文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは以下の企業理念に基づいて、持続的成長のために、全社的な生産性向上による既存事業の更なる強化や新たな事業分野へ積極的に取り組むことによって収益基盤を強化いたします。また、経営の透明性の確保、企業の社会的責任を果たすことにより企業価値の向上に努めてまいります。
企業理念は社内的な判断や意思決定の拠り所として、また、人事考課や日々の業務に取り入れ、積極的に活用しております。
<企業理念>
(2)経営戦略等
2021年5月に公表した「中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)」において、当社は「TG Universe(ティーガイア内エコシステム)の実現」を経営戦略として掲げております。
また、2021年12月には「環境」、「社会」、「コーポレート・ガバナンス」の3つの方針からなるサステナビリティ方針を定めました。事業活動を通じ、社会の持続的な成長に貢献します。
「TG Universe」は「人×技術」を中心に、内輪に「Edge Enabler」ビジネス(当社の名前は前面に出さずに個人・法人間、法人・法人間にある境界をとりもつ黒子ビジネス)、外輪に「Unique Branded Service Provider」ビジネス(自らブランドを掲げて独自のサービスを提供するビジネス)という2つの成長ドライバーを描いております。当社グループは、「TG Universe」を充実・拡大させるとともに、社会課題を解決することで豊かな未来のために価値を創造しつづける企業グループへと成長します。
<経営戦略>
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中核であるモバイル事業の収益を維持しながらも、ソリューション事業、決済サービス事業他の収益を特に伸ばし、全社収益の拡大を目指しております。
2023年3月期における通期連結業績予想は、厳しい事業環境が継続するという前提のもと、引き続き独自ビジネスの拡大、および全社生産性向上を目的とした組織・人員の最適化、ならびに各種経費の見直しにより、営業利益の増益を見込んでおります。
その結果、売上高4,830億円(前期比1.4%増)、営業利益112億円(同6.0%増)、カード退蔵益を含む営業外収益42億円(同12.8%減)、経常利益154億円(同0.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益100億円(同5.5%減)を見込んでおります。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益が減少する主な要因は、下記のとおりであります。
イ.カード退蔵益の減少
ロ.当連結会計年度において、特別利益に投資有価証券売却益を計上した影響
<事業ポートフォリオ>
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 重要課題(マテリアリティ)
当社グループは「中期経営計画2022年3月期~2024年3月期」を策定するにあたり、8つのマテリアリティ(TGマテリアリティ)を特定しました。TGマテリアリティは、各事業の戦略策定やビジネスの意思決定プロセスにおける重要な要素と位置付けております。全ての事業活動を通じて、社会が抱える課題を解決することで、グループ全体の成長を目指してまいります。
01~04:TG Universeを実現するための経営戦略上の重要事項
05~08:上述の経営戦略を下支えする重要事項
② 各セグメントの取組み
<モバイル事業>
モバイル事業においては、通信事業者から受け取る手数料の減少およびオンライン契約比率の上昇等、事業環境が大きく変化しております。当社グループでは、店舗を単なる「販売拠点」ではなく「地域のICT拠点」へと発展させるべく、引き続き店舗の「存在価値」を高めてまいります。
具体的には、独自コンテンツやeスポーツ、体操教室等を活用した店舗への集客・独自収益の更なる拡大と、バックオフィス業務の改善、リモート初期設定サポート導入による業務効率化・生産性向上に取り組んでまいります。
また、スマホ教室の開催や近隣に店舗がない遠隔地への出張サポートにより、総務省が掲げる「デジタル田園都市国家構想」、「デジタルデバイド解消」に貢献してまいります。
