業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ① 経営成績の状況

当連結会計年度(2021年6月1日~2022年5月31日)における我が国経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響により、経済活動が抑制され、景気の回復に弱さがみられる状況にあります。

また、ウクライナ情勢の長期化に伴う地政学的リスクの高まりを背景とした各種資源の需給バランスの不安定化や中国を中心とするアジア圏におけるロックダウンによりサプライチェーンの混乱が生じており、先行き不透明な状況が続いております。このような環境の中、当社ゲーム事業セグメントが属するオンラインエンターテイメント業界におきましては、2021年の世界のモバイルコンテンツ市場は、前年比118.7%の9兆1,697億円となり、ここ数年は一桁台の伸び率で推移し、市場成長率が鈍化傾向でありましたが、巣ごもり需要の拡大により、2割近い伸びとなっております。また、日本市場においても、1兆3,060億円となり、安定的に拡大をしております。 (「ファミ通モバイルゲーム白書2022」株式会社角川アスキー総合研究所)

また、当社および連結子会社(以下、「当社グループ」という。)が行っておりますライブ配信事業を含む動画配信市場におきましては、コロナ禍に伴う対面での経済活動が抑制され、デジタルへの移行が加速したことにより、サービスの利用が大幅に拡大しました。また、オンラインライブ配信プラットフォームの誕生により、ライブ配信の機会が増加したことや熱量の高いユーザーの支持が市場を底上げしたことにより、今後も市場の規模は拡大し、2026年には5,250億円になると予測されております。(「動画配信市場調査レポート2022」一般財団法人デジタルコンテンツ協会)

なお、デジタルライブエンターテイメント市場においては、今後も5Gの本格導入やVR・AR技術の推進などを材料に持続的な成長が期待され、2023年には700億円超、2024年には約1,000億円の市場規模に達すると予測されております。(株式会社CyberZ「国内デジタルライブエンターテイメント市場に関する市場動向調査」)

このような状況の中、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高1,409百万円(前期比17.3%減少)、営業損失813百万円(前年同期は営業損失225百万円)、経常損失812百万円(前年同期は経常損失233百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失936百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失244百万円)となりました。

なお、費用面におきましては、2020年10月30日開催の取締役会において有償発行を決議しております第27回新株予約権について、2021年8月3日の普通株式終値が行使価格の70%を下回ったことにより、強制行使条件に該当することとなりましたため、株式報酬費用347百万円を計上しております。当連結会計年度のセグメントごとの業績は次のとおりであります。

 

イ. ゲーム事業

ゲーム事業につきましては、「ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~」が主力コンテンツとして当社の業績を引き続き牽引しております。リリースから7年が経過し、経年等による売上高の減少により厳しい状況が続いておりますが、新機能追加による大型アップデートの実施やコラボイベント、季節イベントの開催によりユーザーを飽きさせない施策を行っております。また運営体制の見直しやコスト構造の最適化を行うとともに、動画配信、SNS、チャットツールなどを活用したユーザーとのコミュニケーション強化施策やユーザー間のコミュニケーション促進施策を実施することにより、顧客満足度向上を図るとともに、長期的に楽しんでいただける取組みを進めております。

「東方Project」のIP許諾を受けた新規ゲーム開発につきましては、決定したゲームコンセプトをベースにシューティングの基幹部分の開発を進めております。また実機による検証・調整やキャラクターの量産体制へ移行し、当初のスケジュール通りに進捗しております。

2020年3月31日に設立をいたしましたスマートフォンゲーム製作委員会につきましては、当初想定しておりました市場環境において将来の収益獲得を期待できるクオリティを確保することが困難となり、その目的を達成できないという結論に達したことから、2022年3月18日開催の取締役会において、解散を決議しております。

これらの結果、ゲーム事業セグメントにおける売上高は718百万円(前期比47.2%減少)となり、セグメント損失は626百万円(前期はセグメント損失105百万円)となりました。

 

