業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループをとりまく情報通信分野は、業界再編計画、通信の大容量化と通信サービス提供価格の変化、クラウドサービスの拡大、第5世代移動通信システム(5G)/IoTソリューションの開発・利用環境の整備、AI技術を活用したサービス提供など、引き続き構造変化が進行しています。

 情報通信技術を利用することで作り出されるデータを分析・活用することで、人々の生活をより便利にし、ビジネスモデルの変革をすることで、世の中をより良い方向へ進めるDX(デジタル・トランスフォーメーション)関連の需要も増加しています。

 携帯電話事業者により提供される5Gとは別に、企業や自治体がクローズドな空間でプライベートに利用できるローカル5Gの市場も2020年より徐々に立ち上がってきており、総務省によるローカル5Gなどを活用した地域課題解決を実現するための実証実験も引き続き行われています。テレワーク推進に伴いクラウドPBXを利用する企業が増えるといった変化も起きており、働く時間・場所の制約を超えた働き方を可能とするために新たなICTソリューションの導入が活性化しています。

 こうした状況の下、当社グループ活躍の場はさらに広がるものと期待して、以下のとおり事業を展開してまいりました。

 

a.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、3,445,360千円となり、前連結会計年度と比べ102,671千円の増加となりました。増加の主な要因は、現金及び預金が69,172千円、原材料及び貯蔵品が59,324千円、仕掛品が14,328千円、ソフトウェア資産が43,556千円(新規開発及び取得等により401,997千円増加、減価償却により358,440千円減少)増加したことによるものであります。減少の主な要因は、売掛金が5,547千円、製品が60,654千円、のれんが10,916千円、投資その他の資産「その他」に含まれる長期前払費用が7,655千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債の総額は、1,435,171千円となり、前連結会計年度と比べ122,865千円の減少となりました。増加の主な要因は、長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が13,832千円、賞与引当金が29,997千円、未払法人税等が41,635千円、流動負債「その他」に含まれる未払金が14,739千円増加したことによるものであります。減少の主な要因は、買掛金が46,320千円、短期借入金が100,000千円、前受金が16,763千円、資産除去債務が8,207千円、流動負債「その他」に含まれる未払消費税等が41,320千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は2,010,188千円となり、前連結会計年度と比べ225,537千円の増加となりました。増加の要因は、第三者割当増資により資本金及び資本剰余金がそれぞれ30,440千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が164,657千円増加したことによるものであります。

 

b.経営成績

 当社グループの経営成績については、エンタープライズ・ソリューションにおいて、VOICEMARK製品の販売並びに構築案件の増加があったことに加え、保守サポート・サービスにおいて前期の販売に対する新規保守サービスが増加しましたが、通信システム・ソリューションにおいて、前年度売上貢献が大きかった大手通信業者向けのライセンス販売の反動減やMVNO更改案件の計画変更による一部検収時期が翌期にずれ込んだことにより売上高は、3,750,288千円(前連結会計年度比2.9%の減少)となりました。

 損益面につきましては、収益性の高い自社ライセンス製品販売が減少しましたが、ソフトウェア償却費の減少や人員減による人件費の減少、働き方改革の推進による子会社事務所の集約に伴う家賃等のコスト削減の効果による固定費の減少があったことにより、売上総利益は1,364,998千円(前連結会計年度比1.2%の減少)、営業利益は、188,605千円(前連結会計年度は、12,771千円の営業利益)、経常利益は、181,071千円(前連結会計年度は、3,914千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は、164,657千円(前連結会計年度は174,317千円の親会社株主に帰属する当期純損失)、となりました。

 受注残高については、VOICEMARK製品の受注を獲得したことに加え保守サポート・サービスにおいて、新規案件に伴う保守案件が積みあがったことにより受注残高は1,378,664千円(前連結会計年度比3.1%の増加)となりました。

 なお当連結会計年度より、収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております詳細については、「1.連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)をご参照ください。

区分

第 20 期

(2021年3月期)

第 21 期

(当連結会計年度)

(2022年3月期)