<ソリューション事業>
当社グループは、LCM事業の商材・サービスを拡充するとともに、エッジコンピューティングなどの新事業領域のサービスを拡充することで、固定回線の手配から企業内ネットワークのインフラ構築も手がける「総合ネットワークサービスプロバイダ」へ進化してまいります。
また、当社グループ全体に跨ったプロジェクトチームを組織するなど、グループ各社・パートナー企業との連結を強化し、クラウド化が進む法人向けビジネス(市場の変化)へ対応してまいります。
<決済サービス事業他>
当社グループは、引き続きゲームを中心としたオンラインサービス向けのPIN・ギフトカードの商材を拡充し、取扱高増加を図ってまいります。また、当社が保有しているデジタルコード配信サーバを活用し、連結子会社である㈱クオカードと共同して、法人向けの販売を強化いたします。
㈱クオカードでは、引き続き「QUOカードPay」の加盟店拡大と、多彩なキャンペーンの展開による発行拡大に取り組んでまいります。
その他事業においては、eスポーツ、ICT教育事業、スマート農業、再生可能エネルギー事業などESGに対応した新たなビジネスへの取り組みを強化してまいります。
③ 環境への取り組み
当社は、2021年12月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明するとともに、「2040 年カーボンニュートラル(※)」を温室効果ガス削減目標として定めました。事業活動を通じて発生する環境負荷の低減に努め、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
※「2030 年温室効果ガス(以下、GHG)排出量 50%削減(2019 年度比)」を中間目標として掲げております。目標はいずれも当社単体ベース(Scope 1・2)であります。
<TCFD提言の枠組みに関する開示>
(ガバナンス)
当社は、気候変動を含む環境の課題に関し、全社委員会(サステナビリティ委員会)にて評価・管理を行っております。サステナビリティ委員会は、経営会議の諮問機関であり、気候変動に関する課題における当社のサステナビリティ向上に向けた方針・戦略・施策などを策定・審議いたします。委員会討議内容は都度経営会議に報告し、重要な事案については取締役会への付議を進言しております。
・取締役会
サステナビリティ委員会が策定・審議した方針・戦略・施策、全社リスクについて報告を受け、重要な事案について意思決定を行います。サステナビリティ全般に関する取り組みについて監督します。
・経営会議(議長:執行役員社長)
気候変動対応を含む、会社経営に関する方針・戦略・施策、全社リスクについて協議します。サステナビリティ委員会からの報告を受け、取締役会への付議・報告を判断します。
・サステナビリティ委員会(委員長:サステナビリティ担当役員)
気候変動関連の課題解決に貢献できるようにサステナビリティの方針・戦略・施策を策定・審議します。さらにリスク管理委員会と連携しながら気候変動関連のリスクを管理します。
(戦略)
当社は、気候変動リスク・機会が当社のビジネス戦略や財務計画へどのような影響があるかを、TCFD提言に準拠した形で「リスク重要度評価」、「シナリオ選択(4℃と1.5℃)」、「事業インパクト評価」、「対応策の検討」の4つのステップに分けて分析をしております。
・リスクの重要度評価
異常気象の激甚化は、自社店舗の損壊を含むサプライチェーンの寸断等、当社事業に損失を与えるリスクがあります。一方で、再生可能エネルギー事業の需要が高まることにより、当社にとって大きな財務効果が得られる機会を生み出す可能性があります。
リスクの重要度評価の詳細は下記のとおりです。
大(当期純利益:10%以上)、中(当期純利益10%未満~1%以上)、小(当期純利益:1%未満)
<主要なリスク>
<主要な機会>
・シナリオ選択(4℃と1.5℃)および事業インパクト評価
気候変動に係るリスク・機会の定性的な分析を踏まえ、「4℃シナリオ」、「1.5℃シナリオ」を利用し、それぞれの事業インパクト評価を行っております。
4℃シナリオでは、異常気象の激甚化による店舗の被害が増加することを想定し、全国400以上の店舗周辺の洪水。土砂災害リスクをハザードマップで確認し、影響度を「中」と評価しました。BCP対策を見直し、事業継続に大きな影響が出ないように対策を講じております。
