業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

インターネット接続サービスの状況

 2022年3月期のインターネット接続サービスの売上高は前年同期比233百万円増(2.4%増)の10,004百万円となりました。なお、収益認識に関する会計基準等を適用する前の売上高は前年同期比964百万円増(9.9%増)の10,735百万円となります。

 

ISP「ASAHIネット」

 ISP「ASAHIネット」においては、FTTH接続サービスの2022年3月末の契約数は前年同期末比24千ID増(5.5%増)の448千IDとなりました。NTT東西の光コラボレーションモデルを活用した「AsahiNet 光」が2022年3月期上期から法人顧客の受注が継続しており契約数増加を牽引しました。「ASAHIネット マンション全戸加入プラン」等のフレッツ光サービスの契約数も堅調に推移しております。当社が注力している固定IPアドレスオプションとFTTH接続サービスを組み合わせることでセキュリティ対策として多要素認証を実現する取り組みや、インターネット側から遠隔にあるサーバー等を操作するなどの法人利用が増加しております。

 モバイル接続サービスの2022年3月末の契約数は前年同期末比1千ID増(2.8%増)の47千IDとなりました。モバイル接続サービスはSIMカード型の「ANSIM」とモバイルWi-Fiルーター型の「WiMAX」を提供しており、2022年3月からは5Gに対応した新サービス「ASAHIネット WiMAX+5G」の提供を開始しております。遠隔で設置している機器にインターネット経由でアクセスするIoTの利用や監視カメラを用いたマーケティング活動などIT/DX化の需要が増加しております。

 ADSL接続サービスの2022年3月末の契約数は前年同期末比5千ID減(35.2%減)の10千IDとなりました。ADSL回線事業者のサービス終了に伴い、当社ADSL接続サービス「新超割ADSL」を終了したことで契約数が減少しております。

 2022年3月末のインターネット接続サービス契約数の退会率は0.71%となりました。退会率は引き続き低い水準を維持しております。

 FTTH接続サービス及びモバイル接続サービスに共通して当社が重要視しているのが通信品質です。2022年1月に発表された利用者満足度の高いインターネット通信サービスを選出する「RBB TODAY ブロードバンドアワード2021」ではプロバイダ部門総合の部で8年連続の最優秀賞を受賞しました。また、2022年3月に発表された「RBB TODAY テレワークアワード2022」でもプロバイダ部門総合満足度1位を2年連続で受賞しました。当社が対処すべき課題として掲げている「増加する費用を抑え、利益が出せる構造を維持すること」「お客様に満足いただける品質のサービスを今後も提供し続けること」が実現できていると捉えております。

 以上の結果、2022年3月期の「ASAHIネット」の売上高は前年同期比307百万円減(3.4%減)の8,621百万円となりました。収益認識に関する会計基準等を適用する前の売上高は前年同期比423百万円増(4.7%増)の9,352百万円となります。

 

VNE「v6 コネクト」

 VNE「v6 コネクト」の2022年3月末の提携事業者数の増減はありませんでした。2022年3月期の「v6 コネクト」の売上高は前年同期比540百万円増(64.2%増)の1,383百万円となりました。

 「v6 コネクト」はVNO事業者(電気通信事業者)に対してNTT東西が提供するフレッツ光を使ったIPoE方式によるIPv6インターネット接続を卸提供するサービスです。当社は主として基本料及びVNO事業者が利用したトラフィックに応じた従量課金額を売上として計上します。売上高の増収要因は主に2点から構成されています。1点目は提携事業者が取り扱うフレッツ光の回線数増加です。2点目は1回線当たりのトラフィックの増加です。2022年3月期の売上高は1回線当たりのトラフィック増加が大きく寄与しております。

 

インターネット関連サービスの状況

 2022年3月期のインターネット関連サービスの売上高は前年同期比7百万円減(0.5%減)の1,573百万円となりました。収益認識に関する会計基準等の適用による影響はありません。

 

教育支援サービス「manaba」

 教育支援サービス「manaba(マナバ)」の2022年3月末の契約ID数は前年同期末比32千ID増(4.1%増)の825千IDとなりました。全学導入校数は前年同期末比3校増(3.1%増)の101校となりました。当期は北海学園大学や兵庫教育大学などが利用開始しました。

 売上高は前年同期比11百万円増(1.5%増)の763百万円となりました。2022年3月期における大学の状況はインターネットを活用したライブ型授業やオンデマンド型授業から対面授業へ戻りつつあります。当社は文部科学省が大学に求める「教育の質保証」を実現するために機能開発としてポートフォリオ機能の拡充と出席管理機能の開発を進めました。

 

その他

 「その他」はメールサービスやセキュリティサービス、その他関連サービスの売上高となります。2022年3月末の「その他」の売上高は前年同期比18百万円減(2.2%減)の809百万円となりました。

 

