文中の将来に関する事項は、当事業年度の末日現在において判断したものであります。また、当社は当事業年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、感染対策により経済社会活動の正常化が進む中、各種政策の効果により徐々に持ち直しの動きがみられた一方、国際情勢の悪化による原材料価格の上昇や円安の進行、金融資本市場の変動等が与える影響が懸念されております。
このような状況のもと、当社は、企業価値向上と持続的な成長を推し進めていくためには優秀な人材確保による開発力及び信用力の強化が不可欠と考え、2022年4月の東京証券取引所の市場再編において選択したプライム市場が求める「流通株式時価総額100億円以上」の基準の充足を目指し、企業価値向上を目的とした様々な施策を講じております。
2021年10月にはゼネコン向け受託開発とMVNO関連ビジネスを手掛ける零壱製作株式会社(本社:栃木県那須塩原市、以下「零壱製作」)の発行済株式数の70%を取得し子会社といたしました。
2022年7月には開発技術者のさらなる確保を目的に、株式会社総研システムズ(本社:東京都新宿区、以下「総研システムズ」)への追加出資を行い、同社の発行済株式総数の33.3%を保有することとなりました。
また、2022年9月には官公庁・自治体及び民間企業での Web 制作における「フロントエンド」(Web サービスや Web アプリケーションにおいてユーザーの直接目に触れる部分)を強みとする株式会社ビー・オー・スタジオ(本社:東京都渋谷区、以下「ビー・オー・スタジオ」)と、生命保険・銀行・証券系の金融系システム開発に強みを持つ株式会社コムソフト(本社:東京都豊島区、以下「コムソフト」)の株式を譲り受け、2022年10月より両社を完全子会社といたしました。
これにより当社グループは、次期(2023年9月期)より零壱製作、ビー・オー・スタジオ、コムソフトの3社を連結子会社、総研システムズを持分法適用会社とし、単体決算から連結決算に移行することとしております。
さらに、並行して取り組んできた資本業務提携及び業務提携においても、受注や販路の拡大といった成果が確実に出ていることから、当社グループ全体の成長と基盤強化を推し進めるため、今後もM&Aに加えて資本業務提携及び業務提携による他社とのパートナーシップやアライアンス強化に取り組んでまいります。
このような成長戦略の動向や業績へのご理解を深めていただくため、当事業年度からは特に個人投資家の皆様との対話を重視し、説明会の機会の増加や、IR・PRの積極的な情報発信等、いっそうの充実に努めております。
この結果、当事業年度における当社の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産)
当事業年度末における総資産は4,608,224千円となり、前事業年度末と比較して248,177千円の増加となりました。これは主に、売掛金及び契約資産が224,688千円増加、投資有価証券が121,485千円増加、関係会社株式が107,524千円増加、前払費用が46,596千円増加し、一方で、現金及び預金が259,299千円減少したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は1,038,186千円となり、前事業年度末と比較して176,882千円の増加となりました。これは主に、買掛金が70,981千円増加、未払法人税等が56,309千円増加、賞与引当金が41,020千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は3,570,038千円となり、前事業年度末と比較して71,294千円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が265,634千円増加、自己株式の取得により自己株式が199,998千円増加したことによるものであります。
b.経営成績
事業の状況といたしましては、売上高及び経常利益は設立以来最高額を達成し、増収増益となりました。
「業務系システム開発」においては、通信キャリア向け、公共向け、生保向け案件の拡大により好調に推移しました。
「基盤構築」は「業務系システム開発」や「ソリューション・商品等売上」との連携に加え、クラウド構築への本格参入によりVDI導入、官公庁向け案件の基盤増強の需要を取り込み、売上を伸ばしました。
「コネクテッド開発」は新型コロナウイルス感染症の拡大により引き続き製造業向け案件で影響が出ているものの、安定して開発を継続しました。
「ソリューション・商品等売上」は、独自のソリューションやサービスの提供により他社との差別化に注力し、好調に受注を拡大しました。特に、SAP Concur®が提供するConcur Expense、Concur Invoice等の導入サービスにおいては、テレワークの広がりや電子帳簿保存法の改正も追い風となる中、当社独自のソリューションとして提供しているInvoice PAシリーズ等が好評で、引き続き多くの受注を獲得しました。また、RPAツールWinActor®(注)のライセンス販売や導入案件が順調に増加しました。当社の自社ソリューションであるWork AIサービスにおいては、AI開発の実証実験やアプリ構築、データ分析サービスの受注・引合いが増加しております。
(注)「WinActor」は、エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社の登録商標です。
以上の結果、当事業年度における売上高は、6,730,166千円(前年同期比17.0%増)となりました。
売上総利益においては、生産性向上と高付加価値案件の獲得により、1,562,976千円(前年同期比10.5%増)となりました。販売費及び一般管理費は、新卒社員の増加による教育・研修費の負担増等により872,185千円(前年同期比4.6%増)となりました。また、業績好調に伴い昇給や賞与を大幅に引き上げましたが、営業利益は690,790千円(前年同期比19.0%増)、経常利益は724,817千円(前年同期比24.5%増)、当期純利益は499,152千円(前年同期比18.5%増)となりました。
なお、収益認識に関する会計基準等の適用により、当事業年度の売上高が23,470千円、売上原価が23,470千円それぞれ増加しておりますが、売上総利益、営業利益、経常利益及び当期純利益に与える影響はありません。
また、当社は情報サービス事業並びにこれらの付帯業務の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりません。
当事業年度における事業のサービスライン別の売上高を示すと、次のとおりであります。
事業のサービスライン |
売上高(千円) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
業務系システム開発 |
4,988,483 |
74.1 |
114.4 |
基盤構築 |
696,346 |
10.3 |
120.0 |
コネクテッド開発 |
192,669 |
2.9 |
100.8 |
ソリューション・商品等売上 |
852,666 |
12.7 |
137.4 |
合 計 |
6,730,166 |
100.0 |
117.0 |
