課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

1.経営方針について

 当社は「食文化の発展に情報システムで貢献する」ことを社是に、以下の経営理念及び行動指針のもと、事業を推進しております。

(1) 経営理念

一、企業はなによりも人であり、自主性と起業家精神を重んじ、ひとりひとりの行動を重視します

二、製品・サービスのすべての基準は、お客様であり、お客様に密着する姿勢を日々の基本とします

三、提供するすべての製品・サービスの基本はローコストであり、我々自らが簡素な組織、小さな本社を実践し、“ひと”を通じての生産性向上に心がけます

四、“食”という基軸から離れず、価値観に基づく実践を忘れません

五、厳しさと緩やかさの両面を同時にもった、フラットで柔軟な組織づくりに心がけます

 

(2) 行動指針

1.我が社の製品・サービスは、

 一、“お客様の身になって考えた”ものであり、高品質なものでなければならない。

 二、“お客様に驚きと感動を与えるもの”でなければならない。

2.我が社の社員は、

 一、個人として尊重され、常に提案ができる環境、能力開発の機会、家族に対する責任を十分果たすことのできる環境でなければならない。

 二、常に自己研鑽し、高い倫理観で、すべてのステークホルダーを意識して、時に組織の枠を超えて、判断しなければならない。

3.我が社は事業を通じて

 一、地球環境の改善、外食産業の発展、地域社会の発展に貢献しなければならない。

 二、企業と企業、人と人との“グッドコミュニケーション”で“共創未来”に努めなければならない。

4.我が社は、すべてにバランスある企業として、

 一、適正な利益を確保し、お客様、社員、株主に配分しなければならない。

 二、我が社が集中する分野に於いて、圧倒的に強い地位を確立し、維持しなければならない。

 

 また、当社株主、顧客及び従業員、取引先などステークホルダーの満足度向上や信頼構築を努めるとともに共存共栄できる共創未来を基軸に経営展開を計っております。

 

2.経営環境について

 当事業年度におきましては、2020年からの新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、当社の主要顧客である外食企業は、休業、営業時間短縮や酒類の提供制限等の影響を受け、厳しい経営状況が続いております。当社も、コロナ禍の影響で、全ての周辺機器の制御機器にあたるPOSシステム機器「FOODα4000」の半導体不足による度重なる当社への納品遅延により、POSシステム機器「FOODα4000」および連携するテイクアウト自動精算機「テイクショット」などの周辺機器も顧客への納品が第29期(2022年9月期)中において実施できなかったこと、月額収入の値引きや円安による仕入原価の高騰、在庫評価減や特別損失(減損損失)を230百万円計上したことにより、減収減益となりました。今後も、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大、半導体不足、急激な円安による物価上昇懸念の拡大等などの見通しの利かない厳しい経営環境が続くものと判断しております。

 こうした影響が、サービス先店舗の閉店や貸倒リスクの増大に繋がっており、すでに新規の「飲食店経営管理システム(R)」拡張機能「自動発注システム」においても見受けられます。今後は引き続き外食市場を当社の主力業界としながらも、コロナ禍を前提としても需要が見込め、更に他業界においても水平展開ができる製品/サービスの更なる追加/推進を図らなければならないと考えております。

 

3.目標とする経営指標

 当社は今後も、外食業界を主力とし、食品ロス対策の一助となる「飲食店経営管理システム(R)」拡張機能の「自動発注システム」を中心とした事業拡大を通じて、地球環境の改善と外食業界への利益貢献により企業価値を向上させていくことを経営の目標としておりますが、これに加えてニューノーマル時代に対応した製品/サービスをできるだけ速やかに投入し、経営指標としての利益の確保に加え、資本効率の観点からROE(自己資本利益率)20%以上を目標とする企業価値の増大に努めてまいります。また、配当性向について、将来の事業展開や経営環境の変化などを勘案のうえ、早期に30%を基本方針とした、かつ安定配当の継続に努めてまいります。

