課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループはミッション「新しい『心動かす』で、新しい価値創出をしつづける。」の達成に向け、「未来を、感動を、人を、プロデュース。」をスローガンとして掲げています。「未来を」は成長領域へのチャレンジ、「感動を」は強みの一層の深掘り、「人を」は資産である人が成長する場、これらをグループ社員一丸となりプロデュースし、企業成長を目指します。

 

(2)経営環境

当社グループが主軸としているテレビCM制作においては、テレビ広告費の減少に連動してテレビCM制作市場も、今後、最大で年2%程度のペースで縮小するとみています。一方で、デジタルシフトの加速により、動画広告制作市場は年20%程度のペースでの成長が見込まれます。その中では、当社が手掛けてきた高単価のブランド動画も成長しますが、低中単価動画の伸びが大きくなるとみています。 顧客別にみていくと、当社が注力している広告主直接取引の顧客層である、年間広告費が1~10億円程度の企業やベンチャー企業を中心に、制作会社との直接取引のニーズを感じている広告主が増加してきています。こういった広告主はメディアミックスを志向し、自社製品・サービスを理解した上でのプロデュースやマーケティングのニーズが強く、コミュニケーション全体の設計と運用をサポートしてほしいというニーズも一定数存在しています。

新型コロナウイルス感染症の流行により、足元の業績はきわめて厳しい結果となり、今後も、感染拡大の収束が見通せない中、企業の広告需要減少の影響は避けられないと考えられます。しかし一方で、中長期的には、情報通信技術の進化、メディアの多様化、ポストコロナ社会における行動様式の変容等の変化のスピードが加速していく中で、企業と生活者のエンゲージメントを深めるための映像を中心とするコミュニケーションツールの企画・制作に対するニーズが高まっていくことは確実で、こうした変化は当社にとって事業拡大のチャンスでもあります。

 

(3)対処すべき課題

① 新型コロナウイルス感染拡大の影響等の外部環境と当社の取り組み

5月25日の緊急事態宣言解除以降、当社では安全に制作業務を遂行するための新しいスタンダードを適用すべく、国や各自治体による一連の情報と国内外の様々な映像制作のガイドライン事例に加え、医療コーディネート会社とアドバイザリー契約を締結し、制作業務に関する独自のガイドラインを作成、撮影時には医療従事者を含む衛生対策管理チームを帯同させ、体調確認、定期的な消毒・換気の実施・確認を行うなど、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を講じたうえで、撮影・編集等の業務を行うとともに、新たにリモートでの動画制作手法の導入も進め、業務の正常化を図っております。また、社員の在宅ワーク推奨を継続し、オフィスの面積縮小を進めています。2021年1月、新型コロナウイルス感染拡大の第三波により緊急事態宣言が再度発出されましたが、撮影・編集等の業務は上記のとおりすでに新型コロナウイルス感染拡大防止対策を講じていることから、前回のような、中止・延期となる案件はほとんど発生していません。

2020年の国内広告市場は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて大きく落ち込みましたが、2021年以降は緩やかなプラス成長が維持される見通しです。ただし、GDP成長率が低位で推移することから新型コロナウイルス拡大感染影響前の水準まで回復するには相応の時間を要すると考えられます。加えて、足元では緊急事態宣言の再発出による不要不急の外出自粛や営業時間の短縮要請により個人消費の冷え込みが続き、今後は雇用所得の悪化が重石になることが懸念され、広告市場の回復が遅れる可能性も考えられます。

 

② 中期経営計画における取り組み

当社は、2020年8月24日に2021年度から2025年度の5ヵ年を対象とする当社グループ中期経営計画を公表し、(1)事業・組織構造の変革、(2)各事業における取り組みの明確化、(3)グループ経営の深化・強化、の3点を重点施策に掲げ、2025年度における業績計画を売上高680億円、営業利益44億円、KPIをEBITDA57億円、ROE10%以上とし、2021年1月に「コンテンツプロデュース事業」と「コミュニケーションデザイン事業」の2事業体制への組織再編を実施、コスト削減に向けた動きも加速させています。

 

・コンテンツプロデュース事業

業界トップシェアやこれまで培ったノウハウを強みに、高クオリティ、高生産性を追求してテコ入れを図るとともに、市場の伸びが期待される低・中単価のデジタル動画市場へ対象を拡大します。受託事業では、新規/デジタル案件の受注強化のため、営業管理手法の見直し、若手プロデューサー育成、プラットフォーマーからの受注獲得を図るとともに、実行利益率33%以上を目指します。低・中単価デジタル案件の取り込みでは、制作一本化や実行利益率の引き上げ、人材発掘とネットワーク拡充を推進します。ポストプロダクションでは、MA(音声編集)、カラーグレーディング、CG拡大や低・中単価動画案件の編集、バーチャルスタジオ、xR事業展開など多角化を図ります。

2021年度は、大手広告会社からの安定的な受注獲得のためアプローチ先の拡大・営業強化を図ることに加え、顧客基盤の増強に向けて外資系広告会社やネット系広告会社、コンサルティング会社、プラットフォーマー等に向けた新規営業に取り組み、成長が見込まれる低・中単価動画制作の体制整備にも注力します。

 

・コミュニケーションデザイン事業

顧客基盤の強化を図るとともに、より高付加価値なサービス提供を目指します。企業のコミュニケーションを全体設計から具体的なカタチを作り上げるところまで手掛け、コンテンツプロデュース事業と並ぶ柱とすべく、注力していきます。

2021年度は、組織再編で集約した部門間の連携を強化すべく、新たな管理体制・人事制度を確立させるとともに、広告主直接取引の拡大に向け、不足している機能の拡充を図ります。

 

・人材戦略

2020年に人材マネジメント方針を策定、「記憶に残り後世に語り継がれる感動を生み出す人材を輩出する」を基本方針として、新卒採用における母集団形成・選考管理の統一化、評価制度・報酬体系の見直し、育成環境・キャリア開発の環境構築といったグループ人材戦略を推進します。

 

・コスト削減

リモートワーク等の働き方の変化によりオフィス系コスト・交通費等を削減するとともに、生産性を高めることでコーポレート系コストを適正化していきます。なお、組織再編及び従業員の在宅勤務推奨の継続に伴い、中期経営計画で策定したコスト削減策を2020年度後半より前倒しで実行し、オフィス面積削減を進めています。

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