(1) 経営成績等の状況の概要
再生可能エネルギー市場では、米政権の「パリ協定」*1への復帰や主要各国におけるカーボンニュートラル*2宣言など、世界的に脱炭素化の動きが活発化しております。2021年11月開催の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の成果文書「グラスゴー気候合意」*1においても、地球環境温暖化への危機感が改めて確認されました。気候変動対策への意識の高まりから、持続可能な開発目標(SDGs)*3との両輪で、温暖化ガス排出目標(SBT*4)の取得、RE100を目指す企業や自己託送方式による安価な再エネ調達を模索する企業など、温室効果ガスを排出しないエネルギーの導入に前向きな企業が増えております。金融市場でも、投資先企業の環境・社会課題への取り組みなどを考慮するESG投資の拡大や、グリーンファイナンスの普及など、気候変動課題に取り組む企業が投融資の面で評価されると共に、投資家や金融機関等が投融資先の企業活動をモニタリングする必要から、気候変動対策を含む非財務情報の開示要請が国際的に高まっております。
国内市場では、2050年カーボンニュートラル*2宣言に続き、2030年度の温暖化ガス排出を2013年度比で46%削減、さらに50%削減を目指す政府目標のもと、「第6次エネルギー基本計画」(2021年10月 閣議決定)では、主力電源として、再エネ導入に最優先で取り組む方針が示されました。2050年カーボンニュートラル*2は、「改正地球温暖化対策推進法」(2022年4月施行)の基本理念とされ、地方公共団体における再エネ利用促進の目標設定等が今後進む見込みです。さらに、政府の「クリーンエネルギー戦略」では、技術革新や研究開発によるグリーントランスフォーメーション(GX)を始め、インフラ面で欧州に遅れを取る次世代型送電網の整備やカーボンプライシングの導入等、炭素中立型社会の実現に向けて、今後も再エネ導入を巡る投資が継続する見通しです。また、東京都では新築建物に原則として、太陽光パネルの設置を義務付ける方針や、使用済み太陽光パネルの利活用に向けた協議会が立ち上げられるなどの動きが出ております。
このような外部環境のもと、当連結会計年度においては、ベトナム法人のVSUN社が営む太陽光パネル製造事業、WWB株式会社、株式会社バローズが主に担うグリーンエネルギー事業が、連結業績を大きく牽引いたしました。太陽光パネル製造事業を営むVSUN社にて、コロナ禍やウクライナ危機等に伴う影響を考慮し、段階損益は当初予想の各数値を据置きとしつつ、当初計画を大きく超過する欧米市場等からの受注増を受けて、通期連結売上高を当初予算の350億円から924億円へと大幅な増収となり、年次決算と同時発表にて、連結売上高の上方修正を発表しております。
製造用部材価格の値上がりや、世界的なコンテナ不足等を背景とする海上輸送費の高騰化により、主力の太陽光パネル製造事業が一時セグメント赤字となりましたが、部材調達価格の交渉や調達先の見直し、更なる生産効率化等によるコスト改善、客先への価格転嫁交渉等を行い、第2四半期以降はセグメント利益も大きく改善しております。なお、当連結会計年度は中期経営計画(2022-24)の初年度に当たりますが、連結売上高について2024年度計画数値を既に前倒し達成する状況となったことから、同計画の見直し中であり、速やかに見直しの発表を行う予定です。
VSUN社については、資金調達手段の多様化、ブランド向上等のため、ベトナム「UPCoM店頭市場」への株式上場について昨年より準備を進め、株式上場の前提条件として必要となるベトナム証券取引法における公開会社制度への登録について、ベトナム当局へ必要書面の提出等を行い、当局の審査中となっております。株式公開制度への登録は、株式上場の前提となる手続きですが、本件の審査終了後、ベトナム「UPCoM店頭市場」を想定しての株式上場に向けて鋭意取り組み、早期実現にグループとして尽力してまいります。
グリーンエネルギー事業においては、太陽光発電所及び太陽光発電設備に係る物品販売を継続したほか、安定収益確保のため、太陽光発電所を保有する企業等へのM&A実行により、近年、重点施策としている自社保有化を更に推進いたしました。当連結会計年度は、2030年グループビジョン(保有発電容量:1GW)を達成するための助走期間と位置付けていますが、約3年前より本格的に取り組んできたストック型ビジネスモデルへの転換が徐々に功を奏し、安定収益源としての売電収入及びO&M収入は26億5千万円を計上する運びとなりました。なお、過年度における太陽光発電所工事請負契約に関する工事受注者との合意に基づく収受金10億2千万円は特別利益に計上しております。
資金調達面では、2021年12月、再生可能エネルギー関連事業基盤拡大のため、セカンダリー市場での太陽光発電所の取得資金、及びグループのバーディフュエルセルズ合同会社における次世代エネルギー関連の研究開発のため増資を実行し、総額775百万円を調達しております。同研究開発は、太陽光電力を貯蔵して7日間連続給電を可能とするオプションを2024年に太陽光パネルと同価格での提供等をビジョンとするものであります。
