(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当事業年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の全世界的感染再拡大の影響が長期化しております。各国においては、ワクチン接種を積極的に進めているものの、変異株による感染拡大が猛威を振るっており、いまだ厳しい状況が続いております。日本経済においては、コロナ禍での経済活動回復に向けた取組に加え、継続的な財政・金融政策の下支えにより、持ち直しの動きが加速することが期待されますが、海外における新たなる変異株により感染再拡大が懸念されております。ワクチン接種の進行により経済の回復が期待されるものの、原材料価格高騰、世界的な半導体不足、中国経済の成長鈍化などのリスクも顕在化しており、依然として予断を許さない状況が続いております。
当社の属する情報サービス産業界においては、デジタル技術を活用したビジネスプロセスやビジネスモデルの変革を行うDX(デジタルトランスフォーメーション)を中心に企業の投資意欲が回復基調にあり、特に「非接触」や「非対面」を実現するデジタル化のニーズは一段と高まっております。その一方で、一部の業種・企業では新型コロナウイルス感染症の長期化によりIT投資の抑制や先送りの動きが続いており、企業の投資計画の見直しについて注視していく必要があります。
このような環境の下、当社の基盤事業であるインターネット証券取引システムを中心に、新型コロナウイルス感染症やDXで加速する働き方改革等で需要の高まる分野に対して、積極的な経営資源の投入や新サービスに取り組んでまいりました。また、システム構築分野の業務系システム開発におきましては、コロナ禍の影響により先行き不透明な景気感の中でも、ECサイトの構築需要が活発なネットビジネス分野、コンシューマービジネスを手掛けるお客様を中心とした基幹システムの構築に取り組んでおり、多様化するお客様ニーズに対応するために当社の技術力で最適なソリューションを提供してまいりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は2,553,687千円(前事業年度比21.0%増)、営業利益は287,909千円(同168.4%増)、経常利益は289,197千円(同167.8%増)、当期純利益は189,965千円(同159.1%増)となりました。
なお、当社は証券システム開発事業及びこれらの付帯業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は
省略しておりますが、各事業区分別の状況は以下のとおりであります。
(金融ソリューション事業)
金融ソリューション事業におきましては、基盤事業であります証券会社向けソフトウエア開発、データセンターにおけるインフラ設備の更改等は順調に推移し、また新規顧客へのクラウドサービスの提供も寄与したことにより、売上高は2,377,541千円(前事業年度比23.2%増)となりました。
(FXシステム事業)
FXシステム事業におきましては、当事業の主力であります「TRAdING STUDIO」においては、FX為替市場分析システムである「シグナルマップ」の機能を搭載した新しいサービス提供の開始が遅れたことにより、売上高は151,250千円(前事業年度比5.9%減)となりました。
(セキュリティ診断事業)
セキュリティ診断事業におきましては、多くの企業がコロナ禍における急激な働き方の変化にあわせたセキュリティ対策の見直しによって、より精度の高い手動診断サービスが増加した結果、売上高は24,895千円(前事業年度比27.5%増)となりました。
事業区分別売上高
事業区分 |
第 23 期 (2020年12月期) |
第 24 期 (2021年12月期) |
前年同期比 |
|||
金額 (千円) |
構成比 (%) |
金額 (千円) |
構成比 (%) |
金額 (千円) |
増減率 (%) |
|
金融ソリューション事業 |
1,930,438 |
91.5 |
2,377,541 |
93.1 |
447,103 |
23.2 |
FXシステム事業 |
160,650 |
7.6 |
151,250 |
5.9 |
△9,400 |
△5.9 |
セキュリティ診断事業 |
19,531 |
0.9 |
24,895 |
1.0 |
5,363 |
27.5 |
合計 |
2,110,619 |
100.0 |
2,553,687 |
100.0 |
443,067 |
21.0 |
②財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は1,529,822千円となり、前事業年度末に比べ288,120千円増加いたしました。これは主に売掛金が増加したことによるものであります。固定資産は569,075千円となり、前事業年度末に比べ2,789千円増加いたしました。これは主に、ソフトウエア仮勘定から本勘定へ振替えたソフトウエアの減価償却を実施したことによる減少があった一方、資本業務提携の実施等により投資有価証券が増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、2,098,897千円となり、前事業年度末に比べ290,909千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は311,851千円となり、前事業年度末に比べ105,121千円増加いたしました。これは主に未払法人税等が増加したことによるものであります。固定負債は80,930千円となり、前事業年度末に比べ9,122千円増加いたしました。
この結果、負債合計は、392,782千円となり、前事業年度末に比べ114,244千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,706,115千円となり、前事業年度末に比べ176,665千円増加いたしました。これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は81.3%(前事業年度末は84.6%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は802,547千円となり、前事業年度末に比べ33,450千円減少いたしました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は53,228千円(前年同期は477,776千円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加額262,960千円に対し、税引前当期純利益275,219千円の計上及び減価償却費86,762千円の計上があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は78,583千円(前年同期は54,838千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出50,625千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は8,095千円(前年同期は9,208千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額16,781千円があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
