(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況がワクチン接種の拡大等により徐々に緩和されつつあるものの、オミクロン株による感染も見られ、依然として予断を許さない状況となっております。
このような環境の中、当連結会計年度においては、売上面では、当社グループが運営するポイントサイト「モッピー」で金融系の広告需要の取込み及び会員数の増加により過去最高の売上となりました。また、D2Cの順調な成長や、取引先企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)ニーズの高まりを背景とした連結子会社であるゆめみの増収も寄与いたしました。
利益面では、上記のモバイルサービス事業における増収効果に加えて、過去に売却したコインチェック株式の条件付対価(アーンアウト)発生や投資育成事業における保有有価証券の一部売却により大幅な増益となり、また持分法適用関連会社であるビットバンクにおいても、暗号資産市場の取引活性化を背景とした好業績により大きく利益貢献しました。さらにビットバンクの資金調達に伴う持分変動利益880百万円を特別利益として計上しました。
この結果、当連結会計年度における売上高は23,402百万円(前年同期比15.8%増)、営業利益は2,305百万円(同54.0%増)、経常利益は3,499百万円(同92.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,775百万円(同272.7%増)となり、売上高、各利益について過去最高の業績を達成しました。
また、当社グループの経営指標として重視しているEBITDAは4,693百万円(前年同期比130.9%増)となりました。なお、当社グループのEBITDAは税金等調整前当期純利益+支払利息+減価償却費+のれん償却費(持分法による投資損益に含まれるのれん償却に相当する額も加算)+減損損失で算出しております。
新型コロナウイルス感染症の拡大による当社グループの業績への影響は、現時点においては軽微であり、固定資産の減損会計等その前提にて会計上の見積りを行っております。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、当社グループの事業展開、経営資源配分、経営管理体制の実態などの観点から、報告セグメントの区分方法を見直し、従来、「モバイルサービス事業」に含めていた、「資金調達プロ」の事業を「フィナンシャルサービス事業」に含める変更をしております。当報告セグメント区分の変更により、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
(モバイルサービス事業)
モバイルサービス事業は、日本最大級のポイントサイトである「モッピー」に加え、自社アフィリエイトプログラム「AD.TRACK」やポイントサイト以外の各種コンテンツメディアの運営、及び企業のDX化支援を手がける連結子会社「ゆめみ」で構成されております。
「モッピー」においては、ポイ活トレンドの高まり等を好機として会員数増加ペースが加速し、当連結会計年度末の会員数は369万人(前年同期比27.0%増)となりました。また、金融系の広告出稿の増加、各種キャンペーンの実施等、継続的なサイトの改良も行ってまいりました。
「AD.TRACK」においては、インフルエンサーマーケティング強化等の施策を実施したものの、取扱高に占める割合の高い美容・健康食品分野において、法改正に伴うクリエイティブ表現の制限や個人情報保護、消費者保護の影響により配信先アフィリエイトメディアの獲得力が減少したため減収となりました。
コンテンツメディアにおいては、D2Cのプロモーション強化による増収が業績に寄与しました。
「ゆめみ」においては、リモートワーク推奨による一部オフィス解約などのコスト削減効果に加えて、大手企業を中心としたDX化支援に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度におけるモバイルサービス事業の売上高は22,023百万円(前年同期比11.5%増)、セグメント利益は3,020百万円(同23.2%増)となり、モバイルサービス事業は過去最高の売上高を達成しました。
(フィナンシャルサービス事業)
フィナンシャルサービス事業は、ブロックチェーン関連、オンラインファクタリングサービス、投資リターンを得ることを目的とした投資育成事業を行っております。
ブロックチェーン関連においては、2021年3月15日付で暗号資産販売所「CoinTrade」を開業した100%子会社であるマーキュリーへの先行投資を進めております。また、オンラインファクタリングサービス事業としてAIファクタリングサービス「labol(ラボル)」にも引き続き投資をしております。一方、投資育成事業においては、コインチェック株式のアーンアウト発生に加えて、継続保有していた有価証券について一部売却を実施いたしました。
この結果、当連結会計年度におけるフィナンシャルサービス事業の売上高は1,484百万円(前年同期比193.9%増)、セグメント利益は226百万円(前年同期は119百万円のセグメント損失)となりました。
b.財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産残高は20,234百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,007百万円増加しました。これは主に現金及び預金が754百万円増加したこと、持分法による投資利益及び持分変動利益等により関係会社株式が2,731百万円増加したこと等によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における総負債残高は10,414百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,279百万円増加しました。これは主に「モッピー」の売上増加によりポイント引当金が589百万円増加したこと、及び手元資金確保のため短期借入金が550百万円増加したこと等によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産残高は9,819百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,728百万円増加しました。これは主に利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い2,775百万円増加した一方、配当金の支払いにより197百万円減少したこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末より786百万円増加し、6,883百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれぞれの主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、1,162百万円(前年同期比48.5%減)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益4,006百万円の計上があった一方、法人税等の支払額931百万円があったこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、787百万円(前年同期比63.1%増)となりました。主な要因は、投資有価証券の取得による支出487百万円、関係会社株式の取得による支出415百万円があったこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、408百万円(前年同期比12.3%増)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出1,013百万円があったものの、長期借入れによる収入1,050百万円、短期借入金の純増額550百万円があったこと等によります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの生産実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
