課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

当社は、CRMを中心としたソフトウエアプラットフォームをSaaSで提供するため、以下の主要課題に取り組んでおります。

 

(1)経営方針

当社では、「私たちは、顧客価値を創造するプラットフォームを提供し続けることで、社会に貢献します。」という経営理念のもと事業を進めております。そのための施策として、以下の特長を持つビジネスモデルの運営に取組んでおります。

・SaaS型のサービス提供とし、共通のサービスを多くの会社に共有で格安に活用していただけるようにする

・自社で企画・設計・開発・販売・サポートする体制を整え、日本市場特有の肌理の細かい顧客管理ができる水準のソフトウエアにする

・消費者が所有するモバイル環境を中心に事業を推進し、BtoBtoB向け(一般法人向け)のソフトウエアではカバーできていないBtoBtoC向け(主として実店舗をお持ちの法人向け)に最適な環境を提供する

 

(2)経営戦略等

当社の事業の中心であるスマートCRMサービスにおいては、現在まで導入実績が多い小売・飲食業に重点を置き販売展開を行います。販売展開においては、中期経営計画ではチャネル政策に比重をおき、国内では全国的な販路を持つ販売力の強い戦略的なパートナーと提携し、拡販を目指しております。

スマートCRMサービスの中心となる機能は、顧客データベース管理機能であり、当該機能周辺に付加価値を提供するソフトウエアを継続的に開発してまいります。

既にスマートフォンをプラットフォームとしたキャッシュレス決済は大手通信会社やコンビニ各社による電子マネー、飲食・小売り業界各社のプリペイドマネー等のキャッシュレス推進により発展期に入っており、スマートCRMサービスのアプリ機能を会員証としてとらえた、プリペイド、POS連携、カード決済等の外部システムとの連携機能の開発投資を積極的に行ってまいります。

スマートCRMサービスの販売先に多店舗展開する大手企業が多くなってくることで、導入の際には当社の標準機能にはない、独自機能の構築や機能の変更を要望されることが多くなっております。そのためソフトウエア開発を行うエンジニアの確保が必要となってきますが、エンジニアの採用、外注先の確保など、開発リソースについても積極的に投資を行っていく予定です。

 

(3)経営環境

当社が提供する「CRMサービス」は、大きな区分として「CRM市場」に属しております。

CRMとは、「顧客満足度」の向上を軸足において、顧客情報を中心とする情報に対してITツールを使い、有機的に連携・活用し、最終的には導入企業の収益を向上させることをいい、当社は、これらを実現する機能を消費者に対してより的確な情報や利便性を提供する企業向けに提供しております。

CRMソフトウエアは、導入企業が独自のシステムとして構築し保有するオンプレミス型と、自社ではシステムを保有せずアプリケーションサービス事業者が提供するクラウド型に区分されます。当社が提供する「CRMサービス」はクラウド型CRMの市場に属しており、その市場規模は、2021年は3,686億円、2022年は4,397億円、2023年は5,283億円,2024年6,305億円、2025年7,485億円と伸長する一方、オンプレミス型CRMの市場規模は、2021年は3,970億円、2022年は3,850億円、2023年は3,750億円、2024年は3,680億円、2025年3,650億円と減少する傾向にあり、CRM市場が従来型のオンプレミス型からクラウド型へと変遷していることが示唆される結果となりました(株式会社ミック経済研究所「マーテック市場の現状と展望2021<クラウド型CRM市場編> 2021年6月」)。

対象となる消費者が保有するモバイル機器の技術の変化の速さや嗜好の多様性に対応することが求められるため、提供する機能の追加・改修及び市場で要求される高いセキュリティ水準に合わせるためのシステムの改変等、自社で構築するオンプレミス型CRMでは、これらに多額の投資をせざるを得ない傾向があります。一方、クラウド型CRMでは専門の事業者により顧客の要望に応じて柔軟で難易度の高いサービスを提供することが可能であることから、当社の属するクラウド型CRMサービスは順調に拡大しているものと認識しております。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、持続的な利益成長を目指し、継続的に事業拡大をさせるため、事業の成長性や収益性の向上に取り組んでいることから、売上高、営業利益及び経常利益を重要な経営指標としております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①キャッシュレス社会への対応

キャッシュレス社会の進展に対応するためスマートフォン向け会員証アプリに付随するクレジットカード決済や通信キャリア決済、プリペイメントカード決済との接続・連携対応などを推進してまいります。

 

②新型コロナウイルス感染症の影響下でも好調な業種への販売強化

流通業(特にスーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター等の量販店)に多数の取引先を有する有力代理店との関係強化をシステム連携、販売協業共に促進してまいります。

また、飲食業においては新型コロナウイルス感染症による在宅ニーズに対応するためのソリューションである、モバイルオーダー、テイクアウト、デリバリー、ピックアップ等、CRMに付随した追加サービスを提供し収益の拡大を図ります。

 

③海外向けサービスの提供開始

アフターコロナの時代において、日本企業の海外進出が再度活性化することを見据えて、海外対応版の開発・販売・サポート体制の整備を徐々に進め、将来のグローバルビジネス対応に向けての準備を行っております。

 

④内部管理体制の強化による事業基盤強化

当社は成長段階にあり、業務運営の更なる効率化やリスクマネジメントのための内部管理体制の更なる強化が重要な課題であると認識しております。具体的には、部門間の役割分担の明確化とともにコミュニケーションを強化し、業務整理を推進して効率化を図ります。また経営の公平性や透明性を確保するために内部管理体制の強化に取り組み事業基盤を強化いたします。

 

⑤システム信頼性の継続的な維持や品質の向上、設備環境の強化

当社のCRMサービスは、SaaSで提供しており、顧客企業とそのお客様が24時間365日間、安心してサービスを利用していただくために、システム稼働の安定化が重要な課題であると認識しております。セキュリティ・開発・保守管理体制の整備は不可欠であり、また、大型案件の増加によるアクセス数の増加はサーバーに負荷を与えるため、設備の増強や負荷分散、冗長化等の対策も必要となります。当事業年度においても、これらの課題に対処するため、大型の設備投資を行いました。今後も継続的に設備投資を行い、システムの更なる安定化と品質の向上に取り組んでまいります。

 

⑥売上原価の削減

CRMサービス売上の増加により、それに伴う外部ソフトウエアライセンス仕入額の増加が、売上原価率を上げている要因であると認識しております。その大部分を構成する外部ソフトウエアに依存した機能については、社内で同等の機能を備えたソフトウエアの開発を完了いたしました。当ソフトウエアの既存顧客への置き換えを進めることにより、売上原価を低減させる予定です。

 

⑦組織体制の強化

当社は、今後の成長のために、要員拡充と組織体制の更なる整備を進めてまいります。内部統制、適時開示などの管理体制の強化に加え、ソフトウエア開発・運用のための有能な技術者の採用、またより多くの顧客企業への販売拡大のために提案力の強い優秀な営業及び手厚い顧客サポート体制を構築できる要員の採用を継続することが課題であると認識しております。これらの課題に対処するための人材採用を進め、着実に組織体制の整備を図ってまいります。

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