課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

(1)経営の基本方針

 当社は経営理念として「一人でも多くの人に、感動を届け、幸せを広める。」を掲げており、世の中に良い影響力を与えるサービスを、「期待を超える=感動」のエッセンスに徹底してこだわり、提供していくことを企業のミッションとしております。

 

(2)目標とする経営指標等

 持続的な成長を目指していくため、主な経営指標として売上高、営業利益を特に重視しております。また、エンゲージメントプラットフォーム事業はBtoB・SaaS・サブスクリプション型のビジネスモデルであるため、KPI(Key Performance Indicators)として、利用企業数・運用サロン数、利用企業・運用サロンの平均月額収益、売上高ストック比率等を重要指標として運営を行っております。

 

(3)経営環境及び経営戦略

 経営環境につきまして、当社がエンゲージメントプラットフォーム事業として提供している「TUNAG」及び「FANTS」ともに、成長性の高い市場を領域に属していると認識しております。

 TUNAG」につきましては、我が国の人手不足が経営危機を招く環境を背景に、エンゲージメントに対する注目度が徐々に高まりつつあると当社は考えております。生産年齢人口の減少が続き、人材定着や離職改善への意識は今後一層高まっていくことが予想され、最近のHR Tech※1の展示会でエンゲージメントにフォーカスしたサービスが取り扱われ、また、エンゲージメント関連の書籍の出版も増えております。

「FANTS」につきましても、コロナ禍でおうち時間の活用に注目が集まり、オンラインサロン市場が拡大しております。サロンの開設者としても著名人からSNS上でフォロワーが多い一般人等に広がり、利用者としても若年層・ネットユーザーを中心に認知度を高めております。

 また、「TUNAG」が属する国内のSaaSモデルサービス市場は、2018年度に4,000億円を超え、2023年度には8,174億円へと拡大すると予測されており※2、「FANTS」が属するサブスクリプション・サービス市場は、2018年度に5,000億円を超え、2023年度には8,623億円へと拡大すると予測されております※3。

  ※1 人事・人材領域におけるテクノロジーを活用したサービスの総称。

  ※2 富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2019年版」による。

  ※3 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「サブスクリプション・サービスの動向整理(2019)」による。

 その中で、当社の経営戦略としては、「TUNAG」と「FANTS」2つのエンゲージメント事業で、企業向け、コミュニティ向けの成長性の高い異なる市場を開拓することで、安定的かつ強固な収益基盤を構築しつつ、海外展開や第3の事業創出への再投資を行ってまいります。具体的な戦略は以下のとおりです。

 

① 国内市場における顧客基盤の拡大

 国内市場においては、引き続き、潜在的な顧客層に対するアプローチを継続し、「TUNAG」、「FANTS」の利用企業数・運用サロン数の拡大と受注単価の向上を進めてまいります。

 「TUNAG」においては、国内の総企業数における「TUNAG」の利用企業数は1%未満であり、販売パートナーの開拓や導入実績を活用した広告プロモーションの強化などにより利用企業数を拡大してまいります。受注単価については、部署利用企業の全社展開推進、アルバイト/パートまで含めた全社展開推進といった利用者を拡大するアップセルや、チャット/リワード※などの拡張機能を提供するクロスセルにより、受注単価の向上を図ります。

  ※社内制度の利用促進のために、社内制度ごとにポイントを設定し、利用者に対して付与できる機能。

 「FANTS」においても、広告プロモーションの強化やパートナーの開拓により、運用サロン数を拡大し、認知度向上と運用サロンの成功実績の蓄積により、さらなる運用サロン数の拡大につなげてまいります。

 

② 更なるノウハウの活用

 国内におけるエンゲージメント経営及びコミュニティ支援のノウハウをもとに、海外における販売活動や、「TUNAG」及び「FANTS」に蓄積されたビッグデータを活用した新規事業の創出などについて、再投資を行ってまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社のさらなる成長を実現するため、対処すべき課題は以下のとおりであると認識しております。

① 人材の確保と組織力の強化

 当社の持続的な事業継続には、事業拡大に対応できる人材の採用を継続し、組織体制を整備していくことが重要であると考えております。当社の経営理念や行動指針に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を行っていくとともに、社内のエンゲージメントを高め、社員が早期に活躍できるよう社内施策の整備や環境構築に努めてまいります。

 

② 新規契約獲得力の強化

 当社は、TUNAG・FANTSそれぞれのサービスにおいて、テレマーケティングやダイレクトメールなどの「アウトバウンド活動」と、パートナー開拓や広告プロモーションなどによる「インバウンド活動」を組み合わせながら、営業活動を行っています。今後も、営業人員の増員や教育体制の整備を行いながら、TUNAGにおける金融機関やFANTSにおける芸能事務所など、それぞれのサービス特性に合わせたパートナーの開拓や広告プロモーションの強化を行いながら、マーケットシェアの拡大を図ります。

