課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社は、「独自の技術とノウハウを開発し、地域社会にとって価値のある新しいインターネットサービスを提供す

る」という企業理念を掲げ、IPアドレスによるインターネットユーザーの位置情報に関連する技術をベースに、各種

のサービスを開発・運営することで、顧客の事業発展に寄与し、それによって当社自身も収益の拡大をして、地域社

会に直接・間接の貢献をすることを使命としております。

 IP Geolocation事業においては、当社サービスを顧客が利用するシーンを、マーケティング用途、不正検出用途、

コンプライアンス(配信制御)、セキュリティ関連の4つに分類し、それぞれでの顧客数と利用頻度の増加を目指し

ていくことを基本方針としております。営業活動を行う営業部では、その下部組織である課毎に予算と行動計画を月

次で定め、その達成のためにPDCAサイクルを回して問題点の早期発見と修正を迅速に行うことを課しております。サ

ービスの開発と運用を行う技術開発部では、各サービスを円滑に運営するための監視体制の強化とデータの更新・蓄

積に力点を置き、これに加えて新規サービスの開発のために絶えずアンテナを張って、営業部門からの様々な要望や

研究開発のヒントとなる情報の収集にも力を入れることとしております。

 IPアドレス移転事業においては移転の仲介を実現させるために、売り手候補、買い手候補を常に開拓することが求

められます。売り手候補についてはIPアドレスを多数保有する比較的社歴の古い大手企業や学校法人、さらにはそれ

ら企業・団体を紹介していただける外部協力者、買い手候補についても紹介者となる各種団体との連携が不可欠とな

ります。このため、多くの法人・団体との常日頃からのコミュニケーションの維持を継続することを具体的な活動方

針として掲げております。

 

(2) 経営環境

 「IPアドレスから顧客のウェブサイトにアクセスした人がどの地域からアクセスをしたのかがわかる」という技術

を活用したサービスを展開しているのは国内では当社のみであります。当社の各種サービスは顧客の事業活動におい

て「あったら便利」なツールではありますが、当社がIPアドレスに各種情報を付加しているのに対し、自社が所有し

ている法人企業データベースにIPアドレス情報を付加することにより当社と類似する結果を提示できるサービスが存

在し、競争状態が存在している状況であります。現状では潜在顧客数は非常に多く、競合先も含めて、潜在顧客に対

してまだ十分に接触しきれておりませんが、将来的に競合の状況が激しくなる可能性があり、いち早く一定の市場規

模を抑え、当社の優位性を確保したいと考えております。また、顧客のニーズを汲み取ってインターネット関連の新

しいサービスを開発、リリースしていくためには、数多くの顧客との関係構築がより一層重要となってまいります。

そのためにも既存顧客との関係強化と新規顧客の獲得は当社の当面の最重要課題となっているものと考えます。

 また、新型コロナウイルス感染症拡大により、政府及び各都道府県からの要請もあり、大都市の企業各社をはじめ

多くの法人がテレワークの浸透を強く打ち出しておりますが、この影響により、多くの地方自治体が移住・定住に関

する施策を検討しております。さらに各地の地方自治体は、同感染症で大きな打撃を受けている観光業や飲食業を側

面から支援する目的で企画を検討実施しております。例えば、商工会議所が主催し観光名所や飲食店を周り、設置さ

れたQRコードを読み込むことでスタンプを獲得できるスタンプラリーがあります。当社もこれらの流れに乗って、自

治体のニーズに即したウェブベースのサービスを開発し、これを早期に全国に広めていきたいと考えております。具

体的には、本社のある静岡県内、福岡営業所のある九州地方及び那覇コンタクトセンターのある沖縄県の各自治体を中心に営業活動を行い、スタンプラリーの商談につなげていきたいと考えております。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、以下の7点を主な対処すべき課題として取り組んでおります。

