a.経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い緊急事態宣言が発出されたことなどから経済活動が大幅に抑制され、雇用情勢や企業収益が急速に悪化するなど、極めて厳しい状況で推移しました。
このような経済状況にあって、政府の「働き方改革」と「健康経営」の施策のもと、労働生産性向上のため、IT、IoT(モノに通信機能を搭載してインターネットに接続し、情報伝達をする仕組み)やAI(人工知能)等の省人化投資や情報化投資へのニーズが強まり、また、新型コロナウイルスの感染拡大によりリモートワークが促進され、これからの働き方の流れが大きく変わる時期となりました。
以上のような状況の中、当社グループは主力製品である「勤次郎Enterprise」のさらなる拡販に努めるとともに、「働き方改革」と「健康経営」に寄与する次世代の主力製品となる勤次郎Enterprise「ヘルス×ライフ」を引き続き販売することで、「HRM&HLプラットフォーム」を発展させてまいりました。
クラウド事業の販売は、市場ニーズが一段と高まっていることから売上が拡大し、売上高2,047,625千円(前年同期比9.9%増)となり、うちリカーリングレベニュー(継続的な収益)であるクラウドライセンス売上は1,469,324千円(前年同期比20.5%増)を計上しており、当社グループの業績を前連結会計年度に引き続き牽引いたしました。
また、オンプレミス事業の販売については、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている新規顧客企業を中心に受注の先送りの発生やクラウド契約へと変更になったことにより、事業全体としては1,266,811千円(前年同期比18.5%減)となりますが、うちリカーリングレベニューであるプレミアムサポート売上は589,325千円(前年同期比2.3%増)を計上しており、安定した収益確保に貢献しております。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高については 3,324,414千円 (前年同期比 3.2%減 )、営業利益については 261,729千円 (前年同期比 53.5%減 )、経常利益については 244,187千円 (前年同期比 52.2%減 )、親会社株主に帰属する当期純利益については 162,918千円 (前年同期比 50.5%減 )となりました。
なお、当社グループはHRM事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の経営成績の記載を省略しております。
b.財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,205,848千円減少し、9,778,464千円となりました。
そのうち、流動資産は前連結会計年度末に比べ1,573,024千円減少し、8,372,520千円となりました。これは主に、現金及び預金1,606,769千円の減少等によるものであります。
また、固定資産は前連結会計年度末に比べ367,175千円増加し、1,405,943千円となりました。これは主に、建物及び構築物99,173千円の増加、工具、器具及び備品88,596千円の増加、土地85,049千円の増加、ソフトウエア284,068千円の増加があったほか、ソフトウエア仮勘定190,093千円の減少があったこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ163,598千円減少し、924,238千円となりました。
そのうち、流動負債は前連結会計年度末に比べ112,709千円減少し692,254千円となりました。これは主に、短期借入金40,000千円の増加があったほか、未払法人税等145,517千円の減少があったこと等によるものであります。
また、固定負債は前連結会計年度末に比べ50,888千円減少の231,983千円となりました。これは主に、長期借入金44,608千円の減少、役員退職慰労引当金6,789千円の減少等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,042,250千円減少し、8,854,226千円となりました。これは主に、自己株式の取得999,946千円、配当による利益剰余金45,481千円の減少等によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,624,769千円減少し、7,528,650千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、前連結会計年度末に比べ507,533千円減少し、179,132千円となりました。これは主な資金支出要因として、前連結会計年度と比較して税金等調整前当期純利益267,191千円の減少、仕入債務の増減額19,935千円の減少、役員退職慰労引当金の増減額11,328千円の減少、退職給付に係る負債の増減額20,889千円の減少、前受収益の増減額20,853千円の減少、未払消費税等の増減額88,912千円の減少、法人税等の支払額59,733千円の減少があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、前連結会計年度末に比べ491,429千円減少し、587,486千円となりました。これは主な資金支出要因として、前連結会計年度と比較して有形固定資産の取得による支出252,189千円の減少、無形固定資産の取得による支出80,461千円の減少、定期預金の増減額が168,340千円の減少があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は、1,212,938千円(前年同期は7,935,310千円の獲得)となりました。これは主な資金支出要因として、前連結会計年度と比較して自己株式の取得による支出999,946千円、配当金の支払額208,400千円があったこと等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループで行う事業は、提供する製品・サービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.HRM事業における事業区分・売上区分別の販売実績は、次のとおりであります。