4.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(1)「自動発注システム」の開発体制について

 当社のPOSシステムとオーダーエントリーシステムに加え、他社製品とも積極的な連動を行い「飲食店経営管理システム(R)」、ASP/クラウド型の統合業務パッケージ「FOOD GENESIS」との融合を高め、すべての業態のニーズに合致し、人手不足の解消や食品ロス対策として、安定的かつ効率的な「自動発注システム」の構築を図るため、人員増員も含め開発体制を強化してまいります。

 

(2)AIロボット、セルフレジ、テイクアウト専用機器の開発および販売体制について

 当社の顧客である外食関連企業は、コロナによる対策製品として配膳ロボット、除菌ロボット、除菌ゲート、セルフレジおよび、持ち帰り需要によるテイクアウト専用機器のニーズが高まってきております。この需要に対して、当社は開発体制を強化し、販売代理店を含めた販売体制を強化してまいります。

 

(3)サポート体制について

 当社システムを安定的かつ長期的に提供できるかどうかが成約の重要なファクターとなっております。これまでも、サポート人員の教育を推進してまいりましたが、今後見込まれる「自動発注システム」の受注増加等に対して、人材の確保、社内及び社外研修制度等を充実させてまいります。

 

(4)販売提携及び代理店契約について

 これまでは、大手外食企業を中心とした販売活動を直接販売体制のみで行ってまいりました。今後は直接販売体制に加え、業態規模にとらわれず、外食・中食・給食、ホテルなどの顧客を有する企業等との連携強化、販売提携及び代理店契約を行い、各々の特長を活かしたサービス提供力を高め、販売網の拡大及び収益構造の多様化並びに安定性確保を図ってまいります。

 

(5)情報セキュリティの継続的な強化について

 ASPサービスの運営を行うにあたって、情報セキュリティ及びサービス提供にかかわるシステムを安全・安定に稼働させることが重要な課題であると認識しております。2010年9月より当社データセンターは、ISO27001を取得し更新しております。また、2017年に完成した新データセンターでも厳格な情報管理を徹底しております。今後につきましても、更なるレベルアップを目指し、継続して強化を図ってまいります。

 

(6)ガバナンス体制及び内部統制の整備・運用について

 適切な会計処理を実施するための体制整備、経理部門の強化のほか、監査等委員会設置会社への移行、社外取締役の機能の強化、会計監査人との連携の強化及び取締役会決議事項の拡充を通じた取締役・取締役会による代表取締役社長の職務執行に対する監視・監督機能の強化、社内規程等の再整備による恣意的な事務処理を防止するための体制整備、監査等委員会監査の着実な実施、内部監査体制の整備と着実な実施、役職員間における情報連携・情報共有の円滑化、新規事業の検討から開始までの手続に係る業務プロセスの確立、内部通報制度の改善を実施しております。

 ガバナンス体制と内部統制をより一層強化すべく、実効性のある内部統制の整備を実施するとともに、法令遵守を徹底するための社員教育とコンプライアンス体制の整備・運用を進め、財務報告の信頼性を確保するための内部統制システムの適切な運用が重要であると認識しております。

 コーポレート・ガバナンスに関しては、内部監査による定期的なモニタリングの実施と監査等委員や監査法人との連携を図ってまいります。また、ステークホルダーに対して経営の適切性や健全性を確保し、効率化された組織体制の構築に向けて更に内部管理体制の整備と運用に取り組んでまいります。

 

(7)継続企業の前提に関する重要事象等

 当社は、新型コロナウイルス感染症の影響による当社の主要顧客である外食産業が甚大な影響を受けたことに伴い、売上高が大幅に減少し、当事業会計年度において当期純損失598百万円の計上となり、3期連続で多額の営業損失および経常損失を計上することなりました。この結果、当期末における当社の純資産は△420百万円となり、債務超過となりました。これにより当社が取引金融機関との間で締結しているシンジケートローン契約における財務制限条項に抵触して、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

