業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

2021年2月12日発表の「報告セグメント変更に関するお知らせ」にて公表したとおり、当連結会計年度より、報告セグメントを変更しております。また、前連結会計年度の数値についても新たなセグメントに組み替えて表示しております。

 

当社グループは、インターネットサービス市場において、電子認証や電子印鑑を中心とした、認証技術を活用したトラストサービスをグローバルに提供する「電子認証・印鑑事業」、25年を超える運用実績とノウハウを生かしたホスティングサービスおよびマネージドクラウドサービスを提供する「クラウドインフラ事業」、DX化により業務効率化・高付加価値化を図り、様々な課題解決を支援する「DX事業」を展開しております。また、これらの事業を通じて、利便性と安心・信頼を兼ね備えたインターネットサービスを提供し、多くの企業のインターネットビジネスを支えるべく事業を展開しております。

当連結会計年度においては、当社グループの成長・収益基盤の柱である、SSLサーバ証明書等の認証技術を活用したサービスが、セキュリティ向上を目的としたSSLの有効期限短縮(2年更新から1年更新へ)の影響を受けたもののグローバルで大手顧客への販売が伸長したことにより売上は堅調に推移いたしました。また、電子契約サービス※1「電子印鑑GMOサイン」においては、今後の更なる成長に向けた戦略的投資を行うことで導入企業数および契約送信数の拡大を図ってまいりました。さらに、クラウドインフラ事業においても、パブリッククラウド市場の拡大を背景に、マネージドクラウドサービスは売上を好調に伸ばすことができました。

引き続き、拡大する電子契約サービスへの戦略的投資およびクラウドサービスやO2Oサービス、IDaaS※2等の成長市場へ経営資源を集中することで一層の事業拡大を推進してまいります。

 

このような状況下、当連結会計年度の業績は、売上高14,046,171千円(前年同期比5.4%増)、営業利益1,171,710千円(同13.7%減)、経常利益1,199,868千円(同13.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は483,618千円(同58.7%減)となりました。

※1:電子契約サービスとは、これまでの「紙+印鑑」の契約に代わり、「電子データ+電子署名」による契約形態のこと。印紙税課税対象外などのメリットがある

※2:IDaaSとは、Identity as a Serviceの略で、IDの管理をクラウド上で行うサービス

 

 

セグメント別の概況は以下のとおりであります。

 

(電子認証・印鑑事業)

 電子認証・印鑑事業においては、2020年9月に変更のあったセキュリティ向上を目的としたSSLの有効期限短縮(2年更新から1年更新へ)による単価下落が一巡したことで売上に対するマイナス影響は解消いたしました。また、SSLサーバ証明書、クライアント証明書等の電子証明書の販売がグローバルで堅調に推移いたしました。一方で「電子印鑑GMOサイン」への戦略的投資拡大を継続し、広告宣伝費および人件費が拡大したことにより前年同期に比べ増収減益となりました。

 当連結会計年度においては、電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン」を注力商材として位置づけ、広告出稿の拡大による認知度向上と積極的な人材採用による体制強化を推し進めてまいりました。最近では、大量の 雇用契約を一括処理できる人事向け新プラン 「電子印鑑GMOサインfor人事DX」の提供を開始いたしました。これにより、 定期的な一斉雇用契約等の一括締結処理をオンライン上で安全・便利に完結することが可能となり、一度に数百・数千人規模の雇用契約を抱える企業におけるニーズが拡大しております。また、12月には「電子印鑑GMOサイン」の活用を通じて、国内の各地域・各業界においてDX推進をともに進める「GMOサインパートナー」の募集を開始いたしました。 これによりパートナー企業へ、当社がこれまで蓄積した販売および導入・運用等のノウハウやナレッジを提供し、協力体制を強化することで今後のさらなる事業拡大を推進しております。さらに、東急リバブル社と業務提携し、 マイナンバーカードを利用した本人認証による、実印相当の効力をもつ不動産売買の電子契約実用化に着手いたしました。これは、2022年5月に予定されている不動産取引の電子契約解禁に向け、業界の先駆けとなるべく取り組むものであります。 このような状況のなか、導入企業数は、前年同期に比べ約3.3倍の465,407社となりました。契約送信数においても引き続き堅調に増加しており、前年同期比で約2.2倍の791,258件となりました。

  2021年1月より実施している地方自治体における業務のデジタル化を通じた行政サービスの利便性向上と職員の働き方改革を目的とした「さよなら印鑑~1億総デジタル化プロジェクト~」においては、現在、98の自治体が「電子印鑑GMOサイン」を活用し、業務効率化に関する検証を行っております。12月には、日本で初めて、行政専用の閉域網・総合行政ネットワーク(LGWAN)への対応を開始いたしました。これにより、総務省や各地方自治体の情報セキュリティポリシーに即したセキュアな環境で安心して「電子印鑑GMOサイン」を利用できるようになります。 また、2022年1月からは、神奈川県において 県庁内の契約業務効率化の効果を検証する目的で「電子印鑑GMOサイン for 行革DX」を活用した実証実験を開始しております。GMOサインの活用は、 契約時間の短縮等の業務効率化や、ペーパーレス化によるコスト削減に大きな効果を発揮することができ、行政サービス向上のみならず、DX・電子契約の普及を通じたペーパーレス化による持続可能な社会の実現に貢献すべく全国自治体への導入を推し進めてまいります。

