業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、景気が緩やかに持ち直している状況となっております。

当社グループを取り巻く環境におきましては、超高齢社会の到来に伴い、介護費、介護保険サービス利用者数及びサービス提供事業者数は増加し、介護事業全体の底上げが続いております。2021年度の介護保険制度改正では、新たに感染症や災害への対応力強化が掲げられた他、高品質かつ効率的な介護サービスが提供可能な体制整備を推進する観点から、地域包括ケアシステムのより一層の推進とICTの活用及び介護の担い手の拡大などとともに、LIFE(CHASE+VISIT)を活用した科学的介護の取組の推進が新たに加わるなど、医療・介護事業全体でサービス提供のより一層の効率化が求められております。

このような状況のもと、当社グループは、医療・介護をつなぐ地域包括ケアを実現するシステムを提供していることから、各省庁との共同プロジェクトに参加し、国の政策と同じ方向性をもつシステム開発会社となるよう努めるとともに、介護保険制度改正に対応する準備を整え、継続して適時にシステム改修を行い、システム利用者の負担軽減により、ユーザーの利便性の向上を図っております。総務省の「IoTサービス創出支援事業」の実証実験を通じて「カナミッククラウドサービス」を基軸とした介護における各種データの活用連携を進めるとともに、「東京都多職種連携ポータルサイト」を通じて、従来の市区町村に比べてより広範囲な都道府県単位での在宅療養推進体制に寄与するなど、当社グループの「カナミッククラウドサービス」で培った医療・介護連携のノウハウが地域の医療・介護連携に貢献しております。それらの高齢者支援事業とあわせ、多世代包括ケアの実現に向けた取組として「子育て支援システム」を通じて自治体の子育て支援事業の効率運用に寄与しております。あわせて、前期より引き続き認定NPO法人健康都市活動支援機構と共同で自治体向け地域データヘルスシステムの標準化を目指したシステム開発を行っております。一方で、当社グループにおけるシステムのプラットフォーム化の一環として、介護事業者における介護サービス利用者向け請求書・領収書の「発行」「連絡」業務に対するソリューションサービスとして、業務をWeb 上で完結できるDX(デジタルトランスフォーメーション)サービスとしての「カナミックかんたんWeb 明細」、実際の作業の事務代行を行う「カナミックかんたん郵送代行(BPO)」、介護サービス利用者向けの利用料決済サービス「カナミックかんたん電子決済サービス」及びコンテンツサービスの充実、人材データベースマッチングサービスや医療・介護事業者向け物販サービスの稼働、サービス付き高齢者向け住宅におけるIoT連携など、他社との業務連携を進めてまいりました。また、今後の事業規模拡大を目的として、株式会社アーバンフィットの全株式を2022年5月20日付で取得し当社の完全子会社といたしました。株式会社アーバンフィットは大阪を中心に 24 時間営業のフィットネスジムの運営およびフランチャイズ展開(直営店8店舗、FC店6店舗、計14店舗(2022年5月20日時点))を主たる事業とし、今後は全国規模へ拡大をしていく急成長中のヘルスケア企業となります。株式会社アーバンフィットの持つリアル店舗としてのビジョンが当社のM&A戦略における「健康寿命延伸事業」に一致しており、当社グループが医療・介護のみならず健康も含めた、医療・介護・健康を包括したヘルスケア・ヘルステック企業として更なる付加価値の高いサービスを提供する上で大きな推進力になると判断しております。今後も当社グループの事業規模拡大のため、新たなM&A候補先の選定や新規事業の展開等を進めてまいります。

さらに、当社グループのシステムがプラットフォーム化に対応していくことに伴い取得される患者・要介護者等の情報をビッグデータとして解析し、国や自治体、保険会社等が必要としているエビデンスを見つけ出すAIサービス等の展開を通じて医療・介護分野における地域連携をさらに推進させ、患者・要介護者、全ての医療・介護事業者にソリューションを提供するための研究活動も実施しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴い当社グループの主たる顧客である介護事業者の一部において、介護事業の活動が制限される状況となっておりますが、現時点における当社グループへの影響は軽微となっております。

これらの結果、当連結会計年度における業績は、売上高2,502,775千円(前連結会計年度比421,998千円増、20.3%増)、営業利益962,766千円(前連結会計年度比120,960千円増、14.4%増)、経常利益980,825千円(前連結会計年度比150,884千円増、18.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益685,516千円(前連結会計年度比105,933千円増、18.3%増)となりました。

 

② 資産、負債及び純資産の状況

(資産の状況)

