当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
企業や行政において、デジタル技術を活用した新規ビジネスやサービスの創出、ワークスタイルの変革などの戦略的経営改革が求められている中で、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の領域における投資はますます加速していくと見込まれております。
当社グループはこの潮流を長期的な成長の機会と捉え、お客様のDXを支援していくだけでなく当社自身も変革していく「コムチュア・トランスフォーメーション(CX)」を掲げ、これからの10年先を見据えた戦略であるグローバルベンダーとの連携強化を主軸に、独自のテンプレートやソリューションを付加価値として組み合わせて導入を支援することで、お客様のビジネスモデル変革の担い手として取り組んでまいりました。
以前よりLotus NotesやSAPなどのプラットフォームをベースにした付加価値の高いシステム構築にいち早く取り組み、時代の変化とともに取り扱うプラットフォームを増やしながら、現在ではAWSやMicrosoft、Salesforce、ServiceNow、Pegaなどのクラウドプラットフォームをベースにしたシステム構築、SASなどのデータ解析ツールを活用したデータアナリティクス、さらにはRPAによる業務の効率化・自動化などDX関連のソリューションの提供に取り組んでおります。これらのDXプラットフォームをベースにしたシステム構築の需要は高まっており、付加価値・収益性の高い提案が実現できております。更には従来の単体のプラットフォームに加え複合型のプラットフォームの提供など、最適なものを組み合わせて提供することで複雑化するお客様のニーズにも対応しております。そのために、より高度なベンダー資格取得の促進と提案力の向上に積極的に取り組み、コンサルティングなどの付加価値の高いサービスの提供にも注力しております。
提案・営業活動においては、オンラインと対面を組み合わせた効率的な営業活動のもと、日々の営業報告はSFAシステムの活用によって経営層を含めタイムリーな情報共有を行うことで、チームでの知恵出しによる提案内容のレベルの向上と営業活動の強化に取り組んでおります。さらには成長領域における新規事業の立上げを加速させるために、社内横断プロジェクトを発足し、顧客ニーズを踏まえたテンプレート化の推進など、次の成長に向け取り組んでおります。
受注環境が好調な一方で、業績確保のためにはエンジニアの人材確保が最優先課題であります。中でも社員の待遇改善は最も大事な課題であり、今期は平均昇給率10%を実施いたしました。また、テレワークと出社を組み合わせたハイブリッドな働き方の促進、小集団活動など自由な研究開発、経営と社員を結びつける場づくりなど、社員とのエンゲージメントの強化に一層取り組みました。
新卒採用における優秀な人材の採用に加え、中途採用は採用エージェントと密な連携を取ることで採用方法の改善を進めるなど、採用活動の強化に取り組んでおります。
また、社員リソースで不足する分については協力会社とコアパートナー化などの戦略的な連携を進め、即戦力エンジニアの優先的な提供を依頼するとともに、成長領域での人材育成支援を行うなど、エンジニアの確保を積極的に進めております。
当社は2022年4月4日に移行した株式会社東京証券取引所の新市場区分について、「プライム市場」を選択いたしました。今後とも、適切な情報開示と透明性を確保し、株主を始めとするステークホルダーのご意見等にも配慮し、コーポレートガバナンスの強化と中長期的な企業価値の向上に取り組んでまいります。
これらの環境変化に対応するための取り組みの結果、当連結会計年度の業績におきましては、DX事業の推進により、売上高は実質的に12期連続の増収、売上総利益は11期連続の増益で過去最高となりました。
(注)2021年3月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を早期適用したため、それ以前の連結会計年度に同基準を適用したと仮定して、売上高を比較しております。
クラウドソリューション事業は、Microsoft社やSalesforce.com社との連携による顧客情報システム構築、また製造業などの大手企業を中心とした社内の情報系システムのクラウド化、業務プロセスのデジタル化に向けたコンサルティングなどの需要の増加により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
デジタルソリューション事業は、金融業向けのアンチマネーロンダリングなどのデータ分析ビジネスの拡大に加え、Google Cloud Platform上での大量なデータを蓄積する環境の構築や整備などのデータマネジメントビジネスの拡大により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
ビジネスソリューション事業は、S/4HANA化などSAP関連ビジネスの拡大や人事系のシステム開発の需要の増加に加え、当社プロダクトをベースにした全銀ネット接続サービスなどの需要の伸びにより、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
プラットフォーム・運用サービス事業は、AWSなどのクラウド環境の構築/移行ビジネスおよびクラウド環境運用などのビジネスの拡大に加え、システム運用業務のアウトソーシングやセキュリティサポートなどの需要の増加により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