モバイルサービス事業 |
22,023 |
11.5 |
フィナンシャルサービス事業 |
1,484 |
193.9 |
セグメント間取引 |
△105 |
- |
合計 |
23,402 |
15.8 |
(注)1.販売先の販売割合が総販売実績額の10%以上を占める販売先はありません。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断して行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
また、この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大が会計上の見積りに与える影響については、当連結会計年度末時点において当社グループの事業活動に重要な影響を与えていないことから、当社に与える影響は軽微であり、重要な影響はないものとして見積りを行っております。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度は、売上高23,402百万円(前年同期比15.8%増)となりました。報告セグメントごとの売上高については、モバイルサービス事業は2,267百万円(前年同期比11.5%増)増加し22,023百万円、フィナンシャルサービス事業は979百万円(同193.9%増)増加し1,484百万円となりました。
(売上原価・売上総利益)
売上原価は、前連結会計年度に比べ1,662百万円(前年同期比11.9%増)増加し15,629百万円となりました。これは主に、モバイルサービス事業におけるユーザーへのポイント付与数の増加やD2Cの規模拡大、フィナンシャルサービス事業における一部株式の減損処理等によるものであります。
この結果、売上総利益は前連結会計年度に比べ1,527百万円(同24.4%)増加し7,773百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ718百万円(前年同期比15.1%増)増加し5,467百万円となりました。これは主に、売上拡大に伴う人件費や広告宣伝費の増加等によるものであります。
この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ808百万円(同54.0%増)増加し2,305百万円となりました。
(営業外収益及び営業外費用、経常利益)
営業外収益は、前連結会計年度に比べ863百万円増加し1,220百万円(前年同期比241.7%)となりました。これは主に、暗号資産市場の取引活性化を背景とした持分法による投資利益の増加や暗号資産売却益によるものであります。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ11百万円(前年同期比29.8%減)減少し26百万円となりました。これは主に、投資事業組合運用損の減少等によるものであります。
この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ1,683百万円(前年同期比92.7%増)増加し3,499百万円となりました。
(特別利益及び特別損失、税金等調整前当期純利益)
特別利益は、前連結会計年度に比べ887百万円(前年同期は8百万円)増加し896百万円となりました。これは主に、持分変動利益が発生したこと等によるものであります。
特別損失は、前連結会計年度に比べ61百万円(同18.8%増)増加し389百万円となりました。これは主に、連結子会社であるマーキュリー及びゆめみにかかる固定資産の減損損失、非連結子会社の株式評価損によるものであります。
この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ2,509百万円(同167.7%増)増加し4,006百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
税効果会計適用後の法人税等負担額は、前連結会計年度に比べ413百万円(前年同期比63.7%増)増加し1,062百万円となりました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ65百万円(前年同期比63.8%増)増加し168百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ2,030百万円(前年同期比272.7%増)増加し2,775百万円となりました。
(EBITDA)
EBITDAは、前連結会計年度に比べ2,661百万円(前年同期比130.9%増)増加し4,693百万円となりました。これは主に、上記税金等調整前当期純利益の増加及び減損損失の計上等によるものであります。なお、当社グループのEBITDAは税金等調整前当期純利益+支払利息+減価償却費+のれん償却費(持分法による投資損益に含まれるのれん償却に相当する額も加算)+減損損失で算出しております。
b.財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、モバイルサービス事業の売上原価、事業の維持拡大のために必要な人件費や広告宣伝費等の販売費及び一般管理費の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資やフィナンシャルサービス事業における投資等であります。
さらに、当社グループは、企業価値を継続的に拡大し、株主に対する利益還元を行うことを重要な経営課題として認識しております。当社グループの配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、これらの資金需要につきましては、自己資金及び金融機関からの借入や社債の発行で資金調達しております。また、エクイティファイナンスについては、市場の状況等を勘案しながら必要に応じて実施を検討していく方針であります。
なお、当社グループは運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行10行と総額2,680百万円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。当連結会計年度末における当該契約に基づく借入実行残高は1,850百万円であります。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)中期経営計画2021の達成状況について」をご参照ください。当社グループでは、「中期経営計画2021(5ヵ年計画)」において、連結売上高、EBITDAを経営上の重要な指標として位置付けておりました。
当連結会計年度における連結売上高は前連結会計年度と比べて3,189百万円(前年同期比15.8%増)増加し、23,402百万円となりました。また、EBITDAは、前連結会計年度に比べ2,661百万円(前年同期比130.9%増)増加し4,693百万円となりました。その結果、「中期経営計画2021(5ヵ年計画)」の目標を大きく上回る成果となりました。新たに制定した「中期経営計画2026(5ヵ年計画)」では連結売上高、経常利益を目標とする経営指標として掲げており、引き続き事業の維持拡大や追加投資により、これらの指標について増加するよう取り組んでまいります。
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