当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株の流行による第7波の影響が徐々に落ち着き、各種行動制限の緩和により経済活動の正常化に向けて緩やかな持ち直しの動きがみられましたが、ウクライナ情勢や資源・エネルギー価格の高騰、急激な円安の進行等による物価の上昇等により、依然として経済活動の先行きは不透明な状況となっております。
一方で、新型コロナウイルス感染症の影響によりテレワークが拡大し、デジタルトランスフォーメーション(DX)への機運の高まりによる営業DX化が中堅・中小企業においても浸透してきております。また、生産労働人口の減少に伴うIT人材の採用課題やIT人材不足への懸念が増している状況において、当社グループの提供サービスへの需要は、より一層高まっているものと認識しております。
このような状況下において、当社グループは、2022年9月期を初年度とする「中期経営計画2024」の達成に向けた成長戦略である「事業収益(シェア)拡大」及び「プロダクト・サービスの強化」を推進してまいりました。
具体的には、企業の売上・生産性向上への貢献を可能にする統合型SFA/CRMクラウドサービス「Knowledge Suite(ナレッジスイート)」を中心とした中堅・中小企業向けSaaSシェア拡大、サブスクリプションビジネス拡大のため、2024年9月期の営業100名体制へ向けた採用及び新人育成強化、サービス利用継続を促進するカスタマーサクセス体制強化を実施してまいり ました。
また、RPAツールやAI OCRツールの取扱いを開始し、顧客企業が抱える課題へのソリューション製品をラインナップすることで、主力SaaS「Knowledge Suite(ナレッジスイート)」を中心としたクロスセルを推進してまいりました。
さらに、中長期的な収益の源泉となる先進技術を活用した「次世代Knowledge Suite(ナレッジスイート)」開発も引き続き推進してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上収益は3,234,795千円(前期比28.2%増)、営業利益は122,976千円(前連結会計年度は営業損失118,458千円)、税引前利益は108,503千円(前連結会計年度は税引前損失128,848千円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は117,364千円(前連結会計年度は親会社の所有者に帰属する当期損失118,187千円)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
当事業においては、統合型営業・マーケティング支援SaaSビジネスアプリケーション(クラウドサービス)「Knowledge Suite」を中心とした自社開発SaaSプロダクトの提供及び顧客企業をカスタマーサクセスへ導く導入支援コンサルティングサービスを展開しております。
当連結会計年度においては、リード獲得チャネルの選択と集中により効率的なマーケティング・プロモーション活動を継続し、主に全国の展示会への積極的な出展がリード(見込み顧客)の獲得増加につながったことで、オンライン・オフライン問わず商談件数が増加し、契約件数(※1)は2,600件(前年同期比11.9%増)となりました。契約件数の増加にともないSaaS導入支援コンサルティング案件が増加し、受注額残高(※2)は5,427千円となりました。
また、「Knowledge Suite」と高い相乗効果を発揮するBtoB営業リスト作成サービス「Papattoクラウド」等、グループ会社が提供するサービスの同時提案やクロスセルといった取り組みを含め新人営業への教育・育成が進むにつれてARPA(※3)が増加基調で推移いたしました。
これらの結果、DX事業の売上収益は1,461,466千円(前期比48.9%増)、セグメント利益は246,379千円(前期比383.6%増)となりました。
※1 四半期末時点のSaaS(OEM及び「InCircle」「B Suite」除く)契約件数
※2 受注額残高は過去の新規受注契約のうち翌月以降有料課金開始される契約のSaaS(OEM及び「InCircle」「B Suite」含む)利用額(月額換算)の9月末時点の残高
※3 ARPAはAverage Revenue Per Account。1契約企業あたりの平均年次経常収益
② BPO事業
当事業は、主に顧客企業へのシステムエンジニアリング(IT人材リソース)サービスの提供、及びWEBマーケティング支援、システム開発・保守及びを提供するビジネスプロセスアウトソーシング事業を展開しております。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって見送られていた派遣先プロジェクトが再開し、高いIT人材需要を背景に、積極的な営業活動を進めたことで、SES(システムエンジニアリングサービス)派遣先プロジェクトの増加及びエンジニア稼働率の増加等により、SES売上収益は前年同期比17.7%増となりました。
これらの結果、売上収益は1,773,329千円(前期比15.0%増)、セグメント利益は220,619千円(前期比2.9%増)となりました。
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は1,247,514千円となり、前連結会計年度末に比べ113,854千円増加しました。これは主に、現金及び現金同等物の増加44,509千円、営業債権及びその他の債権の増加47,463千円、その他の流動資産の増加22,029千円によるものであります。
当連結会計年度末の非流動資産は2,183,681千円となり、前連結会計年度末に比べ27,291千円増加しました。これは主に、使用権資産の減少106,423千円、無形資産の増加217,754千円、その他の金融資産の減少111,857千円によるものであります。
これらの結果、当連結会計年度末の資産合計は3,431,196千円となり、前連結会計年度末に比べ141,146千円増加しました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は1,514,834千円となり、前連結会計年度末に比べ248,560千円増加しました。これは主に、有利子負債の増加280,036千円、リース負債の増加36,586千円によるものであります。
当連結会計年度末の非流動負債は892,836千円となり、前連結会計年度末に比べ236,683千円減少しました。これは主に、有利子負債の減少157,170千円、リース負債の減少75,560千円によるものであります。
これらの結果、当連結会計年度末の負債合計は2,407,670千円となり、前連結会計年度末に比べ11,877千円増加しました。
(資本)
当連結会計年度末の資本は1,023,525千円となり、前連結会計年度末に比べ129,268千円増加しました。これは主に、資本剰余金の減少384,130千円、利益剰余金の増加521,037千円によるものであります。
これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ2.6ポイント増加し、29.8%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ44,509千円増加し、722,959千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は329,597千円(前連結会計年度は29,231千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期利益108,503千円、減価償却費及び償却費313,518千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は276,513千円(前連結会計年度は904,419千円の使用)となりました。これは主に、無形資産の取得による支出390,809千円、投資有価証券の売却による収入122,447千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は8,575千円(前連結会計年度は804,777千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金による収入350,000千円、長期借入金の返済による支出202,771千円、リース負債の返済による支出131,402千円によるものであります。
当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社は受託販売を行っておりますが、受注から販売までの期間が短いため、記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示しますと、次の通りであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループの主な資金需要は、人件費や外注費等の売上原価の支払、販売費及び一般管理費の支払、M&A資金、ソフトウエア開発資金、借入金の返済及び法人税等の支払等であります。
当社グループは、事業活動に必要な資金を、営業活動によるキャッシュ・フローから生み出される自己資金により賄っており、今後も営業活動によるキャッシュ・フローから継続的に調達することが可能であると考えております。
当連結会計年度末現在、借入金の残高は1,782,216千円であります。
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