業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度のゲーム関連業界におきましては、家庭用ゲームやPCゲーム、モバイルゲームなど引き続きグローバルで市場拡大が続く中、コンピュータゲームをスポーツ競技として捉えるeスポーツやインターネット上の仮想世界メタバース、ブロックチェーン技術を活用したNFTなどに注目が集まっております。競争は厳しい一方で、優良なコンテンツの引き合いは総じて堅調に推移しております。新型コロナウイルス感染症につきましては、現時点において大きな影響はありませんが、引き続き状況を注視してまいります。

当社におきましては、ユーザーの方々に喜んでいただけるゲームコンテンツ・ゲームソフトづくりにこだわり、その制作に邁進してまいりました。

その結果、当事業年度はPlayStation4向けに「イースⅨ-Monstrum NOX-(モンストルム・ノクス)スーパープライス」や「イースⅧ&Ⅸ スーパープライスセット」、「英雄伝説 閃(せん)の軌跡Ⅰ~Ⅳ&創(はじまり)の軌跡コンプリートBOX」を発売、PlayStation5向けには「英雄伝説 黎(くろ)の軌跡」、Nintendo Switch向けには「那由多(なゆた)の軌跡 アド・アストラ」のほか、音楽アルバム「英雄伝説 黎の軌跡 オリジナルサウンドトラック」を発売しました。そして、PlayStation5/PlayStation4向けに「英雄伝説 黎の軌跡Ⅱ-CRIMSON SiN-(クリムゾン・シン)」を発売しました。
 また、北米・欧州・アジア地域への展開やスマートフォン向けアプリなど、グローバルに当社ゲームコンテンツ(IP)を活用するとともに、引き続きデジタル販売強化を実施しました。その他、アニメなどのメディア展開や他社コンテンツとのコラボレーション企画、各種イベントを開催するなど、様々な展開を推し進めました。

 

a.財政状態

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比較して1,398百万円増加し、9,690百万円となりました。
 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比較して269百万円増加し、863百万円となりました。

当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比較して1,128百万円増加し、8,826百万円となりました。

 

b.経営成績

当社の当事業年度の売上高は2,533百万円(前期比2.3%増)、営業利益は1,460百万円(同3.6%増)、経常利益は1,573百万円(同10.9%増)、当期純利益は1,027百万円(同2.7%増)となりました。

 

部門別の概況は以下のとおりであります。

<製品部門>

当事業年度は、前事業年度に発売した日本ファルコム創立40周年記念タイトルPlayStation4向けゲームソフト「英雄伝説 黎の軌跡」のほか、「英雄伝説 閃の軌跡」シリーズ等の旧タイトルを引き続き販売しました。

2022年2月にはPlayStation4向け「イースⅧ&Ⅸ スーパープライスセット」や「イースⅨ-Monstrum NOX-スーパープライス」を、2022年3月には音楽アルバム「英雄伝説 黎の軌跡 オリジナルサウンドトラック」を発売しました。そして、Nintendo Switch自社参入タイトル第一弾「那由多の軌跡 アド・アストラ」を2022年5月に発売しております。2022年7月に「英雄伝説 閃の軌跡Ⅰ~Ⅳ&創の軌跡コンプリートBOX」、PlayStation5向けに「英雄伝説 黎の軌跡」を発売し、2022年9月には、「軌跡」シリーズ最新作、「英雄伝説 黎の軌跡Ⅱ-CRIMSON SiN-(クリムゾン・シン)」をPlayStation4及びPlayStation5向けに発売しました。

以上の結果、製品部門の当事業年度の売上高は、640百万円(前期比4.1%減)となりました。

 

<ライセンス部門>

当社ゲームコンテンツ(IP)の様々なプラットフォームへの展開、当社キャラクターを利用した商品へのライセンス許諾などを行うライセンス部門では、PlayStation4向けに「那由多の軌跡:改」「英雄伝説 黎の軌跡」繁体字中国語版及び韓国語版、Nintendo Switch向けに「イースⅨ-Monstrum NOX-」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅲ」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅳ-THE END OF SAGA-」「那由多の軌跡 アド・アストラ」の繁体字中国語版及び韓国語版を発売し、PC・Steam向けには「イースⅨ-Monstrum NOX-」「英雄伝説 零(ぜろ)の軌跡:改」「英雄伝説 碧(あお)の軌跡:改」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅳ-THE END OF SAGA-」の繁体字中国語版及び韓国語版、「那由多の軌跡:改」繁体字中国語版及び韓国語版と日本語版を発売しました。2022年7月には、PlayStation5及びPC・Steam向けに「英雄伝説 黎の軌跡」繁体字中国語版と韓国語版を発売しました。