1.5℃シナリオでは、脱炭素社会への移行に伴い、炭素税等の政策・規制が強化されることを想定しております。Scope 1・2・3の算定結果を踏まえ、再生可能エネルギー電力(以下、再エネ電力)の導入やGHG削減の目標策定をしておりますが、その目標を達成した場合、財務上の影響が限定的だと判明しました。また、太陽光発電を始めとした再エネ電力の需要が増加することが想定され、当社グループの再生可能エネルギー事業において、事業機会の拡大に繋がり得ることも判明しました。事業機会を着実に獲得するために、供給体制を整えるとともに、多様な手法で再エネ電力を提供できるよう取り組んでまいります。
・対応策の検討
特定されたリスクと機会への対応策として、当社はサステナビリティ方針を定めました。また、BCP対策の見直しを行っており、具体的な対応策も検討してまいります。
(リスク管理)
TGマテリアリティにおいても、「環境問題・気候変動への積極的な取り組み」を重要課題のひとつとして認識しております。気候変動を含む当社グループの事業活動に係る様々なリスクに関し、リスク管理委員会にて識別・評価・管理を行います。また、リスク管理委員会は気候変動関連対応に関する戦略・施策を取り扱うサステナビリティ委員会と連携し、当社グループの気候変動に関する課題に取り組んでまいります。
<マテリアリティ特定におけるアプローチ>
・リスク管理委員会(委員長:CFO)
気候変動を含むあらゆる事業のマテリアリティについて識別・評価を行い、サステナビリティ委員会と連携しながら、気候変動関連のリスクの管理を行います。
(指標と目標)
当社は、上述したとおり、「2040 年カーボンニュートラル」の実現に向けて取り組んでおります。
Scope 1・2・3におけるGHG排出量の実績は当社ウェブサイトおよび統合報告書に掲載しております。
④ 社会への取り組み
当社グループは、全社員がワクワクしながら働ける環境づくりを実現し、社員とその家族を大切にする会社であり続けることを成長戦略に、様々な取り組みを行っております。
<社員一人ひとりの働き甲斐と働きやすさの追求>
当社グループの根幹を成す「人財」の育成を重要な経営戦略と位置づけ、プロフェッショナル人財の育成等研修の更なる拡充を図っております。また、副業の承認範囲拡大・社内FA・社内公募等社員のモチベーションアップに繋がる制度の拡充や1on1ミーティング・オンライン懇親会の実施等、社員間のコミュニケーションを活性化させる各種施策の充実にも力を入れております。
<ダイバーシティ&インクルージョンの実現>
当社グループの持続的成長と新たな価値創出のためには、人財の多様性が重要であると考え、ダイバーシティ&インクルージョン推進に積極的に取り組んでおります。具体的には、女性活躍を推進するための各種施策・制度の拡充や障がい者が長く勤務できる職場環境の整備、LGBT対応に則した規程等の整備、健康経営に沿った各種支援制度の充実等に取り組んでおります。この結果、「D&I Award2021」の最高位や「PRIDE指標」のゴールド受賞に加え、「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)の4年連続認定等、社外からも高く評価されております。
<時間と場所を問わない多様な働き方>
ワークライフバランスの充実や心身の健康維持・増進、ES(従業員満足度)ならびに生産性の向上を目的に、ペーパーレス化等による業務改革の推進やテレワークによる業務環境の更なる充実、スーパーフレックス制度やフリーアドレス、「リモートオフィス勤務制度」等、柔軟な勤務形態・職場環境の充実に取り組んでおります。
⑤ コーポレート・ガバナンス
当社グループは、平素より法令および社内規程の遵守、倫理維持といったコンプライアンスを業務遂行上最重要事項の一つと位置付けています。引き続き、コンプライアンスに関する研修の充実や社内SNSの活用等を通じて啓発活動を行い、リスクの早期発見と対応に取り組んでまいります。
また、取締役会における独立社外取締役の構成を過半数にするなど、ガバナンス体制の強化に取り組んでおります。当社は、2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードの各原則を全て実施しております。
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