増減

増減率(%)

売上高

(千円)

3,863,565

3,750,288

△113,277

△2.9

売上総利益

(千円)

1,380,957

1,364,998

△15,959

△1.2

営業利益

(千円)

12,771

188,605

175,833

経常利益

(千円)

3,914

181,071

177,157

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

△174,317

164,657

338,975

受注残高

(千円)

1,337,087

1,378,664

41,576

3.1

 

 

 当社グループは、音声を中心とする通信技術に関するソリューション提供を行っており、セグメントは単一となります。なお、当社グループにおけるソリューション・サービス別売上の概要は、次のとおりとなります。

また、2021年12月22日に公表しました事業計画及び成長可能性に関する事項の中期経営計画の注力分野にわけて記載しています。

 

事業区分の名称

第20期

(2021年3月期)

第21期

(当連結会計年度)

(2022年3月期)

増 減

増減率(%)

通信システム・ソリューション(千円)

1,721,495

1,370,110

△351,384

△20.4

エンタープライズ・ソリューション(千円)

1,107,758

1,265,608

157,850

14.2

保守サポート・サービス(千円)

1,034,312

1,114,569

80,257

7.8

 

 

〔通信システム・ソリューション〕

 通信事業者の大規模ネットワークで利用される通信システムのライセンス販売、SI、周辺アプリケーションの開発及びネットワークセキュリティ診断や通信システム導入のコンサルティングサービスを提供しています。

〈DX関連分野〉

 世の中のリモートワーク推進の動きも追い風となり、ソフトウェアIP-PBX「NX-C1000」及びソフトウェアSBC「NX-B5000」のライセンス販売は、前期に引き続き好調でした。大手通信事業者が提供する法人向けのIP電話ソリューションや、スマートフォンを使用したクラウド内線電話を可能とするソフトウェアとして販売しています。また、電力系通信事業者の法人向けコアシステムにおいても、既存取引先のグループ会社などへ横展開をしており、BCP対策としてバックアップ拠点の新設、セキュリティ監視強化の大口案件を受注し、ライセンスを販売しました。

〈PSTNマイグレーション関連分野〉

 事業者間IP相互接続をするために大手通信事業者に採用されている「NX-B5000」は機能拡充をして、現在運用中、及び新規導入となる通信事業者へ販売しました。

〈音声認識&AIサービス関連分野〉

 音声認識エンジンと連携する機能をもつIP-PBX対応通話録音ソフトウェア「LA-6000」の大規模コンタクトセンターへの販売や、別の大手通信事業者のコンタクトセンターへ構築運用業務を提供しました。また、大手通信系システム会社のコンタクトセンター向けソリューションの拡販に伴い、ライセンスの追加及び技術支援を受注し提供しました。さらに大手電力系通信事業者の音声認識を利用したAIサービスにも当社の「LA-6000」が採用され、運用が始まりました。

〈モバイルデータソリューション関連分野〉

 情報通信サービス会社のMVNO基盤の移設・リニューアルに伴うモバイルコアシステム(EPC)の構築、技術支援を前期より継続して提供し、新たに携帯電話事業者が新サービスを提供するための基盤システムを導入しました。また、前期に別の情報通信サービス会社にMVNOネットワークの設備更改に関するコンサルティング業務を実施した経緯から設備更改案件を受注し、ハードウェア製品及びソフトウェア製品を提供しました。

北米のシリコンバレーに拠点をもつMATRIXX Software, Inc.と業務提携し、大量のデータを高速処理する独自技術を入れた5G対応の「MATRIXX Digital Commerce Platform」を利用して国内携帯電話事業者向け顧客管理・SIM管理システムを開発し、MVNOビジネスの運用に役立つソリューションの提供を実現しました。本ソリューションは大手情報通信サービス会社から受注しています。

