課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

大地に根を張り、常に大きく成長し続ける樹。私たちはこの樹のように、常にお客様のネットワークの中に根付き、お客様と共に発展し続けます。時代の開拓者であり、時代の証人であるために、医療・介護ネットワーク業界の先駆者として常に最善を尽くすことを経営の基本方針としております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは収益性を重視する観点から「営業利益」を目標数値とし、常に収益の改善に努め、コストの削減意識をもって企業経営に取り組んでおります。

 

(3)医療・介護ネットワーク業界の経営環境

日本の人口構造の変化に伴う高齢者(特に75歳以上の高齢者)の占める割合の増加により、医療介護分野における社会保障給付費が膨らむことが見込まれております。

特に、所謂団塊の世代が75歳を迎える2025年以降も高齢者人口の増加傾向は2040年頃まで継続すると見込まれており、年齢を重ねるごと増加する要介護・要支援の認定率と相まって、医療介護分野における社会保障給付費は逓増することが見込まれております。

これに伴い、当社グループの主力事業に関連する医療・介護ネットワーク業界の市場規模も拡大傾向が継続するものと考えております。当社グループにおきましては、医療・介護業界全体のプラットフォーム提供を通じて、増加する社会保障給付費の効率的な活用に資するサービスの提供を行ってまいります。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは高齢化社会に求められる医療・介護分野においてICT(Information and Communication Technology)による地域包括ケアの実現に寄与するために、多職種間連携を可能とする当社システムを医療・介護業界全体のプラットフォームとして提供してまいりました。

今後は医療・介護分野における地域連携をさらに推進させ、患者・要介護者、全ての医療・介護事業者に有益なソリューションの提供に取り組むとともに、ICTを通じたサービスのみならず、リアル店舗を活用したデータビジネスとして、健康寿命延伸サービスや医療・介護・薬局関連サービスなど、ITサービスとリアル店舗ビジネス、医療介護子育てビジネスと健康ビジネス、それぞれを包括したヘルスケアプラットフォームの構築を推進し、「「人生を抱きしめるクラウド」で人と社会に貢献する」ビジョンの実現を目指してまいります。

 

(5)対処すべき課題

近年の医療・介護業界に関連するステークホルダーの様々な課題が顕在化してきております。まず家族と患者・要介護者である高齢者とが抱える課題としては、家族の介護のために介護をする方が仕事を辞めなければならないという介護による雇用喪失の問題や家族の繋がりの希薄化の問題が考えられます。次に、介護事業者が抱える課題としては、業界全体としての人材不足やケアマネジャーなどの採用の難しさ、そして介護事業者のサービス内容が患者やその家族に伝わらないといった問題が考えられます。加えて、特に業界で多くを占める中小介護事業者において、設備投資や資金繰り、資金決済といった事業規模に伴う諸問題がございます。また、病院医師や在宅医師の抱える課題として、業務があまりに多忙すぎる点や患者の情報不足に起因して、有効な医薬品の利用や患者への対応が遅延することがあります。さらに、看護師や介護士における課題として、最新の治療等の情報不足や知識・経験の欠如から来るサービス品質の低下があります。

当社グループは、このような医療・介護業界全体が抱える課題を克服することが当社グループの課題と考えて、以下のような対処を行っております。

 

① クラウドサービス提供事業の拡大

当社グループのクラウドサービスは、自治体・医療・看護・介護の連携に関してシステム内でのコミュニケーションが可能な多職種間連携を実現する介護請求・業務管理システムとして介護保険制度施行時の2000年より提供されているシステムであり、当該システムにより国が目指す「地域包括ケア」の実現に寄与してまいりました。当社システムの導入により、医師、看護師、ケアマネジャー、介護士といった方たちの情報連携による地域包括ケアを実現することが可能となり、サービスの質の向上と業務の効率化が進められるようになっております。

今後は、介護サービスのニーズの高い地域から順次営業所を設立し、地域に根ざしたサービスを提供し、患者とその家族に対して効果的かつ安定的な介護環境を生み出すことで、家族介護による離職問題を回避し、若者の社会進出の活性化を図るとともに、家族の繋がり自体を活性化させることを課題と考えております。

また、地域連携のさらなる推進により、患者、要介護者、全ての医療・介護事業者といった医療・介護業界全体のユーザーの利便性を向上させ、情報共有プラットフォームの構築に貢献し、急性期医療から回復期医療、そして在宅医療といった各段階における適切な医療や介護の対応を可能にするため、各段階の患者のニーズの変化に適宜対応できるようシステム開発への取り組みを継続していく方針であります。

 

