(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ワクチン接種の普及に伴う経済活動の再開や海外経済の改善等により、景気は持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ウクライナ情勢等の地政学リスクや原燃料価格の高騰、急激な円安の進行等により、依然として先行きは不透明な状況で推移しました。
このような状況の下、当社グループは、中期経営計画「MOVING-10 STAGE1」のもと、「変革による拡大」と「新素材の創出」に注力するとともに、製造原価の低減、業務効率の向上に取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度の経営成績につきましては、輸出を中心に汎用用途の酸化チタン、機能性微粒子製品の販売が回復したこと、圧電材料を含む電子材料等の販売が好調に推移したこと及び各連結子会社の売上増も寄与したことにより、売上高は463億6千2百万円(前年同期比20.7%増)、営業利益は36億5千1百万円(前年同期比24.7%増)、経常利益は41億5千6百万円(前年同期比51.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、28億4千5百万円(前年同期比47.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
機能性材料事業
汎用用途の酸化チタンは、新型コロナウイルス感染症により低迷していた需要が回復したこと、原燃料価格の高騰に伴う販売価格改定を進めたことにより、販売数量、売上高ともに前年同期を上回りました。
機能性用途の微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、表面処理製品の販売は、米国、中国等の海外を中心に回復したことにより、販売数量、売上高ともに前年同期を上回りました。
以上の結果、当事業の売上高は228億2千7百万円(前年同期比17.4%増)、セグメント利益は9億9千8百万円(前年同期比9.4%増)となりました。
電子材料・化成品事業
界面活性剤は、販売数量は前年同期並みとなりましたが、販売価格改定を進めたこと、海外連結子会社の販売が増加したことにより、売上高は前年同期を上回りました。
導電性高分子薬剤は、ICT、5Gインフラなどの需要が堅調に推移し、販売数量、売上高ともに前年同期を上回りました。
無公害防錆顔料は、海外顧客向け販売が堅調に推移し、販売数量、売上高ともに前年同期を上回りました。
圧電材料は、海外連結子会社も含め医療機器用の販売が好調に推移したため、売上高は前年同期を上回りました。
以上の結果、当事業の売上高は221億5千5百万円(前年同期比25.1%増)、セグメント利益は23億2千5百万円(前年同期比28.2%増)となりました。
その他
倉庫業は、新規案件の獲得や採算是正の実施などにより、売上高は前年同期を上回りました。
以上の結果、当事業の売上高は13億7千9百万円(前年同期10.8%増)、セグメント利益は3億2千9百万円(前年同期比54.0%増)となりました。
当連結会計年度末の資産総額は、前連結会計年度末比29億5千万円増加し721億2千8百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ19億1千7百万円増加し208億6千5百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ10億3千3百万円増加し512億6千3百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、129億8千1百万円(前連結会計年度末比2億6千8百万円減少)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、48億4千1百万円の収入(前連結会計年度比1億1千1百万円収入額の減少)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益40億9千3百万円、減価償却費32億1千2百万円のほか、売上債権の増加額26億5千4百万円による支出であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、28億7百万円の支出(前連結会計年度比20億9千8百万円支出額の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出24億7千3百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、23億6千3百万円の支出(前連結会計年度は25億1千9百万円の収入)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出19億5千4百万円、配当金の支払額8億3千万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
機能性材料事業 |
22,232 |
+10.1 |
電子材料・化成品事業 |
15,977 |
△2.4 |
報告セグメント計 |
38,209 |
+4.5 |
その他 |
- |
- |
合計 |
38,209 |
+4.5 |
(注) 金額は、販売価格によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
仕入高(百万円) |
前年同期比(%) |
機能性材料事業 |
9 |
+0.0 |
電子材料・化成品事業 |
567 |
△50.8 |
報告セグメント計 |
576 |
△50.4 |
その他 |
- |
- |
合計 |
576 |
△50.4 |
(注) 金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
当社グループでは受注生産は行っておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
機能性材料事業 |
22,827 |
+17.4 |
電子材料・化成品事業 |
22,155 |
+25.1 |
報告セグメント計 |
44,982 |
+21.1 |
その他 |
1,379 |
+10.8 |
合計 |
46,362 |
+20.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウィルス感染症の影響に関する見積りの情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産総額は、前連結会計年度末に比べ29億5千万円増加し721億2千8百万円となりました。
(流動資産)
流動資産におきましては、前連結会計年度末に比べ53億2千1百万円増加し423億円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が25億3千6百万円、原材料及び貯蔵品が16億5千4百万円、それぞれ増加したことによります。
(固定資産)
固定資産におきましては、前連結会計年度末に比べ23億7千万円減少し298億2千7百万円となりました。これは主に、有形固定資産が3億7千7百万円、投資有価証券が20億1千万円、それぞれ減少したことによります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ19億1千7百万円増加し208億6千5百万円となりました。これは主に、これは主に、支払手形及び買掛金が29億5千8百万円、短期借入金が4億9千8百万円、それぞれ増加し、長期借入金が19億3千8百万円減少したことによります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ10億3千3百万円増加し512億6千3百万円となりました。これは主に、利益剰余金が20億1千1百万円増加し、その他有価証券評価差額金が14億5千8百万円減少したことによります。
③ 経営成績の分析
当連結会計年度における経営成績に関する概要につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性についての分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社は基本的に株主に対する安定した利益還元を重要事項と認識し、必要となる十分な株主資本の水準を保持するとともに、各期の業績等を総合的に判断して配当を実施することとしております。なお、次期以降の重要な資本的支出の見通しにつきましては、機能性微粒子製品及び圧電単結晶材料製造設備をはじめとした新製品開発及び成長事業関連の事業領域に対して、引き続き積極的に経営資源を投入していく方針であります。これらの投資のための所要資金は、自己資金並びに金融機関からの借入金で賄う予定であります。
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