課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき主要な課題等は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(不動産金融事業におけるビジネスモデルの確立)

 これまで培った当社グループのノウハウにより、バリューアップが完了した投資物件を、当社が組成するリートへ組み込み、それにより得た資金を次のプロジェクトに充てていくという資産循環型ビジネスのサイクルを実現させることが、引き続き重要な戦略であります。これによりグループの受託資産の積み上げとリートの成長を図りつつ、相応規模の収益を計画的に実現することが可能になると考えております。

(ホテルの事業力強化)

 ホテルというオペレーショナルアセットは、オフィスビルやレジデンスなどに比べて、運用の巧拙が収益力を大きく左右します。当社グループは世界で展開するグローバルなラグジュアリーブランドのホテルオペレーターから運営ノウハウを得て、自前のホテル運営を展開できる強みがあります。また、大きな事業環境の変化へ対応していくため、ホテルのコスト構造を見直していくことを進め、より安定した収益の獲得を可能にすることを目指してまいります。

 

 これらの基本戦略を通じて、ホテル運営事業の安定収益をベースに、資産循環型ビジネスの中で得られる利益を計画的に加え、「経営基盤の安定化」を図ってまいります。それらを着実に具体化させていくことにより、プライム市場を目指してまいりたいと考えております。

 

優先的に対応すべき重点施策は以下のとおりです。

①事業戦略

(a)資産循環型ビジネスの構築による不動産金融事業の進化・拡充

 取得した資産をバリューアップし、当社が組成するリートへ組み込むサイクルを実現させることにより、資産循環型のビジネスモデルを確立させてまいります。その戦略の核となるリートについては、2021年5月25日付で資本業務提携を締結したサムティ株式会社と組成に向けた協議を進めており、現在両社併せて持つホテルリートへの拠出物件のパイプライン約3,000億円を基本に、リート上場の時期や規模について、今後の経済環境、市場環境等を勘案して決定してまいります。

 また、当社グループの事業モデルは、ホテル開発プロジェクトにおいて竣工前の開発過程にも複数の収益機会があり、それらをプロジェクトごとに調整して収益につなげてまいります。現時点で、既に開業中のホテルは6棟、開発中のプロジェクトが5件進行中です。

(b)新規運営受託獲得活動の本格展開と既存ホテル運営事業の収益力強化

 日本の観光都市にはまだまだラグジュアリーホテルが少なく、コロナ禍を乗り切ればその成長余地は大きいと考えています。ホテル自体をエクスクルーシブな環境として創造し、五感で満足していただけるサービスやデザインを散りばめた開発を行うことにより、競争力の強化につなげたいと考えております。一方、ホテル運営事業の売上が本格回復するまでにはまだ時間を要することが想定されるため、ラグジュアリーホテルに要求される高いホスピタリティを維持しつつコスト抑制を図るため、適切なコストコントロールとコスト構造の見直しに努めてまいります。

 当連結会計年度には、2021年6月に「アロフト大阪堂島」が開業したほか、2022年4月1日現在で、当社グループが出資・開発・ホテル運営に関わる5件のホテル開発プロジェクトが進行中です。

 このうち「バンヤンツリー・東山 京都」が2022年3月に着工したほか、新たに2022年3月末に芦ノ湖畔のホテル開発プロジェクトにおいて、バンヤンツリー・グループとの間でホテル運営委託契約を締結し、ブランド確定に至りました。

 また、ホテル競争力向上や、バンヤンツリーブランドの本邦での認知度向上と2024年の「バンヤンツリー・東山 京都」開業を見越し、将来的に京都市内で同ブランドホテルを複数展開することによるシナジー効果と運営の効率化を図る為、あらたに「ダーワ・悠洛 京都」「ギャリア・二条城 京都」をリブランド開業いたしました。(2022年3月18日ソフトオープン)

 今後新たに具体化をさせていくホテル開発プロジェクトも、それぞれが特徴的で魅力のある立地において、最良のパートナーと最適なプランニングを行ってまいります。

(c)ホテル以外のアセットタイプの積極的な取得

 当社グループはこれまでもオフィスや商業施設を取り扱ってきた実績があり、当連結会計年度においても物流施設やオフィスに投資を行っております。不動産市場においては、コロナ後を見据えた動きが活発になってきており、コロナ終息後を見据えた不動産金融事業のパイプラインの拡充に向けて、積極的に物件取得を進めてまいります。

