業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の停滞・縮小に伴う更なる景気の下振れリスクにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。

その中で当社グループは、創業以来パソコンのビジネスソフトを自社開発してパッケージソフトで提供しておりますが、この数年来利益率の高いソリューションビジネスを展開すべく、パッケージソフトの品質の高度化と機能強化を図ってまいりました。このパッケージソフトを核として、ニーズの多様化に対応したカスタマイズ製品の提供と、リーズナブルな価格で多くのユーザに提供できるクラウドサービスの拡大に注力してまいりました。また、近年は公共2分野(公教育・公会計)のソリューション事業に取り組み、地方自治体のIT化と財政の健全化、住民サービスの高度化、教職員の業務負荷の削減を進め好評を得ております。

当連結会計年度におきましては、長引く新型コロナウイルス感染拡大による影響が大きく、売上高は前期実績に僅かに届きませんでしたが、パッケージソフトの高品質化、ストックビジネスの推進、販管費、外注費等のコストの見直しや改善を進めた結果、四期連続して前期実績を上回る過去最高の営業利益を計上することができました。

その結果、当連結会計年度の業績は、売上高3,842,080千円(前年同期は3,854,536千円)、営業利益808,189千円(前年同期は727,322千円)、経常利益809,336千円(前年同期は729,728千円)、親会社株主に帰属する当期純利益573,602千円(前年同期は510,686千円)となりました。

なお当社グループは、「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号 2020年3月31日公表分以下収益認識会計基準という)及び収益認識に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日公表分)を当連結会計年度の期首から適用しておりますそのため売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属する当期純利益についての前年同期比(%)を記載しておりませんなお収益認識会計基準等の適用の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)をご参照ください。

参考までに収益認識会計基準等を遡及適用したと仮定して算出した前年同期数値と比較した場合売上高は0.4%増営業利益は15.8%増経常利益は15.6%増親会社株主に帰属する当期純利益は17.0%増となります

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。文中の各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおりません。

 

(ソフトウェア事業)

当事業におきましては、業種特化・業務特化のパッケージソフトを自社開発して提供しております。

学園ソリューション事業におきましては、業界トップシェアの『キャンパスプラン.NET Framework』及び『キャンパスプラン for Azure』が引き続き好評で、安定した売上、営業利益を計上することができたものの、個別案件のプロジェクトの延期や進捗鈍化の影響を受けて、前期を下回る業績となりました。なお、機能性・利便性・操作性を大きく向上させた新製品『学園総合情報システム CampusPlan Smart』につきましては、ラインナップを拡充すべく開発作業を進めることができ、次世代を担うパッケージシステムとして積極的な営業活動を行っております。

スポーツ・健康関連施設向け会員・会費管理システム『Hello EX』、文化観光施設向け運営支援システム『Hello Fun』を主に展開しているウェルネスソリューション事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の市場に対する影響が長期化しており、フィットネスクラブ等の新規オープン延期や事業縮小が続くとともに、外出自粛に伴ってテーマパークや遊園地も影響を受け、事業環境が厳しさを増した1年となりました。そのため、新規店舗・施設を対象とした売上が停滞するとともに、既存店舗を対象としたシステム利用料収入も一定の影響を受けました。そのような状況下ではありましたが、施設の利用効率を向上させる『新型コロナ三密対策』ソリューションを数多く販売できたとともに、従来の『Hello』シリーズをベースとして大幅にリニューアルした新製品であるクラウド型会員管理・会費回収システム『Smart Hello』を、コロナ禍においても新規出店が続く小規模施設へ納入することができ、翌連結会計年度以降につながる販促を展開することができました。

民間企業や学校法人をはじめ幅広い市場に向けて、コンプライアンス、ガバナンス支援ソフトとして『規程管理システム』及び『契約書作成・管理システム』を提供しているソフトエンジニアリング事業におきましては、高機能かつコストパフォーマンスに優れたこれらのソフトが市場で高い評価を受けて毎期業績を伸ばしております。当連結会計年度におきましても、コロナ禍でテレワーク等の働き方改革が進行する中、民間企業をはじめ、学校法人、金融機関、医療法人等の幅広い市場へ当ソリューションの導入が進み、前連結会計年度を上回る売上、営業利益を計上することができました。また、訪問営業が制限・自粛される中、WEBを活用した販促活動が定着しつつあり、効率的な事業活動を進めることができました。

公共2分野のうち、公立小中高校向け校務支援システム『School Engine』を提供している公教育ソリューション事業におきましては、当社がトップシェアを占める都道府県向け公立高校、複数の大規模自治体を含んだ多くの公立小・中学校にサービス提供を行っており、当連結会計年度も売上、営業利益を伸ばすことができました。当連結会計年度には北海道、愛知県、新潟県等の大規模案件を受注することができ、2022年度の稼働に向けて準備を進めております。また、4月からサービスを開始した児童生徒に関する活動情報を保護者へ提供する『Home Services』も順調に稼働させることができました。さらに、都道府県単位で全小中高校を一貫する統合型校務支援システムをクラウドサービスで唯一提供し得るパッケージソフトとして、『School Engine』が引き続き自治体から高い評価を受けている等、事業が順調に拡大しております。