② 新規事業領域の拡大

ⅰ コンテンツ事業

当社グループのカナミッククラウドサービス内において、医療・介護に関連する有益な情報をコンテンツとして提供し、広告宣伝収入を得ております。当社の提供する広告は、医療・介護に関連する方々に有益な情報をタイムリーに提供するものであり、その導入によって、医療・介護関係者が最新の医薬品の情報や介護関連機器等の情報を取得することができるようになり、医療・介護の質の向上に寄与します。

今後は、在宅医療・介護の広がりにあわせ、広告を通じた情報に対するニーズがより高まっていくと予想され、より広い情報を提供するため、大手広告代理店と協力し、広告宣伝主を広く集め、さらに医療・介護関係者の役に立つ情報提供システムとなっていく必要があると考えております。

 

ⅱ ビッグデータ解析事業

当社グループは、カナミッククラウドサービスの提供を通じて取得した膨大な医療・介護関係のデータを蓄積しております。

今後は、平均寿命の伸びと少子化に伴う高齢化社会が進展する状況下において、クラウドに蓄積されたビッグデータの解析事業を通じて、よりよく、かつ効率的に介護を行える環境を整えることに寄与してまいります。

 

ⅲ シェアリングエコノミー関連事業

当社グループは、カナミッククラウドサービス上で当社グループのシステムユーザーにおける求人ニーズと人材データベースのマッチングサービスを提供しております。

今後は、人材サービスのみならず、介護関連器具、車両、施設といった介護事業者が必要とするあらゆるニーズに対応できる仕組みを整え、介護業界の発展に寄与してまいります。

 

ⅳ フィンテック関連事業

当社グループはカナミッククラウドサービスの提供を通じた効率的な請求管理サービスを提供しておりますが、介護事業では介護給付費の決済に関連する業務に従来型の非効率な部分が多く存在しております。

今後は、請求管理に加え、資金繰り、新たな決済手段などのサービスラインナップの追加を図り、決済関連の効率化に寄与してまいります。

 

③ ヘルスケアプラットフォームの構築

当社グループは、カナミッククラウドサービスによる効率的な「地域包括ケア」の実現、同サービスを通じた各種情報提供によるプラットフォームサービス機能の拡大と、サービスの質の向上に努めてまいりました。今後はITを通じたサービスのみならず、リアル店舗を活用したデータビジネスとして、健康寿命延伸サービスや医療・介護・薬局関連サービスなど、ITサービスとリアル店舗ビジネス、医療介護子育てビジネスと健康ビジネス、それぞれを包括したヘルスケアプラットフォームの構築を推進し、「「人生を抱きしめるクラウド」で人と社会に貢献する」ビジョンの実現を目指してまいります。

 

④ 積極的なM&Aの活用

当社グループは、「「人生を抱きしめるクラウド」で人と社会に貢献する」というビジョンを前提にした「事業コンテンツ」、「事業エリア」、「事業ツール」の補強・拡大を行う際の方法の一つとして、M&Aの採用を積極的に検討しております。当社グループにおける新規事業の創出・既存事業の拡大とともに、M&Aの推進を通じてビジョンの実現と継続的な成長を図ってまいります。

 

⑤ 情報管理体制の強化

当社グループは、提供するカナミッククラウドサービスにおいて数多くの患者・要介護者の情報を保有しており、個人情報保護を含む情報管理が経営の重要課題であると認識しております。当社では、2006年5月に「プライバシーマーク」を、2017年12月に「医療情報ASP・SaaS情報開示認定制度」をそれぞれ取得しておりますが、今後も定期的な社内教育の実施、セキュリティシステムの整備等により、引き続き情報管理体制の強化を図ってまいります。

 

⑥ システム基盤の強化

当社グループは主にクラウドを利用したインターネット上での事業を展開していることから、サービス提供に係る当該システム稼働の安定性を確保することが経営上の重要な課題であると認識しております。また、長期的に高齢者人口の増加が見込まれており、要介護者数も合わせて増加するため、ユーザー数の増加に備えたサーバーリソースが必要になります。当社グループは、今後もその重要性に鑑み、継続的に安定運用を図るため、システム基盤の強化への取り組みを継続していく方針であります。

 

⑦ コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の強化

当社グループは現在成長段階にあり、継続的な成長を続けることができる事業基盤の確立に向けて、コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制のさらなる強化が経営上の重要な課題であると認識しております。事業の拡大に伴い、内部管理体制の一層の充実に努め、業務の適切性、財務報告の信頼性及びコンプライアンス体制の強化を図ってまいります。

 

⑧ 人材の採用と育成

当社グループは、継続的成長のためには、優秀な人材の採用と育成が重要であると考えております。

特に高齢社会に関連する市場はますます拡大し、多くの事業機会が生まれており、これに対応した営業所の新設に伴う営業やサポート面において必要とされる人員を確保する必要があります。

また、当社グループは介護保険制度等の改正に対応したシステム開発のための人員を確保する必要があります。

そのため、当社グループは当該人材の採用と育成に注力してまいります。

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