 さらに、総務省が実施する「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に係る実証事業の公募に西日本電信電話株式会社が代表機関を務めるコンソーシアムのプロジェクトが採択され、技術実証及び関連業務を同社より受注しました。当社はこれまでの実務で蓄積した技術ノウハウを基に、実験計画立案から実施まで技術実証全体を担当し、エクシオグループ株式会社、日本電通株式会社と連携して進めています。当該プロジェクトは関西エリアの港湾業務で初となるローカル5GのSub6 帯(4.8GHz 帯~4.9GHz 帯)を活用した港湾業務の効率化・生産性向上に向けた実証実験で、大阪・関西万博予定地の夢洲で実施しています。

 

 以上の結果、前連結会計年度は、大手通信事業者の大規模ネットワークで利用されているライセンス販売の需要変動の影響が大きかったこと、当連結会計年度の大手情報通信サービス会社のMVNO更改案件の計画変更により一部について翌連結会計年度へ継続されたことが影響し、通信システム・ソリューションの当連結会計年度の売上高は、1,370,110千円(前連結会計年度比20.4%の減少)となりました。

 

〔エンタープライズ・ソリューション〕

 通信事業者以外の企業や官公庁に向けて、通信システムのVOICEMARKブランドのライセンス販売、SI、周辺アプリケーションの開発及びクラウド/BPOサービスを、販売・構築パートナー経由で提供しています。

〈DX関連分野〉

 クラウドサービスの提供は、NTTビジネスソリューションズ株式会社と共同で、当社グループが提供するCPaaS基盤「pluscomm」を活用した電話対応ソリューションを開発し、自治体向けのワクチン発注受付システムの運用サービスを提供しています。日本電通株式会社のクラウドPBXサービスの提供については、顧客規模拡大とそれに合わせたスピーディな設備拡張を可能にするため、当社のクラウドPBX基盤「U³ Voice クラウドPBX」が採用されました。

 オンプレミス製品として、ソフトウェアSBC「NX-B5000 for Enterprise」はZoom Video Communications, Inc.が提供するZoom Phoneと、固定、携帯、IP電話サービスを接続するSBCとして日本製品初の認定を取得し、商用導入の販売実績を作りました。また、西武信用金庫には全店舗の電話システム更改に採用されたソフトウェアIP-PBX「NX-C1000 for Enterprise」を中心に当社グループのソリューションを提供しました。これまで電力系通信事業者の法人向けコアシステムを導入した実績をもつことから、横展開により新たな電力系通信事業者のシステム更改も実施しました。

〈PSTNマイグレーション関連分野〉

 法人ユーザーのIP電話化への対応を進めるために、通信事業者各社のIP回線と複数のコンタクトセンターシステムと接続実績が豊富な「NX-B5000 for Enterprise」の販売、並びにDX推進やコロナ禍におけるテレワーク推進のためにPBX設備の更改が進み、ソフトウェアIP-PBX「NX-C1000 for Enterprise」の販売が堅調に推移しています。

 また通信事業者のみならず、コンタクトセンター業界においても大規模ユーザーを中心にVoIP回線の導入が進行しています。その影響により「NX-B5000」が、Avaya Inc.のコンタクトセンターソリューションで接続推奨されるSBCとして認められ販売しました。今後は中規模ユーザーや小規模ユーザーへのVoIP化の一層の進展も見込まれます。

〈音声認識&AIサービス関連分野〉

 音声認識の月額BPOサービス「U³ COGNI」や子会社のクラウドサービスによるコミュニケーションアプリをサブスクリプション型ビジネスとして提供しています。IP-PBX対応通話録音ソフトウェア「LA-6000」は、音声認識を利用したAIサービスの音声キャプチャソフトウェアとして大手電力系通信事業者で採用され、サービス利用者の増加に合わせて拡販しています。従来から取り扱っている通話録音システムを、主に金融機関、官公庁、鉄道会社のシステム更改の需要に伴い販売しました。

当連結会計年度にはクラウド音声サービスのプラットフォームを提供する「U³ Enablerサービス」の提供を開始しました。音声系サービス提供事業者になるために必要となる、高度な通信技術を含むソフトウェアを搭載したプラットフォームと保守・運用体制を組み合わせ、サービス提供事業者が独自のサービスメニューを付加できる仕組みをパッケージとして提供しています。当社のビジネスソリューションパートナーである都築電気株式会社と資本業務契約を締結し、当社のクラウドPBXサービスが都築電気株式会社の提供ラインナップに追加され、販売も堅調に推移しています。

