業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、一時は新たな生活様式への適応やワクチンの幅広い普及に伴い、新型コロナウイルス感染症の感染者数が抑制されたことで、活動制限が緩和され、消費活動が徐々に正常化に向かっておりましたが、新型コロナウイルス感染症変異株の出現と流行や、ウクライナ・ロシア間をはじめとする地政学的リスクの急激な高まりとこれらに伴うインフレや円安の加速により、世界的に先行きが不透明な状況が継続しております。

このような情勢の中、当社グループは、収益の主軸であるデジタルコンテンツ事業の収益拡大を図るとともに、新たな収益軸の構築のため、SNS事業の推進に注力してまいりました。SNS事業においては、新規サービスの開発やインドアゴルフ店舗の開設により、投資が先行いたしましたが、デジタルコンテンツ事業及びOne to One事業の収益増に加え、前連結会計年度において、不採算事業からの撤退並びにXR事業(旧セグメント名称:XR/SNS事業)に係る資産の減損損失計上を行ったことにより、当連結会計年度における償却費負担等が軽減され、前年同期比増収増益となりました。

なお、当連結会計年度において、ソフトウェアの内容を精査し、SNS事業におけるソーシャルプラットフォームのうち、BtoB向けにサービス提供しているソフトウェアについて、当初計画と収益性に大幅に乖離があることから減損処理を行いました。これにより特別損失31百万円を計上しております。特別損失に関する詳細は、セグメントごとの経営成績にて記載しております。

 

以上の結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高2,203百万円(前年同期比14.2%増)、営業利益193百万円(前年同期比307.0%増)、経常利益181百万円(前年同期比368.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益153百万円(前年同期比2,040.3%増)となりました。

 

セグメントごとの取組み内容及び経営成績は、以下のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しております。そのため、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。詳細は、下記及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)セグメント情報」の「1.報告セグメントの概要(3)報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。

 

① デジタルコンテンツ事業

デジタルコンテンツ事業においては、自社Webサイト、ISP、各移動体通信事業者及びApple や Google 等のプラットフォーム向けに占い鑑定や女性に向けた記事コンテンツを企画・制作・配信する、1対N向けのサービスを行っております。当連結会計年度においては、ISP各社における占いコンテンツの配信縮小方針の決定を受け、一部配信プラットフォームにおいては減収減益となりました。しかし、複数本の新規コンテンツが中規模ヒットした他、前連結会計年度におけるヒットコンテンツを中心に、運用体制強化と効率化の徹底が奏功し、従前と比較してコンテンツライフが長期化したことで、携帯キャリア向けコンテンツを中心に売上高及び利益が前年同期比で増加いたしました。

以上の結果、当連結会計年度におけるデジタルコンテンツ事業の売上高は1,378百万円(前年同期比18.1%増)、営業利益は541百万円(前年同期比39.2%増)となりました。

 

② One to One 事業

One to One 事業においては、ユーザーと占い師をはじめとするキャストを電話等で直接結び付ける、双方向のやり取りを特徴とした1対1向けのサービスを行っており、サービスの内容は「占い」と「非占い」の二つに分類されております。当連結会計年度においては、占いサービスが安定的に収益を伸ばした他、非占いサービスにおいても単月黒字を達成し、徐々に収益を伸ばしております。

なお、営業利益が前年同期比で大幅に増加しておりますが、これは、広告宣伝時期の見直しにより一時的に広告費を抑制したことによるものです。新規ユーザーの獲得においては広告は必要不可欠であるため、広告宣伝費については来期以降は増加する見込みであります。

 

以上の結果、当連結会計年度におけるOne to One 事業の売上高は812百万円(前年同期比11.5%増)、営業利益は119百万円(前年同期比33.6%増)となりました。

 

③ XR 事業

XR 事業においては、自社独自開発のリアルタイム実写立体動画撮影技術「SUPERTRACK」を活用した撮影サービス、コンテンツ制作の受託の他、他企業とのIPアライアンス等を推進しております。当連結会計年度においては、受託案件の獲得に至らず営業損失を計上しております。

以上の結果、当連結会計年度におけるXR事業の売上高は0百万円(前年同期は売上高0百万円)、営業損失13百万円(前年同期は営業損失66百万円)となりました。

 

④ SNS 事業

SNS 事業においては、ソーシャルプラットフォームの運営及びサービス企画を行っております。当連結会計年度においては、新規SNS2本の開発とリリースを予定しておりましたが、サービス品質向上のため、開発内容及びリリース時期を見直した結果、新規SNSについてはフォトグラメトリー技術による仮想共同空間を搭載した団体性マッチングアプリ「OneRoof」1本を開発しリリースいたしました。また、株式会社LoungeRange(本社:東京都品川区 代表取締役:古川 真一)との間でフランチャイズ契約を締結し、2023年8月期に開発を予定するゴルフ関連SNSサービスとの連携に向けて、会員制インドアゴルフの店舗を開設しております。