当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度に比べ2,111,266千円増加し、6,506,323千円となりました。これは主に、資金調達を主な原資としての現金及び預金の増加や、M&Aによる子会社の増加等により、流動資産が1,015,475千円、固定資産が1,095,791千円増加したことによるものであります。

 

(負債の状況)

当連結会計年度末における負債は前連結会計年度末に比べ1,521,642千円増加し、3,957,456千円となりました。これは主に、借入による資金調達やM&Aによる子会社の増加等により、流動負債が496,116千円、固定負債が1,025,526千円増加したことによるものであります。

(純資産の状況)

当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べ589,624千円増加し、2,548,866千円となりました。これは主に、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益により685,516千円増加する一方で、配当金の支払により118,552千円減少し、自己株式が21,573千円減少したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は当連結会計年度末には4,552,730千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、803,269千円(前連結会計年度は756,754千円の獲得)となりました。収入の主な内訳は税金等調整前当期純利益982,826千円、非資金損益項目である減価償却費173,511千円であり、支出の主な内訳は法人税等の支払額266,115千円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、457,205千円(前連結会計年度は216,032千円の使用)となりました。支出の主な内訳は当期より新たに連結子会社となりました株式会社アーバンフィットの取得に伴う支出152,406千円、新サービス提供やサーバーの増強などを要因とした有形固定資産の取得による支出73,849千円、カナミッククラウドサービスの新機能追加に伴う無形固定資産の取得による支出250,508千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、488,971千円(前連結会計年度は1,458,641千円の獲得)となりました。収入の主な内訳は将来のM&Aによる成長実現のための資金調達を目的とした借入による収入900,000千円であり、支出の主な内訳は配当金の支払額118,552千円であります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

ⅰ 生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

ⅱ 受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

ⅲ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をサービスごとに示すと、次の通りであります。

サービスの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

カナミッククラウドサービス

2,081,629

112.0

プラットフォームサービス

117,514

81.8

健康寿命延伸サービス

250,958

その他サービス

52,673

66.4

合計

2,502,775

120.3

(注)当社グループの報告セグメントは単一であるため、サービス毎に記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態の分析)

当連結会計年度末の資産は6,506,323千円となっております。資産については、M&Aにより連結子会社となりました株式会社アーバンフィットの資産が増加しました。さらに営業活動によるキャッシュ・フローに伴う現金及び預金の増加、財務活動によるキャッシュ・フローによる資金調達を原資としての現金及び預金の増加などが主な要因となります。また継続的な設備投資の結果、工具、器具及び備品及びソフトウエアが増加する傾向が続いており、当期も同様となっております。

当連結会計年度末の負債については3,957,456千円となっております。負債については、M&Aにより連結子会社となりました株式会社アーバンフィットの負債が増加しました。また将来のM&Aによる成長実現のための資金調達を目的とした長期借入金の増加及び親会社株主に帰属する当期純利益の増加に伴う未払法人税等の増加以外は、一定程度の水準を維持する傾向が続いており、当期も同様となっております。

当連結会計年度末の純資産については2,548,866千円となっております。純資産につきましては、自己株式の処分による純資産の増加以外は、親会社株主に帰属する当期純利益から配当金の支払額を除いた金額と同程度の金額が増加する傾向が続いております。

 

(経営成績の分析)

当連結会計年度の売上高は、2,502,775千円となりました。これは、主に当社グループの主力サービスであるカナミッククラウドサービスの契約数の増加、M&Aにより連結子会社となりました株式会社アーバンフィットの健康寿命延伸サービス追加によるものであります。なお、当社グループは、医療・介護・健康分野における情報共有プラットフォーム及びヘルスケアプラットフォームの構築を目的とする事業ならびにこれに付帯する業務の単一セグメント事業であるため、セグメント情報は記載しておりませんが、個別サービスごとの売上高は以下となります。

 

ⅰ カナミッククラウドサービス

カナミッククラウドサービスはストックビジネスをメインとしており、既存顧客のストック部分をベースに、継続的な新規顧客の獲得を続けた結果、売上高は2,081,629千円(前連結会計年度比223,754千円増、12.0%増)となりました。

 

ⅱ プラットフォームサービス

プラットフォームサービスにつきましては、大手介護事業者からの依頼によるホームページ構築業務や公益財団法人介護労働安定センターを通じた介護事業社向けホームページの受託制作、運営・管理が安定した収益基盤となっており、また介護関連情報を提供するインターネット広告サービスや情報共有プラットフォームを通じた新型コロナウイルス対策商品の販売など各種サービスの提供を手がけましたが、新型コロナウイルス対策商品の競合が多数出てきており、関連商品の販売が大きく減少した結果、売上高は117,514千円(前連結会計年度比26,112千円減、18.2%減)となりました。

