課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

事業の状況において使用する名称の正式名称及びその説明は、下記のとおりであります。

使用名称

正式名称

説  明

5G

5th Generation

第5世代移動通信システムの略称で、次世代通信規格の1つ

クラウド

Cloud Computing

ソフトウェア等をネットワーク越しに利用者に提供する仕組みやそのデータが蓄積・運用されているデータセンターやサーバー群の総称

Cookie

Cookie

WEBサイトを閲覧したときに、訪問者が訪れたサイトや入力したデータ、利用環境などの情報が記録されたファイルや仕組み

MVNO

Mobile Virtual Network Operator

仮想移動体通信事業者

MVNE

Mobile Virtual Network Enabler

MVNOの支援事業者

AI

Artificial Intelligence

計算機(コンピュータ)を用いて、人間の知的行動を研究または行わせる技術

IoT

Internet of Things

モノに通信機能を持たせてモノ同士が相互通信することにより、ヒト が介在することなく自動認識や自動制御などが行える仕組み

DSP

Demand Side Platform

広告主の広告効果最適化を目指すプラットフォーム

NFT

Non-Fungible Token

代替不可能なトークン(印・証拠)。デジタルアート等の著作権の所有権証明などに利用され始めている

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

「Being The NET Frontier!(Internetをひろげ、社会に貢献する)」という企業理念に基づき、インターネットに関わるコアテクノロジーの開発、大規模システムの運用といった技術力の蓄積を強みとして、主に法人向け、個人向けにインターネット関連サービスを提供することとしています。

(2)経営戦略等

中期経営計画『SiLK VISION 2024』の最終年度である2024年4月期での売上高500億円、営業利益50億円の達成に向け、5G時代におけるPlatformer MakerとしてExponential Technology“指数関数的に成長する技術”に取り組み、社会の持続可能性に留意しつつ事業の拡大を実行し、世界的な成長領域と考えるモバイル革命領域、生活革命領域、生産革命領域にフォーカスし経営資源を集中的に投下することにより中期経営計画の達成を目指します。

なお、当社グループは、生産革命領域に位置付けているインターネットマーケティング市場について、後述の「(3)経営環境」でも説明しておりますとおり、市場が過渡期にあると捉えています。そのため、今後も持続的な成長を遂げていくには新たな事業を展開する必要があり、ひいては将来の成長を見据えた先行投資が不可欠であると認識しています。同市場において事業を行う株式会社フルスピードにおいても将来を見据えた先行投資の実行を企図しておりましたが、同社が上場企業として利益を創出しつつ、中長期的な成長への投資を実行していくことは困難であるとの見解に至りました。これにより、2022年4月11日の「株式会社フルスピード株式(証券コード 2159)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」及び2022年5月31日の「株式会社フルスピード株式(証券コード 2159)に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」で公表したとおり、同社の完全子会社化を前提とした株式の公開買付けを行いました。そして、同社の完全子会社化の手続きが終了次第、グループ全体のより一層の事業のDX化・データ連携の強化を促進するとともに、同社のビジネスモデルの再設計、人材リソースの最適化、バックオフィス機能の効率的集約化等を図っていきます。

 

(3)経営環境

当社グループを取り巻く経営環境におきましては、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢悪化の影響に加え、為替や資本市場の変動及び半導体不足などによる原材料価格の上昇に伴う懸念を注視する状況が続いております。

そのような中、当社グループが事業を行う情報通信市場では、テレワークの常態化やクラウド利用の拡大、自宅でのネット動画・ゲームをはじめとしたリッチコンテンツ、SNSの利用増加等により、固定回線網を介したインターネットサービスの利用の高まりに加え、モバイル回線網を介したインターネットサービスの利用者も増加し、通信トラフィックの上昇を主要因とした通信の品質や速度の低下が課題となっています。一方で、集合住宅向けインターネットサービス市場においては、コロナ禍の反動もあって新築物件への敷設戸数が回復基調にあり、既存物件においても資産価値の向上や入居者ニーズへの対応を目的としたインターネット設備の導入需要が高まっており、堅調に推移すると見込まれております。

