業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、当初新型コロナウイルス感染者数の減少とともに、行動制限措置も全面解除となり、緩やかな景気回復が期待されましたが、オミクロン株による感染再拡大、半導体不足、急激な円安による物価上昇懸念の拡大等など、依然として先行き不透明な厳しい経営環境が続いております。

 このような状況下、当社は、創業時より一貫し、外食企業を中心とした顧客に対し、利益追求のための食材ロス削減を実現する「飲食店経営管理システム(R)」、人件費の最適化や生産性を高めるための勤怠集計管理システム「Timely」を主力に「食材費」・「人件費」の二大原価の透明化を掲げたシステムをASP/パッケージシステムで提供するとともに、業界に特化したPOSシステム、オーダーリングシステム、周辺サービス等を通してトータルソリューションシステムを提供しております。

 その結果、売上高は1,336,715千円(前事業年度比15.0%減)と減収となりました。利益面に関しましては、営業損失515,207千円(前事業年度は営業損失178,389千円)、経常損失553,198千円(前事業年度は経常損失264,643千円)、当期純損失598,881千円(前事業年度は当期純損失272,820千円)となりました。純資産につきましては、前事業年度末に比べ449,007千円減少し420,597千円の債務超過となりました。これは、第三者割当増資の実施及び新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ75,617千円増加した一方、当期純損失598,881千円の計上に伴う利益剰余金598,881千円の減少したことによります。この結果、自己資本比率は△29.6%(前事業年度末は1.4%)となりました。

 

 セグメント別の業績は、以下のとおりであります。

 

セグメントの名称

 

 前事業年度

    (自 2020年10月1日

     至 2021年9月30日)

 当事業年度

    (自 2021年10月1日

     至 2022年9月30日)

  金額(千円)

 前年同期比(%)

  金額(千円)

 前年同期比(%)

 

ASPサービス事業

1,528,046

123.4

1,283,739

84.0

 

ASP/パッケージシステム事業

763,327

89.7

745,925

97.7

 

システム機器事業

658,308

202.4

494,578

75.1

 

周辺サービス事業

106,410

172.0

43,235

40.6

 

ホテル関連事業

44,958

85.2

52,975

117.7

    合   計

1,573,005

121.8

1,336,715

85.0

 

(ASPサービス事業)

 当社は、顧客である飲食店舗に対し、ASPサービス事業を核としてASP/パッケージシステム事業、システム機器事業、周辺サービス事業を一体として提供しております。当事業におきましては、コロナ禍の影響による半導体不足で、周辺機器や自動発注システムなど当社全製品と連携するPOSシステム機器「FOODα4000」の度重なる当社への納品遅延により、顧客への納品が遅れたこと、在庫評価減、ソフトウェアの特別損失(減損)を計上したことや円安による仕入原価の高騰もあり、売上高は1,283,739千円(前事業年度比16.0%減)となり、セグメント損失は458,364千円(前事業年度はセグメント損失153,092千円)となりました。

①ASP/パッケージシステム事業

 当事業におきましては、前期に引き続きコロナ禍による既存顧客の月額サービスの値引きが当期も発生したことにより、売上高は745,925千円(前事業年度比2.3%減)となりました。

 なお、月額サービス料は12ヶ月累計で724,496千円(前事業年度比1.4%減)となりました。

②システム機器事業

 当事業におきましては、半導体不足の影響から、POSシステム、オーダーエントリーシステム及びテーブルオーダリングシステムやサービスショット(配膳ロボット、除菌ロボット)機器の当社への納品が滞り、顧客への納品が予定通りできなかったことにより、売上高は494,578千円(前事業年度比24.9%減)となりました。

③周辺サービス事業

 当事業におきましては、コロナ禍の影響で顧客が周辺サービスの増設に消極的であること、半導体不足の影響でシステム機器全般の納品ができなかったことや飲食店の時短営業の影響を受けて、その周辺サプライ商品等も減少し、売上高は43,235千円(前事業年度比59.4%減)となりました。

 

(ホテル関連事業)

 当社は、ASP/パッケージシステム事業、システム機器事業、周辺サービス事業のトータルシステムを実施運用するためにナチュラルグリーンパークホテルの管理運営及びレストラン・カフェの運営を行っております。ナチュラルグリーンパークホテルにおいて、自社製品/サービスの実証実験店を兼ね、管理運営しており、自社製品のすべてを同ホテル内に導入稼働し、運営を実践しており、ASPサービス事業の受注に貢献しております。当事業におきましては、コロナ禍の影響をうけて、宿泊客が伸び悩んだものの、売上高は52,975千円(前事業年度比17.7%増)となり、セグメント損失は56,842千円(前事業年度はセグメント損失25,296千円)となりました。

 

② 財政状態の状況

当事業年度末における資産合計は1,426,946千円となり、前事業年度末に比べ371,917千円減少いたしました。

当事業年度末における負債合計は1,847,543千円となり、前事業年度末に比べ77,089千円増加いたしました。

当事業年度末における純資産合計は△420,597千円となり、前事業年度末に比べ449,007千円減少いたしました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローにより使用した資金や、財務活動によるキャッシュ・フローによって得られた資金により、前事業年度末に比べ4,463千円減少し、当事業年度末には93,549千円となりました。

