当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)経営成績
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の進展や各種政策の効果により徐々に経済活動が再開してまいりました。一方で、ロシア・ウクライナにおける社会情勢不安による物価上昇、そして米国の金融政策による円安進行などにより、国内外の経済の見通しは依然として不透明な状況が続いております。当社グループにおいては、コロナ禍により、企業や個人の働き方に関する価値観が変化し、潜在労働力となっている女性やシニア、障がい者などの活躍の機会拡大、会社員の副業・兼業など、企業に勤める以外の働く選択肢が拡大しております。また、2020年4月の「同一労働同一賃金」の施行、2021年4月の「高年齢者雇用安定法」の改正による70歳までの雇用延長、そして2021年10月に内閣に「新しい資本主義実現本部」が設置され、副業や兼業者の推進及びそれらを認める企業数の拡大やフリーランス保護に関する新たな施策が検討・実行されており、雇用制度面だけでなく、多様な働き方を広める改革も進んでおります。こうした流れを受け、雇用形態によらない人材確保を行う企業が増加したほか、大企業も従業員の副業・兼業を容認し、週4日勤務制度を導入するなど、従来の働き方にも構造変化が起き始めております。更に、外部の専門人材(フリーランス・副業者・兼業者)やインターネットを介して働くクラウドワーカーを活用する企業が増加するなど、人材調達の在り方も変化しております。こうした動きは当社グループを取り巻く市場にとって追い風であり、2022年9月末時点で登録ユーザー数は527.5万人(前年同期比+58.5万人)、登録クライアント数は84.9万社(前年同期比+8.7万社)となりました。
このような環境のもと、当社グループはコア事業であるマッチング事業への投資を集中する方針を固め、生産性を向上させ、成長と利益拡大の両立を図ってまいりました。その結果、当連結会計年度においては、流通取引総額、売上高、売上総利益の全指標が修正開示予想を達成し、過去最高の営業黒字を実現いたしました。
マッチング事業においては、エンジニア・デザイナー等の専門人材を求める企業ニーズが引き続き高く、リモートワークを活用した専門人材(フリーランス)のマッチングが増加しております。また、企業のテレワークの導入や、業務のデジタル化進展により、オンラインの事務アシスタントのニーズも拡大しております。
ビジネス向けSaaS事業においては、フリーランスや社内人材の業務管理を効率的に行うSaaSサービスとして提供しているクラウドログが大手顧客の拡大などにより売上高及び売上総利益が2年連続約200%成長と順調に伸長しております。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高は 10,574,552 千円、営業利益は 932,835 千円、経常利益は 946,817 千円、当期純利益は 802,873 千円となりました。
①マッチング事業
当連結会計年度のマッチング事業においては、継続的なWEB広告投資による新規顧客獲得や、既存顧客の継続率向上や単価向上によって、流通取引総額・売上高・売上総利益は順調に推移したほか、生産性向上にも引き続き取り組んだことで過去最高益を計上いたしました。
この結果、取引額の総額を示す流通取引総額は19,213,227千円、売上高は10,340,130千円、売上総利益は4,578,414千円、セグメント利益は1,182,288千円となりました。
②ビジネス向けSaaS事業
当連結会計年度のビジネス向けSaaS事業においては、引き続き大企業クライアントの開拓やマーケティングの強化による新規の顧客開拓に注力したほか、カスタマーサクセスに伴う契約単価の向上を図りました。
このため、売上高および売上総利益は231,553千円となり、セグメント損失は223,566千円となりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載はしておりません。
②受注実績
受注に該当する事項が無いため、受注実績に関する記載はしておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前期比については記載しておりません。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は7,638,497千円となりました。流動資産は6,888,762千円となり、主な内訳は、現金及び預金が5,117,461千円、売掛金が854,276千円、未収入金が853,530千円であります。固定資産は749,734千円となり、主な内訳は有形固定資産が63,697千円、無形固定資産が111,116千円、投資その他の資産が574,920千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は2,972,256千円となりました。流動負債は2,921,266千円となり、主な内訳は、未払金が937,767千円、預り金が1,184,805千円であります。固定負債は50,990千円となっております。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は4,666,240千円となりました。純資産の増加は親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、利益剰余金が増加したものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は 5,117,461 千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による収入は1,152,360千円となりました。主なキャッシュフローの増加要因は、税金等調整前当期純利益930,081千円、減価償却費28,376千円、持分法適用による投資損益72,968千円、未払金の増加255,812千円、預り金の増加64,579千円、契約負債の増加114,305千円によるものであります。一方で主な減少要因としては、事業成長に伴う取引拡大による売上債権の増加119,882千円及び未収入金の増加134,973千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による支出は262,357千円となりました。主なキャッシュフローの減少要因としては、投資有価証券の取得による支出162,059千円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出81,229千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による収入は 8,343 千円となりました。主なキャッシュフローの増加要因は、新株予約権の発行による収入9,573千円によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、マッチング事業における事業運営のための人件費、ワーカーへの報酬支払いであります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、マッチング事業におけるユーザー獲得のための広告宣伝費、従業員採用のための採用教育費、成長戦略上必要な企業または事業の買収資金であります。
