課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、“コトをITで変えていく。”を使命(Mission)として掲げ、あらゆる人に新たな価値体験を、インターネットサービスを通じて提供しております。現在は多くのイノベーションが生まれ、最先端の技術で世界は急速に進化、効率化しております。当社グループは、インターネットセキュリティサービスやクラウドインフラサービスで培ったノウハウを生かし、電子認証・印鑑事業へ経営資源を集中することで成長を最大限加速させ、売上規模拡大を目指してまいります。さらに中長期的な事業規模拡大を推進するために、IoTなどデバイスIDの認証から資産のデジタル化に伴う資産の認証に至るまで、大切な情報を確かにつなげる世界を実現すべく、より実用的なサービスの投下に向けて投資を継続し、市場開拓を進めてまいります。

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、①売上高、②売上高経常利益率、③ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標としております。

(3) 経営環境

電子認証・印鑑事業については、SSLサーバ証明書が、有効期限短縮影響の解消と新規販売の拡大により、国内、海外ともに好調に伸長しております。また、テレワークの浸透等の働き方の変化およびクラウドサービスの利用拡大等を背景にID管理サービス「トラスト・ログイン byGMO」や個人や組織を認証する「クライアント証明書」等のサービスが大手顧客を中心に販売を伸ばしております。また「電子印鑑GMOサイン」においては、政府による電子化に向けた法整備の進展等もあり旺盛な需要が続くものと考えております。当社においても引き続き同サービスに経営資源を集中しシェア拡大を推進してまいります。

クラウドインフラ事業については、既存サービスが競合他社との厳しい競争環境により売上の減少傾向が継続しているものの商材の統廃合、ラック稼働率の最適化および業務内製化等のコスト削減による利益向上施策を推進しております。一方で、マネージドクラウドサービスはパブリッククラウドサービス市場の堅調な成長が見込まれているなか、リモートワーク導入等の新たなクラウド需要拡大が進展しております。

DX事業については、今後も企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が見込まれており、O2Oサービス、コネクテッドカーサービスおよびIoTソリューションサービス等の事業領域もさらなる拡大が見込まれており、引き続き事業開発を進めてまいります。

以上の結果、2022年12月期の通期連結業績につきましては、売上高15,187百万円(前期比8.1%増)、営業利益1,524百万円(前期比30.1%増)、経常利益1,521百万円(前期比26.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益900百万円(前期比86.1%増)を見込んでおります。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、事業活動面では、2020年1月27日よりリモートワークによる全社的な在宅勤務体制に移行いたしましたが、生産性や効率面における特段の低下は見られておりません。また、業績面では、当社事業の多くが様々な業種業態へ提供しているインフラサービスを中心としていることから有事等による影響を受けにくいことに加え、日本政府による行政のデジタル化推進の流れや、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)進展により当社サービスの需要が拡大しており、当社グループの売上収益に対する影響は現時点では軽微であります。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略

① 目指す姿

当社グループは、「コトをITで変えていく。」というミッションのもと、全社一丸となりシナジーを生み出し、日本初・世界初の「はじめて」を追い求めてまいりました。
  当社グループの事業分野であるインターネットサービス市場は、今日においても日々多くのイノベーションが生まれております。今後も、デジタルIDの浸透や働き方の変化、通信環境の変化、法規制のデジタル化など、取り巻く環境は大きく変化してまいります。
  展開する事業においても、創業時からのWebや認証を主軸とした、企業に紐づくビジネスから、デバイスやドキュメントなど、仕事に使われる「モノ」もしくは「モノの置き換え」へとビジネスが拡大しております。さらに、近い将来には、マインナンバーカードの普及、ブロックチェーン、NFTなどの浸透により「ヒト」に紐づくサービスへとさらに進化していくと考えております。
 私たちは、加速する社会の変化を捉え、対応できるサービスの提供や体制基盤の強化を図ることで、持続的な成長を実現いたします。そして、会社、仕事、暮らしのすべてにおいて、大切な情報を確かにつなげる、なくてはならない企業を目指してまいります。