収益の状況

 売上高は、ISP「ASAHIネット」、VNE「v6 コネクト」が増収したことにより10年連続で過去最高の売上高を更新しました。ISP「ASAHIネット」は、NTT東西の光コラボレーションモデルを活用した「AsahiNet 光」の契約数が法人顧客からの受注により増加したことで増収となりました。VNE「v6 コネクト」は、提携事業者との取り扱い通信量の増加により増収となりました。

 売上原価は、「AsahiNet 光」等の契約数増加に伴う回線仕入や、NTT東西と相互接続するIPv6ネットワークの追加契約による通信費及び通信品質を維持するための設備投資に伴う減価償却費が増加しております。

 以上の結果、2022年3月期の売上高は11,577百万円(前年同期比225百万円増、2.0%増)、営業利益は1,834百万円(同144百万円増、8.5%増)、経常利益は1,839百万円(同52百万円増、2.9%増)、当期純利益は1,255百万円(同46百万円減、3.6%減)となりました。2022年3月期は特別利益として関係会社株式売却益29百万円を計上しております。特別損失として、NTT東西に支払う通信設備除却費用負担金17百万円、固定資産除却損30百万円を計上しております。

 当事業年度より収益認識に関する会計基準等を適用したことにより、主としてインターネット接続サービスの一部の取引について売上高を総額から純額へ変更しております。またキャッシュ・バック等については取引価格から減額し、契約期間に応じて期間按分する方法に変更しております。この結果、2022年3月期の売上高は731百万円減少、売上原価は713百万円減少、販売費及び一般管理費は41百万円減少、営業利益、経常利益及び税引前当期純利益はそれぞれ23百万円増加、当期純利益は16百万円増加しております。なお、収益認識に関する会計基準等を適用する前の売上高は12,308百万円(前年同期比957百万円増、8.4%増)、営業利益は1,810百万円(同120百万円増、7.1%増)、経常利益は1,815百万円(同28百万円増、1.6%増)、当期純利益は1,238百万円(同63百万円減、4.9%減)となります。

 

財政の状況

 財政状態といたしましては、売掛金及び契約資産の増加などにより、当事業年度末の総資産は12,940百万円(前年同期末比1.0%増)となりました。

 負債は、買掛金の減少などにより1,659百万円(同11.9%減)となりました。

 純資産は、利益剰余金の増加などにより11,281百万円(同3.2%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前期末より246百万円減少し、3,992百万円となりました。

 なお、当期における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得た資金は1,428百万円(前年同期は1,889百万円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益が1,813百万円、減価償却費が818百万円あったことに対し、法人税等の支払額が605百万円あったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は1,116百万円(前年同期は2,026百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が765百万円、無形固定資産の取得による支出が382百万円あったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は558百万円(前年同期は529百万円の使用)となりました。これは、配当金の支払額が558百万円あったことによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 該当事項はありません。

 

b.受注実績

 該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績を製品及びサービスごとに示すと、次のとおりであります。

製品及びサービスの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

ISP事業

 

 

インターネット接続サービス

10,004

102.4

インターネット関連サービス

1,573

99.5

合計

11,577

102.0

(注)インターネット接続サービスには、新規会員獲得に関わる提携電気通信事業者からの報奨金を含んでおります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の記載のうち将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 当事業年度の財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容

a.財政状態の分析

 当事業年度末の流動資産合計は8,851百万円(前事業年度末比355百万円増)となりました。また、固定資産合計は4,089百万円(同229百万円減)となりました。

 以上の結果、当事業年度末の資産合計は12,940百万円(同126百万円増)となりました。

(負債)

 当事業年度末の流動負債合計は1,659百万円(同161百万円減)となりました。

 以上の結果、当事業年度末の負債合計は1,659百万円(同224百万円減)となりました。

(純資産)

 当事業年度末の純資産合計は11,281百万円(同351百万円増)となりました。

 以上の結果、自己資本比率は87.2%となりました。

 

 

b.経営成績の分析

 当事業年度の売上高は、11,577百万円(前年同期比225百万円増)となりました。ISP「ASAHIネット」は「AsahiNet 光」、「ASAHIネット マンション全戸加入プラン」などのFTTH接続サービスやLTEやWiMAXなどのモバイル接続サービスの拡販、VNE「v6 コネクト」は取り扱い通信量の増加、教育支援サービス「manaba」は導入校数と契約ID数増加が主な増収要因となります。

 営業利益は1,834百万円(同144百万円増)となりました。売上原価は、「AsahiNet 光」等の契約数増加に連動する回線仕入の増加やNTT東西と相互接続するIPv6ネットワークの追加契約による通信費及び通信品質を維持するための設備投資に伴う減価償却費が増加しました。

