業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当社は当連結会計期間より連結財務諸表を作成しておりますので、前年との比較分析は行っておりません。

 

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から依然として厳しい状況が続いておりましたが、ワクチン接種の進展や政府による各種政策の効果等もあり、厳しい状況が徐々に緩和され、景気に持ち直しの動きが見られました。一方で世界的な半導体不足やサプライチェーンの混乱、原材料価格及び輸送費の高騰、エネルギー関連を中心とする世界的な物価上昇、ロシアのウクライナ侵攻などの地政学的リスクの高まり、円安の進行等により、景気の先行きは不透明な状況が続いております。

当社グループが属する情報サービス業界においては、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが増加傾向になり、企業における業務の非対面化、非接触化の定着に向けたコミュニケーションツールの活用等の社内DXに取組む企業が増加しており、DX推進のさらなる加速が進んでおります。またデジタル庁を中心とした行政のデジタル化推進、業務プロセスのデジタル化、レガシーシステムの刷新、クラウドシフトなど、中長期的には市場規模の拡大が期待されております。

このような環境のもと当社グループでは、パートナー企業を含む社員及びお客様の健康と安全を確保しつつ生産性を維持するため、テレワークや時差通勤、リモートによる商談、オンライン会議等を積極的に推進し、事業活動の維持・継続に注力してまいりました。さらに既存顧客とのパートナーシップの強化による領域の拡大及び顧客満足度の向上に努め、さらにDX推進本部を中心とする新デジタル分野(クラウド、IoT、AI、ローコード開発)の人材育成の強化に注力し、開発要員の採用強化及びパートナー企業との更なる連携強化に努めてまいりました。

 

この結果、当連結会計年度の売上高は9,596,440千円となりました。利益面につきましては、子会社の取得費用及びのれんの償却額を41,147千円計上したことにより、営業利益は872,146千円、経常利益879,643千円、親会社株主に帰属する当期純利益は627,206千円となりました。

 

当社事業のサービスライン別の業績を示すと次のとおりであります。

事業のサービスライン

売上高(千円)

システムインテグレーション・サービス

5,613,352

インフラソリューション・サービス

1,312,137

パッケージベースSI・サービス

2,670,950

合計

9,596,440

 

(システムインテグレーション・サービス)

ネットバンク、地方銀行を中心とした金融機関向けシステム開発案件、クレジットカード分野での受託開発案件等、金融分野の売上は大規模開発プロジェクトの収束の影響により2,619,968千円と減収となりましたが、通信業向けシステム開発案件、エネルギー分野での受託開発案件、流通分野向けシステムの伸長により、産業・流通分野の売上は2,154,070千円、公共分野は新規大型プロジェクト受注により売上は262,698千円と伸長、電子カルテ導入支援、病院向けパッケージシステムの開発案件等、医療分野の売上は576,614千円となり、システムインテグレーション・サービス全体の売上高は5,613,352千円と伸長しております。

 

内訳を業種別に示すと、次のとおりであります。

業種別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

売上高(千円)

構成比(%)

金融

2,619,968

46.7%

(うち銀行)

1,460,600

26.0%

(うち保険・証券)

275,307

4.9%

(うちクレジットカード)

884,059

15.7%

産業・流通

2,154,070

38.4%

公共

262,698

4.7%

医療

576,614

10.3%

5,613,352

100.0%

 

(インフラソリューション・サービス)

公共、文教分野のネットワーク構築案件、金融機関向け基盤構築案件、クラウドネットワーク構築案件等を中心としたインフラソリューション・サービス全体につきましては、半導体不足の影響による基盤構築案件プロジェクトの延伸、文教分野の受注減少等の影響により、売上高は1,312,137千円と減収になりました。

 

(パッケージベースSI・サービス)