当社グループは、運転資金については主に自己資金または借入金により資金調達をすることとしております。投資を目的とした資金については、同じく自己資金または借入金による資金調達を基本としつつ、その規模により適宜新株発行等のエクイティファイナンスによる資金調達を行なうことを基本方針としております。
資金の流動性管理にあたっては、適宜、資金繰り計画を作成・更新して手元流動性等をモニタリングするとともに、取引金融機関との当座貸越契約の締結等により、将来に渡り必要な資金流動性を確保できるよう計画しております。
(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって採用された重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。なお、連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示情報に影響を与える見積り及び予測が必要となります。当社グループは、過去の実績や状況等を勘案し合理的な判断のもと継続的に見積り及び予測を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性により、これらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績の分析)
当社グループの当連結会計年度の経営成績については、営業体制の強化による発注社数の増加や発注単価向上施策を実施し、エンジニア・デザイナー領域と事務アシスタント領域の契約が順調に拡大したことで、売上高は10,574,552千円、売上総利益は4,812,836千円と過去最高となりました。また、2020年9月期から継続的に取り組む生産性向上により、マッチング事業の生産性(従業員1人あたり売上総利益)の改善を図ったことで、営業利益(Non-GAAP)についても1,004百万円と過去最高となりました。また、マッチング事業の利益拡大だけでなく、新規事業の再投資についても両立し、新規事業の高い成長を創り出しながら、グループ全体の売上と利益拡大に成功しております。この結果、売上高は10,574,552千円、売上総利益は4,812,836千円、営業利益は932,835千円、経常利益は946,817千円、親会社株主に帰属する当期純利益は802,873千円となりました。
マッチング事業については、積極的な広告投資を実施し、新規顧客の獲得とサービス間の送客に取り組み、効率よく発注社数の増加に取り組んだだけでなく、営業体制の拡大にむけた積極的な人員採用を実施いたしました。また、エンジニアやデザイナー、事務アシスタントなど専門スキルを有する人材のマッチングにおいては、認定ワーカー制度の導入や料金テーブルの改定を通じて単価向上も図りました。この結果、セグメント売上高は10,340,130千円、セグメント利益については1,182,288千円となりました。
ビジネス向けSaaS事業については、企業向けの工数管理ツールとして大手顧客を中心に開拓を行い、累計導入社数(2022年9月30日現在)は600社を超えております。特に、既存顧客向けに継続利用を促すカスタマーサクセスに注力し既存顧客の売上高拡大に成功、2022年9月30日時点のARRも3.1億円と好調な成長を遂げています。このため、さらなる成長に向けた広告投資と新機能やサービス改善のための開発人員の採用を強化いたしました。これにより売上高は231,553千円、セグメント損失は223,566千円となりました。
(財政状態の分析)
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の
概要)(3)財政状態」をご参照ください。
(キャッシュ・フローの分析)
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の
概要)(4)キャッシュ・フロー」をご参照ください。
(2023年9月期の見通し)
2022年9月期は生産性向上3カ年の最終年度としてマッチング事業への選択と集中を図りながら生産性向上を推し進め、売上高、売上総利益の成長率+30%超と営業利益(Non-GAAP)1,004百万円の過去最高益を実現いたしました。2023年9月期は当連結会計年度において築いた成長と利益創出の事業基盤をさらに発展させるため、マッチング事業への積極的な広告投資や人員採用を行い、さらなる売上と利益拡大を図るとともに、新規事業やM&Aによる将来の成長性確保にむけて積極的な投資を行う方針です。一方で生産性向上についても取り組みを継続し、積極的な投資を行いながらも2023年9月期の増収増益を目指す方針です。なお、2022年10月にRPAの導入開発支援を行うPeaceful Morning株式会社を買収し連結子会社としており、RPA領域におけるIT人材の活用を進めることで、マッチング事業の領域拡大に取り組んでまいります。
(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは流通取引総額、売上高、売上総利益の成長率、営業利益、営業利益(Non-GAAP)およびテイクレート(対流通取引総額売上総利益率)を経営成績における評価指標として使用しております。当社グループの当連結会計年度の経営成績については、全指標で計画を達成いたしました。
<2022年9月期 経営成績>
なお、前連結会計年度である2021年9月期は連結子会社の吸収合併に伴い第2四半期より非連結決算、2022年9月期以降は子会社の買収に伴い連結決算となっているため、前連結会計年度との比較を行っておりませんが、過年度比較の観点から、主要な経営指標については2021年9月期の実績を連結ベースに換算して比較を行っております。
<参考:2022年9月期 経営成績(前年実績:連結換算ベース)>
※連結換算ベース実績は、2021年9月期第1四半期に吸収合併し消滅した連結子会社の業績を2021年9月期の単体実績に足し戻した実績値となります。
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