また、当社は、産業機械関連事業における製粉製造設備、配合飼料製造設備の製造販売等を営む明治機械株式会社の普通株式を金融商品取引法による公開買付けにより取得すると共に、資本業務提携契約を締結いたしました。同社は、製粉・飼料設備の製造・販売を通じて営業基盤を確立しているため、双方の営業基盤を活用した事業展開が可能となり、脱炭素化社会を志向する太陽光発電事業に関しても実績・知見を有していることから、ソーラーシェアリングシステム*5の販売拡大、東南アジア全域を対象とした機械装置の販売拡大、光触媒活用による安全かつ衛生的な養豚・養鶏場の運営に関してシナジーが見込めるとの共通認識に至ったものです。当社は、明治機械株式会社が企業価値を向上させていくには、同社の独自の企業文化、経営の自主性が重要との認識に立ち、同社株式の上場を維持し、持分法適用関連会社と位置付けております。現状の上場会社としての自主的な経営を尊重しつつ、双方の連携を深めながら、シナジーの効果的な発現のため、具体的な取り組みを推進してまいります。なお、当社グループの当連結会計期間における連結業績には、明治機械株式会社の持分法適用に伴う利益は計上しておらず、2023年6月期第1四半期からの取り込みを予定しております。
以上の結果、当連結会計年度において、売上高は92,435百万円(前期比243.6%増)、営業利益は1,697百万円(前期比24.7%増)、為替差益(406百万円)、支払利息等の営業外損益を控除後の経常利益は1,510百万円(前期比19.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は867百万円(前期比61.3%増)となりました。セグメント毎の経営成績については、次の通りです。
1.太陽光パネル製造事業
世界の太陽光パネル市場においては、中国企業が上位を占めるなかで、グループのVSUN社は日系資本の世界的な太陽光パネルメーカーへと成長し、世界モジュールメーカーランクにおいて、日系トップクラスに位置しております。VSUN社は、ベトナムのバクザン省及びバクニン省に自社工場を有し、ドイツ、中国、米国及び日本に販売支社機能を持つ拠点を配置することにより、各エリアにおける最新の需要動向を把握すると共に、統合的な管理体制を整備しております。グループ内に、パネル製造機能を持つことは、同業他者には見られない当社グループの大きな強みであり、太陽光発電に係るグローバルなサプライチェーンを形成し、垂直統合型のワンストップソリューションを展開する原動力となっております。
VSUN社は、再生可能エネルギーの世界的な需要拡大を受けて、主に産業用・家庭用太陽光パネルの欧州向け販売で業績を拡大させてきました。米政権交代の前後からは、米国市場へのパネル販売が伸長し、最近では、南米からの受注が入るようになるなど、欧米市場等からの受注が、当初計画時に想定していた水準を大きく超えて推移いたしました。他方で、ベトナム現地でのコロナ禍の広がりや、中国(上海)のロックダウン発生のほか、ウクライナ危機等が複合的に発生する状況となり、製造原料となる部材価格、コンテナ運賃の高騰化等によるコスト負担が発生いたしました。このような大変厳しい経営環境に対して、仕入れ部材の確保を図りながら、部材調達価格の交渉や調達先の見直し、更なる生産効率化等でのコスト改善、客先への価格転嫁交渉等により、第2四半期以降の利益改善にグループとして注力いたしました。
グローバルサプライチェーン戦略と日本発の品質管理体制のもとで、先進的な自動生産ラインを完備するVSUN社の事業実績が評価され、英国グローバルメディアのAPAC Insiderが授与するAPACビジネスアワードにおいて、「Best International PV Solar Manufacturer-Asia Pacific」賞を受賞しております(2022年1月20日公表)。太陽光モジュールの信頼性・性能試験機関のPV Evolution Labs(PVEL)からは、モジュールの信頼性に関する調査結果を纏めた報告書「PVモジュール信頼性スコアカード」(2022年度版)において、昨年に引き続き、「トップパフォーマー(Top Performer)」の一社に認定されております(2022年5月30日公表)。「PVモジュール信頼性スコアカード」は、PQP(製品認定プログラム)に基づき、独立した立場から信頼性とパフォーマンスの各種データを提供するもので、「トップパフォーマー(Top Performer)」の認定は、モジュールメーカーの品質確保への取り組みを示し、VSUN社の製造実績と、研究開発・技術革新に基づく製品品質が外部評価を得たものと認識しております。
VSUN社のパネル製造能力については、2021年5月、第3工場に係る設備投資の実行により(年間生産能力1GW、総投資額12百万米ドル)、稼働後の年間製造能力は2.6GWへと拡大しております。昨今の受注・販売状況に鑑みて、2024年度を最終年度とする中期経営計画内においても、更なる設備投資((仮称)第4工場)を実行していく予定です。また、期中において、国内金融機関(香港支店)から短期運転資金として5百万米ドルの資金を調達しておりますが、VSUN社の成長をグループとして支援する観点から、今後も国内の金融機関を通じた資金調達について継続的に検討してまいります。
以上の結果、売上高は 81,775百万円 (前期比 289.2%増 )、セグメント利益は 1,238百万円 (前期比 69.3%増 )となりました。
2.グリーンエネルギー事業