同じく公共団体向けの公会計ソリューション事業におきましては、公会計のデファクトスタンダードとなったパッケージソフト『PPP(トリプル・ピー) Ver.5 新統一基準対応版』が、府・県・政令市・特別区などの大規模自治体をはじめ、公営企業などを含めて多くの市町村自治体・公共団体に導入いただいた結果、圧倒的なシェアを占めております。加えて、当連結会計年度におきましては、撤退を発表した国策の競合製品からのリプレイスも順調に進み、売上を大きく伸ばしました。また、3月にリリースした地方公共団体の財務会計業務を支援する『Common財務会計システム』についても、引き続き積極的な営業展開を図っております。

保険薬局向け事業を営んでいる株式会社シンクにおきましては、引き続き保守サポート収入を安定的に確保しました。

当社製品によるソリューションビジネスを北海道全域にて展開するべく2018年に設立したシステムディ北海道株式会社におきましては、既存大規模ユーザへの対応を行うことでシステムの安定稼働に寄与するとともに、道内での積極的な営業活動を進めました。なお、同社につきましては設立目的を概ね達成したことにより子会社としてはその役目を終えることとし、2022年2月1日をもって当社と合併の上、「札幌支社」として再出発することにいたしました。

これらの結果、当事業の売上高は3,818,006千円(前連結会計年度は3,830,989千円)となり、営業利益は1,101,137千円(前連結会計年度は988,984千円)となりました。

 

(その他事業)

 当事業におきましては、各種広報宣伝の企画・制作、テナント賃貸等の業務を行っており、当事業の売上高は24,074千円(前連結会計年度は23,546千円)、営業利益は16,102千円(前連結会計年度は15,928千円)となりました。

 

また、当連結会計年度における財政状態の概況は次のとおりであります。

 当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末の残高4,576,183千円より120,208千円増加して4,696,391千円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末残高1,910,613千円より13,051千円増加して1,923,664千円となりました。主な要因は、代金回収等により現金及び預金が47,851千円増加、たな卸資産が21,126千円増加し、売掛金及び契約資産が52,368千円減少したことによるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末残高2,665,569千円より107,156千円増加して2,772,726千円となりました。主な要因は、パッケージソフトウエアのバージョンアップによりソフトウエア仮勘定が202,484千円増加、税効果会計により繰延税金資産が33,444千円増加した一方で、ソフトウエアが償却により137,579千円減少、のれんが償却により20,538千円減少したことによるものであります。

 負債は、前連結会計年度末残高1,593,230千円より4,135千円増加して1,597,365千円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末残高1,235,643千円より7,232千円増加して1,242,875千円となりました。主な要因は、長期のストック案件の増加により前受収益が217,274千円増加した一方で、支払により買掛金が102,924千円減少、未払法人税等が23,427千円減少、返済により1年内返済予定の長期借入金が76,476千円減少したことによるものであります。

 固定負債は、前連結会計年度末残高357,586千円より3,096千円減少して354,490千円となりました。主な要因は、退職給付に係る負債が24,647千円増加した一方で、長期借入金が31,894千円減少したことによるものであります。

 純資産は、前連結会計年度末残高2,982,952千円より116,072千円増加して3,099,025千円となりました。主な要因は、利益剰余金が261,655千円増加した一方で、自己株式が143,190千円増加したことによるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末1,087,285千円に比べ47,851千円増加し、1,135,136千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 法人税等の支払額182,576千円、売上債権の増加額48,455千円、たな卸資産の増加額21,126千円、仕入債務の減少額72,689千円等により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益797,717千円、ソフトウエア償却費358,070千円、減価償却費21,025千円、のれん償却額20,538千円等による資金の増加により、868,041千円の増加となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 ソフトウエアの取得による支出453,210千円等により、資金が478,044千円減少しました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 長期借入金の返済による支出108,370千円、自己株式取得による支出143,190千円、配当金の支払額90,585千円による資金の減少により、342,145千円の減少となりました。

 

生産、受注及び販売の実績

1.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

生産高(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェア事業

855,351

93.3

 報告セグメント計

855,351

93.3

その他事業

43

270.3

合計

855,395

93.3

(注)1.金額は製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

2.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

商品仕入高(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェア事業

497,075

88.1

 報告セグメント計

497,075

88.1

その他事業

合計

497,075

88.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェア事業

4,239,616

102.3

2,626,657

119.1

 報告セグメント計

4,239,616

102.3

2,626,657

119.1

その他事業

24,074

98.5

19,923

100.0

合計

4,263,690

102.3

2,646,580

118.9

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

4.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェア事業

3,818,006

99.7

 報告セグメント計

3,818,006

99.7

その他事業

24,074

102.2

合計

3,842,080

99.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.主な販売先の販売実績で、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。これら連結財務諸表の作成にあたって当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。なお、連結財務諸表等には将来に対する見積り等が含まれておりますが、これらは当連結会計年度末現在における判断によるものであります。このような将来に対する見積り等は過去の実績や趨勢に基づき可能な限り合理的に判断したものでありますが、判断時には予期し得なかった事象等により、結果とは異なる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。

 

③ キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当該事業リスクが発生した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループにおける資金需要の主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金及び設備投資資金(ソフトウェア含む)であり、自己資金及び銀行からの借入により賄っております。

 また、有価証券報告書提出日現在において支出が予定されている重要な資本的支出はありません。

 

⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

⑦ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 3.目標とする経営指標」に記載しておりますとおり、継続的な成長と経営基盤の安定、売上高経常利益率20%を目指しております。

なお、当連結会計年度における売上高経常利益率は21.1%であります。

 

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