業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、3,889,683千円となり、前連結会計年度末に比べ195,421千円増加いたしました。主な増減要因は、人員増加に対応し、さらなる事業成長を図るための本社移転に向けた敷金差入により敷金が87,850千円、システム開発により取得したソフトウエア及びソフトウエア仮勘定が95,631千円、現金及び預金が68,727千円増加した一方で、繰延税金資産が63,957千円減少したことによるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、2,569,309千円となり、前連結会計年度末に比べ43,122千円減少いたしました。主な増減要因は、マーケットプレイスサービスにおける取引量の増加等に伴う預り金が158,511千円、借入により長期借入金が82,940千円増加した一方で、返済により短期借入金が100,000千円、1年内返済予定の長期借入金が90,316千円、未払金が115,686千円減少したことによるものであります。

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産合計は、1,320,373千円となり、前連結会計年度末に比べ238,544千円増加いたしました。主な増減要因は、親会社株主に帰属する当期純利益230,692千円の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

 当社グループでは、「まるくて大きな時代をつくろう」を企業理念に、その実現に向けた第一弾の事業として、クリエイターエンパワーメント事業を推進しております。

 日本ならびに中国語圏におけるグローバルハンドメイドマーケットプレイス「Creema(クリーマ)」の運営を行うマーケットプレイスサービス、「Creema」のプラットフォームを活用し、出店クリエイター・企業・地方公共団体のマーケティング支援を行うプラットフォームサービス、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’(東京ビッグサイト)」等の大型イベントの開催や、「Creema Store」の店舗を展開するイベント・ストアサービス、さらには、クリエイターの創造的な活動を応援することに特化したクラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」、人気アーティストがレッスン動画を販売する動画プラットフォーム「FANTIST」など、クリエイターの活動を支援するサービスを様々な角度から展開し、まだ見ぬ巨大なクリーマ経済圏の確立と、クラフトカルチャーの醸成に力を注いでおります。

 マーケットプレイスサービスにおいては、クリスマス等のトレンドを捉えた各種マーチャンダイジング・キャンペーン施策の展開に加え、タレントの千秋氏が創業しブランドマネジャーを務めるハローサーカス(2020年8月に当社が事業及び商標権を譲受)と、世界的なファッションデザイナーである丸山敬太氏とのコラボ企画「Creema×ハローサーカス スタークリエイター発掘プロジェクト」を展開するなど、クリエイター作品の魅力を訴求する様々な企画・特集を実施しました。それに加え、タレントの千秋氏がプロデュースする新ブランド「エリアCC」を立ち上げ、「Creema」上での作品販売を開始するなど、今までにない取り組みも実施しております。また、7月・8月には「Creema」のTVCMを首都圏で放映するなど、「Creema」の認知拡大・価値訴求にも努めて参りました。加えて、ユーザーインターフェースの向上や、クリエイターの利便性向上施策を中心とした「Creema」プロダクトの改善や、お客様により一層の安心・安全な購買体験を提供すべく、システムおよびサポート体制の強化等も行いました。

 前期、新型コロナウイルス感染症の拡大にともない一時的に需要が急増したハンドメイドマスクの流通を除いた当連結会計年度における流通総額は156億円となり、前期比18.1%増と大きく成長しております。一方で、左記の一時的な需要急増の反動を受け、ハンドメイドマスクを含めた全体の流通総額は160億円(前期比4.2%増)、マーケットプレイスサービスの売上高は1,577,810千円(前期比3.0%増)での着地となりました。全体では僅かに前年水準を上回るに留まりましたが、マスク需要を除く本質的なサービス規模においては引き続き力強く成長を続けております。なお、当連結会計年度におけるクリエイター数は約23万人、登録作品数は約1,300万点、スマートフォンアプリのダウンロード数は約1,200万回を突破しております。

 プラットフォームサービスにおいては、「Creema」のプラットフォームならびにユーザー基盤を活用した企業・地方公共団体向けのPR支援を行う外部広告サービスで、大手メーカーをはじめとする様々な企業とのコラボレーション企画や、伝統工芸産業のデジタルシフト支援案件、地方自治体のプロモーション案件等の受注・納品が大きく拡大しました。また、クリエイターが自身の作品を「Creema」上でプロモーションできる内部広告サービスでは、広告サービスの利用促進のための各種キャンペーンや機能追加等に引き続き取り組んだ結果、堅調な成長を維持しました。この結果、プラットフォームサービスの売上高は561,129千円(前期比30.3%増)での着地となりました。

 イベント・ストアサービスにおいては、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛要請等による影響を大きく受けました。ストア領域では、緊急事態宣言のあおりを受けて当社ストアも営業ができない状態が発生したことに加え、再オープン後もお客様の実店舗離れが継続しました。そのため、ルミネ新宿 ルミネ2にて2014年より営業を続けていた「Creema Store 新宿」が2022年1月31日をもって閉店となり、総店舗数は「Creema Store 札幌」のみの1店舗まで縮減しました。