当社グループでは、低圧発電所を中心とした太陽光発電所の販売、太陽光パネル、PCS、産業用及び住宅用の蓄電池等の太陽光発電設備に係る物品販売をフロー型のビジネスとして行いつつ、近年では、売電収入を原資とする安定収益確保のため、太陽光発電所の完工後も継続して保有するストック型のビジネスモデルを積極的に推進しております。これをさらに前へ推進させるべく、太陽光発電所の自社保有化と物件仕入れ能力の増強を主な目的に、M&Aを積極的に実行しております。具体的には、グループの株式会社バローズは、株式会社カンパニオソーラーが保有する主に九州地方に所在する太陽光発電所を一括取得しております(初年度通期売電収入:約1.6億円見込)。グリーンエネルギー事業の主軸企業であるWWB株式会社は、株式会社ジャパン・ソーラー・パワーの買収を通じて、石川県、島根県に所在する太陽光発電所を取得したのに続き(初年度通期売電収入:約1.2億円見込)、産業用太陽光発電事業の一層の伸長とリソース増強のため、日本ライフサポート株式会社から産業用太陽光発電事業等に係る連系済低圧発電所、仕掛品、人員リソース等を事業譲受しております(初年度通期売上:約17億円見込)。さらに、宮城県内に所在する14発電所の一括取得を目的として、自然エネルギー等による発電事業及び当該管理・運営並びに電気の供給、販売等に関する事業を営む日本未来エナジー株式会社、J.MIRAI株式会社を買収いたしました(初年度通期売上:約5.8億円見込)。
稼働案件については、角田市太陽光発電所を始め、福島市大波太陽光発電所、花畑太陽光発電所、湖西市太田ソーラーパーク、宮之浦太陽光発電所、勝間太陽光発電所、高梁太陽光発電所、国東太陽光発電所、及び風力発電所(陸上小型・北海道檜山エリア)のほか、当事業年度から稼働を開始した河口湖太陽光発電所(2021年7月稼働、初年度通期売電収入:約6千万円見込)、長嶺ソーラーパーク(2021年11月以降順次連系、初年度通期売電収入:約1.7億円見込)、那珂市太陽光発電所及び蔵波太陽光発電所(2022年3月稼働、初年度通期売電収入:約1.1億円見込)、神戸市太陽光発電所(買収案件)等から売電収入を収受しております。また、建設工事中で開発過程にある大和町・大衡村太陽光発電所(2022年12月以降連系予定、初年度通期売電収入:約5.3億円見込)などについて、計画的に建設工事を推進しました。
O&M収入も安定収益源として定着し、WWB株式会社の実績に加え、株式会社バローズエンジニアリングにおいて、落雷対策に効果のあるアース線配線、施設内カメラの設置によるセキュリティの確保、RPAシステムを通じた異常点探知等のシステム完備により、本事業を引き続き推進しました。その他、気候変動問題に関する経営戦略・対応の開示(TCFD*6)や脱炭素に向けての目標設定(SBT*4、RE100)など、企業の脱炭素経営の動きが顕著となり活発化しているため、脱炭素経営に対するソリューションの企画・提案力の強化を図ると共に、NONFIT申請や農業シェアリング案件などの積極的な推進を図っております。
海外事業では、ベトナム、カンボジア、インドネシア、スリランカ、台湾等の東南アジアにおける旺盛な電力需要に対して、現地企業・総合商社との合弁等による事業参画のほか、環境省実施の2019 年度「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)資金支援事業のうち設備補助事業」*7の公募案件の採択を受けて、カンボジア国内において日本政府の協力のもと、WWB株式会社は本案件を推進しております。その他、再エネ投資やモジュール生産を中心に積極的な提案を行い、パキスタン政府の再エネ普及に対しても事業を通じた貢献を行ってまいります。また、WWB株式会社は、ホテル三日月グループ様が運営されている、複合型リゾート「ダナン三日月ジャパニーズリゾート&スパ / Da Nang Mikazuki Japanese Resorts & Spa」に、設備容量約1MW相当(年間想定電力量:1,444,128MWh)の屋根設置型 太陽光発電設備のEPC事業を担い、グランドオープン後から電力供給が開始されております。当該設備にはVSUN社製造の太陽光パネルが搭載され、ホテル、スパ施設の約35%に相当する電力供給を想定しております。
ファイナンス面については、脱炭素化への取り組みとこれまでの事業実績が評価され、第3四半期に、再生可能エネルギー発電設備の発電容量をKPI(評価指標)とし、サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)への達成度に応じて金利スプレッドが調整されるSDGs *3リーダーズローン契約締結により、WWB株式会社は運転資金5億円を調達しております。
以上の結果、太陽光発電所の販売及び部材に係る物販7,448百万円、売電及びO&M収入2,651百万円、その他134百万円を計上し、売上高10,234百万円(前期比92.7%増)、セグメント利益1,204百万円(前期比19.7%増)となりました。
3.IT事業
企業によるDX投資、5Gサービス、クラウドを活用したSaaSがIT市場で注目されており、IoTの浸透によって収集したビッグデータをAIで解析のうえ、業務効率・予測精度を向上させ、単純作業の効率化や人間への提案に転化するなど、新たな事業機会が創出されております。このような市場環境のなか、グループのAbit株式会社では、ナレッジ(情報・知識・経験) の共有や業務プロセスの再構築による労働生産性の向上を目的とした自社製品「KnowledgeMarket®」、Microsoft パートナーとしてMicrosoft 365を活用したDX支援サービス、その他RPA製品を活用した効率化・省力化サービス等のほか、IoTを駆使したデータ計測から最適解を導出する支援等を実施しました。
また、グリーンエネルギーの供給やRE100の推進等に関連して、SDGsを志向する企業・自治体等のニーズについては、グリーンエネルギー事業、及びヘルスケア関連の各事業との連携を図り事業を推進しました。