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて256,978千円減少し、2,491,494千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの変動要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、437,003千円となりました。
これは主に、税引前当期純利益724,817千円、仕入債務の増加額70,981千円、賞与引当金の増加額41,020千円、減価償却費39,980千円等によるキャッシュ・フローの増加と、売上債権及び契約資産の増加額224,688千円、法人税等の支払額191,844千円等によるキャッシュ・フローの減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、260,641千円となりました。
これは主に、投資有価証券の取得による支出150,213千円、関係会社株式の取得による支出72,524千円、無形固定資産の取得による支出31,858千円等によるキャッシュ・フローの減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、433,340千円となりました。
これは主に、配当金の支払額233,551千円、自己株式の取得による支出200,598千円等によるキャッシュ・フローの減少によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社は、情報サービス事業並びにこれらの付帯業務の単一セグメントのため、生産、受注及び販売の実績については、サービスライン別に示しております。
a.生産実績
当社が提供するサービスには、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載を省略しております。
b.商品等仕入実績
当事業年度の商品等仕入実績は、次のとおりであります。なお、当社は単一セグメントであるため、売上高区分のうち商品等売上高に係る商品等仕入高を記載しております。
区 分 |
当事業年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比(%) |
|
商品等仕入高 |
(千円) |
133,022 |
151.8 |
合 計 |
(千円) |
133,022 |
151.8 |
(注)金額は仕入価格で表示しております。
c.受注実績
当事業年度の受注実績を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。
事業のサービスライン |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
業務系システム開発 |
5,250,893 |
118.5 |
1,044,108 |
133.6 |
基盤構築 |
677,655 |
110.5 |
132,381 |
87.6 |
コネクテッド開発 |
200,129 |
102.6 |
60,723 |
114.0 |
ソリューション・商品等売上 |
1,061,791 |
130.4 |
528,454 |
165.5 |
合 計 |
7,190,470 |
118.8 |
1,765,666 |
135.3 |
d.販売実績
当事業年度の販売実績を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。
事業のサービスライン |
当事業年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比(%) |
|
業務系システム開発 |
(千円) |
4,988,483 |
114.4 |
基盤構築 |
(千円) |
696,346 |
120.0 |
コネクテッド開発 |
(千円) |
192,669 |
100.8 |
ソリューション・商品等売上 |
(千円) |
852,666 |
137.4 |
合 計 |
(千円) |
6,730,166 |
117.0 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) |
当事業年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
キヤノンITソリューションズ株式会社 |
- |
- |
672,221 |
10.0 |
2.前事業年度のキヤノンITソリューションズ株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、財政状態及び経営成績に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。当社はこの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
なお、会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルス感染症による重要な影響はないものとして見積りを行っております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
イ.財政状態及び経営成績等の状況
当事業年度の財政状態及び経営成績等の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。
ロ.キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.売上高、売上原価及び売上総利益
当事業年度における売上高は6,730,166千円となり、前事業年度比977,812千円増加いたしました。売上総利益は前事業年度比148,818千円増加し、1,562,976千円となりました。
ロ.販売費及び一般管理費並びに営業利益
当事業年度における販売費及び一般管理費は前事業年度比38,402千円増加し、872,185千円となりました。
この結果、営業利益は前事業年度比110,416千円増加し、690,790千円となりました。
ハ.営業外損益及び経常利益
当事業年度の営業外収益は35,543千円となり、前事業年度比22,917千円増加いたしました。
当事業年度の営業外費用は1,517千円となり、前事業年度比9,104千円減少いたしました。
この結果、経常利益は前事業年度比142,438千円増加し、724,817千円となりました。
ニ.法人税等及び当期純利益
当事業年度における法人税等合計は、前事業年度比64,390千円増加し、225,664千円となりました。
以上の結果、当事業年度における当期純利益は前事業年度比78,047千円増加し、499,152千円となりました。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社の主な資金需要は、労務費、外注費、経費並びに販売費及び一般管理費等の運転資金と中長期的な成長を実現するための先行投資に大別されます。
運転資金につきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金に充当することにより対応する方針であり、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動から得られるキャッシュ・フローの水準等を勘案し、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。
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