② 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、2022年12月期から2026年12月期までの5カ年を長期的な企業価値向上のための土台構築期といたしました。当社グループの事業領域である「電子認証・印鑑事業」「クラウドインフラ事業」「DX事業」をそれぞれ「重点成長分野」「持続成長分野」「次期成長分野」と位置付け、提供サービスと体制基盤の強化を図ってまいります。
 本期間においては、まず当社の重点成長分野である電子認証・印鑑事業において、圧倒的No.1のストックサービスへの基盤固めとグローバル拠点の継続的な成長実現を目指すべく、経営資源を集中し成長循環の活性化に取り組んでまいります。
 持続成長分野であるクラウドインフラ事業においては、重要な安定収益源としてマネージドサービスによる売上拡大と既存顧客との関係強化による利益拡大および業務効率化により、収益体質の強化を通じた着実な利益創出を図ってまいります。
 次期成長分野であるDX事業においては、次世代の取り巻く環境へ対応するための技術研究と開発活動および未知なる領域に向けての様々な取り組みにより、新たな事業領域への展開を目指してまいります。
 また、持続的な成長を生み出すのは組織を支える人財であるという考えに基づき、自律型人財が育つ風土を醸成すべく、働き方改革推進やシステム刷新によるコミュニケーション強化を行い、制度と環境の整備を実行してまいります。
 さらに、今後、長期的な企業価値向上を図るためには、環境や社会問題への対応をはじめとした持続可能な社会の実現に対する取り組みが不可欠です。当社グループは、働く環境の強化やセキュリティリスクへの対応強化に加え、クラウドインフラやSSLなどのセキュリティ、そして、DX化を支援する様々な提供サービスを通じて、さらなる社会課題の解決に貢献してまいります。
 これらの戦略を通じ、結果として、経常利益率およびROEの向上とグローバル比率を増大させることで、売上規模の拡大を図ってまいります。
 

(5) 会社の対処すべき課題

当社グループが属するインターネット業界での国内外の競争が激化する中にあって、安定した収益を確保し続けるために、次のような課題に重点をおいて企業価値の増大を図る所存であります。

① サービスの拡充

当社グループは、私たちの目指す姿(Vision)として“One & 1st” を掲げ、GMOグローバルサイン株式会社の「電子認証・印鑑事業」、当社が行う「クラウドインフラ事業」、そしてGMOデジタルラボ株式会社の「DX事業」の3つの領域のシナジーを活かし、グループ横断的にプロジェクトを推進しております。そのなかで全社が1つ(One)となり、新たな事業のアイデアを創出し、日本初、世界初(1st)を追い求めてまいります。
 また、事業を創るのは人であるという考えのもと、当社グループの価値観(Value)を“ワクワク” という言葉で表現しました。人が主役となり、ワクワクしながら事業をする環境を醸成することで、組織を活性化させ、新しいサービス、新しい価値観を提供してまいります。

② 新規事業、技術開発に対する投資

当社グループが属するインターネット業界は、未だ成長著しく、IoTやAI技術等の分野においても技術革新が急速に進んでおります。当社グループは電子認証・印鑑サービス、クラウドインフラサービスを核に事業を展開しておりますが、これらの既存事業で培ったノウハウを生かし、IoTやAI技術等の新規事業の研究・開発のための投資を積極的に行い、企業価値の拡大に努めてまいります。
 当社グループでは、自社内での新規事業の研究・開発を行っておりますが、それに加え、新規事業開発のスピードおよび効率性を重視するため、付加価値の高い企業との提携やM&Aを通して、企業価値の増大につとめてまいります。

③ 人材の育成及び確保

電子認証・印鑑事業、クラウドインフラ事業及びDX事業は、技術革新とマーケットの拡大が同時進行しており、優秀な人材の確保と人材の継続的な育成が、重要な課題であると考えております。当社グループでは、引き続き優秀な人材の確保に努めるとともに、生産性向上や組織活性化のための環境づくり、人材育成のための教育支援制度の拡充に、なお一層取り組んでまいります。

④ 管理体制の充実

当社グループは、既存事業の急激な成長及び新規事業への積極的な投資を行う一方で、リスク管理体制・法令遵守体制を充実させ、会社の成長と経営管理のバランスの取れた組織運営体制の一層の確立が、重要な課題と考えております。

 

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