 

③ 継続率の確保

 導入顧客における効果最大化のため、サービス利用を支援するカスタマーサクセス部門の新規採用や教育体制の整備を行うことで、高い継続率の維持に取り組みます。加えて、顧客企業における効果の最大化のみならず、顧客間のネットワークを形成することにより、外部への広告・宣伝効果を創出し、新規顧客の開拓の効率化を図ります。

 

④ 技術革新への対応

 インターネット業界においては常に技術革新が起こっており、顧客ニーズに対応する技術をいち早く取り込むことが競争優位性を維持していく要因となります。当社は、顧客ニーズに対応すべく、外部サービスとの連携を含め、新たな技術を吟味しながら、サービス機能の拡充に努めてまいります。

 

⑤ 情報管理体制

 当社は、顧客及びその従業員に関する個人情報を多く預かっており、その情報管理を強化していくことが重要な課題であると認識しております。現在も情報管理については細心の注意を払っておりますが、子会社を含めたセキュリティの確保や社内体制の整備を継続してまいります。

 

⑥ 新規事業による収益基盤の強化

 当社のエンゲージメントプラットフォーム事業は、国内の「働き方改革」や「DX」への注目を背景に、サービスを拡大しており、今後もこの傾向は続くものと考えております。

今後の技術革新や急速な景気変動に対して、当該事業内においても企業を中心とするTUNAGとコミュニティを中心とするFANTSで補完関係を形成しておりますが、海外展開や新規事業の創出など新たな事業展開により更なる収益基盤の強化を行ってまいります。

 

⑦ 利益の定常的な創出

 当社の収益モデルは、サービスが継続して利用されることで収益が積み上がっていくストック型のビジネスモデルですが、収益を積み上げていくために費用が先行して計上されるという特徴があります。一方で、事業拡大に伴う人件費、採用費、広告宣伝費等の費用については、顧客基盤の拡大に伴い売上高に占める比率を低減させていくことが可能となるため、今後の新規顧客獲得活動や継続率の確保により、収益性の向上に努め、利益を定常的に創出できる体制を目指す方針であります。なお、2019年12月期、2020年12月期及び2021年12月期における四半期ごとの経営成績の状況は以下のとおりです。

 

(2019年12月期)

(単位:千円)

 

 

第1四半期会計期間

(自 2019年1月1日

至 2019年3月31日)

第2四半期会計期間

(自 2019年4月1日

至 2019年6月30日)

第3四半期会計期間

(自 2019年7月1日

至 2019年9月30日)

第4四半期会計期間

(自 2019年10月1日

至 2019年12月31日)

事業年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

売上高

65,762

96,054

111,600

123,033

396,451

営業利益又は営業損失(△)

△23,086

△17,676

5,431

△1,094

△36,426

 (注) 2019年12月期の四半期会計期間の数値については、監査法人による四半期レビューを受けておりません。

 

(2020年12月期)

(単位:千円)

 

 

第1四半期会計期間

(自 2020年1月1日

至 2020年3月31日)

第2四半期会計期間

(自 2020年4月1日

至 2020年6月30日)

第3四半期会計期間

(自 2020年7月1日

至 2020年9月30日)

第4四半期会計期間

(自 2020年10月1日

至 2020年12月31日)

事業年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

売上高

138,835

147,035

158,163

176,684

620,719

営業利益又は営業損失(△)

△3,642

17,982

△2,923

9,986

21,402

 (注) 2020年12月期の四半期会計期間の数値については、監査法人による四半期レビューを受けておりません。

 

(2021年12月期)

(単位:千円)

 

 

第1四半期会計期間

(自 2021年1月1日

至 2021年3月31日)

第2四半期会計期間

(自 2021年4月1日

至 2021年6月30日)

第3四半期会計期間

(自 2021年7月1日

至 2021年9月30日)

第4四半期会計期間

(自 2021年10月1日

至 2021年12月31日)

事業年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

売上高

196,201

219,832

233,732

264,034

913,801

営業利益

717

4,956

11,719

16,232

33,626

 

 

⑧ 新型コロナウイルス感染症への対応

 新型コロナウイルス感染症の影響が全国的に深刻化し、企業活動に影響を与える中、当社はウェビナーやWeb商談などオンライン体制の構築により、増収を継続することができました。

今後も感染症や自然災害等の有事の際にも販売活動及びサービス提供を継続できるよう体制の整備や、新規事業による収益源の多様化を進めてまいります。

 

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