① 「SURFPOINT™」の継続的な拡充

 当社事業の土台となるデータベースである「SURFPOINT™」の精度をより高いレベルで維持管理していくために、す

でに取り込んである情報について専門調査員(ネットトレーサー)による詳細な調査とデータ反映を今後も日々継続

してまいります。併せて外部の有料・無料の各種有益な情報を今後も継続して取り入れ、顧客のニーズを先取りした

細かなターゲティング対応を行ってまいります。

 

② 「どこどこJP」売上の拡大

 「どこどこJP」は、「SURFPOINT™」に蓄積された位置情報、企業情報、利用回線、気象情報ほか様々なデータを利

用して顧客のマーケティング活動、広告活動、不正アクセス防止等の各種用途にご利用いただいております。顧客に

は比較的長期にわたって継続してご利用いただける当社の主要なサービスであり、当社の安定した収益源となってお

ります。今後も既存顧客の解約を減らし、新規顧客の獲得を推進するための営業上の各種施策を打ち出して、飽きら

れないサービスとして顧客のニーズに対応してまいります。

 

③ 「どこどこad」でのきめ細かい顧客対応の強化

 インターネット広告配信サービスを提供する「どこどこad」プラットフォームは顧客の用途に応じてセグメントし

たターゲットに対してバナー広告を配信することができます。顧客に利用頻度を高めていただくために、コンサルテ

ィング活動を行って実際の利用シーンを想定した活用例を提案し、具体的な質問や要望に対応するきめ細かい活動に

努めてまいります。

 

④ 新領域に関しての研究調査

 当社の現在の主力事業は、IPアドレスを活用したものであり、現状IPv4*レベルのIPアドレスを主力として取り扱っておりますが、一部サービスでIPv6*レベルのサービスを実施しております。将来的にはIPv6レベルへの本格的な移行が行われることが想像されます。当社もこの動きに後れをとることのないよう、IPv6に関する研究調査を推進し、対応サービスを拡充してまいります。

 

(*)IPv4とは、インターネットに接続された機器同士がデータをやり取りするためにデータ送信の方法を定めた

規約(=IP(インターネットプロトコル))の第4版を表し、32ビット(=2の32乗個)、つまり約43億個のIPアドレスが利用可能です。IPv6では128ビット(=2の128乗個)のデータとして表現されるため、そのアドレス総数は約340澗(1澗は1兆×1兆×1兆)個となり、事実上無限といえる数となります。

 

⑤ 営業体制の更なる強化

 独自性の高いサービスを創出し、拡販していくためには、より強固な営業体制を確立することが重要であると認識

しております。顧客のニーズを汲み取りながら適切なサービスを販売する直接販売の利点を活かし、顧客との信頼関

係を構築することで、長期取引につながるものと考えております。そのため、顧客の属性やニーズに適した営業体制

や営業手法の確立に加え、営業人員個々の営業スキルの向上にも努めてまいります。

 

⑥ 人材の育成・教育

 当社は、事業を拡大していくうえで、必要な人材を十分に確保していくことが重要であると考え、高い専門性を有

する人材の獲得及び育成に注力してまいります。そのため、幅広い人材採用活動を行うほか、教育研修制度の充実、

人事評価制度の拡充、業務の合理化・効率化、外部ノウハウの活用等、積極的に取り組んでまいります。

 

⑦ 内部管理体制の強化とコーポレート・ガバナンスの充実

 当社は、持続的な成長と企業価値の向上のため、内部管理体制の充実が不可欠であると認識しており、役職員のコ

ンプライアンス意識の向上、当社ならびに各事業の取引形態に即した内部管理体制を構築する等、コーポレート・ガ

バナンス体制の強化に取り組んでまいります。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高及びIP Geolocation事業の売上高な

らびに同事業の売上高成長率を掲げております。これら指標の詳細につきましては、「3 経営者による財政状態、

経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分

析・検討内容 ⑤経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照くださ

い。

 

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