当事業年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況の概要
当事業年度における我が国の経済状況につきましては、新型コロナウイルスの影響は残るものの、世界景気の復調や行動制限の解除による社会経済活動の活発化などから回復の兆しを見せています。
板紙業界におきましても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による景気の悪化の影響が緩和され、国内の産業活動全般が正常化に向かうなかで段ボール原紙を中心とした板紙の需要も持ち直しつつあります。他方でロシアによるウクライナ侵攻を契機にエネルギーや諸資材価格が高騰し、そこに円安の影響も加わるなど、先行きの不透明感は高まっています。
こうした経営環境のなか、当社の主要製品である段ボール原紙他板紙の国内販売量は前年から大きく回復しました。また、原料古紙や主な燃料であるLNG等の価格高騰による損益の悪化に対応するため、板紙製品の価格改定を実施し、その浸透に努めました。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の総資産は、前事業年度末と比べ1,388百万円増加して14,876百万円となりました。負債は、前事業年度末と比べ660百万円増加して4,421百万円となりました。純資産は、前事業年度末に比べ727百万円増加して10,454百万円となりました。
b.経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高は10,084百万円(前事業年度比7.3%増)、営業利益は687百万円(前事業年度比16.6%減)、経常利益は755百万円(前事業年度比15.2%減)、当期純利益は591百万円(前事業年度比4.2%減)となりました。
各セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(板紙事業)
当事業関連では、板紙需要の持ち直しを受け販売数量が前期比6.3%増と堅調に推移したため、売上高は8,806百万円(前事業年度比7.0%増)と増収となったものの、原燃料の価格高騰により利益が圧迫され、セグメント利益は699百万円(前事業年度比17.6%減)となりました。
(美粧段ボール事業)
当事業関連では、通信機器関連品が堅調で、前年導入したインクジェットプリンター製品関連の拡販効果もあり、売上高は1,277百万円(前事業年度比9.0%増)で増収となったものの、設備投資による減価償却費の増加により、セグメント損失は12百万円(前事業年度はセグメント損失24百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ662百万円増加し、5,029百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得た資金は、前事業年度比19百万円(2.2%)増の878百万円となりました。
収入の主な内訳は、税引前当期純利益851百万円及び減価償却費336百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額458百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前事業年度比632百万円(84.1%)減の119百万円となりました。
収入の主な内訳は、有形固定資産の売却による収入95百万円及び利息及び配当金の受取額59百万円であり、支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出275百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前事業年度比1百万円(1.8%)減の96百万円となりました。
これは主に、配当金の支払額79百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年6月1日 至 2022年5月31日) |
前年同期比(%) |
板紙事業(千円) |
9,026,853 |
107.7 |
美粧段ボール事業(千円) |
1,277,721 |
109.0 |
合計(千円) |
10,304,574 |
107.9 |
(注)板紙事業の生産実績は板紙の生産数量(自家消費分を含む)に平均販売価格を乗じた金額を、また美粧
段ボール事業の生産実績は販売金額を記載しております。
b.受注実績
板紙事業については、顧客が特定しているため需要を予測して見込生産を、また美粧段ボール事業は、受注生産を行っておりますが、いずれの製品も受注から生産・納入に至るまでの期間が短く期末における受注残高は少ないので、次に記載する販売実績を受注実績とみなしても大差はありません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年6月1日 至 2022年5月31日) |
前年同期比(%) |
板紙事業(千円) |
8,806,452 |
107.0 |
美粧段ボール事業(千円) |
1,277,721 |
109.0 |
合計(千円) |
10,084,173 |
107.3 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであり、不確実性を内在、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果とは大きく異なる可能性もありますので、ご留意ください。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表作成に当たって、当事業年度末における資産・負債の報告数値、当事業年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定を用いております。これらの見積り及び仮定については、過去における実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づいて行っておりますが、不確実性があるため、実際の結果とは異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響に関して、当事業年度における財務諸表に及ぼす影響は軽微なものと判断しております。ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、翌事業年度以降の財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