また、スマートフォン用アプリ「イース6 Online~ナピシュテムの匣(はこ)~」やオンラインストーリーRPG「英雄伝説 暁の軌跡」、旧タイトルのPCゲーム英語版ダウンロード販売のほか、「イースⅧ-Lacrimosa of DANA-」「イースⅨ-Monstrum NOX-」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅲ」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅳ-THE END OF SAGA-」「東亰ザナドゥeX+(エクスプラス)」の英語版なども引き続き展開し、2022年9月にはPlayStation4、Nintendo Switch、PC・Steam向け「英雄伝説 零の軌跡:改」英語版を発売しました。

以上の結果、ライセンス部門の当事業年度の売上高は、1,893百万円(前期比4.6%増)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しております。このため、前事業年度比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照下さい。

 
② キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して1,033百万円増加し、8,208百万円となりました。
 営業活動の結果増加した資金は1,239百万円(前期は102百万円の収入)となりました。投資活動の結果減少した資金は1百万円(前期は52百万円の収入)でした。財務活動の結果減少した資金は204百万円(前期は122百万円の支出)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当社は研究開発事業を主体とする会社であり、生産設備を保有していないため、該当事項はありません。

 

b.受注状況

当社は受注による生産を行っていないため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門

当事業年度

(自  2021年10月1日

至  2022年9月30日)

前期比増減率(%)

製品部門(千円)

640,424

△4.1

ライセンス部門(千円)

1,893,383

4.6

合計(千円)

2,533,808

2.3

 

(注)最近2事業年度の主要な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自  2020年10月1日

至  2021年9月30日)

当事業年度

(自  2021年10月1日

至  2022年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

NIS America,Inc.

471,370

19.0

641,142

25.3

株式会社コナミデジタルエンタテインメント

553,936

22.4

525,774

20.8

株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント

292,819

11.8

385,023

15.2

株式会社クラウディッドレパードエンタテインメント

311,305

12.6

368,562

14.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において当社が判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、新型コロナウイルス感染症については不確定な要素もありますが、財務諸表に及ぼす影響は軽微です。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績の分析

当事業年度の売上高は、前事業年度と比較して55百万円増加し、2,533百万円となりました。

製品売上高は、主にPlayStation4向けゲームソフト「英雄伝説 黎の軌跡」や「英雄伝説 閃の軌跡」シリーズ等の旧タイトルのほか、「イースⅧ&Ⅸ スーパープライスセット」「イースⅨ-Monstrum NOX-スーパープライス」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅰ~Ⅳ&創の軌跡コンプリートBOX」、音楽アルバム「英雄伝説 黎の軌跡 オリジナルサウンドトラック」、Nintendo Switch向けゲームソフト「那由多の軌跡 アド・アストラ」、PlayStation5向けゲームソフト「英雄伝説 黎の軌跡」、そしてPlayStation4及びPlayStation5向けに「英雄伝説 黎の軌跡Ⅱ-CRIMSON SiN-」を販売した結果、前事業年度と比較して27百万円減少し、640百万円となりました。

ライセンス収入は、PlayStation4向けに「那由多の軌跡:改」「英雄伝説 黎の軌跡」繁体字中国語版及び韓国語版、Nintendo Switch向けに「イースⅨ-Monstrum NOX-」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅲ」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅳ-THE END OF SAGA-」「那由多の軌跡 アド・アストラ」の繁体字中国語版及び韓国語版、PC・Steam向けには「イースⅨ-Monstrum NOX-」「英雄伝説 零(ぜろ)の軌跡:改」「英雄伝説 碧(あお)の軌跡:改」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅳ-THE END OF SAGA-」の繁体字中国語版及び韓国語版、「那由多の軌跡:改」繁体字中国語版及び韓国語版と日本語版、PlayStation5及びPC・Steam向けに「英雄伝説 黎の軌跡」繁体字中国語版と韓国語版、PlayStation4、Nintendo Switch、PC・Steam向け「英雄伝説 零の軌跡:改」英語版を発売したほか、スマートフォン用アプリ「イース6 Online~ナピシュテムの匣(はこ)~」やオンラインストーリーRPG「英雄伝説 暁の軌跡」、旧タイトルのPCゲーム英語版デジタル販売、「イースⅧ-Lacrimosa of DANA-」「イースⅨ-Monstrum NOX-」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅲ」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅳ-THE END OF SAGA-」「東亰ザナドゥeX+(エクスプラス)」の英語版等を引き続き展開した結果、前事業年度と比較して83百万円増加し、1,893百万円となりました。

