事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」といいます。)に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当社グループでは、CEO直属の組織としてチーフ・リスクマネジメント・オフィサーを設置し、リスクマネジメント・オフィサー会議の中で当社グループの経営リスクを回避または最小化するためのリスクマネジメントの取り組みを実施しております。

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(特に重要なリスク)

(1)製品需要及び価格の変動について
 当社グループは、紙パルプ事業及びパッケージング・紙加工事業を主力事業としておりますが、景気後退や需要構造の変化等による需要減少の影響を受けることがあります。また、当社グループの製品は市況品の割合も高いため、経済情勢の変動に伴い製品価格が変動するリスクがあります。これらの製品需要及び価格の変動が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、「中期経営計画 2023」における基本方針の一つに「事業ポートフォリオシフト」を掲げ、事業投資本部が中心となり新規事業の開拓に向け取り組んでおります。

 

(2)原燃料市況の変動について
 当社グループは、主として木材チップ、古紙、薬品、ガス、重油等の原燃料を購入しておりますが、国際市況及び国内市況の変動により、購入価格が変動するリスクがあります。また、昨今は原燃料価格が高騰しており、これら原燃料の購入価格の変動が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、「グループ原材料調達基本方針」を踏まえて、サプライヤーの多様化等により有利購買、安定調達に努めております。

 

(3)海外の政治、経済情勢の変動について
 当社グループは、木材チップ、重油等の原燃料の多くを海外から調達しております。また、カナダ、中国、フランスで紙パルプ事業を展開しております。ロシア・ウクライナ情勢の影響をはじめ、現地での政治、経済情勢の悪化による原燃料確保の困難な状況や大幅な価格上昇、または現地政府による規制や政治不安等による経済環境の悪化等のリスクがあり、それらが発生した場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、海外子会社では、現地弁護士やコンサルタント等のアドバイスに基づき法改正等に対する迅速な対応を行うことでリスクを軽減する体制を構築しております。

 

(4)法規制及び訴訟等について
 当社グループは、労働安全衛生法、労働基準法、環境規制、知的財産権や製造物責任法等様々な法令規制の適用を受けており、それらの変更・改正によって、追加の費用が発生する可能性があります。また、訴訟等のリスクに晒される可能性がないとは言えません。それらが発生した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは「グループ企業理念」及び「グループ行動規範」を制定し、当社グループ全社員に対し、法令・定款の遵守は勿論のこと、社内規程の遵守も徹底しております。

 

(5)設備投資について
 紙パルプ産業は装置産業であり、当社グループでは、生産コストの低減、品質及び効率の向上、増設等を目的として設備投資を行っており、多くの有形固定資産等の固定資産を保有しております。その実行の判断は、当社グループによる製品市場の需給予測等に基づいておりますが、将来の事業環境の急激な変化等により、固定資産の資産価値が見込以上に下落した場合、減損処理により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、設備投資後においても、継続的に市場動向を注視しながら最適生産体制の継続に努めております。
 

 

(6)自然災害等について
 地震、洪水等の自然災害、事故やテロのような予測不可能な事由により、当社グループの生産設備が大きな損害を受けることも考えられます。その場合には、生産の継続が困難になるとともに、その復旧に多大な費用と時間が掛かることにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは「緊急事態対応規程」に基づきBCP(事業継続計画)を策定しており、自然災害をはじめとした緊急事態に対処する態勢をとっております。

 

(7)気候変動について
 気候変動による地球温暖化や異常気象は、干ばつや森林火災、集中豪雨、大型台風、土砂災害などをもたらす原因となり、木材原料やその他の原材料の調達に影響を及ぼすほか、当社グループの所有する森林資産の価値を棄損する等のリスクになります。また、当社グループのみならずサプライチェーンが被害を受けることにより様々な事業活動に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは従来から気候変動リスクを低減するため、バイオマス燃料などへの燃料転換の設備投資を進め、率先して温室効果ガスの発生削減に取り組んでおります。さらに環境経営の一環として2020年11月には、2050年までにCO2の排出を実質ゼロにする「北越グループ ゼロCO2 2050」を策定し、環境経営の推進に努めております。なお、2021年2月には金融安定理事会により設置されたTCFDへの賛同を表明し、気候変動に関する情報開示を進めるとともに、1.5℃~2℃シナリオ(IEAのSDS等)や4℃シナリオ(IPCCのRCP8.5等)をベースに、気候変動がもたらすリスクや機会を分析しております。