 

以上の結果、当連結会計年度における電子認証・印鑑事業の売上高は7,721,699千円(前年同期比8.7%増)、セグメント利益は1,088,251千円(同24.7%減)となりました。

 

(クラウドインフラ事業)

クラウドインフラ事業においては、クラウドの導入支援および設計・構築、監視・運用などを代行するマネージドクラウドサービス「CloudCREW」が、25年以上にわたるインフラ運用実績とAWS認定資格等の高い技術力により順調に事業を拡大しております。最近では、企業のリモートワークの浸透やDX推進等、労働環境の変化にともなうクラウドサービスの需要拡大およびパブリッククラウド市場の高い成長を背景に、引き続き好調に売上を伸ばしております。加えて、2022年1月からはGoogle Cloud事業へ参入いたしました。これにより、これまで扱ってきた商材では対応しきれなかった領域においても確実に需要をとらえることが可能となります。このような状況の下、当連結会計年度においては、「CloudCREW」の売上拡大およびサービス統廃合等のコスト最適化などにより人件費の抑制ができたことで、「CloudCREW」の販売強化およびサービス拡充に伴う広告費、ソフトウェア費等の増加を吸収し前年同期に比べ増収増益となりました。既存サービスのコスト最適化を継続して行うとともに、Google Cloud事業参入に伴う組織体制の強化および販売促進をより一層図り、マネージドクラウドサービスによる事業拡大を推進してまいります。

 

以上の結果、当連結会計年度におけるクラウドインフラ事業の売上高は、5,875,486千円(前年同期比2.2%増)、セグメント利益は1,206,348千円(同12.8%増)となりました。

 

(DX事業)

DX事業においては、電子認証・印鑑事業とクラウドインフラ事業で培ったノウハウを生かし、DX化による業務効率化・高付加価値化を図ることで、企業の様々な課題解決を支援しております。当連結会計年度においては、「GMOおみせアプリ」および「hakaru.ai byGMO」などのIoT関連サービスの売上が企業のデジタル投資の拡大に伴い堅調に増加したことで増収となりました。また事業の選択と集中により主に人件費等の販売管理費を最適化したことにより営業損益は改善いたしました。

GMOデジタルラボ社が提供する企業・店舗専用の集客支援アプリ「GMOおみせアプリ」においては、昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大などによる急速なDX化への対応が必要とされる状況の下、様々な業種・業態での導入が進んでおります。10月には関西みらい銀行の取引企業向けアプリの開発支援を行いました。また、12月には川崎競馬の運営課題を解決するべく、従来の川崎競馬のポイントシステムを電子化した「川崎競馬アプリ」を開発いたしました。加えて、今後の新たな需要喚起と競合差別化を図るべく機能開発を継続することで、大手事業者から自治体まで活用シーンを拡げ、様々な業界の課題解決を図ることで事業拡大を推進してまいります。

 

以上の結果、当連結会計年度におけるDX事業の売上高は966,085千円(前年同期比4.7%増)セグメント損失は250,163千円(前年同期は368,267千円のセグメント損失)となりました。

 

(2) 財政状態

(資産の部)

当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べ449,525千円増加し11,512,704千円となりました。主な増加要因は、売掛金の増加254,797千円前払費用の増加35,606千円ソフトウエアの増加361,829千円関係会社株式の増加63,182千円によるものであります。主な減少要因は現金及び預金の減少80,253千円関係会社預け金の減少150,000千円工具器具備品(純額)の減少32,831千円リース資産(純額)の減少22,682千円繰延税金資産の減少57,011千円によるものであります。

(負債の部)

当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ585,853千円増加し4,360,149千円となりました。主な増加要因は、短期借入金の増加200,000千円前受金の増加226,706千円繰延税金負債の増加185,585千円未払金の増加35,404千円によるものであります。主な減少要因は、買掛金の減少48,211千円未払消費税等の減少111,196千円短期リース債務の減少12,604千円長期リース債務の減少18,617千円によるものであります。

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ136,327千円減少し、7,152,554千円となりました。主な増加要因は、為替換算調整勘定の増加311,956千円によるものであります。主な減少要因は、利益剰余金の減少159,835千円及び非支配株主持分の減少273,893千円によるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、期首残高に比べ230,253千円減少し、当連結会計年度末には5,020,164千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は1,564,832千円となりました。これは主に売上債権の増加144,217千円仕入債務の減少83,258千円未払消費税等の減少107,185千円法人税等の支払額が208,003千円といった支出要因を、税金等調整前当期純利益879,290千円減価償却費850,274千円及び減損損失382,483千円といった収入要因が上回ったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は1,191,625千円となりました。これは主に投資事業組合からの分配による収入63,083千円投資有価証券の売却による収入40,537千円といった収入要因を、有形固定資産の取得による支出218,703千円無形固定資産の取得による支出1,018,967千円といった支出要因が上回ったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は822,038千円となりました。これは主に短期借入による収入200,000千円を、配当金の支払による支出584,145千円及び連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出329,648千円が上回ったことによるものであります。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当社グループは、電子認証・印鑑事業、クラウドインフラ事業及びDX事業を行っており、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