新規SNSのリリース時期を延期したことから、当連結会計年度における売上は、BtoB向けに提供するソーシャルプラットフォームのシステム利用料のみとなっております。また、利益面については、前年同期比で営業損失が拡大しておりますが、これは、主として、サービス開発費及びフランチャイズ店舗の設営費等が発生したことによるものであり、いずれも先行投資として、2023年8月期以降に収益貢献する見込みです。

なお、SNS事業で開発・運営するソーシャルプラットフォームは、ブラウザ版及びアプリ版(開発中)があり、更にブラウザ版においてはBtoB向けに提供することを目的としたものと自社サービスでの利用を目的とするもの(継続開発中)がありますが、BtoB向けに提供するソーシャルプラットフォームについては、当初計画と収益性に大幅に乖離があることから当連結会計年度において減損処理を行い、特別損失31百万円を計上しております。今後、BtoB向けに提供するソーシャルプラットフォームについてはサービスの提供及び運営を停止する予定です。

以上の結果、当連結会計年度におけるSNS事業の売上高は8百万円(前年同期比59.1%減)、営業損失144百万円(前年同期は営業損失25百万円)となりました。

 

⑤ その他の事業

当社グループは、2020年8月期から2021年8月期にかけて、事業の選択と集中のため、ゲームコンテンツ事業及びインバウンド・アウトバウンド事業から撤退しておりますが、一部については取引等を継続しております。当連結会計年度において発生したこれらの撤退事業に関連する取引等の売上については、一括して「その他」セグメントとして区分し、計上しております。

以上の結果、当連結会計年度におけるその他の事業の売上高は4百万円(前年同期比62.6%減)、営業損失は8百万円(前年同期は営業損失46百万円)となりました。

 

 

(2) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当社グループは、主に占いをデジタルコンテンツ化し、携帯電話向け及びPCサイト向けに提供するデジタルコンテンツ事業を中心としており、One to One事業、XR/SNS事業、その他事業においても、生産に該当する事項がないため記載しておりません。

 

 

② 商品仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

デジタルコンテンツ事業

One to One事業

XR事業

SNS事業

その他

1,571

77.7

合計

1,571

77.7

 

(注) 1.金額は、仕入価格によっております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

デジタルコンテンツ事業

1,378,161

118.1

One to One事業

812,016

111.5

XR事業

24

4.8

SNS事業

8,961

40.9

その他

4,378

37.4

合計

2,203,542

114.2

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2020年9月1日

至 2021年8月31日)

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

LINE株式会社

527,307

27.3

575,585

26.1

株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ

324,372

16.8

382,122

17.3

KDDI株式会社

204,449

10.6

253,978

11.5

 

(注)1.株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ及びKDDI株式会社に対する販売実績は、iモードサービス、EZweb有料情報提供サービスを介してユーザーが情報の提供を受け、その利用代金を当社に代わり、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ及びKDDI株式会社が料金回収代行サービスとして回収した金額であります。

 

(3) 財政状態の分析

① 資産の状況

当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度末と比較して113百万円減少し、3,006百万円となりました。

これは主に、ソフトウェア仮勘定18百万円、建物22百万円、投資有価証券20百万円及び繰延税金資産17百万円の増加があったものの、現金及び預金24百万円、売掛金75百万円及びソフトウェア85百万円の減少があったことによるものです。

資産の内訳は、流動資産2,716百万円、有形固定資産42百万円、無形固定資産34百万円及び投資その他の資産213百万円となっております。

 

② 負債の状況

当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度末と比較して268百万円減少し、1,650百万円となりました。

これは主に、1年内返済予定の長期借入金の減少129百万円及び長期借入金の減少110百万円によるものです。

負債の内訳は、流動負債1,039百万円、固定負債610百万円となっております。

 

③ 純資産の状況

当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して154百万円増加し、1,355百万円となりました。

これは主に、利益剰余金の増加153百万円によるものです。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して24百万円減少し、2,384百万円となりました。 

 

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動により増加した資金は、290百万円(前連結会計年度は148百万円の増加)となりました。

主な増減要因は税金等調整前当期純利益149百万円、減価償却費66百万円を計上したこと及び売上債権の減少75百万円によるものであります。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動により減少した資金の額は、74百万円(前連結会計年度は68百万円の減少)となりました。

主な増減要因は、有形固定資産の取得による支出37百万円、無形固定資産の取得による支出24百万円及び投資有価証券の取得による支出20百万円であります。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動により減少した資金は、239百万円(前連結会計年度は172百万円の減少)となりました。

主な増減要因は、長期借入金の借入による収入800百万円及び長期借入金の返済による支出1,039百万円であります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの事業活動における主な運転資金需要は、各事業の事業規模拡大や新規事業推進に伴う運転資本及びシステム開発費の増加等であります。

当社グループは、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っており、これらの事業活動に必要となる資金の安定的な確保に努めております。資金調達においては、当社は、金融機関に十分な借入枠を有しており、市場環境を勘案し、慎重な判断のもと借入を行っております。一方で内部資金についてはこれまでの利益剰余金の積み重ねにより高水準を維持している現預金を活用しており、各種事業への機動的な投資の実行を可能にするとともに、自己資本比率をはじめとする各指標のもと、資金効率の向上に努めております。