 以上の結果、当期純利益は1,255百万円(同46百万円減)となりました。2022年3月期は特別利益として関係会社株式売却益29百万円を計上しております。特別損失として、NTT東西に支払う通信設備除却費用負担金17百万円、固定資産除却損30百万円を計上しております。通信設備除却費用負担金は、改正省令附則に基づき当社が負担する費用です。当社はNTT東西が保有する通信設備を相互接続で利用しております。通信設備の廃止に伴い、設備の残余減価償却期間分の一部を当社を含む相互接続事業者が負担する費用を指します。

 

c.キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

② 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社は、無借金による財務体質を維持しており、高い自己資本により事業運営を行っております。事業活動にかかる運営資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源とし、設備投資及び配当原資としております。

③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、ROE10%以上の収益力を経営上の目標としております。さらに1株当たり純利益の継続的な成長により、株主還元の充実を図ることを重要な経営方針としております。

 

 過去5年間のROE及び1株当たり純利益の推移は以下のとおりです。

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

ROE

6.0%

9.6%

11.6%

12.6%

11.3%

1株当たり純利益

19.53円

32.17円

40.92円

46.67円

44.92円

 「ASAHIネット」会員当たりの通信トラフィックが増大する中においても通信品質を維持し収益性を高めていくため、2018年3月期にネイティブ方式でのIPv6接続サービスを構築しました。2019年3月期以降はIPv6接続サービスを他電気通信事業者へ提供する「v6 コネクト」のサービス開始や「ASAHIネット」会員数の増加並びに「manaba」の契約ID数増加により1株当たり利益が増加しております。

 2021年3月期は特別利益を計上したことにより一時的に1株当たり利益が増加しました。

 

 ISP「ASAHIネット」につきましては、FTTH接続サービス及びモバイル接続サービスの契約数、平均退会率、第三者による顧客満足度調査などを重要な指標としております。

 

 過去5年間の推移は以下のとおりです。                        (単位:千ID)

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

FTTH(光接続)サービス契約数

378

392

408

424

448

モバイル接続サービス契約数

36

41

44

46

47

平均退会率

0.94%

0.83%

0.74%

0.79%

0.71%

第三者による顧客満足度調査

RBB TODAY

ISP部門

総合第1位

RBB TODAY

ISP部門

総合第1位

RBB TODAY

ISP部門

総合第1位

RBB TODAY

ISP部門

総合第1位等

RBB TODAY

ISP部門

総合第1位等

 「ASAHIネット」契約数は順調に増加しております。トラフィックの増加によりFTTHの需要が増加する中で、接続料金、通信の安定性、通信速度等により接続サービスの契約数が増加しております。IoTの進展や働き方改革による法人契約の需要が増加していることに加え、マンション全体での一括契約を前提とした「ASAHIネット マンション全戸加入プラン」も引き続き契約数が増加する要因にあげられます。

平均退会率については、安定して低減傾向にあり、2022年3月期は0.71%という結果となりました。

 第三者による顧客満足度調査では、2022年1月に発表されたブロードバンド時代のベストプロバイダを選ぶ「RBB TODAY ブロードバンドアワード」において「プロバイダ部門 総合満足度第1位」を獲得しました。同受賞は8年連続通算11回目となります。また、2022年3月に発表されたテレワークで注目を集めたサービスを表彰する「RBB TODAYテレワークアワード」においても「プロバイダ部門 総合満足度第1位」を2年連続で受賞しました。今後も高品質なサービスを提供していくことで、会員数の増大を図り企業価値を高めてまいります。

 

 教育支援サービス「manaba」につきましては、契約ID数、全学導入校数を重要な指標としております。

 

 過去5年間の推移は以下のとおりです。                        (単位:千ID)

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

「manaba」契約ID数

645

654

698

793

825

全学導入校数(※)

(86校)

(90校)

(97校)

98校

(110校)

101校

(※)2021年3月末から全学導入校の集計対象を大学・短期大学のみとしました。この変更により専門学校や高校及び高等専門学校を全学導入校数に含めておりません。カッコ内の数値は従来の集計対象での全学導入校数となります。

 

 「manaba」の契約ID数及び全学導入校数は順調に増加しております。遠隔授業などのインターネットを活用した学びの多様化における教育のICT化や教育の質保証への取り組みを実現するため、教育支援サービスは大学を支える重要なインフラと位置づけされています。このような状況下において、シンプルで簡単な操作性やサービスの安定性、全学導入校数の実績が多い「manaba」が選ばれる状況にあります。

 

④ 重要な会計方針の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、当事業年度末日時点の資産・負債及び当事業年度の収益・費用を認識・測定するため、合理的な見積り及び仮定を使用する必要があります。当社が採用しております重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の「重要な会計方針」に記載のとおりでありますが、見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、下記の2項目が重要であると判断しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症については不確実な部分もありますが、財務諸表における会計上の見積りに及ぼす重要な影響は生じておりません。

 

(繰延税金資産)

 当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(固定資産の減損処理)

 当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

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