① 経営成績の状況
当社グループは、「未来のソフトウエアを形にする」というミッションのもと、自然言語処理、画像認識、音声認識、機械学習/深層学習を用いたアルゴリズムの研究開発、ソリューション提供、プロダクトの拡販による社会実装を進めております。
AI Research & Solution事業は、アルゴリズム・知能化技術の事業化を行っており、パートナー企業のニーズに合わせて共同研究開発からソリューションの提供までを一気通貫で実施しております。また、実オペレーションを通じた製品/サービス開発の一環で、IoT機器からリアル空間のデータをクラウド上に収集し顧客への価値提供を実現するサービスの開発を、駐車場機器の製造販売事業を通じて行っております。
AI SaaS事業は、AI Research & Solution事業におけるアルゴリズムの開発成果をもとに、汎用的なニーズに対応するプロダクトを販売しております。AI SaaSプロダクトは「顧客接点」・「社内業務」領域で利用されており、人の業務を効率化し能力を拡張していく形で、ビジネス支援や企業の課題解決を実現しております。
当連結会計年度では、AI SaaS領域における顧客基盤の拡大とプロダクトの機能拡充を目指す成長戦略のもと、AI SaaS事業下にある連結子会社間の協業の取り組みを推進してきた結果、AI SaaSプロダクトの導入社数及び年間経常収益を着実に積み上げることに成功いたしました。また、「顧客接点」領域向けの新規プロダクトのリリースや、「社内業務」領域向けでの様々な企業との業務提携等の業容拡大に向けた取り組みを行いました。加えて、今後の成長に向けて優秀な人材の採用を進めるとともに、ソフトウエアプロダクトの強化や研究開発などの先行投資に注力してまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は以下のとおりであります。
売上高は11,509,927千円(前年度比31.9%増)となりました。これは主に、AI SaaS事業において各種プロダクトの販売が拡大したこと、ならびに前連結会計年度中に取得した株式会社PKSHA Communication(旧社名 株式会社PRAZNA)・株式会社アシリレラの売上が連結業績に寄与したことによるものです。一方、AI Research & Solution事業のモビリティ事業では新型コロナウイルス感染症の再拡大に対する潜在的リスクが意識され、顧客である駐車場運営会社の新規駐車場開設及び機器導入の低迷が見られました。
営業利益は1,565,906千円(前年度比140.8%増)となり、前連結会計年度業績を大きく上回る結果となりました。これは主に前述の2社の買収に伴い収益性の高いAI SaaS事業の売上高構成比が増加したことに加え、同事業において各種プロダクトの販売が拡大したことによるものです。
経常利益は1,551,423千円(前年度比171.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は836,612千円(前年度比500.0%増)となり、営業利益と同様に前連結会計年度業績を大きく上回る結果となりました。これは営業利益の増加に加え、当社子会社である合同会社PKSHA Technology Capitalがスパークス・グループ株式会社と共同運営するPKSHA SPARXアルゴリズム1号投資事業有限責任組合の一部投資先の株式売却等で持分法による投資利益を計上したことによる影響も含まれております。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(AI Research & Solution事業)
AI Research & Solution事業につきましては、パートナー企業からのニーズに対応するアルゴリズムソフトウエアの研究開発やソリューション案件の売上が堅調に推移したものの、モビリティ事業において、新型コロナウイルス感染症再拡大への警戒から顧客である駐車場運営会社の新規駐車場開設への投資意欲低迷が続き、駐車場機器の販売が回復に至りませんでした。
この結果、売上高は6,544,376千円(前年度比4.9%減)、セグメント利益は678,743千円(前年度比2.8%減)となりました。
(AI SaaS事業)
AI SaaS事業につきましては、AI SaaSの導入による業務の高度化・自動化を進めるニーズが拡大している環境の中で、自動応答エンジンを中心にAI SaaSの新規受注とライセンスの積み上げを進めてまいりました。また、AI SaaS事業下での組織の統合・再編を進めており、新規顧客の獲得及び既存顧客への相互送客等を通じて売上ならびに利益の成長に繋げております。
この結果、売上高は4,972,050千円(前年度比168.1%増)、セグメント利益は1,518,499千円(前年度比394.9%増)となりました。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は35,799,405千円となり、前連結会計年度末に比べ175,672千円減少いたしました。流動資産は15,222,923千円(前連結会計年度末比411,672千円減)となりました。主な減少要因は、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度末は「受取手形及び売掛金」で表示)が173,723千円、原材料及び貯蔵品が93,312千円増加したものの、現金及び預金が309,106千円、その他が359,330千円減少したことによるものであります。また、固定資産は20,576,481千円(前連結会計年度末比259,453千円増)となりました。主な増加要因は、のれんが482,144千円、顧客関連資産が394,133千円減少したものの、投資有価証券が1,242,312千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は6,543,584千円となり、前連結会計年度末に比べ714,061千円減少いたしました。主な減少要因は、長期借入金が701,690千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は29,255,820千円となり、前連結会計年度末に比べ538,388千円増加いたしました。主な増加要因は、その他有価証券評価差額金が349,573千円減少したものの、利益剰余金が825,910千円、非支配株主持分が41,815千円増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は12,495,623千円となり、前連結会計年度末に比べ309,106千円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は2,695,397千円となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益1,548,506千円、減価償却費564,084千円、のれん償却額482,144千円、顧客関連資産償却費394,133千円、法人税等の還付額481,824千円、主な減少要因は法人税等の支払額896,854千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は2,323,050千円となりました。主な減少要因は投資有価証券の取得による支出1,795,232千円、無形固定資産の取得による支出385,088千円であります。
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は681,453千円となりました。主な減少要因は長期借入金の返済による支出701,690千円であります。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金であります。これらの資金需要に対して当社グループでは、主として手元の資金及び金融機関からの借入金によって資金を確保しております。
生産実績においては、当社グループの業務形態上、重要性が乏しいため記載を省略しております。
b. 受注実績
提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況」に記載のとおりであります。
また、連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
a. 売上高
当連結会計年度の売上高は、11,509,927千円となりました。これは主に、前連結会計年度に連結子会社化した株式会社アシリレラ及び株式会社PKSHA Communication(旧社名 株式会社PRAZNA)の通期に亘る業績寄与、並びにアルゴリズムライセンスの積み上げ、各種プロダクトの拡販が進んだことによるものであります。
当連結会計年度の売上原価は、5,774,838千円となりました。これは主に、株式会社アシリレラ及び株式会社PKSHA Communicationを連結子会社化したことにより、費用が増加したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の売上総利益は、5,735,088千円となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、4,169,182千円となりました。これは主に、株式会社アシリレラ及び株式会社PKSHA Communicationを連結子会社化したことによる費用(のれん償却額、顧客関連資産償却費の計上を含む。)の増加、事業規模拡大に伴う人員増加により採用教育費が増加したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、1,565,906千円となりました。
当連結会計年度の営業外収益は、85,702千円となりました。これは主に、受取配当金、受取家賃によるものであります。一方で、営業外費用は、100,185千円となりました。これは主に支払利息、株式交付費償却、持分法による投資損失によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、1,551,423千円となりました。
当連結会計年度の特別利益は、999千円となりました。これは、投資有価証券売却益によるものであります。一方で、特別損失は、3,916千円となりました。これは、持分変動損失、固定資産除却損によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、1,548,506千円となり、法人税等を670,078千円計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、836,612千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照下さい。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
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