 

 以上の結果、エンタープライズ・ソリューションの当連結会計年度の売上高は、1,265,608千円(前連結会計年度比14.2%の増加)となりました。

 

〔保守サポート・サービス〕

 通信システム・ソリューションで培ったパートナーシップの強化により、通信事業者及びエンタープライズ向けに全国24時間・365日対応の保守サポート業務を提供しています。

 当連結会計年度では、保守範囲の見直しなどにより契約金額が減額となる案件があったものの、前期の販売に対する新規保守サービスの開始や、コロナ禍における法人のリモートワークが進んだことで、通信トラフィックの増加に伴い保守費用が増額となる案件もあり、堅調に推移しました。

 

 以上の結果、保守サポート・サービスの当連結会計年度の売上高は1,114,569千円(前連結会計年度比7.8%の増加)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して69,172千円増加し1,246,421千円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 

a.営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動により獲得した資金は488,423千円(前連結会計年度は、646,256千円の獲得)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益201,773千円、減価償却費382,707千円、のれん償却額10,916千円、賞与引当金の増加29,997千円等によるものであります。主な減少要因は、事業譲渡益21,957千円、棚卸資産の増加12,998千円、仕入債務の減少46,320千円、前受金の減少16,763千円、未払又は未収消費税等の増減額42,155千円、法人税等の支払額15,253千円等によるものであります。

 

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動により使用した資金は392,297千円(前連結会計年度は167,127千円の使用)となりました。主な増加要因は、事業譲渡による収入30,000千円等によるものであります。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出3,780千円、無形固定資産の取得による支出398,330千円、資産除去債務の履行による支出15,000千円等によるものであります。

 

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動により使用した資金は26,953千円(前連結会計年度は、449,038千円の使用)となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入350,000千円、株式の発行による収入59,973千円によるものであります。主な減少要因は、長期借入金の返済による支出336,168千円、短期借入金の返済による支出100,000千円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、通信技術に関するソリューション提供を事業とする単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

a.生産実績

 当社グループは、ソフトウェアの開発・販売を主たる事業としており、生産という概念は薄く、かつ受注形態が多岐にわたり生産実績の把握が困難であるため、生産実績の記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績を事業区分別に示すと、次のとおりであります。

事業区分の名称

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

通信システム・ソリューション(千円)

1,336,596

80.3

187,742

84.9

エンタープライズ・ソリューション(千円)

1,320,640

121.9

88,124

266.3

保守サポート・サービス(千円)

1,134,628

86.2

1,102,797

101.9

合計(千円)

3,791,865

93.3

1,378,664

103.1

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を事業区分別に示すと、次のとおりであります。

事業区分の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

通信システム・ソリューション(千円)

1,370,110

79.6

エンタープライズ・ソリューション(千円)

1,265,608

114.2

保守サポート・サービス(千円)

1,114,569

107.8

合計(千円)

3,750,288

97.1

(注)最近2連結会計年度において主要な販売先に該当する社数が前連結会計年度4社、当連結会計年度1社ありますが、販売先と秘密保持契約を締結しているため、主要な販売先及び当該販売実績については、その社名、金額及び割合の公表は控えさせていただきます。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりであります。

a.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、3,445,360千円となりました。流動資産は2,540,255千円となり、主な内訳は、現金及び預金が1,246,421千円、売掛金が1,034,660千円、仕掛品が92,624千円、原材料及び貯蔵品が92,396千円であります。

 固定資産は、905,104千円となり、主な内訳は、のれんが30,928千円、ソフトウェア資産が701,718千円、差入保証金が59,824千円、繰延税金資産が46,254千円であります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債の総額は、1,435,171千円となりました。流動負債は、1,079,160千円となり、主な内訳は、買掛金が253,271千円、1年内返済予定の長期借入金が268,353千円、未払法人税等が64,928千円、前受金が259,120千円であります。