ロ. 動画配信関連事業

当社独自の対面占いライブ配信プラットフォーム「占占(sensen)」につきましては、占い師の育成に注力することにより、サービスの品質向上を図るとともに、2022年4月より新たな販路開拓及び顧客流入施策としてリアル店舗「占占の館」を開業いたしました。これにより、リアル店舗「占占の館」と「占占(sensen)」との間で相互送客を行い、SEO(検索エンジン最適化)、MEO(マップエンジン最適化)への取組みにより、さらなるユーザーの流入が期待されました。しかしながら安定した収益を獲得するには、今後も継続した投資が必要であり、当該サービスから獲得が見込まれる将来キャッシュフローの評価を行った結果、投資額の回収が困難であると判断されたため、減損損失を計上することとなりました。

連結子会社capableにつきましては、YouTube事業の業績が引続き安定的に推移しており、第2四半期より開始した独自の芸能人やインフルエンサーとEC事業を連携させたDtoC事業を含むデジタルマーケティング事業が、当初想定を上回る販売となり、第4四半期における売上は、季節商品の影響により伸び悩みましたが、グループ全体の売上獲得に貢献いたしました。

在外子会社である凱樂數位股份有限公司(Cave Interactive Taiwan Co., Ltd.)につきましては、2022年1月のリリースを目標にライブ配信アプリの開発を進めておりましたが、開発の過程において、正式にサービスを行えるクオリティを確保することが困難であるという結論に達し、2021年12月17日に開発を中止することを決定いたしました。また、この決定に伴い2022年1月14日開催の取締役会にて、同社の解散を決議しております。

これらの結果、動画配信関連事業セグメントにおける売上高は690百万円(前期比101.4%増加)となり、セグメント損失は186百万円(前期はセグメント損失120百万円)となりました。

 

 ② 財政状態の状況

(総資産)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて34百万円減少し1,384百万円となりました。主な内訳は、現金及び預金1,056百万円、売掛金32百万円、商品及び製品39百万円、前払費用31百万円、未収入金42百万円、関係会社短期貸付金50百万円、ソフトウェア仮勘定34百万円、投資有価証券14百万円、関係会社株式13百万円、敷金15百万円、差入保証金19百万円であります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて1百万円増加し361百万円となりました。主な内訳は、短期借入金60百万円、未払金59百万円、未払費用18百万円、契約負債60百万円、長期借入金140百万円であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて35百万円減少し1,023百万円となりました。主な内訳は、資本金1,389百万円、資本剰余金366百万円、利益剰余金△1,281百万円、自己株式△47百万円、新株予約権565百万円、非支配株主持分26百万円であります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,056百万円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況及びこれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果減少した資金は、480百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失937百万円に現金支出を伴わない減価償却費33百万円、株式報酬費用347百万円、減損損失124百万円が含まれ、未収入金の減少額42百万円の収入要因がありましたが、棚卸資産の増加額37百万円、未払金の減少額20百万円、未払費用の減少額20百万円、未払又は未収消費税等の増加額25百万円の支出要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果増加した資金は、42百万円となりました。これは主に、関係会社の清算による収入98百万円の収入要因がありましたが、無形固定資産の取得による支出34百万円、投資有価証券の取得による支出14百万円の支出要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果増加した資金は、585百万円となりました。これは主に、株式の発行による収入590百万円が収入要因であったことによるものであります。

 

 

 ④ 生産、受注及び販売の状況

 a. 生産実績

  該当事項はありません。

 

 b. 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年6月1日
 至 2022年5月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ゲーム事業

22,409

△94.2

動画配信関連事業

合計

22,409

△94.2

 

 

 c. 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年6月1日
 至 2022年5月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

ゲーム事業

718,728

△47.2

動画配信関連事業

690,642

101.4

合計

1,409,370

△17.3

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度
(自 2020年6月1日
  至 2021年5月31日)

当連結会計年度
(自 2021年6月1日
 至 2022年5月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Google Inc.

551,445

32.4

399,906

28.4

GMOペイメントゲートウェイ株式会社

4,186

0.2

298,260

21.2

Apple Inc.