当社は証券システム開発事業及びこれらの付帯業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業の区分別に記載しております。
a.生産実績
当社は、生産実績を定義することが困難であるため、生産に関する事項は記載しておりません。
b.受注実績
当事業年度の受注実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。
当事業年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
事業の区分 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
金融ソリューション事業 |
2,514,102 |
28.6 |
654,226 |
26.4 |
FXシステム事業 |
156,550 |
△1.5 |
14,000 |
60.9 |
セキュリティ診断事業 |
24,895 |
38.2 |
- |
- |
合 計 |
2,695,548 |
26.5 |
668,226 |
27.0 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。
事業の区分 |
当事業年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
金融ソリューション事業 |
2,377,541 |
23.2 |
FXシステム事業 |
151,250 |
△5.9 |
セキュリティ診断事業 |
24,895 |
27.5 |
合 計 |
2,553,687 |
21.0 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当事業年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
auカブコム証券㈱ |
380,483 |
18.0 |
516,124 |
20.2 |
岩井コスモ証券㈱ |
419,838 |
19.9 |
395,794 |
15.5 |
㈱DMM FinTech |
369,804 |
17.5 |
322,778 |
12.6 |
㈱ミンカブ・ジ・インフォノイド |
- |
- |
307,882 |
12.1 |
松井証券㈱ |
- |
- |
288,160 |
11.3 |
(注)3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
4.前事業年度の㈱ミンカブ・ジ・インフォノイド及び松井証券㈱に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照下さい。
b.経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は2,553,687千円(前事業年度比21.0%増)となりました。主な要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は1,853,946千円(同15.6%増)となりました。人員増による人件費の増加や、外注加工費の増加があったものの、データセンターのコスト改善や人員配置の最適化等の施策により、売上高の増加率21.0%に比して売上原価の増加率は15.6%に抑えることができました。
以上の結果、当事業年度の売上総利益は699,740千円(同37.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は411,831千円(同3.0%増)となりました。
以上の結果、当事業年度の営業利益は287,909千円(同168.4%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度の営業外収益は1,980千円(同22.3%増)、営業外費用は693千円(同22.0%減)となりました。
以上の結果、当事業年度の経常利益は289,197千円(同167.8%増)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度の特別損失は13,977千円(前事業年度の発生はありません)となりました。これは情報セキュリティ対策費の計上によるものであります。
以上の結果、当事業年度の当期純利益は189,965千円(同159.1%増)となりました。
②経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向及び業界動向を注視しつつ、技術革新への迅速な対応を行うために、優秀な人材の確保及び適切な教育を実施するとともに、事業体制及び内部管理体制を強化し、社会ニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に対し適切な対応を行ってまいります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの概要につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
当社の事業活動における資金需要のうち主なものは、当社の主たる事業であるシステム開発・保守・運用に係る人件費、外注加工費等の運転資金であり、これら運転資金は自己資金で充当することを基本方針としています。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、取引銀行と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、事業活動上必要な流動性を確保しているものと考えております。
なお、当事業年度末における有利子負債の残高はなく、現金及び現金同等物の残高は802,547千円となっております。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、営業利益及び営業利益率を中長期的な経営の重要指標としております。
当事業年度におきましては、営業利益は287,909千円(前事業年度比168.4%増)、営業利益率は11.3%(同6.2ポイント増)となりました。中長期的な企業価値向上のため、引き続き収益力向上を目標とした経営施策の実施に取り組んでまいります。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。財務諸表の作成に当たりましては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績、又は現在の状況下で最も合理的と判断しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しているため、記載を省略しております。
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