当社におけるDX推進の中心であるクラウド分野のSalesforce関連の導入支援及びアドオン開発、子会社インフリー社での中心ビジネスであるSAP関連の導入支援及びアドオン開発が大きく伸長し、クラウド版会計パッケージ及び人事給与パッケージのライセンス販売、導入支援及びアドオン開発も増収となった結果、パッケージベースSI・サービス全体の売上高は2,670,950千円と大幅に伸長しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,883,562千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は793,730千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額949,779千円、のれん償却費の計上額28,572千円、受注損失引当金の増加額59,000千円、賞与引当金及び役員賞与引当金の増加額39,202千円、未払消費税等の増加額18,543千円等の資金の増加と、売上債権の増加額63,685千円、契約負債の減少額27,662千円、法人税等の支払額217,250千円等の資金の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は106,579千円となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入78,765千円の資金の増加と、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出161,532千円、有形及び無形固定資産の取得による支出22,439千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は170,842千円となりました。これは配当金の支払額167,631千円、自己株式の取得による支出3,211千円の資金の減少によるものであります。

③生産、受注及び販売の状況

当社グループの事業は、システムソリューションサービス及びこれらの付随業務の単一セグメントのため、生産、受注及び販売の状況については、サービスライン別に示しております。

 

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。

事業のサービスライン

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

システムインテグレーション・サービス

(千円)

4,562,250

インフラソリューション・サービス

(千円)

1,140,619

パッケージベースSI・サービス

(千円)

2,011,356

合計

(千円)

7,714,225

 (注)1.金額は製造費用によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。

事業のサービスライン

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

受注高

受注残高

システムインテグレーション・サービス

(千円)

5,864,858

1,228,751

インフラソリューション・サービス

(千円)

1,326,380

294,801

パッケージベースSI・サービス

(千円)

2,703,005

362,523

合計

(千円)

9,894,242

1,886,074

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。

事業のサービスライン

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

システムインテグレーション・サービス

(千円)

5,613,352

インフラソリューション・サービス

(千円)

1,312,137

パッケージベースSI・サービス

(千円)

2,670,950

合計

(千円)

9,596,440

 (注)1.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

富士通株式会社

2,582,658

26.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

当連結会計年度末における総資産は6,500,080千円となり、流動資産合計5,823,830千円、固定資産合計676,250千円となりました。流動資産の主な内訳は、現金及び預金2,906,634千円、売掛金及び契約資産2,428,477千円、有価証券300,000千円、仕掛品88,871千円であります。固定資産の内訳は、有形固定資産64,905千円、無形固定資産121,350千円、投資その他の資産489,995千円であります。また、負債合計は2,133,429千円となり、流動負債合計1,625,402千円、固定負債合計508,026千円となりました。流動負債の主な内訳は、買掛金437,392千円、未払費用105,255千円、契約負債62,836千円、預り金49,739千円、未払法人税等及び未払消費税407,015千円、賞与引当金及び役員賞与引当金423,851千円であります。固定負債の内訳は、長期未払金100,000千円、退職給付に係る負債408,026千円であります。純資産合計は4,366,651千円となりました。

以上により、自己資本比率は67.18%となりました。

 

b.経営成績

(売上高、売上原価及び売上総利益)

当社は今期より連結決算会社となりました。当連結会計年度の売上高は9,596,440千円となりました。主な要因としては、まず当社事業の中核であるシステムインテグレーション・サービスは、ネットバンクを中心とした金融分野の売上について、大型プロジェクトの収束等により減収となりましたが、産業・流通分野においては通信業向けシステム開発案件の売上が増加、流通分野のシステム開発案件の売上が増加、エネルギー関連のシステム開発案件の増加、公共分野の新規大型案件の受注獲得による売上が増加した結果、売上高は伸長しております。次に、インフラソリューション・サービスにおいては、クラウドビジネス人材の育成を中心に事業を展開しましたが、半導体不足によりプロジェクトの延伸や中断が発生し、文教分野の基盤構築案件の縮小により減収となりました。最後に当社のDX推進の中心であるパッケージベースSI・サービスにおいて、当社におけるクラウドビジネスの中心であるSalesforceビジネス関連においては、昨年度からの複数事業部での展開による開発案件の受注が大きく増加しました、また子会社インフリーが展開するSAP案件について、当社の相乗効果による開発案件の受注が増加しました。これらの結果により売上高は9,596,440千円となり、過去最高の売上高となりました。