 なお、イベント領域では、今期初の大型イベントとなる、音楽とクラフトの野外フェスティバル「Creema YAMABIKO FES」を開催しました。音楽を主軸とした当社初の野外フェスティバルながら、参加者総数は1万名を超え、業界内外からも大きな反響を受けました。加えて、2022年1月には、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’」を約1年半ぶりに東京ビッグサイトにて開催いたしました。上記の結果、イベント・ストアサービスの売上高は132,841千円(前期比55.2%増)での着地となりました。

 新サービス群では、クリエイターの創造的な活動を応援することに特化したクラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」において、前年度に引き続き多くのクリエイターから多様かつ魅力的なプロジェクトが起案され、その多くが目標支援金額を達成しております。加えて、クリエイター・購入者双方に対し、より優れた顧客体験を提供すべく、8月には「Creema SPRINGS」のサイトをリニューアルオープンいたしました。また、様々なジャンルの人気アーティストがレッスン動画を販売する動画プラットフォーム「FANTIST」においても、参加アーティスト数・出品動画数ともに順調に成長しております。その他の新サービス群についても、クリーマ経済圏の更なる拡大に向け、着実にテスト・開発を進めております。

 これら全てのサービスを連携させることにより、ユーザー価値の最大化を図ると同時に、当社グループのサービスの認知度向上及び市場の拡大、クリーマ経済圏の確立に取り組んでおります。当連結会計年度における全社業績は、前年に発生したマスク需要の大きな反動を受けながらも、売上高は前期比11.3%増となる2,294,800千円で着地いたしました。ハンドメイドマスクの売上を除いた全社売上は前期比22.1%増となっており、サービスの本質的な部分ではより一層大きく成長しております。また、営業利益は322,744千円(前期比42.7%増)、経常利益は363,418千円(前期比77.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は230,692千円(前期比29.3%増)となりました。

 なお、当社グループでは、クリエイターエンパワーメント事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ、68,727千円増加し、当連結会計年度末には2,953,931千円となりました。
 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は、394,445千円(前連結会計年度は689,240千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上358,742千円、預り金の増加153,249千円、未払金の減少による支出125,319千円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、215,766千円(前連結会計年度は5,926千円の使用)となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出122,543千円、無形固定資産の取得による支出88,458千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は、112,893千円(前連結会計年度は796,390千円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出100,000千円、長期借入金の返済による支出320,101千円、長期借入れによる収入300,000千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはクリエイターエンパワーメント事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

クリエイターエンパワーメント事業

2,294,800

111.3

合計

2,294,800

111.3

 (注)1.主要な相手先別の販売実績及び当該総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針、見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える判断・仮定・見積りを必要としております。経営者は、貸倒引当金とポイント引当金等に関する判断・仮定・及び見積りについては過去の実績等に基づき、固定資産の減損処理については過去の実績等に基づいて将来キャッシュ・フローを予測し、また、繰延税金資産の回収可能性については過去の実績等に基づいて将来の課税所得を予測し、これらにつき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響の仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」をご参照ください。

 

b.当連結会計年度の財政状態の分析

 当連結会計年度の財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。

 

c.当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループのサービスの認知度向上及び会員獲得のための広告宣伝費、及び事業拡大のための開発にかかる人件費及び外注費であり、さらにM&A等の投資を実施していく方針であります。これらの資金需要につきましては、自己資金、金融機関からの借入及び新株発行等により資金調達していくことを基本方針としておりますが、財政状態を勘案しつつ、資金使途及び需要額に応じて、柔軟に検討を行う予定であります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社は常に市場動向、政府の政策に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保と育成等に力を入れ、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスクに対し、適切に対応を行って参ります。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループは経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、登録作品数、アプリダウンロード数及び流通総額を重要な経営指標と位置付けております。

 当該指標については、次表のとおり継続的に増加しており、当連結会計年度末の登録作品数は、前連結会計年度末と比べ119.2%、アプリダウンロード数は同111.8%、また、流通総額は同104.2%の水準となっております。これは、現時点において予定通りの進捗となっており、今後の業績に寄与するものと期待できることから、順調に推移しているものと認識しております。

 

    <「Creema」重要指標推移表>

 

2020年

2月期末

実績

2021年2月期末

2022年2月期末

実績

前期比

実績

前期比

登録作品数(万点)

866

1,131

130.7%

1,348

119.2%

アプリダウンロード数(万回)

973

1,120

115.1%

1,253

111.8%

流通総額(百万円)

8,998

15,419

171.4%

16,067

104.2%

   ※登録作品数はサービス開始時点から当該期末までの累積数、アプリダウンロード数はアプリリリース時点から当該期末までの累積数、流通総額は期末時点の各期の合計

 

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