業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、提出日において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社及び連結子会社)の業績等の概要、財政状態の状況、キャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は次のとおりです。

なお、新型コロナウイルス感染症の蔓延が当社グループに与える影響は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営環境」及び「2 事業等のリスク (1)事業環境に関する事項 ④感染症のまん延について」にも記載のとおり、足許で限定的であり、同様に財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に与える影響も提出日現在において限定的であると考えております。そのため当社グループの経営戦略に変更はございませんが、今後、当社グループへの経営戦略に影響を及ぼす事項の発生に留意し、引続き財政状況等について注視してまいります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済環境は、新型コロナウイルスの新規感染者数の拡大に伴い人々の消費活動が停滞する局面があった一方、新規感染者数の低下局面においては飲食や旅行・ホテル業界を中心とした経済活動の再開も見られ、緩やかではありますが当社が立脚する国内対面キャッシュレス決済市場は回復傾向にあります。

国内対面キャッシュレス決済市場の大部分を占めるクレジットカード決済の動向を見ても、調査対象企業のクレジットカード取扱高は2021年度に約71兆円、年率約+13.8%(出典:経済産業省「特定サービス産業動態統計」)となり、新型コロナウイルスの影響でマイナス成長となった2020年度からプラス成長に転じております。

しかしながら、足もとにおける不安定な世界情勢、急速なインフレならびに円安進行など、企業を取り巻く事業環境は、過去数年間における新型コロナウイルス感染症拡大時期に増して、より一層不透明感を増しております。

このような環境の中、当社は、対面決済市場におけるシェア拡大を目指し、クレジットカード会社や銀行、ならびに精算機・自動販売機・券売機製造メーカーなどのアライアンスパートナーとともに、決済端末の販売設置・稼働に注力することによって、長期化する新型コロナウイルス感染症や不安定な世界情勢、先行き不透明な経済環境が継続する当連結会計年度においても、着実に業績を拡大させることができました。具体的には、当社グループが重要KPIとして位置づける①「稼働端末台数」は前連結会計年度末比1.5倍、②「決済処理件数」は前連結会計年度比2.1倍、③「GMV(決済処理金額)」も同2.1倍となり、着実に拡大しております。

当社グループ会社のGMOカードシステム株式会社においては、中小加盟店を主な顧客とする特性上、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う人々の行動制限・移動制限の影響を受けやすく、新規感染者数が拡大する局面においては業績拡大が限定的なものとなりました。しかしながら、Withコロナ施策として新型コロナウイルスの影響を受けづらい業種・業態の新規加盟店開拓を進め、収益基盤の拡充を図り、順調な業績拡大を継続しております。

また、三井住友カード株式会社と共同で運営する次世代プラットフォームsteraは、当連結会計年度においても順調に拡大しました。同プラットフォームsteraの決済処理センター機能は当社グループ会社のGMOデータ株式会社にて担っており、当連結会計年度において同社単体としては初の通年黒字化を遂げ、当社グループの収益性向上に寄与しております。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は10,295,454千円(前年同期比45.2%増)、営業利益は740,527千円(前年同期比25.7%増)、経常利益は745,831千円(前年同期比20.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は472,523千円(前年同期比14.9%増)となりました。

なお、当社グループは対面決済サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は5,016,057千円となり、前連結会計年度末に比べ773,520千円減少いたしました。これは主に売掛金が108,991千円増加した一方で、決済端末の販売が順調に推移したことにより商品が108,000千円、対面キャッシュレス決済市場における当社の競争優位性を確保する目的で、加盟店への入金サイクルを短縮したことから現金及び預金が914,434千円減少したこと等によるものであります。固定資産は1,621,956千円となり、前連結会計年度末に比べ275,415千円増加いたしました。これは主にのれんが44,438千円及び顧客関連資産が42,810千円、それぞれ償却により減少した一方で、ソフトウエアが342,395千円増加したこと等によるものであります。

この結果、資産合計は6,638,014千円となり、前連結会計年度末に比べ498,105千円減少いたしました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は1,928,785千円となり、前連結会計年度末に比べ790,896千円減少いたしました。これは主に賞与引当金が151,767千円、未払法人税等が108,852千円増加した一方で、買掛金が277,659千円、預り金が956,044千円減少したこと等によるものであります。固定負債は38,571千円となり、前連結会計年度末に比べ1,455千円減少いたしました。これは主に役員株式給付引当金が11,977千円増加した一方で、繰延税金負債が13,108千円減少したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は1,967,356千円となり、前連結会計年度末に比べ792,352千円減少いたしました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は4,670,657千円となり、前連結会計年度末に比べ294,246千円増加いたしました。これは主に剰余金の配当209,419千円により利益剰余金が同額減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益472,523千円の計上により利益剰余金が同額増加したこと等によるものであります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ1,046,434千円減少し2,387,185千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果、使用した資金は212,184千円(前年同期は957,075千円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益745,831千円及び減価償却費317,153千円の計上により資金が増加した一方で、預り金の減少956,044千円、仕入債務の減少277,659千円等により資金が減少したものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果、使用した資金は531,214千円(前年同期は465,672千円の使用)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出492,538千円等により資金が減少したものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果、使用した資金は303,036千円(前年同期は3,810千円の使用)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入25,080千円により資金が増加した一方で、自己株式取得目的の金銭の信託の設定による支出132,000千円や配当金の支払額188,449千円により資金が減少したものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績及び受注実績

当社グループは対面決済サービス事業を行っており、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため記載を省略しております。

