当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。これに伴い、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して大きく減少しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
各セグメントの事業の内容は、「第1 企業の概況 3 事業の内容」のとおりであります。
当社グループでは、2020年から2030年の10ヵ年計画を視野に入れたうえで、2024年4月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画『SiLK VISION 2024』を公表したことを踏まえ、当連結会計年度より、報告セグメントを、モバイル革命領域を担う「5Gインフラ支援事業」、生活革命領域を担う「5G生活様式支援事業」、生産革命領域を担う「企業・クリエイター5G DX支援事業」に区分変更いたしました。
そして『SiLK VISION 2024』は、当社グループの10ヵ年計画の第1弾として位置づけ、5G時代におけるPlatformer MakerとしてExponential Technology“指数関数的に成長する技術”による事業の拡大を目指すことで、持続可能な社会の実現に貢献しつつ、当社グループが世界的な成長領域と考えるモバイル革命領域、生活革命領域、生産革命領域にフォーカスして経営資源を集中的に投下することで、『SiLK VISION 2024』の最終年度となる2024年4月期での売上高500億円、営業利益50億円の達成に向けた事業展開を推進しています。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の期首より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
5Gインフラ支援事業
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に伴うテレワークや自宅学習の普及などに伴い、オンライン形式の会議や授業、動画視聴・ゲームをはじめとしたリッチコンテンツ及びSNSの利用等、インターネットを介した多くのサービスの利用増加が継続し、固定回線網関連を中心にネットワーク原価は高止まり基調にあります。また、大手モバイル通信キャリアによる格安プランの提供やサブブランドでの展開が独自型MVNOサービス事業者の成長に影響を与える傾向が続いていますが、モバイル市場全体としての成長は続いており、今後も拡大していく見込みです。このような状況のもと、当社グループにおいては、MVNEとしてのMVNO向け支援事業の規模拡大に加え、ISP向け支援事業も原価抑制に努めたことで堅調な実績となり、またインターネット関連事業を支えるクラウド関連サービスをはじめとした一般事業法人向けサービスも堅実に推移しました。
その結果、当セグメントにおける売上高については、「収益認識会計基準」等を適用し、MVNO事業者に対する帯域卸売上の一部を純額計上したこと及び安価なかけ放題サービスの提供を可能にする新音声通話サービスの導入等により9,032,776千円(前連結会計年度比22.5%減)となったものの、サービスの実利用は順調に増加しました。これにより、セグメント利益についてはモバイルの利用帯域増加及び固定網の原価改善等により増加し、1,133,878千円(前連結会計年度比141.3%増)となりました。
5G生活様式支援事業
「5Gインフラ支援事業」で説明したとおり、固定回線網サービス市場においては、ネットワーク原価は上昇しているものの、当社グループの主要サービスの一つである5G Homestyle(集合住宅向けインターネットサービス)においては、高速ブロードバンド環境導入による資産価値や入居率の向上を目的にその導入が着実なものとなっており、テレワークやオンライン授業、動画コンテンツ視聴等の利用がスタンダードなものとして認識されたことから、その規模は今後も拡大していくものと考えられます。また、AIやIoT等のテクノロジーを活用した新たなサービスへの関心度が高く、各種IoT機器を活用することで地域の課題を解決し暮らしに安全・安心等の新たな価値を創出するスマートシティや多様化する生活スタイルに合わせたスマートホームの実現等、新たなサービスの需要も拡大する見込みです。
5G Lifestyle(個人向けのモバイル通信サービスやインターネット関連サービス)では、当社グループが提供する独自のテクノロジーを活用したスマートフォンサービス「トーンモバイル」を通じて、社会問題の解決に取り組み、家族向け見守りサービス「TONEファミリー」や充実したサポート体制など、エンドユーザーのニーズに丁寧に応え、初めてスマホを利用するお子様やティーン、シニア世代、そのご家族にも安心なサービスを提供しています。当連結会計年度においては、これまでのオンライン販売やカメラのキタムラでの店舗販売に加え、株式会社NTTドコモの“ドコモのエコノミーMVNO”に参画したことで、同社が展開する全国のドコモショップ約2,300店舗において「トーンモバイル for docomo」の提供を開始し、2021年12月22日にはiPhone向けSIM「TONE for iPhone」を、2022年2月24日にはAndroid端末「TONE e21 rev.2」を、それぞれ販売をスタートしたことに止まらず、2022年6月1日発売のAndroid新端末「TONE e22」の開発にも注力しました。また、テレビCMやwebCM、ポスター、パンフレットなど、メディアミックスによる広告戦略も実行し、「トーンモバイル」の認知度向上と販売拡大に努めました。