同グループの株式会社デジサインでは、強みであるデータセキュリティ技術を活かしたシステム開発や企業のデジタル化/DX支援を進める中で、各種プロフェッショナル人材の紹介サービスを開始しました。また、データセキュリティを啓発するためのオウンドメディア『情報資産管理マガジン』とセキュリティ系商材を中心としたECサイト「Johoいっちば」をオープンいたしました。ビジネスニーズとのマッチング創出を通じ、多くのソリューションを展開/提供していけるよう推進してまいります。
以上の結果、売上高292百万円(前期比375.4%増)、セグメント利益7百万円(前期比54.0%減)となりました。
4.光触媒事業
グループの日本光触媒センター株式会社は、ISO認証を取得した光触媒製造の自社工場(佐賀県武雄市)を有しており、光触媒の働きにより菌・ウイルス成分を分解・除去し、消臭、大気浄化のほか花粉にも作用して付着物近くの空間浄化等の光触媒効果が長く持続する光触媒剤とその関連製品を製造販売しております。同社は、近年、大手不動産、総合商社、ホテル、大型イベント会場、病院・介護施設等を対象に、温室効果ガスを排出しない“未来の街づくり”や、皆様の生活を支える感染症対策としての「光触媒LIFE」事業を推進しております。本事業は、新規加盟店への研修・サポート体制完備のもとで、フランチャイズ・代理店制度を採用し、加盟店はこれまでに100社を超過しております。
同社が製造する光触媒は、可視光を吸収して接触する有害物質等を分解する可視光応答型の光触媒で、水と酸化チタンを主成分とする安全性と光触媒効果の持続性に大きな特長があります。可視光応答型光触媒に関しては、新型コロナウイルスの不活化が確認されたとの報道や、抗菌ニーズの高まりから、日常生活においても光触媒の利活用を目にする機会が増えております。同社では、コロナ禍の早い段階から抗菌・抗ウイルス製品「blocKIN」を自社開発したのに続き、後継のハイライン製品として、銀イオン配合の「blocKINハイパー」を市場投入しております。また、都市SDGs *3 への貢献として、周辺の浄化機能、美観維持等の光触媒効果が持続する点を応用し、建設現場において使用されている「囲い板」の有機系シート素材に光触媒コーティングを可能とする技術を共同で特許化しております。
2022年3月には、アネスト岩田株式会社及び同子会社の株式会社A&Cサービスとの業務提携を行い、スプレーガン等の施工用機材の活用、光触媒の抗菌効果等が持続する高い触媒性能と共に、確立された施工方法の提供による、“3つの品質”を強みに、皆様の安心・安全を支える事業の推進により、持続可能な社会の実現に今後も一層貢献してまいります。
また、これからのライフスタイルマーケットを提案する国際見本市「インテリア ライフスタイル 2022」において、抗菌・抗ウイルス製品「blocKIN」(ブロッキン)各種出展を行うなど、同製品の更なる普及の販促活動を行いましたが、コロナ禍の一時的な落ち着きが見られた状況などを受けて、光触媒事業の業績低迷の一因となりました。
以上の結果、売上高80百万円(前期比54.8%減)、セグメント損失17百万円(前年同期はセグメント利益32百万円)となりました。
現況におきましては、明治機械株式会社とのシナジー効果として、ソーラーシェリングシステムの販売拡大、東南アジア全域を対象とした機械装置の販売拡大、及び光触媒活用による安全かつ衛生的な養豚・養鶏場の運営等を想定しており、当社グループと明治機械株式会社との間で協議を重ね、一定施策については実行段階へと移行しております。また、アメリカ企業との特定案件に係る商談を進めるなど、積極的な海外事業の展開を企図しております。
(文中注釈)
*1 「パリ協定」(2015年、COP21)とは、京都議定書(1997年、COP3)に代わる地球温暖化対策の国際ルールをいう。産業革命前からの気温上昇を2度より十分低く保つと共に、1.5度以内の努力目標を掲げる。「グラスゴー気候合意」(2021年、COP26)においては、温暖化被害の多い2度よりも1.5度を重視して排出削減に向けた取り組みを進めることを確認した。
*2 カーボンニュートラルとは、地球全体の温室効果ガスの排出量と、地球全体の森林等による吸収等の量をイコールとすることによって、さらなる地球温暖化を防止していくことをいう。世界各国でカーボンニュートラルが宣言されるなか、日本政府は2020年10月、積極的な温暖化対策が産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長に繋がるとして、2050年カーボンニュートラルを宣言した。
*3 SDGs とは、2015 年国連にて全会一致で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」であり、2030年を目標年度とする国際的な共通目標をいう。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成される。
*4 SBTとは、パリ協定が求める水準と整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減目標をいう。
*5 ソーラーシェアリングシステムとは、ソーラーシェアリングを前提とした太陽光発電設備のことをいう。ソーラーシェアリングとは営農型太陽光発電をいい、農地に支柱を立てて上部空間に太陽光発電設備を設置し、太陽光を農業生産と発電とで共有する取り組みをいう。