 

(5) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に見積り、計上しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりですが、当社グループでは、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 

(繰延税金資産)

「第5 経理の状況  連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(6) 経営者の問題認識と今後の方針について

 「第2 事業の状況 1(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等)」をご参照願います。

 

(7) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 2(事業等のリスク)」をご参照願います。

 

(8) 経営戦略の状況と今後の見通し

当社グループの業績に関する今後の見通しについては、引き続き下記4つの事業に経営資源を集中し、デジタルコンテンツ事業及びOne to One 事業を中心として安定的かつ長期的な収益を確保すると同時に、成長事業に積極的かつ継続的な投資を行うことで経営の多角化を推進し、業績及び時価総額の向上に努めてまいる所存です。

また、財務面に関しましては、これまで同様、資産の透明性を確保し、新規事業への挑戦を安定した内部留保によって下支えする健全な経営を行う考えであります。

 

各事業別の見通しは以下のとおりです。

 

■デジタルコンテンツ事業

著名占い師を監修者に迎えた新規コンテンツの制作強化及び運用効率化により、コンテンツあたりの売上利益の増加を図ってまいります。ISPによる占いコンテンツの配信縮小方針決定により、一部配信プラットフォームにおける収益が縮小傾向にあることから、自社配信を強化し、プラットフォーム依拠からの脱却を図ってまいります。また、自社メディアの運営に関しましては、自社占いコンテンツへの送客の役割を強化すると同時に、自社メディア内における課金収入増を図ります。

 

■One to One 事業

占いサービスについては、引き続き電話による直接鑑定やサービス提供強化による安定的な利益確保に努めます。2023年8月期においては、サービスの利用者と提供者両方のユーザビリティ向上、ユーザー体験の拡充を目的として、システム開発に投資いたします。また、非占いサービスについては、自社アプリの新規ユーザー獲得のため、広告宣伝費が増加する見込みです。

 

■XR事業

2022年8月期においては、自社独自開発のリアルタイム実写立体動画撮影技術「SUPERTRACK」を活用した撮影サービス、コンテンツ制作の受託、他企業とのIPアライアンスを推進してまいりましたが、案件獲得が困難な状況にあります。そのため、2023年8月期においては、当社XR関連技術の活用例を発信するべく、SNS事業における新規サービス「OneRoof」内機能の開発に注力いたします。

 

■SNS事業

「OneRoof」(2022年8月リリース)のサービス運用及びゴルフ関連の新規SNS1本の開発・リリースを予定しております。なお、「OneRoof」については、機能の改修及び追加を行い、ユーザーの獲得とXR技術を活用した機能によるユーザー体験の向上を図ってまいります。2023年8月期においては、「OneRoof」及び完全会員制インドアゴルフ「LoungeRange」の売上は、会員獲得時期であることからほとんど見込んでおりません。なお、利益については新規SNS開発及び広告宣伝費の先行により損失を計上する見込みです。

 

また、当社は、2022年5月25日開催の取締役会において、ブロックチェーンゲームにおけるNFTの取得(暗号資産の取得とこれによるNFTの購入)について決議し、「ブロックチェーンゲームにおけるNFTの取得(暗号資産の取得とこれによるNFTの購入)に関するお知らせ」でお知らせいたしましたが、お知らせ以降、アルゴリズムを使ったステーブルコインの仕組みが疑問視され、投資家からの信頼感を欠く状況が生じました。アルゴリズムを利用した無担保型ステーブルコインの価格が急落し、回復していないことや、取引等の会計処理においては現行の企業会計基準において整備が十分でないこと等、当社財務諸表への影響を鑑み、本報告書提出日現在においては、ブロックチェーンゲームにおけるNFTの取得(暗号資産の取得とこれによるNFTの購入)を見送っております。

当社といたしましては、Web3.0への積極的な関与は、今後の当社事業の成長と業績拡大に必要であると判断しており、今後も市場及び規制等の動向を注視し、適切な時期に参入を試みる所存です。

 

なお、2023年8月期の通期業績見通しにつきましては、売上高2,150百万円、営業利益150百万円、経常利益140百万円、親会社株主に帰属する当期純利益95百万円を予測しております。新規事業による売上は、投資段階であることからほとんど見込んでおらず、また、既存事業であるデジタルコンテンツ事業においては、Yahoo!、nifty等のISPにおいて、占いコンテンツの配信が停止すること並びにドコモ社によるiモードサービスの提供が終了したことを受け、2023年8月期については、売上の減少を見込んでおります。

これらの数値は、上記各事業の見通しに基づき予測する数値となっております。従って、新規事業の進捗に変更がある場合、利用ユーザー数が大幅に見込みを上回る若しくは下回る場合又は当社グループ事業に関連する法令が改正されあるいは情勢が変化した場合、変動する可能性があります。

 

 

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