デジタルラーニング事業は、Microsoft、Salesforce、ServiceNowなどのクラウドサービスの資格取得のためのDX教育ビジネスの拡大に加え、当期より連結した子会社の寄与により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。
それぞれの事業の範囲は以下のとおりとなります。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は以下のとおりとなりました。
(単位:百万円)
売上高は、DX関連ビジネスへの更なるシフト、プラットフォーマーやツールベンダー各社との連携の強化による営業活動の推進などの取り組みに加え、デジタルラーニング事業の子会社の寄与により前年同期比で19.7%増の12期連続増収となりました。
売上総利益は、提案力の強化やサービス品質・生産性の向上、コンサルティング業務の拡大、成長領域へのシフトなどで一人当たり売上高が5.2%伸長したことに加え、社員満足度向上のための労務費の大幅な増加、事業拡大に伴う外注費の増加などを吸収し、前年同期比で24.5%の増益となりました。
営業利益は、採用や資格取得関連費用などの更なる成長に向けた先行投資に加え、のれん償却額が増加した一方で、テレワークやWeb会議の推進など働き方改革に取り組んだことで通勤費や会議費などが削減され、前年同期比で26.8%の増益となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券評価損の計上などが発生したものの、前年同期比で20.8%増の11期連続増益で過去最高となりました。
また、企業経営の健全性の指標である自己資本比率は73.0%、高付加価値経営の指標であるROE(自己資本当期純利益率)は19.2%となり、健全性と高収益性を両立した経営を実践しております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
各種システムの提案、構築、保守及び運用に係るサービスの提供を行っており、生産実績を定義することは困難であるため記載しておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 当社グループの事業は単一セグメントであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 当社グループの事業は単一セグメントであります。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて2,450百万円増加し、18,934百万円となりました。これは主に、当期純利益の増大により現金及び預金が3,014百万円増加した一方で、減損等により投資有価証券が241百万円、大口案件の売上債権回収により受取手形及び売掛金が198百万円、償却によりのれんが154百万円、それぞれ減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて983百万円増加し、5,113百万円となりました。これは主に、課税所得の拡大により未払法人税等が892百万円、従業員の成果に報いるために賞与引当金が253百万円、取引案件増加に伴い買掛金が191百万円、それぞれ増加した一方で、返済により短期及び長期借入金が純額で370百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて1,466百万円増加し、13,820百万円となりました。これは主に、剰余金の配当1,067百万円を上回る親会社株主に帰属する当期純利益2,517百万円を計上したことによるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて3,014百万円増加し、11,265百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果獲得した資金は、4,420百万円(前期比183.0%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が3,786百万円、賞与引当金の増加が253百万円、投資有価証券評価損が242百万円、売上債権の減少が198百万円、仕入債務の増加が191百万円あった一方、法人税等の支払額が667百万円あったことによるものであります。
投資活動の結果獲得した資金は、31百万円(前期は1,391百万円の使用)となりました。これは主に、差入保証金の回収による収入が53百万円あった一方で、有形固定資産の取得による支出が24百万円あったことによるものであります。
財務活動の結果使用した資金は1,437百万円(前期比76.7%増)となりました。これは主に、配当金の支払額が1,066百万円、短期及び長期借入金の返済が純額で370百万円があったことによるものであります。
資本の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度末において総資産のおよそ6割の手元資金を保有していることから、十分な財源及び高い流動性を確保していると考えております。なお、本報告書提出日現在において、重要な資本的支出または重要な買収等の予定はありません。
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