その結果、売上高は21,752,221千円(前連結会計年度比5.3%減)、セグメント利益は戦略投資の実行等により1,333,523千円(前連結会計年度比37.8%減)となりました。
企業・クリエイター5G DX支援事業
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等」でも説明していますが、この報告セグメントを担う株式会社フルスピードの中長期的な成長を目的として、同社の完全子会社化を前提とした株式の公開買付けを行いました。
同社が展開するインターネットマーケティング、アドテクノロジーサービスにおいては、新型コロナウイルス感染症の影響による広告需要の停滞から緩やかな復調にはあるものの、コロナ禍以前の状況には戻っていない状況にあります。そのような環境の中、既存事業においては、アドテクノロジー関連サービスの拡大に注力するとともに、インターネットマーケティング関連サービスであるDSP広告や動画広告市場向けの商材を中心としたインターネット広告サービスの提供に努めました。
また、株式会社フルスピードの公開買付けの目的である中期的な成長のための新規事業への取り組みも始めており、クリエイターが大手プラットフォーマーを介さず自ら情報発信し、その価値を最大化するクリエイター向けプラットフォ―ムによるクリエイターエコノミー(クリエイターが自らのスキルによって収益化をおこなう経済圏)の拡大支援やクリエイターのためのNFT発行支援サービスの提供を開始しました。
その結果、売上高は15,398,777千円(前連結会計年度比1.4%減)、セグメント利益は新規事業への戦略投資の実行等により716,182千円(前連結会計年度比2.7%減)となりました。
以上により、売上高は、前連結会計年度にグループ再編方針に則って遂行した株式会社フリービットEPARKヘルスケア(現株式会社くすりの窓口)、株式会社アルク及び株式会社フォーメンバーズの株式売却によるオフバランス化に加え、当連結会計年度の期首より「収益認識会計基準」等を適用したことで、前連結会計年度と比べて減少しています。また、利益面においては、『SiLK VISION 2024』で掲げた目標達成に向け、当連結会計年度を更なる事業拡大のための戦略投資の実行期と位置付けて投資施策を講じたことで、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が前連結会計年度と比べて減少しています。
その結果、売上高は43,075,732千円(前連結会計年度比17.2%減)、営業利益は3,165,215千円(前連結会計年度比7.0%減)、経常利益は2,878,922千円(前連結会計年度比21.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は827,851千円(前連結会計年度比47.8%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は17,741,256千円となり、前連結会計年度末比で121,694千円増加しました。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、2,333,843千円の収入(前連結会計年度は7,122,982千円の収入)となりました。これは主に、法人税等の支払額が1,461,646千円あったものの、税金等調整前当期純利益が2,671,319千円及び減価償却費が1,022,136千円あったことによるものです。
なお、売上債権の増加及び未収入金の減少の主な要因は「収益認識会計基準」等を適用したことによる組み替えであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、510,690千円の収入(前連結会計年度は2,655,639千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が125,646千円及び無形固定資産の取得による支出が135,773千円あったものの、投資有価証券の売却による収入が824,407千円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、2,731,200千円の支出(前連結会計年度は2,571,925千円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が6,000,000千円あったものの、長期借入金の返済による支出が3,421,117千円、社債の償還による支出が1,400,000千円、自己株式の取得による支出が2,497,445千円及びリース債務の返済による支出が937,278千円あったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、ネットワーク維持費用及びユーザーのネットワーク利用度に応じて発生する費用が費用の大半を占め、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
b.受注実績
当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年5月1日 至 2022年4月30日) |
前年同期比(%) |
5Gインフラ支援事業(千円) |
9,032,776 |
77.5 |
5G生活様式支援事業(千円) |
21,752,221 |
94.7 |
企業・クリエイター5G DX支援事業(千円) |
15,398,777 |
98.6 |
報告セグメント計(千円) |
46,183,775 |
84.3 |
その他(千円) |
- |
- |
消去(千円) |
△3,108,042 |
112.2 |
合計(千円) |
43,075,732 |
82.8 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年5月1日 至 2021年4月30日) |