*6 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures)は、G20の要請を受けて、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するため設立された組織をいう。TCFDは企業等に対して、気候変動関連リスク、及び機会に関する特定の項目について開示することを推奨している。
*7 「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism: JCM)資金支援事業のうち設備補助事業」とは、優れた低炭素技術等を活用し、途上国における温室効果ガス排出量を削減する事業を実施し、測定・報告・検証(MRV)を行う事業をいう。途上国における温室効果ガスの削減と共に、JCMを通じて我が国及びパートナー国の温室効果ガスの排出削減目標の達成を目的に優れた低炭素技術等の初期投資費用の2分の1を上限として補助される。
(中期経営計画の策定について)
再生可能エネルギーの中核的グローバル企業を目指す2030年グループビジョンのもと、当社グループでは、①保有発電容量1GW、②年間製造目標8GWを成長戦略の柱と位置付けております。「中期経営計画(2022-24)」は、それを達成するための助走期間と位置付け、太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業を成長軸に据えつつ、太陽光発電所の自社保有化を図るストック型モデルの推進、セカンダリー市場における発電所取引、カーボンフリー事業、光触媒事業、IT事業、及び自己資本比率の向上等を重点分野としております。また、当連結会計年度における業績推移に鑑みて、同計画の見直しを行っております。
(英文開示の拡充・強化)
当社グループは、自社の株主及び将来の潜在的な海外機関投資家との間で、開示・提供される情報が建設的な対話を行う上での基盤になるとの認識に立ち、ディスクロージャー拡充のため、合理的な範囲において、英語によるIR情報の開示・提供を進めております。その一環として、第2四半期連結会計期間(中間)において、「(Abalance グループ)2022年6月期第2四半期決算(中間)、及び今後の見通し」に係る開示・動画公開による決算説明会に続き、英語による開示・動画公開*8を行っております。今後も英文開示書類・資料の範囲を適切に判断し、その拡充に努めてまいります。
*8 Announcement of Financial Results Briefing for the Second Quarter of the Fiscal Year Ending June 30,2022 (Video with English support)
(社会・環境課題をはじめとするサステナビリティに関する取り組み)
当社グループは、金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD*5)への賛同を表明すると共に、同提言に賛同する企業や金融機関等から構成されるTCFD*5コンソーシアムに参画しております。気候変動等の地球環境問題等に係るサステナビリティへの対応は非常に重要性の高いテーマであるものと認識し、今後も気候変動への対応に係る情報開示の拡充に努めてまいります。
(社会・環境課題に関する近年の取り組み)
持続可能な開発目標(SDGs)との関連では、当社グループは、「安全・安心」でクリーンなエネルギーを提供し続けることを通じて、SDGs7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)、SDGs11(住み続けられるまちづくりを)、SDGs13(気候変動に具体的な対策を)を中心にコミットしております。また、光触媒事業等のヘルスケア関連の事業において、SDGs3(すべての人に健康と福祉を)についても積極的に取り組んでおります。
(SDGsに関する近年の取り組み事例)
・再生可能エネルギーに係る事業実績(累計):3,440MW、CO2排出削減量約200万トン(VSUN社の太陽光パネル製造、及びWWB株式会社、株式会社バローズによる発電所の販売・保守管理、開発予定の案件を含む)。
・台風による各地の被災・停電等の発生を受けて、折り畳み式軽量のポータブルバッテリー「楽でんくん」をリリース(WWB株式会社が自社開発、熊本県人吉市、宮崎県えびの市、小林市、宮城県角田市、大衡村等へ寄贈)。
・光触媒の塗布により殺菌・防虫効果のある、発電するビニールハウス「Maxar® EneZone」等の開発による営農と食の安心・安全確保への貢献(WWB株式会社、日本光触媒センター株式会社)。
・次世代エネルギーを担うと期待される水素を活用したエネルギー貯蔵システムの開発(バーディフュエルセルズ合同会社)。
・太陽光パネルの廃棄問題に対する貢献、資源の有効活用のため、リサイクル・リユース事業に着手(PV Repower株式会社)。
・福島第一原発事故の発生時に寄贈協力を行った三一重工製、大型コンクリートポンプ車(大キリン)に係る交換部品の無償提供、技術協力を実施。近年では、東南アジアへの日本ODA事業におけるインフラ整備への貢献として、コロナ禍においても海外への建設機械投入及びメンテナンス等を継続(WWB株式会社建機事業)。
・サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)への達成度に応じて金利スプレッドが調整されるSDGsリーダーズローン契約締結。金融機関と共同で営む活動として、発行額の一部が地域の学校、医療機関、環境保護団体等へ寄付される仕組みのSDGs私募債、CSR私募債を発行。
