業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が緩和される中で、持ち直しの動きがみられました。一方で、ウクライナ情勢等による不透明感が見られる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等による下振れリスクに注意するとともに、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を注視する必要があり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 当社グループの属する情報サービス分野においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、企業のテレワーク環境の整備など、ワークスタイルの変革に対応すべくデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが加速しており、社会全体としてもデジタル化への更なる転換が求められております。一方で、景気の先行き不透明感などからIT投資に慎重な動きも見られ、引き続き国内外の動向を注視する必要があります。

 このような状況の下、当社グループでは、新型コロナウイルス感染予防ガイドラインに沿った対策を講じ、従業員の在宅勤務や時差出勤等を推進しつつ、継続案件や新規案件の受注確保、低採算案件の収益性の改善、人材育成及び採用活動への投資、人事制度や職場環境の整備、拡充に注力してまいりました。昨年12月には杉並区子育て優良事業者表彰制度において優良賞を受賞いたしました。また、新型コロナウイルスのワクチン接種案件を通じ、引き続きコロナ禍における社会貢献を果たしてまいりました。本社経費の抑制や税効果会計の影響もあり、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに当初の予想を大きく上回りました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

 (資産)

 当連結会計年度末における資産の残高は5,440,131千円となり83,854千円の増加となりました。

 流動資産においては、143,416千円の増加となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産の増加222,464千円、仕掛品の減少146,699千円によるものであります。

 固定資産においては、59,562千円の減少となりました。これは主にのれんの減少85,652千円によるものであります。

 (負債)

 当連結会計年度末における負債の残高は1,561,400千円となり、130,235千円の減少となりました。

 流動負債においては123,996千円の減少となりました。これは主に契約負債の増加42,285千円、受注損失引当金の減少80,593千円、流動負債その他の減少96,340千円によるものであります。

 固定負債においては6,239千円の減少となりました。これは主に退職給付に係る負債の減少7,355千円によるものであります。

 (純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は3,878,731千円となり、214,089千円の増加となりました。これは主に自己株式の減少213,382千円によるものであります。

 この結果、自己資本比率は71.3%(前連結会計年度は68.4%)となりました。

 

 財政状態に関しましては、当社グループの自己資本比率は71.3%となっており、健全な財政状態を維持しております。また、流動比率においても390.8%と高い水準を維持しております。

 

b.経営成績

 当連結会計年度における売上高は8,339,027千円(前年同期は7,967,839千円)となり、営業利益は334,042千円(前年同期は212,449千円の営業利益)、経常利益は354,354千円(前年同期は241,449千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は239,572千円(前年同期は167,635千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。また、当社グループが重要な経営指標と考える売上高経常利益率は4.2%、株主資本当期純利益率(ROE)は6.4%となりました。

 なお、当社は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。これにより、当連結会計年度の売上高は99,689千円増加し、売上原価は64,023千円増加し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ35,665千円増加しております。また、利益剰余金の当期首残高は、15,520千円増加しております。前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、経営成績に関する説明において前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

 システム開発事業につきましては、主要顧客からの受注拡大がございました。また、外注費用の抑制に加え、ローコード開発ツールを活用した開発業務が売上、利益ともに伸長し、利益率が向上いたしました。子会社の業績も順調に推移いたしました。なお、「収益認識に関する会計基準」等の影響による売上、営業利益の増加もありました。

 この結果、当連結会計年度における売上高は4,331,715千円(前年同期は4,128,869千円)、営業利益は190,884千円(前年同期は109,608千円の営業利益)となりました。

 

 アウトソーシング事業につきましては、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種案件などのオンサイト型のBPOサービスが好調に推移し、コスト構造の改善が順調に進みました。主要顧客からのコンタクトセンターサービスなどの受注も引き続き業績に寄与しました。

 この結果、当連結会計年度における売上高は4,007,311千円(前年同期は3,838,969千円)、営業利益は143,158千円(前年同期は102,841千円の営業利益)となりました。

 

 経営成績に関しましては、2022年3月期においては、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、想定していた受注の延期や顧客企業の投資抑制等による案件の減少がグループ全体に渡ってございました。