 

b.販売実績

当社グループは、提供する対面決済サービスについて、サービス内容に従って「イニシャル」、「ストック」、「フィー」及び「スプレッド」の4つに売上を区分しております。

 

イニシャル

決済端末売上、開発受託売上、初期登録料売上等

ストック

クレジットカード会社や加盟店単位の月額固定売上、

台数単位通信料売上等

フィー

クレジットカード及びJ-debit決済の処理件数に応じた処理料売上、ロール紙売上等

スプレッド

決済金額に応じた手数料売上

 

 

品目別売上高は次のとおりであります。

品目

第23期連結会計年度

(自 2020年10月1日

 至 2021年9月30日)

第24期連結会計年度

(自 2021年10月1日

 至 2022年9月30日)

金額(千円)

金額(千円)

前年同期比(%)

イニシャル

5,166,493

7,162,832

138.6

ストック

624,493

865,597

138.6

フィー

533,867

1,316,944

246.7

スプレッド

764,652

950,080

124.2

合計

7,089,506

10,295,454

145.2

 

なお、当社グループは対面決済サービス事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

主要な相手先別販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

第23期連結会計年度

(自 2020年10月1日

 至 2021年9月30日)

第24期連結会計年度

(自 2021年10月1日

  至 2022年9月30日

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三井住友カード株式会社

3,265,970

46.1

4,794,567

46.4

VJA株式会社

850,556

12.0

1,968,053

19.1

GMOペイメント

ゲートウェイ株式会社(注)

187,764

2.6

124,090

1.2

 

(注)共通の外部顧客への販売について、同社を通じて受注・販売したものが大半を占めます。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積もり

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき策定されております。これらの連結財務諸表の作成に当たっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積もりを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積もりを行っておりますが、見積もり特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積もりと異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)①経営成績の状況」、「(1)②財政状態の状況」、「(1)③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。事業運営上必要な運転資金の需要のうち主なものは、キャッシュレス決済市場の拡大に伴い、多様化する顧客ニーズに対応するための営業人員の人件費、決済情報処理センターの安定的稼働のためのシステム人員の人件費及び、システム開発に係る費用であります。

 

④ 目標とする経営指標

当社グループの目標とする経営指標は、決済処理金額及び営業利益成長率になります。当社グループは、これら経営指標の拡大を通じ、対面キャッシュレス決済インフラを担う企業として、より安全で便利な決済インフラを提供し、日本のキャッシュレス決済比率向上に貢献してまいります。

 

第24期連結会計年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)

(決済処理金額)

当連結会計年度における決済処理金額は約2.5兆円(前年同期比2.1倍)になりました。主な要因は、アライアンスパートナーを通じた決済端末の販売及び稼働が着実に進展したことにあります。

 

(営業利益成長率)

当連結会計年度における営業利益成長率は25.7%になりました。主な要因は、決済端末販売が好調に推移したことに加え、稼働端末台数及び決済処理件数の増加に伴う、ストック及びフィーの増加にあります。

 

当社グループは、多様化するキャッシュレス決済ニーズに対応し、消費者と加盟店のニーズに合致した決済端末やキャッシュレス決済関連サービスを提供し、成長性と収益性を確保する方針です。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

⑦ 経営成績の分析

(売上高)

新型コロナウイルス感染症による行動規制の影響が主に当第2四半期連結会計期間(2022年1月~3月)においてみられたほか、当第4四半期連結会計期間(2022年7月~9月)においても感染第7波で過去最高の感染者数を記録する中で一部業種の加盟店では決済取扱高の減少がみられたものの、決済端末の販売が好調に推移したことに加え、安心な支払い手段として対面キャッシュレス決済市場の拡大が続きました。

決済端末の販売においては、2020年7月より取り扱いを開始したstera端末の販売が、営業や出荷等の体制整備とともに前年度に引き続き大きく伸長し、当初の計画を上回る売上高の増加を達成することができました。これは、コロナ禍においても、省人化へのセルフレジ需要など多様化する加盟店のキャッシュレス決済ニーズに確実に応えることで、加盟店の獲得が進んだものです。また、IoT領域における決済端末の販売も着実に伸ばすことができました。

加盟店開拓が進んだことを起点として、稼働端末台数及び決済処理件数・金額の拡大が図られ、ストック型の売上も確実に伸長しました。

この結果、売上高は3,205,947千円増加し、10,295,454千円(前年同期比45.2%増)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べて2,458,329千円増加し、7,527,314千円(前年同期比48.5%増)となりました。この主な要因は、売上原価率が高い決済端末販売の増加によるものであります。

以上の結果、当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べて747,618千円増加し、2,768,140千円(前年同期比37.0%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて596,427千円増加し、2,027,612千円(前年同期比41.7%増)となりました。この主な要因は、賞与引当金繰入が151,767千円、給料及び手当が92,324千円増加したこと等によるものです。

以上の結果、当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べて151,190千円増加し、740,527千円(前年同期比25.7%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、金融機関から受取る受取利息23千円及び受取解約返戻金6,071千円等により6,198千円(前年同期比79.4%減)となりました。

当連結会計年度における営業外費用は、借入に伴う支払利息等により894千円(前年同期比482.9%増)となりました。

以上の結果、当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べて126,489千円増加し、745,831千円(前年同期比20.4%増)となりました。

 

(法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における法人税等合計は、前連結会計年度に比べて20,213千円増加し、265,871千円(前年同期比8.2%増)となりました。

以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて61,144千円増加し、472,523千円(前年同期比14.9%増)となりました。

 

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