当連結会計年度 (自 2021年5月1日 至 2022年4月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
D.U-NET株式会社 |
6,451,300 |
12.4 |
6,292,319 |
14.6 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は、5G生活様式支援事業や企業・クリエイター5G DX支援事業が堅調に推移した一方で、前連結会計年度にグループ再編方針に則って遂行した株式会社フリービットEPARKヘルスケア(現株式会社くすりの窓口)、株式会社アルク及び株式会社フォーメンバーズの株式売却によるオフバランス化に加え、当連結会計年度の期首より「収益認識会計基準」等を適用したことで、前連結会計年度と比べて減少し、前連結会計年度比17.2%減の43,075,732千円となりました。
当連結会計年度の営業利益は、今後の当社グループが5G時代におけるPlatformer Makerとしてのポジションを確立すべく、モバイル革命領域のほか、生活革命領域、生産革命領域への戦略投資を実行したことで前連結会計年度よりも減少しましたが、5Gインフラ支援事業、5G生活様式支援事業の5G Homestyle(集合住宅向けインターネットサービス)は順調に推移しました。その結果、前連結会計年度比7.0%減の3,165,215千円となりました。
当連結会計年度の経常利益は、戦略投資の実行及び前連結会計年度に一時的な利益である投資有価証券売却益等が含まれていたことにより、前連結会計年度比21.4%減の2,878,922千円となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、戦略投資の実行及び前連結会計年度にオフバランス化による一時的な特別利益の発生により、前連結会計年度比47.8%減の827,851千円となりました。
なお、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等」で説明しておりますが、生産革命領域で企業・クリエイター5G DX支援事業を展開する上場連結子会社の株式会社フルスピードの株式公開買付けを行いました。今後、法令等で定められた手続きを経て、同社の完全子会社化を行う予定をしております。また、当社グループの当連結会計年度の経営成績の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
② 財政状態の分析
a.資産の部
当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度末比214,176千円増加の35,050,152千円となりました。
これは主に、投資有価証券が709,910千円減少したものの、現金及び預金が119,894千円、原材料及び貯蔵品が191,033千円、リース債権及びリース投資資産が135,452千円、繰延税金資産が127,588千円及び流動資産のその他に含まれている前払金が353,931千円増加したことによるものです。
なお、売掛金(受取手形及び売掛金)の増加と未収入金の減少の主な要因は「収益認識会計基準」等を適用したことによる組み替えであります。
b.負債の部
当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度末比1,323,720千円増加の24,010,945千円となりました。
これは主に、1年内償還予定の社債が1,200,000千円、社債が200,000千円及びリース債務(固定)が247,453千円減少したものの、1年内返済予定の長期借入金が684,268千円、未払金が541,368千円及び長期借入金が1,894,615千円増加したことによるものです。
c.純資産の部
当連結会計年度の純資産合計は、利益剰余金が824,308千円増加したものの、自己株式を2,497,445千円取得したこと等により、前連結会計年度末比1,109,544千円減少の11,039,207千円となり、この結果、自己資本比率は19.6%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に示したとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度末の有利子負債は、15,144,507千円となりました。その内訳は、金融機関からの短期借入金300,000千円及び長期借入金11,963,204千円(1年内返済予定の長期借入金を含む)、社債500,000千円(1年内償還予定の社債を含む)、リース債務2,381,303千円となっております。
有利子負債については、当社及び連結子会社の事業活動により獲得するキャッシュ・フローにより返済を行う考えであります。なお、必要な資金を安定的に確保するため、複数の金融機関と良好な関係を維持しており、内部資金の活用も合わせ、事業活動の維持拡大に必要な運転資金及び設備資金の調達は今後も十分可能であると考えております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積もりを行っておりますが、見積り特有の不確実性に加え、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢悪化の影響、為替や資本市場の変動及び半導体不足などによる原材料価格の上昇等の影響もあり、これらの見積りに基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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