364,444

21.4

248,532

17.6

株式会社KADOKAWA

292,092

17.1

22,409

1.6

株式会社フォワードワークス

91,250

5.4

 

  2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 ① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づき実施しており、重要なものは以下のとおりでございます。

なお、新型コロナウイルス感染症については、収束時期が予測できないため、影響の及ぶ期間を正確に把握することが困難であります。このような状況を踏まえ当社グループは、会計上の見積りにあたって当該感染の影響が及ぶ期間を2022年5月末までとする仮定を置いて計算しております。これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 

 a. 無形固定資産(ソフトウエア、ソフトウエア仮勘定)の減損

当社グループは、無形固定資産(ソフトウエア、ソフトウエア仮勘定)について、割引前将来キャッシュ・フ ローが帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合は、追加の減損損失が計上される可能性があります。

 

  b. 関係会社株式の減損

当社グループは、子会社株式、関連会社株式を保有しております。これらには時価を把握することが極めて困難なものが含まれております。これらの株式は評価対象会社の純資産額が帳簿価額を50%以上下回り、かつ、財政状態の悪化及び実質価額の著しい低下が認められる場合に減損処理を実施します。

 

 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

 a. 売上高

当連結会計年度は、ゲーム事業におきましては、2022年4月に『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』が7周年を迎えました。また株式会社KADOKAWA及び株式会社フォワードワークスによる新作スマートフォン向けゲームアプリ『ワールドウィッチーズ UNITED FRONT』の運営受託を行いました。動画配信関連事業におきましては、「ゲーム領域以外の事業の創出」を推進するために、当社独自の対面占いライブ配信プラットフォーム「占占(sensen)」の新たな販路開拓及び顧客流入施策としリアル店舗「占占の館」を2022年4月に開業いたしました。連結子会社である株式会社capableにつきましては、DtoC事業が当初予想を上回る販売となり、当社グループ全体の売上獲得に貢献いたしました。その結果、当連結会計年度における売上高は、1,409百万円となりました。

 

 b. 売上原価、売上総利益

当連結会計年度の売上原価は、株式会社capableのDtoC事業における仕入高の発生により増加する一方、2020年5月期第1四半期より開始いたしました株式会社KADOKAWA及び株式会社フォワードワークスによる新作スマートフォン向けゲームアプリ「ワールド ウィッチーズ UNITED FRONT」の受託開発案件が2021年6月に他社へと移管したことにより減少いたしました。その結果、当連結会計年度における売上原価は、731百万円、売上総利益は677百万円となり、売上高総利益率は48.08%となりました。

 

 c. 販売費及び一般管理費、営業損失

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、1,491百万円となりました。主な内訳は、モバイルオンラインゲームを用いた利用者からの利用料金回収代行に係る手数料162百万円、給与手当125百万円、プロモーション活動等による広告宣伝費及び販売促進費232百万円、外注費114百万円等によるものであります。この結果、営業損失は、813百万円となりました。

 

 d. 営業外損益及び経常損失

営業外収益は、7百万円となりました。

営業外費用は、6百万円となりました。

この結果、経常損失は812百万円となりました。

 

 e. 特別損益

     特別損失として減損損失124百万円を計上しております。

この結果、税金等調整前当期純損失は、937百万円となりました。

 

 f. 当期純損失

法人税、住民税及び事業税3百万円を計上しました。

この結果、当期純損失は940百万円となり、1株当たりの当期純損失は、167円93銭となりました。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金需要のうち主なものは、ゲーム事業の開発・運営に係る人件費、外注費及び広告宣伝費等の運転資金と、新規事業に対する設備投資資金があります。

当社グループでは、運転資金は主として自己資金及び借入金等により資金調達をしておりますが、大規模なプロモーション費用や新規事業に対する設備投資資金につきましては、必要に応じて資本性の資金調達を実施しております。

当連結会計年度においては、営業活動により480百万円の支出、投資活動により42百万円を収入し、また財務活動により585百万円の資金を調達しております。

各項目の主な要因については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

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