インターネットマーケティング市場においては、新型コロナウイルス感染症の拡大を起因としたサービス需要停滞からの回復基調にはあるものの、事業参入者の増加に伴う競争の激化に加え、大手プラットフォーマーがサードパーティCookieの廃止を表明したことによる消費者の行動追跡ターゲティング広告運用への懸念が強まっていることから、市場自体が過渡期にあるものと捉えています。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルス感染症によるサプライチェーンの停滞をはじめとする経済活動・国民生活への影響や、国際的な対立や紛争の影響によるエネルギーの供給不足や原材料の高騰、半導体不足や急激な為替の変動など、世界的にいまだ先行きが不透明な状況が懸念されている一方で、インターネットはあらゆる産業及び局面において、改めて重要なインフラであることが再認識されております。近時では移動通信キャリアの料金の大幅な値下げや5Gのサービスの普及など大きな構造の変化も進んでおり、MVNE・MVNOサービスについても個人・法人向けの一般的なデータ通信サービスに限らず多様な利用方法が増えてきました。これらの事業環境は通信事業者の収益獲得のための活動をさらに活発にさせると同時に通信事業者の競争の激化を促進しております。

こうした状況下において、当連結会計年度は3ヵ年の中期経営計画『SiLK VISION 2024』の初年度として、指数関数的に成長する技術による事業の拡大を目指し、持続可能な社会の実現に貢献しつつ、成長領域に経営資源を集中的に投下することを推進しております。

 

(インターネット接続サービスにおける市場環境への対応)

スマートフォンやタブレット端末などの高機能モバイル通信機器の普及によるモバイル通信環境における著しい利便性の向上により、インターネットへの接続がこれまでの固定回線によるものからモバイルデータ通信へと加速度的にシフトしております。また、5Gサービスが全国的に提供されはじめており、各事業者の次世代通信網への対応も進みつつあります。

当社グループでは、このような環境の変化を機敏に捉え、長年のインターネット接続サービスの提供で培ってきたネットワーク技術やノウハウを活用し、ユーザーのニーズを見据えた新たなサービスを開発することにより差別化を図るとともに、AIやBlockchainを活用した様々なサービスを提供することにより得た顧客の意見をサービスに反映することで、サービス向上及び差別化の優れた環境を目指してまいります。

(インターネットマーケティング事業におけるテクノロジーによる差別化)

インターネットマーケティング市場は、景気の変動に比例して広告支出量が変化するため、市場の変化や景気の影響を受けやすい特徴があります。今後も景気の見通しが不透明な中、インターネットマーケティング事業を行う株式会社フルスピードは、この影響を受けにくい事業構造へ転換し、市場における国内外の経済動向や景気変動に大きく影響を受ける広告代理店事業中心の事業から、安定的に顧客に対してテクノロジーによる差別化を図った商品を提供するように努めてまいりました。しかしながら、事業参入者の増加に伴う競争の激化に加え、大手プラットフォーマーがサードパーティCookieの廃止を表明したことによる消費者の行動追跡ターゲティング広告運用への懸念が強まっていることから、市場自体が過渡期にあるものと捉えています。そのため、今後も持続的な成長を遂げていくには新たな事業を展開する必要があり、ひいては将来の成長を見据えた先行投資が不可欠であると認識しています。このような状況から、同社が上場企業として利益を創出しつつ、中長期的な成長への投資を実行していくことは困難であるとの見解に至り、同社の完全子会社化を前提とした株式の公開買付けを行いました。そして、同社の完全子会社化の手続きが終了次第、グループ全体のより一層の事業のDX化・データ連携の強化を促進するとともに、同社のビジネスモデルの再設計、人材リソースの最適化、バックオフィス機能の効率的集約化等を図っていくことで、特徴あるサービスの持続的な提供を目指してまいります。

 

(IoT/AI市場への対応)

インターネットの普及により、通信分野では、これまでの人対人を中心としたものに加え、機器と機器がデータをやりとりするIoTが急激に拡大しています。また、近年AI技術が急速に発達しており、通信とAIの技術が連携することにより、日々新たなビジネス手法が生まれています。これらの技術は新型コロナウイルス感染症が終息した後にも中心的役割を担う可能性もあると期待されています。

当社グループでは、これらの新たな市場において重要な役割を担うべく、グループ内で保有する技術やデータを有機的に管理するように推進し、国内外を問わず多くのパートナー企業との連携を充実させるように努めております。今後、積極的に当社グループの技術・サービスを多くの顧客に提供すべく、新技術に関する営業力の強化、継続的な技術開発による最先端のサービスの提供及び当社グループの技術を保護するための知財関連の強化等を推進してまいります。