 

ⅲ 健康寿命延伸サービス

健康寿命延伸サービスにつきましては、当期より連結の範囲に含めております株式会社アーバンフィットにおけるフィットネスジム運営事業およびフランチャイズ事業の業績となります。株式会社アーバンフィットのみなし取得日を2022年6月30日としたため当第4四半期連結会計期間より当該企業の業績を連結しており、フィットネスジム運営事業およびフランチャイズ事業が好調に推移した結果、売上高は250,958千円となりました。

ⅳ その他サービス

その他サービスにつきましては、大口顧客向けカスタマイズ開発の受託などがありましたが、開発期間が長期に渡るため当連結会計年度においては売上が計上されず、売上高は52,673千円(前連結会計年度比26,601千円減、33.6%減)となりました。

 

売上高が増加する一方で、プラットフォームサービス及びその他サービスに関連する商品仕入高や制作費等の減少や、株式会社アーバンフィットを新たに連結の範囲に含めたことによる健康寿命延伸サービスに関連する費用の増加により、売上原価が前連結会計年度に比べ110,110千円増加し402,860千円となりました。この結果、売上総利益は2,099,915千円(前連結会計年度比311,888千円増、17.4%増)となりました。また、需要増加への対応のための人員増に伴う人件費増加や、M&Aに係わる関係会社株式取得の付随費用31,000千円の発生、株式会社アーバンフィットを新たに連結の範囲に含めたこと等により、販売費及び一般管理費が前連結会計年度に比べ190,927千円増加し1,137,148千円となりました。この結果、営業利益は962,766千円(前連結会計年度比120,960千円増、14.4%増)となりました。

株式会社アーバンフィットの保険解約に伴う返戻金が発生したことなどにより、営業外収益が前連結会計年度に比べ15,584千円増加し20,839千円となりました。また、前年同期の資金調達費用が当期は発生していないことなどにより、営業外費用が前連結会計年度に比べ14,339千円減少し2,780千円となりました。この結果、経常利益は980,825千円(前連結会計年度比150,884千円増、18.2%増)となりました。特別利益は車両及び備品の売却により固定資産売却益が2,000千円発生し、特別損失はございませんでした。

これらの結果、税金等調整前当期純利益は982,826千円(前連結会計年度比152,156千円増、18.3%増)、法人税等合計が前連結会計年度に比べ46,223千円増加し297,310千円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は685,516千円(前連結会計年度比105,933千円増、18.3%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループにおける資金需要の主なものは製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金及び設備投資資金であります。当社グループの資金の源泉は主として営業活動によるキャッシュ・フローによる資金調達となります。

当連結会計年度のキャッシュ・フローは、財務活動による将来のM&Aによる成長実現のための資金調達を目的とした借入を実施したこと及び税金等調整前当期純利益等を源泉とした営業活動によるキャッシュ・フローを主な要因として、現金及び現金同等物の増減額が841,949千円の収入となりました。

当社グループは十分な水準の手元流動性を確保しております。今後の事業展開やM&Aなどに伴う資金調達については当連結会計年度において達成したと考えております。翌連結会計年度以降においては新株予約権の行使による増資で引き続き資金調達を図ってまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的と考えられる金額を計上しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、見積もった数値と実際の結果は異なる場合があります。重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に以下の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。

 

・固定資産の減損

固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。

固定資産の減損の兆候の判定及び回収可能価額の算定の前提となる将来キャッシュ・フローが、将来の不確実な経済状況の変動による影響を受け、翌連結会計年度以降の固定資産において減損損失が発生する可能性があります。

 

なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、現時点において連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に与える重要な影響は認識しておりません。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは高齢化社会に求められる医療・介護分野においてICTによる地域包括ケアの実現に寄与するために、多職種間連携を可能とする当社システムを医療・介護業界全体のプラットフォームとして提供してまいりました。

今後は医療・介護のみならず健康も含めた医療・介護・健康を包括したヘルスケア・ヘルステック企業として、ICT、リアル店舗双方から得たビッグデータの解析を通じて医療・介護分野における地域連携の更なる推進と、有益なソリューションの提供に取り組んでまいります。

当社グループは収益性を重視する観点から「営業利益」を目標数値としております。当連結会計年度の目標930,000千円に対する実績は962,766千円(達成率103.5%)となりました。これは「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載した要因によるものであります。

翌連結会計年度は1,150,000千円(当連結会計年度実績比19.4%増)を目標とし、地域連携の強化による医療・介護事業者への営業を進めるとともに、国や自治体と一体となった事業を進めることにより業績を伸ばしてまいります。

 

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