業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、感染力が強いとされるオミクロン株による感染の再拡大などの影響もあり、前期に引き続き新型コロナウイルス感染症の流行が長期化し、これに伴う数度の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、経済活動が大きく制約される状況が継続しました。本感染症の収束時期は不透明ではありますが、ワクチン接種率の増加による新規感染者数の減少及び感染予防策を講じた外出規制の緩和に伴い、社会経済活動の正常化への期待感は高まっている状況であります。

 このような状況のもと、当社グループは、在宅勤務やWEB会議といった新型コロナウイルス感染拡大防止のための取り組みを継続しながら、軸となるコンテンツ事業とコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業の二つの事業活動の推進に努め、外部企業との提携による新たな事業機会の創出にも取り組んでまいりました。

 この結果、当連結会計年度における売上高は2,627,011千円(前年同期比15.0%減)、営業利益は162,166千円(前年同期は151,982千円の営業損失)、経常利益は259,597千円(前年同期は13,364千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は252,959千円(前年同期は73,312千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

 

<コンテンツ事業>

 デジタル絵本アプリにおける新作絵本の配信に加え、「森のえほん館」に関しては著名人とのコラボレーション絵本配信やJ1リーグサッカークラブ「ジュビロ磐田」を運営する株式会社ジュビロとの絵本共同制作に関する協業の開始、「なないろえほんの国」ではSDGsを扱った絵本シリーズの配信等を始めとして多数の企画を実施いたしました。また、ICT教育の需要の高まりに応えるべく、有信アクロス株式会社がフランチャイズ展開する障がい児向けの放課後等デイサービスにおいて、当社グループの知育アプリを搭載したタブレット端末の提供に向けたテストマーケティング等を開始いたしました。

 さらに、クリエイターの作品発表の機会提供・デジタルコンテンツの価値向上を目的に、近年デジタル資産管理の新しい手法として注目を集めているNFT(※)を活用した新しい取り組みを進めております。一例として、UUUM株式会社の100%子会社でありNFTプラットフォーム事業を展開するFORO株式会社(現NUNW株式会社)との業務提携を行い、当社グループが運営するクリエイター支援プラットフォーム「CREPOS」を活用した「CREPOS NFT支援プログラム第1弾」の本格始動を発表し、さまざまなクリエイターの新たな作品発表の場として活用いただいております。

 Challet(チャレット)事業では、企業向けサービスであるChallet for businessの機能改善、拡充に力を入れております。

 これらの結果、コンテンツ事業の売上高は301,076千円(前年同期比8.3%増)、セグメント利益は86,857千円(前年同期比86.6%増)となりました。

 

※NFTはNon Fungible Token(代替不可能なトークン)の略称で、対象の所有情報や取引履歴などの識別情報をブロックチェーンに記録し、改竄不能にする技術です。したがって、従来のデジタルコンテンツとは異なり、デジタルデータでありながら唯一性・希少性を持たせることができるという特徴を有しており、NFTはデジタル資産管理の新しい手法として近年注目を集めております。有形物だけでなく、無形物であるデジタルデータでも所有の証明ができるNFTは、今後も幅広い分野に広がっていくことが予想されます。

 

<コンテンツクリエイターサービス(CCS)事業>

 CCS事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による企業活動の停滞がややみられる一方で、コロナ禍によるDX化の推進等によって受注の回復がなされたことにより、稼働率は高い水準で推移いたしました。採用につきましては、ワクチン接種後の経済回復の期待感や、新型コロナウイルス感染症の影響で増えたオンラインでの採用活動が企業の採用プロセスとして定着したことにより、当社グループ内においても緩やかに雇用の回復が進みました。また、コロナ禍という未曽有の事態と終息後を見据え、子会社の吸収合併を実施するなど組織体制を変更し、事業効率の向上やコスト削減に努めました。

 今後も社会情勢や企業動向を鑑みながら、外部企業との提携を含めた事業活動を積極的に進めてまいります。

 これらの結果、CCS事業の売上高は2,325,935千円(前年同期比17.3%減)、セグメント利益は330,065千円(前年同期比904.6%増)となりました。

 