このため、売上高につきましては、当初の予想より減少する結果となりました。一方で利益面につきましては、上記要因の影響があるなか、システム開発事業においては、外注費用の抑制に加え、開発支援ツールを活用した開発事業が前期に続き好調に推移したこと、アウトソーシング事業においては、オンサイト業務が好調に推移し、コスト構造の改善が順調に進んだこと、また本社経費の抑制により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が当初の予想を上回る結果となりました。また、2023年3月期も引き続き受注確保、品質及び顧客満足度の向上を追求し、着実な収益向上に取り組んでまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が353,214千円(前連結会計年度は240,450千円の税金等調整前当期純利益)となり、売上債権及び契約資産の増減額△126,158千円、保険積立金の積立による支出△59,783千円、配当金の支払額△44,262千円等により、当連結会計年度末には2,430,222千円となりました。その結果資金残高は、前連結会計年度末に比べ88,787千円の増加となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は229,423千円(前連結会計年度は453,519千円の資金の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の353,214千円、売上債権及び契約資産の増減額△126,158千円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は△91,005千円(前連結会計年度△9,390千円の資金の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出△38,809千円、保険積立金の積立による支出△59,783千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は△49,630千円(前連結会計年度は△48,389千円の資金の使用)となりました。これは主に配当金の支払額△44,262千円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

システム開発事業

3,327,516

3.4

アウトソーシング事業

3,022,487

3.9

合計

6,350,004

3.6

(注)各セグメントの金額については、製造費用によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

システム開発事業

4,819,022

14.6

1,231,616

55.2

合計

4,819,022

14.6

1,231,615

55.2

(注)1.システム開発事業以外については、継続業務が大半であり、業務も多岐にわたり、受注高を把握する事が困難なため、システム開発事業についてのみ記載しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

 システム開発事業

4,331,715

アウトソーシング事業

4,007,311

合計

8,339,027

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ピー・シー・エー㈱

925,517

11.6

975,136

11.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループでは、運転資金及び設備投資資金は基本的に自己資金でまかなっております。

キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が353,214千円、売上債権及び契約資産の増減額△126,158千円等により、営業活動の結果得られた資金は229,423千円となりました。

 結果、当連結会計年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリーキャッシュ・フローはプラスとなり、自己資本比率71.3%の指標が示すように、健全な財務体質を維持しております。また、当連結会計年度末における流動比率も390.8%となっており、十分な流動性を確保できております。

 引き続き安定した営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すべく努めてまいります。また、営業活動によるキャッシュ・フローの創出及び内部資金の範囲で、当社グループの事業展開に必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。

 当社グループの資金需要の主なものは人件費となります。「1  経営方針、経営環境及び対処すべき課題等  (3)中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題  ④人材を育成・確保する」の記載にありますとおり、当社グループの基本方針として、引き続き人材投資に注力してまいります。また、当社は株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題として位置付けていることから、安定配当の継続を基本方針としております。

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に以下の事項が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。

 なお、新型コロナウイルス感染症については予断が許されない状況でありますが、当社グループの経営成績において総じて大きな影響が生じていない事から、同感染症による当社グループにおける経営成績への影響は限定的であると仮定して当連結会計年度(2022年3月期)の会計上の見積りを行っております。

 

(ソフトウエアの受託開発契約に係る総原価の見積り)

 当社グループはソフトウエアの受託開発契約については、ごく短期な受託開発を除き、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合には、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度は見積総原価に対する発生原価の割合として算定されますが、案件毎に業務内容や仕様が異なり、工数の積算を含む総原価の見積りは経営者の判断に依存します。また、見積総原価は、顧客からの仕様変更等により見直される可能性があります。その結果、進捗度が変動する可能性があります。なお、連結損益計算書における売上高8,339,027千円のうち、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができ、一定の期間にわたり収益を認識しているシステムズ・デザイン株式会社のソフトウエアの受託開発契約に係る売上高は497,135千円であり、当連結会計年度の売上高の6.0%を占めております。当該見積り及び仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響などは、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に注記しております。

 

(のれんの減損)

 当社グループは、企業買収に伴い発生した相当額ののれんを連結貸借対照表に計上し、原則としてのれんの効果の発現する期間にわたって償却しておりますが、事業環境の変化等により買収した子会社等の事業計画が未達となった場合には当該のれんについて減損損失を計上することになり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末でののれんの残高は、300,214千円となっており、連結総資産の5.5%を占めております。のれんの減損については重要な会計上の見積りが必要となります。当該見積り及び仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響などは、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に注記しております。

 

(繰延税金資産)

 当社は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の利益計画に基づき課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率の変更等を含む税制の変更があった場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果、繰延税金資産の取崩しが必要となった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末で繰延税金資産の残高は、313,199千円となっており、連結総資産の5.8%を占めております。

 

(固定資産の減損)

 当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)がある場合は、回収可能性を評価し、回収不能見込額を減損損失として計上する可能性があります。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

(受注損失引当金)

 システム開発作業の不具合や遅延により、当初の予定費用を著しく超過すると見込まれる場合、受注契約に係る将来の損失に備えるため、各連結会計年度末時点で将来の損失が見込まれ、かつ、当該損失金額を合理的に見積ることが可能なもので、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額については、受注損失引当金の計上が必要となる可能性があります。なお、当連結会計年度末における受注損失引当金はありません。

 

③財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容

「3  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。

 

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