総資産は、14,876百万円で前事業年度末の13,488百万円に比べ、1,388百万円増加いたしました。内訳としては流動資産が1,092百万円の増加、固定資産が296百万円の増加であります。
流動資産増加の主な要因は、税引前当期純利益の計上による営業キャッシュ・フロー増加により現金及び預金が662百万円増加したこと及び増収により電子記録債権が303百万円、売掛金が346百万円、それぞれ増加したことであります。また、固定資産増加の主な要因は、保有銘柄の株価上昇により投資有価証券が300百万円増加したことであります。
負債は、4,421百万円で前事業年度末の3,761百万円に比べ、660百万円増加いたしました。内訳としては流動負債が628百万円の増加、固定負債が32百万円の増加であります。
流動負債増加の主な要因は、仕入れ価格の高騰によるものが支払手形199百万円の減少、電子記録債務577百万円の増加及び買掛金25百万円の増加で計403百万円の増加、加えて未払法人税等163百万円の増加であります。また、固定負債増加の主な要因は、繰延税金負債38百万円の増加であります。
純資産は、10,454百万円で前事業年度末の9,727百万円に比べ、727百万円増加いたしました。主な要因は利益剰余金511百万円の増加であります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当社の主要な販売品目である板紙につきまして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による景気の悪化の影響が緩和され、国内の産業活動全般が正常化に向かうなかで段ボール原紙を中心とした板紙の需要も持ち直しつつあります。
このような状況の下、当事業年度の板紙製品(中芯原紙・紙管原紙)の販売状況につきましては、販売数量が前事業年度比で106.3%と増加し、コロナ禍前の水準に回復しました。これは年度計画の101.7%の達成率でした。
また、原料古紙や主な燃料であるLNG等の価格高騰による損益の悪化に対応するため、板紙製品の価格改定を実施し、その浸透に努めましたが、価格改定の効果は2022年5月期第4四半期に限定されており、増収の要因は販売数量の増加であります。
他方、美粧段ボール製品の販売状況につきましては、青果物の贈答用向け美粧ケースが、前事業年度比98.2%、通信機器の梱包資材では特需があり、前事業年度比170.7%の売上高となりました。この2ジャンルは、従来から当社美粧段ボール部門の売上の柱ですが、青果物については生産者の高齢化と後継者不足による生産の減少、通信機器については生産の海外移転など、先行きに不安要素もあるため、販売先の多様化、特にオンデマンド・小ロット対応を進める必要があります。
そこで、2021年1月、段ボールシートへの直接印刷が可能な、日本初導入の6色インクジェットプリンター・Glory1606を導入し、拡販を開始しております。
以上より、当事業年度の売上高は10,084百万円となり、前事業年度に比べ682百万円(7.3%増)の増収となりました。
(営業利益)
当社の営業利益については、板紙製品の売上高、板紙製造の原料である古紙の価格、および主な燃料であるLNGの価格が大きな影響を与えます。
まず、原料古紙価格については、当社の主要な材料であることからその調達価格は利益に大きな影響があります。当事業年度におきましては、特に第3四半期以降は、国内の古紙発生量の減少や円安の影響による海外への流出もあり、古紙調達価格は上昇しました。
次に、LNG価格についても、世界的な景気の持ち直しで需要が回復したことに加え、ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響もあって大きく上昇しました。LNG使用量は生産の回復に伴い前事業年度比で7.5%の増加となり、調達価格が前事業年度比30.1%の上昇のため、LNG購入総額では39.9%の増加となりました。
以上より、当事業年度の営業利益は687百万円となり、前事業年度に比べ136百万円(16.6%減)の減益となりました。
当社の目標とする経営指標のひとつである営業利益5億円を達成することができました。
(経常利益)
当事業年度の経常利益は755百万円となり、前事業年度に比べ135百万円(15.2%減)の減益となりました。
なお、当社の営業外収益の約87%は保有株式の受取配当金であります。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は591百万円となり、前事業年度に比べ25百万円(4.2%減)の減益となりました。
ROEは5.9%となり、当社の目標とする経営指標のひとつであるROE5%を達成することができました。
また、1株当たり当期純利益は前事業年度から5円46銭減少し、118円51銭となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社の資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料・燃料の購入のほか、製造に係る労務費・経費、販売費及び一般管理費、生産設備の取得及び既存設備の改善等に係る投資であります。これらの資金需要について、当社はすべて自己資金でまかなっておりますが、現状キャッシュ・フローについて大きな懸念はないものと認識しております。
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