3.HRM事業におけるリカーリングレベニューの内訳及びHRM事業の総販売実績に対するリカーリングレベニューの割合は、次のとおりであります。
4.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
5.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大が会計上の見積りに与える影響については、当連結会計年度末時点において当社グループの事業活動に重要な影響を与えていないことから、当社に与える影響は軽微であり、重要な影響はないものとして見積りを行っております。ただし、本感染症の感染状況の将来の収束又は再拡大の見通しは不透明であり、状況が変化した場合には、翌連結会計年度以降の当社グループの財政状態及び経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
a.財政状態
当連結会計年度の財政状態の状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び形成成績の状況 b.財政状態の状況」をご参照ください。
b.経営成績
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度の売上高は3,324,414千円(前年同期比3.2%減)となりました。前連結会計年度から引き続き好調であるクラウド事業を中心に営業活動を行った結果として、クラウドサービスの利用者数(契約ライセンス数)が前連結会計年度末から47,824人増加し368,692人となった結果として、クラウドライセンス売上は1,469,324千円(前年同期比20.5%増)と大きく増加したものの、オンプレミス事業の売上高は1,266,811千円と前連結会計年度より減少(前年同期比18.5%減)し、全体としては減収となりました。売上原価は主にクラウドサーバーにかかる減価償却費・維持費の増加や開発人件費の増加を要因として1,294,885千円(前年同期比11.3%増)となり、その結果、売上総利益は2,029,529千円(前年同期比10.6%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,767,799千円(前年同期比3.5%増)となりました。リモートワークの浸透に伴い旅費及び交通費79,590千円(前年同期比10.4%減)等一部の費用に削減効果があったものの、人員増加に伴う給与手当・賞与の増加により増加した人件費1,058,642千円(前年同期比5.5%増)や、証券代行等に伴い増加した支払手数料133,138千円(前年同期比12.6%増)等により販売費及び一般管理費は全体として増加し、売上高及び売上総利益の減少と相俟って、営業利益は261,729千円(前年同期比53.5%減)と大きく減少いたしました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は主に保険解約返戻金が減少したため2,909千円(前年同期比41.2%減)となり、また営業外費用は前連結会計年度に株式交付費及び株式公開費用の計上があったことを主な要因として20,450千円(前年同期比63.4%減)となりました。経常利益は営業利益の減少を主な要因として244,187千円(前年同期比52.2%減)となりました。
(特別利益、特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度に特別利益及び特別損益の計上はなく、経常利益の増加を要因として税金等調整前当期純利益は 244,187千円 (前年同期比 52.2%減 )となりました。また、法人税等は 81,269千円 (前年同期比 55.4%減 )となり、その結果、親会社株主に帰属する当期純利益 162,918千円 (前年同期比 50.5%減 )となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループは、事業上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。営業活動によるキャッシュ・フロー及び当連結会計年度に実施した増資により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は7,528,650千円となっており、これを主としてクラウドサービス用サーバー設備等の設備資金や当社製品であるソフトウエアの開発資金及び人件費等の運転資金に充当する予定であります。
当社は売上高営業利益率、クラウドサービスの利用者数(契約ライセンス数)及び当該クラウドサービスの解約率を重要な経営指標として位置付けております。最近2連結会計年度の推移は以下のとおりであります。
今後も引き続き販売力の強化や製品・サービスの品質向上に取り組むことによって、売上高営業利益率の上昇、クラウドサービスの利用者数(契約ライセンス数)の増加、及びクラウドサービスの解約率の低下を目指してまいります。
(注)1.各連結会計年度末の利用者数及び解約率を記載しております。
2.クラウドサービスの解約率は、「対象月を含む過去12か月のクラウドライセンス解約金額合計÷同期間のクラウドライセンス前月売上金額合計」にて算出しております。クラウドライセンス解約金額とは、ライセンス契約の解除により減少するクラウドライセンス売上(月額)をいいます。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
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