当連結会計年度の売上原価は7,769,220千円となりました。これは不採算プロジェクトの収束対応に伴う人件費が増加、DX推進本部における将来の新デジタル分野の人材育成に伴う教育研修費及び人件費が増加したしましたが、コロナ禍の活動自粛に伴う会議費・交際費の減少、リモートワークによる旅費交通費の減少等による経費減少、低利益率プロジェクトの構造改革に伴う事業構造の集中と選択を行った結果、原価率は81.0%となり、当連結会計年度の売上総利益は1,827,220千円となりました。

(販売費及び一般管理費並びに営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は955,074千円となりました。その主な要因は、売上原価同様会議費、交際費、旅費交通費等の経費が削減しましたが、企業結合により取得費用12,575千円、のれん償却額28,572千円計上したことによるものであります。

その結果、営業利益は872,146千円となりました。

(営業外損益及び経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は10,894千円となりました、これは業務受託料3,810千円、助成金収入2,943千円、受取配当金2,526千円等によるものであります。

当連結会計年度の営業外費用は3,396千円となりました。これは子会社移転に伴う固定資産除却損2,379千円等によるものであります。

その結果、経常利益は879,643千円となりました。

(特別利益)

当連結会計年度の特別利益は70,136千円となりました。これは投資有価証券の一部売却による売却益59,856千円及び受取補償金10,280千円であります。

その結果、税金等調整前当期純利益は949,779千円となりました。

(当期純利益)

以上の結果より、親会社株主に帰属する当期純利益は627,206千円となりました。

 

c.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの普及により明るい兆しが見受けられ、経済社会活動の正常化が進むことが期待されていますが、新たな変異株出現のリスクや半導体不足の影響、原油・原材料価格の高騰、ロシアのウクライナへの侵攻による影響、円安の進行等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続くものと見込まれています。

情報サービス業界におきましては、先端技術の普及や業務効率化ニーズの高まり、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展、サイバーセキュリティ対策の需要増加、クラウド化の進展、IoT(Internet of Things)、フィンテック(金融サービスのITイノベーション)、AI(人工知能)、RPA(ロボットによる業務自動化)等のITを利用した生産性向上や省人化・自動化による労働力不足への対応等、中長期的にはIT投資は引き続き拡大すると想定しております。

その一方で、当業界では業者間の受注競争の激化に加え、パートナー企業を含む開発要員獲得の面で非常に厳しい経営環境が続いており、引き続き人材確保と育成が経営課題の最重要事項となっております。

 

このような状況の中で当社は、技術革新が急速に進む情報サービス業界において常にお客様に満足していただけるサービスを提供していくため、既存技術の強化とともにクラウドビジネスやパッケージベースSIサービスを中心とする成長力の高い事業ドメインの開拓、事業構造の集中と選択、直ユーザ取引の拡大に積極的に取り組み、長期的な成長につながるビジネス基盤の構築に引き続き注力してまいります。

また、これらの成長を実現するため、Salesforceビジネス推進室を中心としたパッケージ導入支援、アドオン開発の全社展開の推進、DX推進本部を中心としたローコード開発やアジャイル開発等の新デジタル技術人材の育成強化、クラウドシフトの取り組み強化等、前年に引き続き戦略投資を進めていく方針であります。

一方、継続的に発生している不採算プロジェクトに鑑み、不採算プロジェクト発生を防ぐべく、開発プロジェクトのマネジメント意識を高めるとともに、PMO要員によるプロジェクト監視をさらに強化し、生産性の向上、経営効率化による基盤強化に向けた取り組みを一層加速し、利益率の向上を目指してまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況・分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

資本の財源及び資金の流動性につきましては、営業活動に伴い売掛金回収までの運転資金を主たる資金の需要としておりますが、金融機関からの借入金により、必要とする十分な資金を調達しております。なお当連結会計年度においては、引き続き慎重かつ保守的な財務活動にあたる方針としたことから当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は2,883,562千円となり、比較的厚めの資金ポジションをとっております。当事業年度末における資金は資産合計の44.4%を占めており、また流動比率は358.30%であることから十分な流動性を確保しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 重要な会計方針」に記載されているとおりであります。この財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

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