、金融機関からの借入金による資金調達はありません。今後の資金需要の動向については、概ねこれまでと同様の状況が続くと考えております。

なお、新型コロナウィルス感染症の流行により企業活動が影響を受ける状況下にはありますが、今後も適正に資金回収を推進し、健全な資金運用に取り組んでまいります。

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