文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「基本方針」を次のとおり定めております。
・当社は、世界で最も優れた商品を造り創る。 ・当社は、世界に安心を売る会社である。 ・当社は、世界の未来の技術のニーズに挑戦する。 ・当社は、世界のために役立つ仕事をしている集団である。 |
上記基本方針にもとづき、当社グループは、エレクトロニクス産業に不可欠な部材であるアルミ電解コンデンサ用セパレータおよび機能材を供給することにより顧客満足度を高め、エレクトロニクス産業の発展に寄与し、世界に役立つ仕事をしている集団であることを企業理念として事業活動を展開しております。今後も、当社社員一人一人が能力向上と自己革新に取り組みながら多様化・複雑化するニーズに応え、お客様との強固な信頼関係を構築することでさらなる企業価値の向上をはかってまいります。
当社は、2020年6月に経済産業省の2020年版「グローバルニッチトップ企業100選」に選定されました。これは、アルミ電解コンデンサ用セパレータにおいて高い世界シェアを有するとともに、技術開発型企業としてオンリーワンのモノづくりをおこなってきたことが評価されたものと受けとめております。また、健康経営に関しては、2022年3月に「健康経営優良法人2022(大規模法人部門ホワイト500)」に4年連続で選定されました。従業員の「こころと身体の健康の保持増進」、「安心して働ける職場環境づくり」などの当社の取り組みが評価されたものと認識しております。
これからも、次のふたつの重点方針を掲げ、持続可能な企業として事業活動を展開してまいります。
①安全・健康はすべてに優先する
安全・健康管理体制の確立と従業員に対する安全衛生教育の徹底をはかり、無事故・無災害の職場を実現するための取り組みにより、安全で健康な職場づくりを進めてまいります。
②人と自然にやさしい企業活動
地球環境の保全が全人類共通の最重要課題のひとつであることを認識し、「人と自然にやさしい企業活動」を通じて、SDGs達成および脱炭素社会の実現に貢献してまいります。これにより、持続可能な社会の実現を通して、お客様、株主、従業員、地域社会など様々なステークホルダーから信頼される企業づくりを進めてまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、「高機能セパレータの安定供給を通じて、持続可能な社会の実現に貢献する」という長期ビジョンの達成に向け、3ヵ年中期事業計画(2022年3月期~2024年3月期)において、次の経営数値目標を設定しております。
経営指標 |
2024年3月期 目標 |
連結売上高 (うち機能材売上高) |
190億円 (46億円) |
連結営業利益 |
35億円以上 |
自己資本当期純利益率(ROE) |
10%以上 |
(3) 経営環境
足元の世界経済およびわが国経済は、コロナ禍からの経済正常化により引き続き景気拡大が進展するものと思われますが、新型コロナウイルスの感染状況、サプライチェーンの混乱、ウクライナ情勢、エネルギー価格をはじめとする物価上昇などが懸念され、先行きは極めて見通しにくい状況にあります。
当社グループの関連市場であるエレクトロニクス業界におきましては、長期化する世界的な半導体の供給不足による自動車生産への影響が懸念されますが、自動車の電装化・電動化の進展や設備投資の増加により、引き続き関連部品の需要増加が見込まれます。
中長期的には、自動運転などに代表されるCASE市場の伸張が見込まれる車載向け、省力化につながる工作機械などの需要が旺盛な産業機器向け、省エネニーズ拡大によるインバータ化率上昇が続くエアコンなどの白物家電市場に加え、市場拡大が続く通信設備関連向けにおけるアルミ電解コンデンサ用セパレータの需要増加を見込んでおります。機能材におきましては、世界的に脱炭素化が加速するなか、環境関連市場におけるリチウムイオン電池用や電気二重層キャパシタ用セパレータの需要拡大を見込んでおります。
(4) 中長期的な経営戦略および会社の対処すべき課題
当社グループは、事業内容について選択と集中を基本に重点課題を明確にし、経営資源の有効な投入および活用を進めることで、企業価値向上をはかってまいります。
3ヵ年中期事業計画(2022年3月期~2024年3月期)では次の4つの基本戦略をもとに、中期事業計画の目標達成に向け各取り組みを進めてまいります。
基本戦略 |
主な取り組み内容 |
①成長分野における重点的取り 組み |
車載、通信関連、環境関連市場で成長が期待できる重点3製品の販売拡大の推進 ・導電性高分子固体コンデンサ用セパレータ ・リチウムイオン電池用セパレータ ・電気二重層キャパシタ用セパレータ |
②競争力の強化 |
・顧客ニーズの高度化に対応できる高付加価値セパレータの開発体制強化 ・デジタル技術を活用した業務プロセス改革 ・効率的な生産体制の構築と生産プロセスにおける自動化、省力化 ・お客さまの更なる信頼獲得に向けた安定供給体制の強化 |
③人材への投資 |
・次世代人材(DX、リーダーシップ等)の育成に向けた教育訓練の充実 ・健康経営の推進 |
④社会の持続的発展に貢献する CSR経営の推進 |
・省エネ活動の推進とクリーンエネルギー設備(LNG、太陽光発電)の導入 ・社有林を活用した生物多様性の確保およびJ—クレジットの認証取得 ・意識改革と活躍できる職場の拡大による女性の活躍推進 ・コーポレートガバナンス体制の構築、向上に向けた取り組み |
また、アルミ電解コンデンサ用セパレータおよび機能材ともに、生産性改善によるコスト低減およびSCMの観点から本社・本社工場、安芸工場敷地の有効活用などによるサプライチェーンの最適化、ならびに原料の安定調達に努めてまいります。なお、高知県内生産拠点との同時被災リスクの低い米子工場において、将来の需要拡大が見込まれる車載用途など高付加価値セパレータの生産能力増強、および製品出荷までの各工程(抄紙~裁断~出荷)を完結できる体制を構築するための設備投資を計画しており、2024年7月稼働開始に向けて、安定供給体制のさらなる強化の取り組みを進めてまいります。
また、当社グループは、ESG(環境、社会、ガバナンス)を念頭に置き、環境負荷軽減につながる設備導入などによる地球環境の保全に加え、地域社会への貢献、グループ全体のガバナンス体制の強化、企業倫理の徹底などを通じて、社会や市場の中で信頼され、必要とされる企業を目指して努力してまいります。
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