(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が継続し、ワクチン接種効果の浸透等から沈静化の期待が高まっておりましたが収束の目途はたっておらず、加えて2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻により、資源高を起点とするインフレや円安の加速など景気失速の懸念が急速に拡大しつつあり、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループが属するオンラインゲーム市場においては、スマートフォンやタブレット等、情報端末の普及が減速したことに伴うユーザー数の鈍化に懸念はあるものの、海外向けサービスの堅調な成長が見受けられ、グローバルにユーザーの獲得競争が続いております。
このような事業環境のもと、当社グループでは引き続き既存サービスの拡大及び収益性の向上に注力すると共に、培ってきた開発技術を応用した新規サービスの開発を進めてまいりました。
現在、主力事業である「オンラインクレーンゲーム・トレバ」(以下、「トレバ」)におきましては、継続率向上を主軸として、国内外向けの定期的なキャンペーンを積極的に実施しつつ、サービスの付加価値を高めて新たな顧客層の開拓を進め、システム面では継続して操作性の向上を目的としたアップデートに努めてまいりました。
売上高におきましては、継続的な販促活動と共に事業構造の見直しによる拠点運営の効率化を図る取り組みや景品を厳選することにより集客率の向上に努めるなど売上高の増加を見込んでおりましたが、想定よりも売上高の向上へ寄与するまでには至りませんでした。
コスト面においては、主に「トレバ」及び新規事業における国内外向けプロモーション費用や事業基盤の強化に伴う運営費用及び人件費が引き続き増加いたしました。
この結果、当連結会計年度における売上高は7,416百万円となり、前連結会計年度に比べ、39.2%の減収となりました。
利益面につきましては、営業損失1,353百万円(前連結会計年度は営業損失812百万円)、経常損失1,488百万円(前連結会計年度は経常損失923百万円)、税金等調整前当期純損失2,046百万円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失1,144百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失2,097百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失1,156百万円)となりました。
なお、当社グループは、オンラインゲーム事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメントごとの記載はしておりません。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,813百万円減少し、2,831百万円となりました。これは主に、現金及び預金642百万円、売掛金466百万円、建物(純額)209百万円、工具、器具及び備品(純額)186百万円の減少が生じたことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ217百万円減少し、806百万円となりました。これは主に、短期借入金200百万円の増加があった一方で、未払金317百万円の減少が生じたことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,596百万円減少し、2,025百万円となりました。これは主に、利益剰余金2,097百万円の減少が生じたことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ642百万円減少し、1,673百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により、資金は1,235百万円減少(前連結会計年度は115百万円の減少)しました。これは主に、売上債権の減少額456百万円などによる増加があった一方で、税金等調整前当期純損失2,046百万円による減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により、資金は56百万円減少(前連結会計年度は436百万円の減少)しました。これは主に、敷金及び保証金の回収による収入36百万円による増加があった一方で、敷金及び保証金の差入れによる支出55百万円及び貸付けによる支出40百万円による減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により、資金は688百万円増加(前連結会計年度は85百万円の減少)しました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入483百万円及び短期借入金の増加額200百万円による増加があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
なお、当社グループは、オンラインゲーム事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメントごとの記載はしておりません。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年6月1日 至 2022年5月31日) |
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
全社共通 |
7,416,755 |
60.8 |
合計 |
7,416,755 |
60.8 |
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年6月1日 至 2021年5月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年6月1日 至 2022年5月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
Apple Inc. |
4,088,012 |
33.5 |
1,993,601 |
26.9 |
PayPal Pte. Ltd. |
3,714,115 |
30.5 |
2,372,412 |
32.0 |
Google Inc. |
2,858,030 |
23.4 |
1,479,162 |
19.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
当連結会計年度末の繰延税金資産の回収可能性に関する会計上の見積りに用いた仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定における新型コロナウイルス感染症(以下、本感染症)の影響に関して、当社グループでは、厳重な対策を実施した上で事業活動を継続しております。
しかし、本感染症は経済、企業活動に広範な影響を与える事象であり、今後の広がり方や収束時期等を予想することは困難なことから、今後翌連結会計年度の一定期間にわたり当該影響が継続するとの仮定のもと、会計上の見積りを行っております。その結果、当連結会計年度末における会計上の見積りに与える影響は軽微であると判断しております。
②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におけるオンラインゲーム市場は、ユーザー数や提供タイトルの増加傾向により事業環境の拡大に繋がる変化を遂げております。昨今では当社グループ事業の一つである「オンラインクレーンゲーム・トレバ」が属するオンラインクレーンゲームアプリへの新規参入が相次いでおり、市場拡大が進む環境において当社は独自の技術力をもって構成された通信遅延の影響を緩和した快適な操作性、物流ノウハウ、筐体数、登録ユーザー数及び取り扱うことのできる景品数等により安定した収益性を保っておりますが、市場拡大と市場環境の変化が進む現状において、より事業戦略の重要性が高まっております。このような状況に鑑みて、「オンラインクレーンゲーム・トレバ」においては、通信遅延の更なる緩和等による質の高いサービス提供が可能となる環境の構築や、増床及び増台、国内向けに集客力のあるプロモーション活動の実行、海外向けのプロモーションも強化を行うことで、国内外ユーザー数及び同時接続可能ユーザー数の増加を見込むことができ、これらは収益貢献へ繋がる要素になると判断しており、引き続き市場の動向を分析しつつ取り組んでいく必要性を認識しております。また、新規ゲームタイトルにおいても引き続き国内市場のみならず海外市場への積極的な展開を推進していく方針であり、当社グループの強みである、自社の海外専門部署を中心としたマーケティング活動や、ゲーム運営会社を介さずに自社でサービスを提供するサーバー群を用意することが可能であること、自社開発サービスを海外の運営会社に運営権を与え、契約金及びロイヤリティーを徴収することにより収益を上げるビジネスモデル等を活かし、将来においてよりグローバルな収益基盤の構築を推進してまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大により、事業拡大を図っている「オンラインクレーンゲーム・トレバ」においては、遠隔でクレーンゲームを操作し、獲得した景品を自宅まで配送するというサービス体系により、経済活動の停滞による配送費用の増加が懸念されます。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは当社グループの事業領域であるオンラインゲームのゲームタイトルに関わる開発人員や運営人員及び管理部門人員の人件費、国内外でのインターネット広告等のプロモーションによる広告宣伝費、また、「オンラインクレーンゲーム・トレバ」における筐体制作費、景品及び商品仕入費用となります。
当社グループでは、運転資金は主として営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、将来の事業拡大のために必要な内部留保を確保しつつ、状況に応じて社債の発行及び金融機関からの借入により資金調達をしていくこととしております。
なお当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,673百万円となり、当社グループの事業を推進していく上で十分な流動性を確保しているものと考えております。
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