 

(8)新型コロナウイルス感染症について
 新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大によって、当社グループを取り巻く経営環境は激変し、大きな影響を受けております。また、今後も新型コロナウイルス感染症の影響により国内外の経済活動が停滞し続けた場合、当社グループの事業活動や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは「緊急事態対応規程」に基づき、感染症に対するBCP(事業継続計画)を策定し、在宅勤務や時差出勤など新型コロナウイルス感染症のまん延防止に努めております。

 

(9)情報セキュリティについて
 当社グループは、主にプライベート・クラウド上に業務システムを構築しており、それらにサイバー攻撃等による情報セキュリティ事故が発生した場合、業務遂行に支障をきたす可能性があります。この場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは「グループ情報セキュリティ基本方針」を定め、情報セキュリティに関する管理を強化するとともに、役職員に対する教育研修の実施やセキュリティ脆弱性診断の実施等を通じて、ウイルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、社外への情報漏洩に対する対策を図っております。

 

(10)人材の確保について
 昨今の少子高齢化等による労働力不足により、人材の確保が困難となる可能性があります。また、労務環境の悪化や職場の安全衛生管理上の問題等により、労働生産性の低下や人材流出につながる可能性があります。それらが発生した場合には、当社グループの営業活動等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは新規採用、中途採用を通じ、人材の確保に努めるとともに、ダイバーシティ委員会を発足し、多様な人材の採用、確保、活躍支援のための施策や働きやすい会社風土の醸成及び仕事と生活の調和のための施策を進めております。

 

(11)労働安全衛生について

  当社グループでは、抄紙機をはじめ多数の生産設備を保有しており、重篤な労働災害が発生した場合、生産活動等に支障をきたし、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、安全と健康が経営の根幹であることを基本とした「グループ安全衛生基本方針」を掲げ、その実現に向けて、安全中期活動計画「hSA25」の策定・実行、労働安全衛生マネジメントシステムに関する国際規格である「ISO 45001」の認証取得などにより、安全衛生パフォーマンスのさらなる向上を目指しています。

 

 

(12)企業買収等について
 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保、向上させる者でなければならないと考えております。しかしながら、株式の大量買付の中には、買収者側の一方的かつ恣意的な条件を付したもので、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なからず見受けられます。こうした行為があった場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損する大量取得行為を行おうとする者に対しては、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努めるなど、会社法、金融商品取引法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。

 

(重要なリスク)

(13)株価の変動について
 当社グループは、取引先を中心に株式を保有しておりますが、市場性のある株式については、各種要因による株価の変動により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、特に政策保有株式の保有による企業価値向上効果やリスクについて、毎年取締役会で検証しております。

 

(14)為替変動について
 当社グループは、製品輸出取引、原燃料輸入取引及び海外子会社の業績において為替変動の影響を受けることがあります。この為替変動が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を回避するため、一部為替予約によるリスクヘッジを実施しております。

 

(15)金利変動について
 当社グループの総資産に対する有利子負債の比率は、前連結会計年度末が31.4%、当連結会計年度末が26.3%となっております。今後の金利動向によっては、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、グループファイナンスの実施等、グループ資金の効率化に努めております。

 

 (16)海外連結子会社の内部統制について
 当社グループは、国内の他、カナダ、中国、フランスで紙パルプ事業を展開しております。海外連結子会社における内部統制に予期せぬ脆弱性があった場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。そのため、当社の内部監査部門であるグループ統制管理室の管理の下で、経営から独立した専任の内部監査人の設置、現地の事情に詳しいコンサルタントによる内部統制の監査の実施等により、内部統制の強化を図っております。

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