 

②財務戦略

(a)資金調達力の強化と流動資金の拡充

 成長に必要な投資資金は、自己資金の充当をベースとしながらも、場合によっては金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等も含めた多様な資金調達の検討を行ってまいります。また、コロナ禍における金融機関の慎重な融資姿勢が継続することを想定し、資金の早期回収、費用や投資の柔軟な見直しなどを進めることにより、流動資金の拡充を進めてまいります。

(b)財務レバレッジをフル活用した不動産投資の実施

 今後自己資本が積み上がっていくことにより、金融機関からの資金調達力が向上するものと期待しております。投資効率や採算を高めるため、可能な限りデットでの資金調達によりレバレッジをかけてまいりたいと考えております。

 

③資本戦略

(a)戦略的資本提携先の開拓を通じた適正な株主構成の再構築

 当社グループの事業戦略を早期に具体化し、事業競争力を一層向上させていくため、サムティ株式会社との資本業務提携を行い、その提携によって成しえる戦略や施策の具体化を鋭意進めると同時に、株主構成の再構築を実現させてまいります。

(b)株式の流動性向上を目指す施策の検討・実施

 当社は2019年4月1日付で株式分割を実施しております。

 当社の株主構成は特定株主の保有比率が高く、安定をしている一方、株式の流動性は必ずしも高いとは言えない状況であると認識しており、特定株主の保有株については、今後、新たな戦略的資本提携先や業務提携先の開拓により、新たな株主構成を考えるとともに、市場の状況等も見つつ、株式の流動性を高めていく対策を講じてまいりたいと考えております。

 

④配当戦略

(a)利益水準に応じた安定的な配当の実施

(b)トータル・シェアホルダーズリターン(TSR*)等の指標の検討

  * 株主総利回り(一定期間における株価上昇率+配当率)

 当社グループは、株主の皆様へ安定的な配当を行ってまいりたいと考えておりますが、未だ発展途上にあり、利益は更なる成長のための再投資に利用させて頂くことも必要なため、「TSR」を経営指標に位置づけ、例えば“自社株買い”でEPSを増加させ、株価上昇につなげることも含めて検討しております。

 当連結会計年度には特別株主優待を前期に引き続き実施いたしました。

 引き続きトータルで株主の皆様に還元させて頂くことを検討してまいります。

 

⑤人事戦略

(a)「働き甲斐があり、働きやすい職場」と「成果に報いる人事制度」の構築

(b)カテゴリーの異なるホテルの経営・運営に対応した人材確保と人事制度の構築

 当社グループの事業を支えるのは人材です。当社グループの展開するホテルはバジェットからラグジュアリータイプまで様々であり、当然、運営ノウハウも異なるため、多様な人材確保が必要となってまいります。そのためには社員のモチベーション向上が極めて重要と認識しており、それを支える制度の構築、施策の展開を行ってまいりたいと考えております。

 当連結会計年度には新卒の定期採用を開始した他、各種研修や福利厚生制度の充実に向けた取り組みを進めており、引き続きバランスの良い従業員の階層構築を目指して参ります。

 

 当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、ホテル運営事業を中心に大きな影響を受けました。2022年3月期以降におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響は継続し、引続き当社グループの事業活動に影響を与えることが想定されるため、対策を強化してまいります。

 

 今後、さらなる経営基盤の強化、人材育成並びに成長戦略の推進に尽力し、お客様や時代のニーズに合ったサービ

スの提供に努め、お客様との長期的な信頼関係を築いていくため事業に邁進してまいります。

 

(目標とする経営指標)

 事業の成長、収益性を重視した経営を行うべく、「取扱高」、「売上高」、「経常利益」、「EBITDA」を重要な経営指標として位置づけております。

 「中期経営計画2024」における具体的な「取扱高」、「売上高」、「経常利益」、「EBITDA」の数値につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等」をご参照下さい。

 

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