   なお、抵触している財務制限条項は以下の通りです。

 (シンジケートローン契約)

① 各年度の決算日の貸借対照表における純資産の部の金額を2016年9月期の決算日の貸借対照表における純資産の部の金額の80%以上に維持すること

② 各年度の決算期の損益計算書における経常損益が2期連続して損失とならないようにすること

 

 当社としては、このような状況を解消すべく、取引金融機関と協議を行った結果、財務制限条項に係る期限の利益喪失につき権利行使をしないことについて、当該取引金融機関の合意が得られております。

なお、当社は、当該事象又は状況を解消するための対応策として、以下のような収支改善施策に取り組んでおります。

① 高粗利の「飲食店経営管理システム(R)」「自動発注システム」や、コロナ禍においても需要のある、コロナ禍対策製品(配膳AIロボット、除菌AIロボット、ウイルスゲート・ショット、セルフショット)への経営資源の集中

② ハードウエア専用機型から安価な汎用機型にシフトし、ソフトウエア開発販売へ主軸とする代理店販売体制に移行、 収益力の向上の実施

また、当社は2020年11月27日付で開示いたしました「2021年9月期~2023年9月期中期経営計画」を2022年9月期におきましては、新型コロナウイルス感染症のリスクが継続することを前提に、改めて中期経営計画を見直し、2021年12月2日付「事業計画及び成長可能性に関する事項」及び2021年12月7日付「(訂正)「事業計画及び成長可能性に関する事項」の一部訂正について」にて開示いたしました。新たな中期計画を実行していく上で、2022年9月期以降においては、飲食店向けシステム商材に加え、コロナ禍対策商材を拡充し、対象顧客は外食業界に限らず、多様な業種・業界に対して新たな市場開拓を行うため、下記の4つの施策を設定し、事業基盤の確率と業績向上に向けて展開していまいります。

 ア)貸倒リスクの少ない販売先をターゲティングして「飲食店経営管理システム®」の自動発注システム及びシステム機器をアプローチ

i)大手外食チェーンをターゲットとした直販営業

 ii)マスターズカフェのエリアフランチャイザーとしてフランチャイズ募集の推進

 イ)業務系インターネットサービス会社との強い協業関係によるシステム連携により新規顧客を誘導

 ウ)AIロボット(配膳/除菌)、ウイルスゲート・ショットの拡販

 エ)業種・業態の水平展開ができる新たな製品の開発及び市場投入

 

当社を取り巻く経営環境が変化する中において、販売商材や販売形態を臨機応変に対応することにより、大手企業(外食チェーン、ホテルチェーン、カラオケチェーン等)への営業活動を進めております。また、本日公表の「債務超過解消に向けた計画について」に含めた、諸施策の実施により、事業面及び財務面での安定化を図り、持続的な収支の改善を図るとともに、資本増強に向けた各種施策を実施し、当該状況の解消・改善に努めてまいります。

当社としては、上記の経営施策を講じるにあたり、資金需要が生じているため、2021年12月に日本政策金融公庫より資本性劣後ローンによる4億円の資金調達を実施しました。また、資本増強にともなう財務体質の改善及び運転資金、事業資金の調達のため、2022年4月25日付で「第2回新株予約権(行使価額修正選択権付)の取得及び消却並びに第三者割当による行使価額修正条項付第4回新株予約権の発行に関するお知らせ」でお知らせのとおり、第三者割当による新株予約権の発行による資金調達を2022年10月に完了し、当該第三者割当による資金使途として既存事業への資本投下を優先的に実施しております。今後も、当社ホテルの不動産の売却および増資も検討しており、財務体質を改善し当社の事業拡大に繋げていく所存です。

しかしながら、これらの諸施策は実施途上であり、現時点で継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

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