・社外役員として、SDGsの専門家を登用(研究論文、教育研修等多数)。
・気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言賛同、及びTCFDコンソーシアムへの参画。
・SDGs関連団体への加盟として、(外務省) JAPAN SDGs Action Platform、(内閣府)地方創生SDGs官民連携プラットフォーム、(JCLP)日本気候リーダーズ・パートナーシップ賛助会員ほか。
・啓蒙活動として、長野県及び神奈川県内の中・高校生、都内私立中学校の生徒へのSDGs研修の実施。社会・環境活動イベントへの支援・技術協賛(Peace On Earth、Earth Day等)。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、1,065百万円減少し、3,125百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの分析は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は6,348百万円(前連結会計年度は608百万円の支出)となりました。主な増減要因は、税金等調整前当期純利益2,260百万円、売上債権の増加による11,424百万円の減少、棚卸資産の取得による16,745百万円の減少、仕入債務の増加による19,793百万円の増加であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は13,321百万円(前連結会計年度は1,391百万円の支出)となりました。主な増減要因は、有形固定資産の取得による6,137百万円の支出、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による3,992百万円の減少であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は17,752百万円(前連結会計年度は5,290百万円の獲得)となりました。主な増加要因は、短期借入金の純増額3,140百万円、長期借入金の純増額2,187百万円、株式の発行による775百万円の収入であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
IT事業は開発を終了し製品化したソフトウェアの販売を行っており、受注から売上までの期間が短いため、生産実績は販売実績とほぼ一致しております。したがいまして、生産実績に関しては販売実績の欄をご参照ください。
太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業及び光触媒事業につきましては、仕入実績の欄をご参照ください。
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フロー分析につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの資本の財源は、金融機関からの借入やリース会社からの割賦バック契約等、財務活動によるキャッシュ・フロー(17,752百万円の獲得)を主とし、国内外既存事業及び新規有望事業に対し積極的に支出(投資活動によるキャッシュ・フロー13,321百万円)しております。
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5経理の状況」の追加情報に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(のれんの減損)
当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間にわたって均等償却しております。また、その資産
性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定していた収益が見込めなくなっ
た場合は、のれんの帳簿価格を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や経営環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、経営環境の悪化等によりその見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来の課税所得の見積りが減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
VSUNはグリーンエネルギーの世界的な需要拡大を受けて、欧州向けの産業用、家庭用太陽光パネルの販売により業
績を拡大させ、米国市場への販売も伸長しています。VSUNのパネル製造能力を更に高めるため、本年5月には、第
3工場の設備投資の実行を決議致しました
このような取り組みにより、太陽光パネル製造事業が当社グループの連結売上高・利益の大幅な増加に寄与いたし
ました。
グリーンエネルギー事業では、太陽光発電所の販売については継続しつつ、当初分譲計画上は販売予定としていた一部案件や低圧発電所も含めて自社保有化を引き続き進めました。これは発電所の販売を中心としたフロー型モデルから、継続保有による売電収入を中長期で確保するストック型モデルへの構造転換を図るもので、安定収益・キャッシュ・フローを確保することを企図したものです。この点は貸借対照表における総資産が増加していることにも表れており、発電所の建設から売電を開始するまでの期間は将来の利益を獲得するための投資実行段階にあります。当連結会計年度において、一部案件は売電を開始しており、宮之浦太陽光発電所、高梁第一太陽光発電所、勝間太陽光発電所等から売電収入を収受しています。
