事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、記載事項のうち将来に関する事項は、本報告書提出日(2022年6月27日)現在において当社が判断したものであります。

(1) 外部環境・市場の動向について

① 競合他社の動向について

 当社グループが提供するサービスは、許認可や届出等が必要な事業ではなく、規制等が少ない等の理由から、参入障壁が高いとは言えない事業であります。当社グループにおきましては、大量のデータを正確かつ低コストで処理するために、独自の業務フロー、コンピュータシステムを構築しノウハウを蓄積してきており、また顧客ニーズに合わせた柔軟なフォーマット対応力も持ち合わせ、現段階においては他社に対して優位性を有していると考えておりますが、新規参入や価格競争の激化により、将来の事業展開やサービス面における競争力に影響を与える可能性があります。

② 税制、社会保険制度(健康保険、厚生年金保険、介護保険)の制度変更について

 将来的に税制・社会保険制度等の大幅な変更により事業領域縮小や追加コストの発生があった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

③ 総需要の低下について

 現在、総労働人口は概ね横ばいに推移しているため、給与受給者も概ね横ばいに推移しております。しかし、少子化の進行等により将来的に総労働人口が減少する可能性があります。その結果、給与受給者が減少し、当社グループが行う給与計算等のアウトソーシング業務の受託量が減少する可能性があります。その場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 中国での事業環境について

 当社は2013年に、日本でのアウトソーシングサービスの事務作業量拡大への対応及び中国のマーケット開拓を目的として中国山東省青島市に子会社を設立いたしました。現在、この子会社は当社グループのオフショアとしての機能を果たしております。今後、人民元の切り上げ、人件費上昇によるコスト上昇や中国の法律の改正等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 事業内容について

① 事業内容と特定売上品目への依存について

 当社グループの第25期(2021年4月1日から2022年3月31日まで)の売上高におきまして、ペイロール事業の売上高が100%であります。現状のように特定の事業への依存度が高い場合には、事業を多角化することでより安定した経営を行っていく方針をとることも考えられます。今後は、第二の柱となるべき事業を育成していくべく2022年4月に株式会社ビズライト・テクノロジー(現・連結子会社)の株式取得を実施いたしましたが、事業の多角化及び収益の安定化が計画通りに進捗しない場合におきましては依然としてペイロール事業への依存が継続することになります。その場合に、同事業の成長が鈍化した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② コンピュータシステムについて

 当社グループの業務はコンピュータシステム・IT機器の使用を前提として成立しております。使用するコンピュータシステムは、外部のデータセンターの利用及び定期的なバックアップによりシステムダウンに対する対策を講じておりますが、コンピュータウイルスやハッキングなどによりコンピュータシステムにおける重大なトラブルが生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 個人情報漏洩について

 当社グループが行っているペイロール事業においては、顧客企業からの給与支給に関する情報をはじめ、多数の個人情報を扱っております。また、顧客企業や提携先企業において機密保持を希望する情報なども個人情報に含まれるものと考えております。

 当社グループでは、個人情報の管理について、各部門において厳格な管理に基づき個人情報の保護やその取り扱いについて充分に留意しております。また、当社は、2006年1月に財団法人日本情報処理開発協会(現 一般財団法人日本情報経済社会推進協会)が認定する「プライバシーマーク」を取得しており、2021年9月には「ISO/IEC 27001(MSA-IS-502)(※認証組織:オペレーション部、セットアップ部、品質管理部、営業部、管理部)」の認証を受けております。しかし、個人情報漏洩のリスクは無くなるものではありません。もし、顧客企業の従業員の個人情報が漏洩した場合、当該顧客企業又はその従業員への補償費用が発生することや、信用力の低下により既存及び将来の顧客企業との取引が減少することが想定され、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

④ 災害によるリスクについて

 大規模な災害等により、郵便、宅配便等の通常の輸送手段が停止し、顧客企業への納品が出来なくなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの業務はコンピュータシステム、プリンタ等のOA機器に依存する事を前提として成り立っており、天災による停電が発生した場合には業務に重大な支障が発生することにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

⑤ 業務品質の低下による顧客企業からの信用低下リスク

 当社グループは、これまで質の高いアウトソーシングサービスの提供により顧客企業から高い信頼を得てまいりました。しかし、不正確な事務処理や事故、不正等による業務品質の低下という問題が発生した場合には、顧客企業からの信用が低下し、新規顧客の獲得及び既存顧客の維持に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

⑥ 従業員の出社不能リスク

 災害や新型コロナウイルス感染症を含めた疫病などにより多くの従業員が出社不能となった場合、業務遂行能力が低下し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3) 将来的な人材の確保について

 当社グループが事業拡大に伴う業務量の増加に対応し、かつ現在提供しているサービスの精度を維持し続けるためには、優秀な人材を確保すること及び継続的な社員教育により業務の精度を維持し続けることが経営上の重要な課題と考えております。今後の事業拡大に伴い、積極的に優秀な人材を採用し、社員教育を継続的に徹底していく方針ですが、当社グループの求める人材が充分に確保できなかった場合や社員教育を充分に行うことが出来なかった場合には、現在提供しているサービスの品質低下を招くことが想定され、業務の拡大に影響を与える可能性があります。

(4) 業績の季節変動について

 当社グループの事業であるペイロール事業は、顧客企業の月々の給与計算に付随して住民税改定、年末調整及び賞与計算等の業務を行います。そのなかでも10月から1月に行う年末調整業務の影響により、当社グループは下半期に売上高が偏重する傾向にあります。
 この傾向は、急激に変化することはないと想定されますが、現行税制の改正及び年俸制が普及し、賞与支給慣習が変更になるなど顧客企業の給与支給環境が変わる場合は、当社の業績推移傾向に変化を与える可能性があります。
 なお、最近2事業年度における当社グループの各四半期における売上高及びその通期の売上高に対する割合並びに営業利益は、次のとおりであります。

 

第24期(2021年3月期)

第25期(2022年3月期)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

売上高(千円)

(通期割合)(%)

251,974

(16.0)

218,017

(13.8)

780,817

(49.5)

325,957

(20.7)

255,061

(14.5)

222,984

(12.7)

915,273

(52.1)

362,559

(20.6)

営業利益(千円)

2,115

△47,046

163,184

33,650

△35,682

△89,045

271,565

38,306

 

(5)親会社からの独立性について

 キャリアバンク株式会社は、当報告書提出日現在、当社の議決権の43.22%(緊密な者又は同意している者の議決権7.04%を含めると50.26%)を所有している親会社でありますが、当社との役員兼任者は存在しておらず、経営の独立性を確保しております。

 当社には親会社への事前承認事項はなく、当社が独自に経営の意思決定を行っておりますが、大株主として当社の取締役の指名権等経営に関する権利を有しております。したがって、議決権の行使にあたり、親会社の利益が当社の他の株主の利益と一致しない可能性があります。

 また、当該親会社との取引は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 関連当事者情報」に記載されたとおりであります。

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