(注)製品名及びサービス名は商標又は登録商標です。

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて159,997千円増加し、635,310千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動におけるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は129,216千円(前年同期は1,970千円の獲得)となりました。これは主として、未払消費税等の減少額100,789千円により資金が減少した一方、売上債権の減少額77,181千円、税金等調整前当期純利益260,246千円の計上により資金が増加したことによるものであります。

(投資活動におけるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は14,971千円(前年同期は1,382千円の使用)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出10,772千円により資金が減少した一方、貸付金の回収による収入11,791千円、敷金及び保証金の回収による収入22,337千円により資金が増加したことによるものであります。

(財務活動におけるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は15,809千円(前年同期は194,539千円の獲得)となりました。これは主として、長期借入金の返済による支出33,360千円により資金が減少した一方、新株予約権の行使による株式の発行による収入50,400千円により資金が増加したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は次のとおりであります。なお、生産実績及び受注実績については、販売実績と重要な相違がないため、記載しておりません。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

コンテンツ事業(千円)

301,076

8.3

コンテンツクリエイターサービス事業(千円)

2,325,935

△17.3

合計(千円)

2,627,011

△15.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値ならびに報告期間における収益・費用の報告数値に対して、過去の実績や状況に応じて合理的な見積り及び判断を行っております。

 なお、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.2022年3月期連結業績予想と実績に関する分析

新型コロナウイルス感染症の影響下におけるエンジニアの採用抑制により売上高が減少しましたが、コロナ禍のDX化の推進等に伴う受注回復の状況を受け、当社グループのエンジニアの稼働率が安定的に上昇したことによる営業利益の増加などから、2021年5月14日公表予想に差異が発生いたしました。

 

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属

する当期純利益

2022年3月期予想(百万円)

2,924

116

164

114

2022年3月期実績(百万円)

2,627

162

259

252

増減率(%)

△10.2

39.7

57.9

121.0

 

 

b.財政の状態

当社グループの財政状態につきましては、次のとおりであります。

(資産)

 流動資産は、前連結会計年度に比べて111,011千円(10.6%)増加し、1,154,493千円となりました。これは主として、受取手形及び売掛金が77,181千円、仕掛品が1,037千円減少する一方、現金及び預金が159,997千円、未収還付法人税等が13,410千円、前払費用が11,354千円、未収入金が3,335千円増加したことによります。

 固定資産は、前連結会計年度に比べて28,140千円(58.8%)減少し、19,706千円となりました。これは主として、有形固定資産が9,815千円増加する一方、投資その他の資産が37,956千円減少したことによります。

 以上の結果、資産合計は、前連結会計年度に比べて82,871千円(7.6%)増加し、1,174,200千円となりました。

(負債)

 流動負債は、前連結会計年度に比べて183,021千円(35.1%)減少し、337,770千円となりました。これは主として、未払金が15,717千円増加する一方、買掛金が8,496千円、未払消費税等が100,789千円、未払法人税等が56,994千円減少したことによります。

 固定負債は、前連結会計年度に比べて33,380千円(23.6%)減少し、108,136千円となりました。これは主として、長期借入金が33,360千円減少したことによるものであります。

 以上の結果、負債合計は、前連結会計年度に比べて216,402千円(32.7%)減少し445,907千円となりました。

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度に比べて299,273千円(69.8%)増加し、728,293千円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益252,959千円を計上したことによるものであり、自己資本比率は61.8%となりました。なお、2021年7月の欠損補填を目的とした減資により、資本金が1,216,394千円、資本準備金が1,216,394千円の減少があった一方で、利益剰余金が2,029,965千円、また新株予約権の行使により資本金が25,550千円、資本剰余金が25,550千円増加したことによるものであります。

 

c.経営成績の分析

 当社グループの経営成績の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当社グループのキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要のうち主なものは、労務費及び採用教育費であります。労務費及び採用教育費については、主に自己資金により調達することを基本としております。

 また、グループ会社ごとの戦略に応じてその達成を迅速に進めるためにM&A等を含めた投資を行うことも視野に入れており、資金需要の発生が見込まれます。

 これらの資金需要により、新株の発行や資金の借入を実行する可能性があります。

 

 

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