業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の概況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、持ち直しの動きが続いておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられております。また、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や供給面での制約等による下振れリスク、変異株をはじめ感染症による内外経済への影響や金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある状況となっております。当社グループの属するクラウド・インターネットインフラ市場は、デジタルトランスフォーメーションが進むなか、すべての企業で第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ、ソーシャル技術)の利用が加速し、企業ITインフラのクラウドへの急速な移行やデータ量の爆発的な増加が予想されており、当社グループの属する市場は今後も拡大が継続すると見込んでおります。こうした状況のもと、当社グループはシステムインテグレーションから開発、インターネットインフラサービスの提供、保守、運用、お客様サポート等をグループ内においてワンストップで提供することで、お客様の「やりたいこと」の実現を支援することを目指しております。現在の45万件を超える顧客基盤と新たな顧客にとってのカスタマーサクセスの実現に注力することで、今後も高い市場成長が見込まれるクラウドサービスの拡大に注力しております。

売上高につきましては、クラウドサービスの売上は引き続き好調に推移いたしましたが、政府系大口案件の契約期間満了や物理基盤サービスにおける一定規模のサービス移行による影響等により20,019,177千円(前連結会計年度比9.7%減)となりました。
 営業利益につきましては、前期よりクラウドサービスへのリソース集中・最適化を行ってまいりましたが、売上高の減少等により、763,141千円(前連結会計年度比44.4%減)となりました。
 経常利益につきましては、営業利益の減少などにより、649,431千円(前連結会計年度比40.9%減)となりました。
 親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、経常利益の減少に加え、大阪本社移転に伴う減損損失等の計上などにより、275,451千円(前連結会計年度比63.7%減)となりました。

 

サービスカテゴリー別の状況は以下のとおりです。なお、当連結会計期間より、注力分野の変更に伴い、サービスカテゴリーの見直しを行っております。

① クラウドサービス

さくらのクラウド、さくらのVPS、さくらのレンタルサーバが好調に推移したこと等から、クラウドサービスの売上高は 10,963,769千円 (前年同期は 9,995,105千円 9.7%増 )となりました。

② 物理基盤サービス

高火力コンピューティングサービス大口案件の契約期間満了や前期からの一定規模のサービス移行による影響等により、物理基盤サービスの売上高は 4,497,495千円 (前年同期は 6,198,338千円 27.4%減 )となりました。

③ その他サービス

政府衛星データ案件の満了や前年同期におけるグループ会社での大口機器販売、収益認識基準適用に伴い代理人取引と判定される商品売上の収益認識を総額から純額に変更した影響等により、その他サービスの売上高は 4,557,912千円 (前年同期は 5,974,579千円 23.7%減 )となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

① 生産実績

 記載すべき事項はありません。

 

② 受注実績

 記載すべき事項はありません。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をサービス区分別に示すと、次のとおりであります。

サービス区分

販売高(千円)

前年同期比(%)

クラウドサービス

10,963,769

+9.7

物理基盤サービス

4,497,495

△27.4

その他サービス

4,557,912

△23.7

合計

20,019,177

△9.7

 

(注) 当連結会計年度における販売実績の著しい変動の要因は、「(1) 経営成績の概況」に記載のとおり

   であります。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末における資産・負債及び純資産の状況とそれらの要因は次のとおりです。

① 資産

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ420,921千円増加し28,396,327千円(前連結会計年度末比1.5%増)となりました。主な要因は、借入等による現金及び預金の増加等によるものです。

② 負債

当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ84,687千円増加し19,946,398千円(前連結会計年度末比0.4%増)となりました。主な要因は、買掛金の増加等によるものです。

③ 純資産

当連結会計年度末の純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ336,234千円増加し8,449,929千円(前連結会計年度末比4.1%増)となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加等によるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度と比べ1,277,827千円増加し5,452,592千円(前連結会計年度比30.6%増)となりました。