IT事業はホワイトカラーの生産性向上に資する製品・サービス等の提供を行いました。
光触媒事業では、ヘルスケアに関連する光触媒効果を活用した抗菌・抗ウイルス製品「blocKIN」の拡販に努めております 。
その他の事業としては、建設機械販売事業では国内建設機械の販売、海外ODA案件を中心とした建設機械の販売・レンタルを推進しました。
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計期間末における流動資産は57,450百万円となり、前連結会計年度末に比べ34,913百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が755百万円減少、受取手形及び売掛金が1,312百万円減少、商品及び製品が20,260百万円増加、販売用不動産が403百万円増加、未成工事にともなう仕掛品が657百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は27,719百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,884百万円増加いたしました。これは主に、有形固定資産が5,397百万円増加、無形固定資産が4,323百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、資産合計は、85,181百万円となり、前連結会計年度末に比べ45,792百万円増加いたしました。
当連結会計期間末における流動負債は57,721百万円となり、前連結会計年度末に比べ31,509百万円増加いたしました。これは主に、発電所の開発等により買掛金が9,536百万円増加、短期借入金が11,857百万円増加、未払金が3,477百万円減少、前受金が4,672百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は19,452百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,054百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が5,927百万円増加、長期割賦未払金が5,200百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、77,174百万円となり、前連結会計年度末に比べ42,563百万円増加いたしました。
当連結会計期間末における純資産合計は8,007百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,229百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益867百万円の計上によるものです。
この結果、自己資本比率は7.0%(前連結会計年度末は10.2%)となりましたが、自己資本当期純利益率(ROE)は17.4%(前連結会計年度末は17.6%)と、高い水準を維持しております。
なお、参考値として、仮にVSUN分を除く国内の総資産の内、国内の発電所投資案件見合いの借入部分を除いた数値に対する、国内純資産比率を算出すると、30.4%であります
当社グループの事業展開において、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「2 事業等のリスク」に記載の内容をご参照ください。
当社グループでは、以下のような企業理念を掲げ、本理念を具現化するために、安心・安全で最適なグリーンエネルギーの供給と人々の目の前も心も照らす光を創造することにより、社会貢献を果たし、持続可能な脱炭素化社会に貢献することを目的とした事業を行っております。
Best Values(最高の価値、愛すべき未来)
■ 先進的な商品・業務・サービスの提供を中心に、価値の創造を通じて社会生活の改善と向上を図り、社会の持続可能な発展に貢献し続けます。
■ 価値の提供によって[Excellent Creative Company]のビジョンのもと、従業員の幸福、お客様・社会とのWin-Win関係、企業価値・株主価値の向上・最大化を図り続けます。
■ 価値の提供、愛と感動を原動力にAbalanceグループは成長し続けます。
2030年グループが目指す姿として、「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」となることを目標に据え、保有発電容量1GW、年間製造目標8GWを成長戦略の柱としております。2021年10月には、中期経営計画(2022-24年度)を発表しておりますが、当該計画は2030年グループビジョンを実現するための助走期間と位置付けており、当社グループの持続的成長と社会価値を両立しながら、企業価値の最大化を図るための重要な3ヵ年と考えております。
<企業価値向上への強化施策について>
・VSUN業績の拡大、持続的な成長、及び利益率の改善
・自家消費案件(ノンフィット、ノンファーム)の申請強化、ソーラー・シェアリングの推進、脱炭素化を目指す企業(SBT,RE100等)、自治体、新たな事業機会への訴求・ソリューションの提示