(モバイル端末を中心としたモバイル通信網サービスの対応)

MVNE・MVNO事業は、無線通信インフラ(移動体回線網)を有する事業者から借り受けてサービスを提供することになるため、MNOの通信料金値下げはサービス原価の低減になると同時に、他社のMVNE・MVNO事業との差別化が一層困難になると言われています。また、本格的な5Gサービスの開始に伴い、MVNE・MVNO事業者はインフラの提供のみならず、そのインフラ上で提供できる顧客体験が求められるようになってきています。

当社グループでは、長年のインターネット接続サービスの提供で培ってきたネットワーク技術やノウハウを活用し、また、グループ内の様々な付加価値サービスと組み合わせ、新しい仕組みやサービスを提供することにより差別化を図るとともに、より安価で高品質、そして安心・安全に利用できるモバイルサービスを提供できるよう、継続的な技術開発に努めることが必要であると認識しております。グループ内のコンシューマー向けMVNOサービスであるトーンモバイルにおいては、これらの具体的な実施例として、AIやセンサー等を活用した様々なサービスを提供しておりますが、そこで得た顧客の意見をサービスに反映することで、サービス向上及び差別化の優れた循環を目指していきます。

 

(クラウドコンピューティング事業の展開)

仮想化技術を利用したクラウドコンピューティングの市場は近年急速に広がっており、当社グループにおいても大規模仮想データセンターから個人利用目的のパーソナルサーバーまで、様々なサービスを提供しております。

このようなお客様のデータを預かるサービスでは、安定的な運用を行うことにより、顧客との良好な関係維持に努めることが重要です。

一方で、仮想化技術は高度な監視体制、効率的なシステムの冗長化と分散化、新しい技術の継続的な導入が必要な分野であり、人的体制も含めて、継続的な運用や開発体制の強化と改善が必要であると認識しております。

 

(関係会社管理の徹底及び社内管理体制と従業員教育の強化)

当社グループでは、当社のみならず各連結子会社を通じて、インターネットインフラを中心として多岐にわたる事業を展開しており、各社にて新規人員の採用や教育を行っています。人員の交流も積極的に行っていますが、事業の拡大に伴い、さらにグループ全体の管理の徹底及び従業員教育の向上が必要であると認識しています。

そのため、子会社の計数管理の徹底、統一的な監査の実施を通じて適切な子会社管理を行い、グループ内の内部通報制度の周知等を通じてコンプライアンス意識の向上に努めるとともに、企業理念や経営方針、統一的な教育プログラムをグループ各社で共有し浸透させることで、当社グループ社員の連帯意識の強化を図り、グループ会社間の枠に捉われない発展を促してまいります。

また、内部統制の観点でも、金融商品取引法等に基づく財務報告の信頼性を確保するために必要な内部統制の整備や構築等を行ってまいりましたが、さらにグループを通じて、内部統制強化のための連携・改善等を継続的に行っていく必要があると認識しております。そのため、各グループ会社の監査役、内部監査室の連携を促進し、また継続的な従業員教育を通して、コーポレートガバナンスの充実及び法令遵守の徹底にグループ全社をあげて取り組んでおります。

 

 

(新型コロナウイルス感染症の影響について)

当社グループにおける新型コロナウイルスの感染拡大による事業への影響について、個々の事業により夫々影響はあるものの、総合的には当社グループへの影響は限定的であると判断しております。当社グループの主要なサービスであるインターネットインフラは、「アフターコロナ」時代においても新たな需要が見込まれ、事業機会の拡大の可能性があると想定しております。

当社グループでは、顧客、取引先及び従業員の健康と安全を第一に考え、また更なる感染拡大を防ぐために、比較的早い段階から国及び地方自治体の指針に従った感染防止策を徹底してまいりました。従業員の移動を伴う業務の自粛や、社内会議やイベント・セミナー等の集会のオンライン化、テレワーク(在宅勤務)の推進等の対応を行うことで事業への影響の低減を図ることはもちろんのこと、AIやセンサーを駆使した当社独自のアプリ/システムによる従業員の総合的な健康管理に資する就業コントロールを行っております。また、インターネットのインフラを担う企業であるという自負のもと、取引先に対してもオンラインを活用した対策を提言することで、社会経済活動の支えとなるようなサービスの提供を目指しております。

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