各キャッシュ・フローの状況と主な要因は、次のとおりです。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ収入が 152,889千円減少し、3,957,746千円(前連結会計年度比3.7%減)となりました。主な要因は、売掛金の増加等によるものです。

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ支出が315,260千円増加し△1,674,766千円(前連結会計年度比23.2%増)となりました。主な要因は、大阪本社移転等に係る費用の支出や関係会社への追加出資等によるものです。

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ支出が 2,143,429千円減少 し、 △1,005,276千円 (前連結会計年度比 68.1%減 )となりました。主な要因は、長期借入によるものです。

 

 (資本の財源及び資金の流動性について)

当社グループにおける資金の配分につきまして、適正な手元資金として月商の約2ケ月分程度を目安とし、緊急の資金需要や当社を取り巻く様々な環境変化に伴うリスク等については借入等の資金調達枠を確保いたします。当社グループの資金需要は主にサービス提供にかかる設備投資資金です。当社グループが属するクラウド・インターネットインフラ市場は今後も拡大が見込まれており、当社が事業運営において重視するカスタマーサクセスの実現にはサーバなどの機材に関する継続的な投資が不可欠なものであると認識しております。株主還元につきましては、当社グループは成長フェーズにあると考えており、持続的成長と収益力確保のため原資を確保しつつ、株主様への一定の利益還元を両立させたいと考えております。資金調達につきましては、賞与・納税等の短期運転資金は自己資金及び借入を基本とし、設備投資資金や長期運転資金は自己資金、借入及びリースを基本とすることで、事業運営上必要な資金の安定的な確保に努めており、設備効率の向上によるキャッシュ・フローのさらなる創出と、財務の安全性を確保しながらの成長投資を見極めてまいります。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は11,552,125千円、資金の残高は5,452,592千円となっております。

 

 

(4) 経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識等

当社グループは、持続的な成長と安定した収益体質の実現を経営の目標としており、具体的には前期対比売上高成長率10%以上、売上総利益率30%以上、売上高対経常利益率10%以上の継続的な達成を目指しました。

当連結会計年度においては、物理基盤サービスからクラウドサービスへのシフトの時期であることから一時的に売上、利益の減少を見込んでおり、前期対比売上高成長率は9.7%減となりました。利益面につきましては、売上総利益率は23.5%、売上高対経常利益率は3.2%となりましたが、クラウドビジネスへの集中を図るなかでクラウドサービスが好調に推移したことや物理基盤サービスが当初予想を上回ったことに加え、経営資源をクラウドに集中させていく中で、コストの最適化を想定以上に進められたこと等から当初予想を上回ることができました。

今後の見通しにつきまして、デジタルトランスフォーメーションがあらゆる業界において進む社会のなかで、新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会全体のクラウド化を急速に進めております。当社グループの顧客におきましても、物理基盤サービスからクラウドサービス利用への移行が進んでおります。

このような環境変化に対応するため、当社グループは成長性が高いクラウドビジネスに集中し、総合的なクラウドソリューションを提供していく方向へと転換を図っており、これに伴い、経営資源の配分方針も見直していくことにより、これまでハウジングや専用サーバといった物理基盤サービスのために投下していた人員や設備を、クラウドサービスや当社の重視するカスタマーサクセスのための取り組みへとシフトさせ活用しております。

2023年3月期は、こうした取り組みをさらに進化させる年度と位置付けており、既存の公共系大口契約が期間満了することに加え、物理基盤サービスの減少傾向は継続いたしますが、クラウドサービスが順調に伸長して増収と見込んでおります。利益面につきましては、売上高の増加に加え、前期より取り組んできたクラウド集中体制の移行によるデータセンターや物理基盤サービスに関する既存リソースの効率化、最適化の進展等により、増益と見込んでおります。

 

  (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。なお、現時点において新型コロナウイルス感染症による会計上の見積り等への重大な影響はないと考えております。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

① 固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。

固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

② 繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。

将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。

③ 資産除去債務

連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、資産除去債務については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得