文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは企業理念を「時空を超えてヒトやモノをつなぎ、豊かな社会を創造する」としております。中期経営計画の全体戦略は「新しいICTとAIのソリューション・サービスを提供する企業として、通信事業者及び多様な企業顧客の活動を支え、『音声』に強みをもつリーディングカンパニーとなって成長する」として、既存のインフラ・プラットフォームを軸としながら、特定ベンダーに依存しない先進的なトータルソリューション・サービスの提供を引き続き行ってまいります。
(2)経営戦略等
当社グループでは、これまで提供製品・サービス及びターゲットとなる顧客層を軸に「通信システム・ソリューション(主に通信事業者向け)」「エンタープライズ・ソリューション(通信事業者以外の企業向け)」「保守サポート・サービス」の3つの事業分野に分類しております。近年では、通信事業者ではない企業がIP通信サービスの提供を開始するなど、通信事業者と一般企業の境界があいまいになってきていること、及び当社の提供する製品・サービスが広い顧客層に共通して利用できるようになっていることから、2023年3月期より、「ボイスコミュニケーション」「モバイル通信ソリューション」の2つの事業分野に分類することにいたします。なお、当社の事業が単一セグメントであることは従来より変更ありません。
ボイスコミュニケーションにおいては、世の中の音声通信の殆どがVoIP化され2025年にPSTNマイグレーションが完了する最終フェーズに向けて、大手通信事業者を中心に新規案件及び既設システムの更改・機能強化としてソフトウェアSBC「NX-B5000」の販売を見込んでおります。また、今後は企業向け電話システム市場において、働き方改革、DX推進の流れによるクラウドPBXサービスの契約数が伸びると考えており、当社のソフトウェアIP-PBX「NX-C1000 for Enterprise」やソフトウェアSBC「NX-B5000 for Enterprise」をサービス提供事業者へ販売していく計画です。コンプライアンス用途等でコンタクトセンターへの通話録音や音声認識の引き合いは増えており、現場業務改革ソリューションとして業界特化型の製品・サービス提供によりユーザーの獲得をする予定でおります。
モバイル通信ソリューションにおいては、MVNO提供事業者に対する設備導入やそれに伴う導入支援業務、運用支援を継続する予定です。ローカル5G関連は、各社の実証実験のプロジェクトに参画し将来の事業の柱にすべく、引き続きエクシオグループ株式会社との協業体制にてソリューション提案・導入を進める計画です。また、海外のトレンドに目を向け国内への導入展開をする取り組みも引き続き実施します。
新型コロナウイルス感染症の状況については不透明な状況にありますが、当社グループの通信システムの分野におきましては比較的影響を受けにくいと考えており、引き続きテレワークの推進にも活用できるソリューション・サービスを提供してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの中長期的な見通しにつきましては、経営環境の変化に柔軟に対応し、より現実的な数値目標を設定すべく、毎年、直前事業年度の業績等を踏まえて次年度以降3ヵ年の中期経営計画の見直しを行っております。
依然として事業の成長を持続することが重要であるとの経営判断に基づき、CAGR(年間平均成長率)を重要な指標と位置づけており、今後3年間の中期経営計画についてはCAGR10.8%を見込んでおります。その結果として2025年3月期(通期)の連結業績として、売上高5,100,000千円、営業利益410,000千円、経常利益400,000千円、親会社株主に帰属する当期純利益280,000千円を計画しております。
(4)経営環境
当社グループの主要事業である通信サービス分野においては、大手通信事業者、各種サービス事業者による価格競争や商品及びサービスの差別化、新たな事業者の参入による市場競争は激しさを増しており、各社の製品開発や技術革新に向けた取り組みは、一層加速しています。こうした中、当社グループが創業以来培ってきたボイスコミュニケーションの市場は電話でのコミュニケーションに限定しない、各種サービスと音声の連携の動きがますます広がっており、メタバースのような仮想空間でのコミュニケーション技術や大規模・低遅延・高速通信が可能な5G、さらには6Gの通信基盤の技術革新が進み、当社グループの事業機会は拡大していくものと認識しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
株式会社東京証券取引所の新市場区分の見直しに伴い、移行基準日時点において当社が選択したグロース市場の上場維持基準の時価総額について基準を充たしておりません。当社グループが今後優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。
① 収益力の向上
当社グループの事業における売上規模の拡大と利益率の向上は、今後の業績拡大のための重要な課題であると認識しております。受注拡大に向け、国内外の販売パートナーとの連携により効率的な販路拡大を目指してまいります。
利益率向上に対しては、自社開発ソフトウェアを活用したソリューションの提供により利益率の高いビジネスを進めるとともに、クラウドサービスの販売拡大においては運用効率の最適化を図り、経営管理体制の強化に努め、継続的なコストの見直しと組織体制や事業活動の効率化を推し進めてまいります。
② 新製品の企画開発
通信網のIP化、クラウド化といった技術の進化による市場環境の変化に対応した新しいサービスや新製品の提供を推し進めていくことが重要な課題であります。
当社グループは自社開発ソフトウェアと、国内外のベンダーが既に所有している高い技術・製品及び産学連携による研究開発の成果を組み合わせることにより、変化する顧客のニーズに合致した製品の提供、次世代ネットワーク関連や音声認識といった成長事業分野に対応した新しいサービスや新製品の提供が可能になります。
また、広報活動を通じて当社グループの提供するソリューション・サービスをわかりやすくステークホルダーの方々へ伝えていくことが重要であると考えております。
③ 品質向上に向けた活動
当社グループの創業以来培ってきた通信事業者向けソフトウェア開発においては、通信事業者の厳しいサービス運用基準への適合が要求されるため、品質の確保は当社グループにとって重要な課題であると認識しております。より高いレベルでの品質確保のため独立かつ客観的な立場で判断ができる品質管理担当を設け、全ての開発プロジェクトに品質プロセスを適用し品質の担保に努めております。
④ 働き方改革への対応
当社グループの属する情報通信分野においては、高度化する技術への対応、高度な専門知識を持った技術者の不足等の難題を抱えていることから、人材採用・育成、働き方改革は重要な経営課題であります。
当社グループではかねてから柔軟な働き方に対応した制度の導入や生産性を向上させるための自社ソリューションの活用を実践しておりますが、新型コロナウイルス感染症対策の目的に限らず、育児・介護・自己実現を希望する社員の多様な働き方ができるよう、テレワークの徹底をはじめとした働き方改革を進めております。
当社グループは、ワークスタイル変革・制度改革を推進することで、優秀な人材の採用・育成を進めてまいります。
お知らせ