(2) 受注実績

当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

電子認証・印鑑事業

(千円)

7,503,468

108.7

クラウドインフラ事業

(千円)

5,605,666

101.5

DX事業

(千円)

937,036

103.0

合計

(千円)

14,046,171

105.4

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.セグメント間取引については、相殺消去しております。

3.当社グループは当連結会計年度より、「ソリューション事業」に含めていた電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン」を「セキュリティ事業」に区分いたしました。 また、報告セグメントを従来は「セキュリティ事業」、「クラウド・ホスティング事業」および「ソリューション事業」としておりましたが、それぞれ「電子認証・印鑑事業」、「クラウドインフラ事業」および「DX事業」に名称を変更いたしました。

  なお、前年同期比については、変更後の区分方法により作成したものを記載しております。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

(1) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「売上高」、「売上高経常利益率」、「ROE(自己資本利益率)」を重要な経営指標と位置づけております。

2021年12月 期の計画に対する達成状況においては、売上高は14,046,171千円となり、計画比182,829千円の未達となりました。売上高経常利益率は8.5%となり計画の7.4%を1.1ポイント上回りました。また、ROE(自己資本利益率)は6.8%となり、計画値の10.9%より4.1ポイント下回りました。

この要因は以下の通りであります。

売上高

クラウドインフラ事業において、マネージドクラウドサービスの増収により計画を上回ったものの、電子認証・印鑑事業において、セキュリティ向上を目的としたSSLの有効期限短縮(2年更新から1年更新へ)による単価下落の影響を一時的に受けたことによるものであります。

売上高経常利益率

クラウドインフラ事業において、外注業務の内製化等によるコスト削減効果が見られたものの、電子認証・印鑑事業における電子証明書の高速大量発行システムへの投資継続による減価償却費の増加、「電子印鑑GMOサイン」への積極的な投資による広告宣伝費等の増加によるものであります。

ROE(自己資本利益率)

上記の要因に伴い、経常利益は計画値を上回ったものの、親会社株主に帰属する当期純利益が減損損失の計上、繰延税金資産の減少に伴う法人税等調整額の増加により、計画値を下回った結果によるものであります。

 

経営指標(連結)

2021年12月

(計画)

2021年12月

(実績)

計画比

売上高(千円)

14,229,000千円

14,046,171千円

△182,829千円(△1.2%)

売上高経常利益率(%)

7.4%

8.5%

1.1ポイント

ROE(自己資本利益率)(%)

10.9%

6.8%

△4.1ポイント

 

 

 

(2) 財政状態

財政状態につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (2) 財政状態」に記載しております。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性

      当社グループの運転資金及び設備投資資金は、営業キャッシュフローより調達しております。

キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (3) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

なお、当社グループは、運転資金及び設備投資資金の調達に際しては自己資金を基本としておりますが、安定的な資金確保のために、金融機関と当座貸越契約を締結し、財源及び流動性を確保しております。

 

(4) 重要な会計上の見積もり及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、財政状態及び経営成績に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。当社はこの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、感染再拡大の懸念など、引き続き先行き不透明な状況が予想されますが、現時点では、会計上の見積りに及ぼす重要な影響はないと判断しております。

 

(5) 経営成績

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、電子認証・印鑑事業においてSSLの有効期限短縮による単価下落の影響を一時的に受けたものの、クラウドインフラ事業の「CloudCREW」の売上が順調に推移した結果、14,046,171千円(前年同期比5.4%増)となりました。

(売上原価)

当連結会計年度における売上原価は、5,603,849千円(前年同期比4.2%増)となりました。

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、減価償却費の増加、広告宣伝費等の増加により、7,270,612千円(前年同期比10.2%増)となりました。

(営業外収益)

当連結会計年度における営業外収益は、主として投資事業組合運用益の計上52,590千円及び補助金収入の計上7,573千円により、95,435千円(前年同期比4.9%減)となりました。

(営業外費用)

当連結会計年度における営業外費用は、主として為替差損の計上48,624千円により、67,277千円(前年同期比5.9%増)となりました。

(特別利益)

当連結会計年度における特別利益は、債務勘定整理益の計上57,058千円投資有価証券売却益の計上29,847千円により86,905千円(前年同期は3,734千円)となりました。

(特別損失)

当連結会計年度における特別損失は、減損損失の計上382,483千円及び投資有価証券評価損の計上24,999千円により、407,483千円(前年同期比793.4%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

以上の結果、税金等調整前当期純利益は879,290千円となり、法人税、住民税及び事業税226,101千円法人税等調整額207,966千円非支配株主に帰属する当期純損失38,396千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は483,618千円(前年同期比58.7%減)となりました。

 

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