研究開発活動

5【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、社会環境の変化に伴う市場ニーズの多様化に対応した独自製品の開発を基本方針として、既存事業分野の拡充、強化と併せ、将来の新規事業の核となる製品開発を目指し、鋭意研究開発に取り組んでおります。

研究開発は、ガラス事業における硝子研究所と、化成品事業における化学研究所の二研究所体制により、各々の関連事業部門との相互密接な連携のもとに研究開発を推進し、研究開発テーマの見直しと重点テーマの絞り込み及び研究人員の再配置を進めることによりその効率化を図っております。

当連結会計年度の研究開発費は5,448百万円であり、主な研究開発の概要と成果は次のとおりであります。

ガラス事業においては、社会のニーズや変化にマッチした商品の開発を目指しており、暮らしの中の快適さや安全性の向上に役立つ新しい機能をもつ商品開発に取り組んでいます。自動車の分野では運転を支援するシステムに用いられるヘッドアップディスプレイ用フロントガラス、紫外線や熱線を通さない人にやさしいガラス、環境にやさしい鉛を含まないガラス用はんだなどの開発に取り組んでいます。建築の分野では使いやすさを追求した曇りにくい洗面化粧台用鏡や汚れにくい浴室鏡、省エネや快適さに役立つLow-Eガラスや高断熱複層ガラスなどの開発を手掛けてきました。

また、世の中のニーズをいち早く掴み、皆様が必要とする新しい商品の開発にチャレンジし続けるために、保有技術と機械学習などの新しい技術をバランス良く取り入れた商品設計・開発を進め、画期的で新しい商品の開発を推進していきます。カーボンニュートラルやサステナビリティを実現するための省エネルギーや脱炭素化に向けた開発を継続していきます。

当事業に係る研究開発費は958百万円であります。

 

化成品事業においては、新規製品の開発を目的に、基幹コモディティ、新規ファイン、情報電子関連、及び新エネルギー関連の各分野で製造技術、精製技術、分析技術、応用技術等の基盤技術を展開し、研究開発を進めております。

基幹コモディティ分野のうち化学品関連製品では、2016年4月に上市したCELEFIN® 1233Zが、ODPゼロかつGWP<1を両立させた「環境に優しい」フッ素系溶剤として期待されており、金属部品洗浄のほか航空宇宙分野や医療機器分野などへの需要拡大に向けて生産の増強を進めております。当社は引き続き、社会ニーズに沿ったノンフロン化の実現に向けて、一層の技術開発と事業化計画を推進してまいります。

ファインケミカル関連では、成長分野に焦点を合わせた商品開発を当社独自のフッ素化学を基盤として推進しております。そのうち、半導体分野においては高機能、高純度製造技術及び分析技術を拡充、進展させ、広範囲な半導体プロセス用ガス化合物及びフォトレジスト樹脂材料を中心とした材料開発を精力的に進めております。半導体製造では、半導体の微細化にともない、ウェハ洗浄後の乾燥工程において、洗浄液の表面張力によって微細な回路パターンが倒壊するという問題が顕著になっております。そこで、洗浄・乾燥工程において倒壊フリーを目指した“パターンキーパーTM”を開発し更なる事業展開を進めております。また勃興する中国半導体市場の需要獲得に向けた施策も進めています。さらに2020年に世界有数の半導体生産拠点である台湾に「電子材料リサーチセンター台湾」を設立し、新材料開発および情報収集活動を行っております。

新エネルギー関連分野では、性能、寿命を向上させた新規電解液を開発し、高性能大容量リチウム二次電池向けとして顧客評価を積極的に進め、製品供給を行っております。2016年度から国内、韓国及び中国に続いて欧州拠点(チェコ)の整備も進めてまいりました。このように、今後予想されるグローバルでのxEVの市場急拡大への対応を進めております。さらに次世代二次電池用材料の開発を目指した研究にも精力的に取り組んでおります。ライフサイエンス分野では、2021年に神奈川県藤沢市の湘南アイパーク内に「湘南リサーチセンター」を開設し、新たな事業創出を目指した研究開発を開始しました。また、カーボンニュートラルな社会の実現に向けた省エネルギー分野の取り組みとしては、NEDO公募プロジェクト「グリーンイノベーション基金事業/次世代デジタルインフラの構築」において当社の「高品位8インチSiC単結晶・ウェハの製造技術開発」が採択され、2022年度からの稼働に向けて取り組みを開始しております。今後、各分野の研究開発とともに注力してまいります。

最後になりますが、研究開発力の強化を目的として化学研究所の第3研究棟(2018年4月)が稼働しており、材料開発の体制整備も進めています。さらに研究開発から量産化への更なるスピードアップを目的として化成品生産技術センター(2018年7月)が稼動しております。

当事業に係る研究開発費は4,489百万円であります。

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