・再エネ分野を中心としたM&Aの実行、多様な資金調達手段の確保
・自己資本比率の計画的な向上(財務健全化)
・ベトナム「UPCoM店頭市場」 IPOに向けて、株式公開制度への登録申請の完了
・ESGレーティング・スコアを意識した情報開示(TCFD)、英文開示の拡充
・戦略的なパートナーシップ、有力企業・総合商社等との提携推進 等
2023年6月期の業績見通し(グループ予算)は、中期経営計画上の2年目に当たる予算であり、当社グループの主軸セグメントである太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業を中心に予算編成を行った結果、2023年6月期の連結業績予想(2022年7月1日~2023年6月30日)は、売上高 110,000百万円 、営業利益 2,900百万円 、経常利益 2,810百万円 、親会社株主に帰属する当期純利益 1,280百万円 (1株当たり当期純利益 77.02円 )といたします。
2023年6月期の連結業績予想に係る前提条件は、各セグメントが直面している外部環境の動向を踏まえて、現状において合理的に予測可能な条件等に基づいて設定しております。
(a) 太陽光パネル製造事業
世界の再生可能エネルギー市場は、太陽光発電や風力発電等を中心として、送電網、蓄電池の各分野を合わせたエネルギー投資が継続する見通しです。世界的な気候変動に端を発するエネルギー危機の課題は世界共通の認識となっており、クリーンエネルギーへの移行の加速、投資拡大の継続が有力な解決策であるとの社会的な理解は今後も継続するものと考えられます。このような社会・経済環境のもとで、グループのVSUN社が営む太陽光パネル製造事業は、ヨーロッパを主力市場としつつ、近年ではアメリカ市場向けの受注が増加傾向にあるほか、一部南米地域からの受注等も入るようになってきました。好調な受注に支えられる一方で、長引くコロナ禍に加えてウクライナ危機等の影響もあり、世界のサプライチェーンが落ち着きを取り戻すことには依然、不透明感があり、部材価格の高騰化やコンテナ船の輸送費の断続的な高騰化に対して、2022年の年明けから本格的に客先への価格転嫁を推し進め、契約上の条件変更のタイミングに合わせて順次条件変更を重ねてまいりました。これらの効果として、2023年6月期には利益改善に向けて一定水準での功を奏するものと考えており、そのもとで連結業績予想に係る前提条件を整理のうえ、セグメント予算を編成しております。
(b)グリーンエネルギー事業
当社グループでは、近年、太陽光発電所の自社保有化によるストック型のビジネスモデルを推進中であり、これを強化するために、複数の太陽光発電所を保有する会社を中心にM&Aによる一括的な取得を実行してまいりました。トップラインを形成する上でのフロービジネスを行いつつ、2023年6月期においても自社保有化の方針は継続し、売電収入の底上げを図ることで脱炭素化社会に貢献すると共に、経営の安定化の同時実現を更に進めてまいります。3-4年前にはまだ僅少であった売電収入について、2023年6月期には30億円超の水準を見込み予算編成を行っております。現在、大和町・大衡村太陽光発電所(21.6MW、売電収入見込:約5.3億円)などの開発を推進中ですが、メガソーラーの平均的開発期間は2-3年程度を要することから、来期以降もM&Aによる積み増しを想定しております。また、コロナ禍の状況を勘案しつつも、海外事業の積極展開のほか、次世代のクリーンエネルギー貯蔵システムを担う、現状では専門性の高い研究開発段階にある水素エネルギーを活用した貯蔵システムの開発を行っているバーディフュエルセルズ合同会社での研究開発も計画的に推進してまいります。その他、パネルの廃棄問題が懸念される状況に対して、パネルのリユース、リサイクル事業を引き続き、推進してまいります。
(c)IT事業
グループのAbit株式会社では、ナレッジ(情報・知識・経験) の共有や業務プロセスの再構築による労働生産性の向上を目的とした自社製品「KnowledgeMarket®」、Microsoft パートナーとしてMicrosoft 365を活用したDX支援サービス、その他RPA製品を活用した効率化・省力化サービス等のほか、同じくグループの株式会社デジサインにおいて、データセキュリティ技術を活かしたシステム開発や企業のデジタル化/DX支援を進める中で、各種プロフェッショナル人材の紹介サービスを展開してまいります。その他、データセキュリティを啓発するためのオウンドメディア『情報資産管理マガジン』とセキュリティ系商材を中心としたECサイト「Johoいっちば」のオープンにより、ビジネスニーズとのマッチング創出を通じ、多くのソリューションを展開/提供していけるよう推進してまいります。
(d)光触媒事業
コロナ禍における衛生意識は依然として高く、当社グループの日本光触媒センター株式会社が製造する製品ニーズは今後も高水準で推移するものと考えられます。光触媒は日本初の技術として海外では高品質の触媒効果を持つ製品として知られている一方で、2022年度にはコロナ禍の影響で十分には実施し得なかった、海外営業についても強化する方針です。抗菌・抗ウイルス製品「blocKIN」の拡販、メーカー施工のほか、「光触媒LIFE」事業の加盟店の更なる拡大を目指します。医療機関、介護施設、学校、ホテルのほか、アミューズメント施設、大気浄化に資する建設現場での利活用等も合わせて推進してまいります。
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