 また、当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動の結果獲取した資金は、△54,107千円(前事業年度は獲得した資金66,913千円)となりました。これは主に、税引前当期純損失590,597千円の計上などの資金の減少によるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、△110,977千円(前事業年度は使用した資金193,419千円)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出△94,896千円及び有形固定資産の取得による支出25,500千円による資金の減少であります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は、160,621千円(前事業年度は使用した資金61,638千円)となりました。これは短期借入れによる収入318,494千円、長期借入れによる収入400,000千円、株式の発行による収入130,374千円などによる資金の増加の一方で、短期借入金の返済による支出367,645千円及び長期借入金の返済による支出260,438千円などによる資金の減少によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

ASPサービス事業

1,283,739

84.0

 

ASP/パッケージシステム事業

745,925

97.7

システム機器事業

494,578

75.1

周辺サービス事業

43,235

40.6

ホテル関連事業

52,975

117.7

合計

1,336,715

85.0

(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりで

   あります。

相手先

前事業年度

(自 2020年10月1日

至 2021年9月30日)

当事業年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社タカハシ

195,259

12.4

(注)当事業年度の株式会社タカハシにつきましては、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略し

   ております。

b. 売上原価実績

 当事業年度の売上原価実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

ASPサービス事業

1,162,650

117.3

 

ASP/パッケージシステム事業

432,425

122.0

システム機器事業

687,599

117.6

周辺サービス事業

42,625

82.0

ホテル関連事業

15,632

252.0

合計

1,178,282

118.2

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年12月26日)現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の分析

(売上高)

 売上高に関しては、全ての周辺機器の制御機器にあたるPOSシステム機器「FOODα4000」の半導体不足による度重なる当社への納品遅延により、POSシステム機器「FOODα4000」及び連携するテイクアウト自動精算機「テイクショット」などの周辺機器も顧客への納品が当事業年度において実施できなかったことや、コロナ禍においても受注が好調な、配膳・除菌AIロボットの発注及び納品についても同様に、上海のロックダウンによる、ハードウェア仕様変更と輸送の大幅な遅れ、半導体不足などの影響もあり、当該ロボット製品販売の在庫確保が進まず、売上計上が大幅に遅れたことにより、1,336,715千円(前事業年度比15.0%減)と、前事業年度に比べ減収となりました。

 

(売上総利益・営業利益)

 売上減少とコロナ禍による月額収入の値引きや円安による仕入原価の高騰、在庫評価減の計上などの影響があり、売上総利益158,432千円(前事業年度比72.5%減)、営業損失515,207千円(前事業年度は営業損失178,389千円)となりました。

 

(当期純利益)

 当期純利益に関しては、前述の影響や減損損失38,000千円の計上などにより、当期純損失598,881千円(前事業年度は272,820千円の当期純損失)となりました。

 

b. 財政状態の分析

 当事業年度における資産につきましては、流動資産が前事業年度末と比較して210,941千円減少し、473,531千円となりました。これは主に、商品112,373千円、前渡金59,910千円の減少などによるものです。固定資産は前事業年度末と比較して159,783千円減少し、950,098千円となりました。これは主に、ソフトウエア仮勘定20,270千円の増加などの一方で、ソフトウエア124,028千円の減少などによるものであります。

 負債につきましては、流動負債が前事業年度末と比較して6,211千円減少し、876,594千円となりました。これは主に、未払消費税等7,976千円の増加などの一方で、短期借入金49,151千円の減少などによるものです。固定負債は、前事業年度末と比較して83,300千円増加し、970,949千円となりました。これは主に長期借入金125,634千円の 増加、社債41,000千円の減少などによるものであります。

 純資産につきましては、前事業年度末と比較して449,007千円減少し、△420,597千円となりました。これは、新株式の発行に伴う資本金75,617千円、資本準備金75,617千円の増加の一方で、当期純損失598,881千円の計上に伴う利益剰余金598,881千円の減少などによるものであります。

 

c. 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

d. 資本の財源及び資金の流動性

 当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 なお、現時点において、特記すべき重要な資本的支出の予定はありません。

 

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2020年9月期

2021年9月期

2022年9月

 自己資本比率(%)

2.0

1.4

△29.6

 時価ベースの自己資本比率(%)

84.4

105.0

74.30

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

△288.7

2,352.2

△2,960.6

 インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

△54.3

3.8

△3.3

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い金

株式時価総額は期末株価終値×自己株式を除く期末発行済株式数により算出しております。

キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。

有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。

 

e.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するため客観的な指標等

 当社は、資本効率の観点から自己資本利益率(ROE)向上による企業価値の増大を意識した経営を心がけており、収益力の強化と、企業価値の向上を目指しております。ROEの目標数値は20%以上でありましたが、当事業年度も、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより当期純損失を計上し、ROEはマイナスとなりました。外部環境の影響等により当事業年度も目標数値には届かなかったものの、中長期的には引き続き、粗利の高いソフトウエア販売に比重を置いた戦略推し進めてまいります。

 当事業年度の配当に関しましては、当期純損失の計上等により、1株当たり配当額を無配といたしました。また、配当性向について、将来の事業展開や経営環境の変化などを勘案のうえ、30%を基本方針とした方針に変更はなく、かつ安定配当の継続に努めてまいります。

 

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