売上原価は、原材料・外注コストの増加等に伴い前事業年度より21百万円増加し、224百万円となりました。

販売費及び一般管理費は、主に広告宣伝費や販売促進費が32百万円増加したものの、研究開発費が44百万円減少したことから前事業年度より16百万円減少し、848百万円となりました。その結果、営業利益は前事業年度と比較して50百万円増加し、1,460百万円となりました。

経常利益は、営業利益の増加と、主に円安の影響で為替差益が増加したことにより、前事業年度と比較して155百万円増加し1,573百万円、税引前当期純利益は前事業年度と比較して155百万円増加し1,573百万円となりました。

当期純利益は、前事業年度と比較して27百万円増加し1,027百万円となりました。

 

③ 財政状態の分析

当事業年度の資産につきましては、前事業年度末と比較して1,398百万円増加し、9,690百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金の増加が1,033百万円、売掛金の増加が401百万円あったことによるものであります。

負債につきましては、前事業年度末と比較して269百万円増加し、863百万円となりました。その主な要因は、未払金の増加が50百万円、未払法人税等の増加が236百万円あったことによるものであります。

純資産につきましては、前事業年度末と比較して1,128百万円増加し、8,826百万円となりました。その要因は、剰余金の配当が205百万円あったことに対して、当期純利益が1,027百万円あったことによるものであります。

 

④ キャッシュ・フローの分析

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して1,033百万円増加し、8,208百万円となりました。
  当事業年度における各キャッシュ・フローは、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果増加した資金は1,239百万円となりました。これは主に、税引前当期純利益を1,573百万円計上したものの、法人税等の支払額が370百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果減少した資金は1百万円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が1百万円あったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
  財務活動の結果減少した資金は204百万円となりました。これは主に、配当金の支払いによる支出が204百万円あったためであります。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2018年9月

2019年9月

2020年9月

2021年9月

2022年9月

自己資本比率(%)

86.0

92.1

88.8

92.8

91.1

時価ベースの自己資本比率(%)

222.4

213.8

187.2

176.8

133.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

 

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

    時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

    キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

    インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

    1.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しております。

2.キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、上記いずれの期においても有利子負債が存在しないため、記載しておりません。

 
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、ゲームソフトの開発費や販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。これらの資金需要につきましては、自己資金により賄うことを基本方針としております。

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑦ 今後の見通し

次期におきましては、引き続き「英雄伝説 黎の軌跡」「英雄伝説 黎の軌跡Ⅱ」を展開してまいります。

また、今期より進めているNintendo Switch向けゲームソフトの自社での展開に関して、次期においては3タイトルをNintendo Switch向けに発売する予定です。

アジア地域においては、PlayStation5/PlayStation4向けに「英雄伝説 黎の軌跡Ⅱ-CRIMSON SiN-(クリムゾン・シン)」の繁体字中国語版・韓国語版を発売しております。今後も新作タイトルを展開する予定です。

北米・欧州地域においては、PlayStation4/Nintendo Switch/PC・Steam向けに「英雄伝説 碧の軌跡:改」「英雄伝説 創の軌跡」「那由多の軌跡:改」のそれぞれ英語版を発売いたします。また、PlayStation5向けにも順次英語版タイトルを展開する予定です。

その他、TVアニメーション「The Legend of Heroes 閃の軌跡 Northern War」の放送を2023年から開始する予定です。

そして、ファンに愛され続けながら今年で35周年を迎え、ユーザーから高い評価を頂いている当社代表作の1つ「イース」シリーズ。次期におきましては、この「イース」シリーズ最新作をPlayStation5/PlayStation4/Nintendo Switch向けに発売いたします。

当社ゲームコンテンツを、ワールドワイドに様々なゲーム機やスマートフォンアプリ等のプラットフォームへと展開し、保有するIPコンテンツを積極的に活用するとともに、引き続き「軌跡」「イース」シリーズを含めた、新たなチャレンジとなる新規タイトルの制作も進めながら、今後も魅力的なゲームコンテンツを提供してまいります。

2023年9月期の業績見通しにつきましては、売上高2,550百万円、営業利益1,350百万円、経常利益1,350百万円、当期純利益920百万円を見込んでおります。

なお、新型コロナウイルス感染症につきましては、現時点において大きな影響はないものの、不確定な要素も多分に含んでおりますので、今後業績見通しの修正が必要となった場合には、速やかに公表いたします。

 
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