 固定負債は、356,011千円となり、主な内訳は、長期借入金が332,179千円であります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、2,010,188千円となりました。主な内訳は、資本金が1,001,582千円、資本剰余金が955,713千円、利益剰余金が53,181千円であります。

 

b.経営成績

 経営成績の状況に関する分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

c.経営成績に重要な影響を与える要因について

Ⅰ ソフトウェア資産の減損損失の可能性について

 当社グループは通信システムに関わるソフトウェアを開発しており、現時点で適正と考えられるソフトウェア資産を計上しております。しかしながら今後、事業環境の変化により保有するソフトウェアの収益性が著しく低下し投資額を回収できなくなった場合には、減損損失が発生し当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

Ⅱ プロジェクトの納期変動リスクについて

 当社グループでは、プロジェクトごとに売上規模や利益率が異なり、その売上計上時期によって業績が大きく変動します。想定外の仕様の変更など顧客側の都合等により契約上、当初予定されていた期間内に、顧客による検収を受けることができない場合、またシステムの不具合等の要因によりサービスの納品時期がずれ込んだ場合、当社グループの四半期ごとの業績が大きく変動する可能性があります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 キャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

Ⅰ 資金需要

 当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の2つがあります。
運転資金需要のうち主なものは営業活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための引合費用等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、主に通信システムに関わるソフトウェアの開発費(外注費及び人件費等)によるものであります。

 

Ⅱ 財務政策

 当社グループの財務政策は、資産構成や投資内容に最適な資金調達を行うことを基本方針としており、その運転資金及び設備資金について現状では自己資金又は長期を中心とする金融機関からの借入によって対応しております。今後も、調達手段の選択においては、資本コスト、資金調達環境及び条件、自己資本比率、手許流動性の水準などを総合的に勘案し、長期的な企業価値向上に最も資すると考える方法により対応してまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における財政状態及び報告期間における経営成績に影響を与える見積り・予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り・予測の評価を実施しておりますが、不確実性が伴うため、当初の見積り・予測数値と実際の数値に乖離が生じる可能性があります。

当社グループでは特に以下の会計方針を重要と認識しており、連結財務諸表作成において必要となる見積り・予測に影響を与える可能性があると考えております。

 

a.市場販売目的ソフトウェアの減価償却方法

 市場販売目的のソフトウェアについては、見込販売収益に基づく償却額と残存見込販売有効期間(3年)に基づく均等償却額とのいずれか大きい金額を計上する方法により減価償却金額を算出しております。

 この見込販売収益は、各ソフトウェアの製品カテゴリー別に、顧客単位で積み上げられた販売計画を基礎としております。
 なお、販売実績収益又は将来の販売見込収益が当初見込と比べて大きく乖離した場合、追加の費用計上が必要となる場合があります。

 また、今後、事業環境の変化により保有する市場販売目的ソフトウェアの収益性が著しく低下し投資額を回収できなくなった場合には、一時費用が発生し当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

b.繰延税金資産

 当社グループの連結財務諸表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との間に生じる一時差異に係る税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して、繰延税金資産を計上しております。将来の税金の回収可能予想額は、当社グループの将来の課税所得の見込額に基づき算出されておりますが、将来の課税見込額の変動により、繰延税金資産が変動する可能性があります。

 

c.のれんの減損

 のれんの償却方法については、投資効果の及ぶ期間にわたり、定額法により償却しております。なお、のれんの減損の兆候を識別した場合には、のれんの対象事業の将来キャッシュ・フローの見積りを毎期末実施しております。その結果、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損処理を行う可能性があります。

 

④ 経営上の目標の達成状況について

当連結会計年度の業績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」で述べたとおりとなりました。

また、現ステージにおいては事業の成長を持続することが重要であるとの経営判断に基づき、CAGR(年平均成長率)を重要な指標と位置付けておりますが、当連結会計年度においては2.9ポイント下落いたしました。引き続き、目標とする経営指標を達成できるよう改善に取り組んでまいります。

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