課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの本書提出日現在における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」は以下のとおりです。また、本文中における将来に関する事項は、提出日現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが合理的であると判断したものであります。

 

(1) 経営方針

■経営理念

何を期待され、何をなすべきか、考え行動し、お客様と社会に貢献する。

● 高い専門性を発揮し、率先励行を心掛けお客様の価値創造をご支援します

● 市場を開拓・創造する強い意志と誠実かつ公明正大な事業展開により、社会の進歩発展に貢献します

 

この経営理念に基づき、国内の対面決済市場において率先励行を心掛けキャッシュレス化を牽引する事業者として、安心安全かつ利便性の高い決済インフラを構築・提供し事業展開をすることでお客様と社会に貢献いたします。

やがて、世界に新しい価値を示す会社へと成長することを目指してまいります。

 

■世相と潮流への対応

先進性

市場の変化とニーズに対応すべく、調査・研究に勤倹力行し、新しい技術、新しい価値、新しい概念、利便性の高いサービスを提供します

 

■存在価値の追求

成長性

成長し続け、株主様へ評価される将来性が高い企業を目指します

即時性

徹底したお客様志向で課題と向き合い、スピード感を持ち真の解決策を提案します

社会性

役職員は、ビジネスパーソンとしての誇りを持ち、社会生活の秩序を守り、成果と姿勢、関わるすべての人に対して敬意を表します

多様性

企業の存続・成長のためには、優秀な人材の採用・育成・評価が必要です

人種、国籍、年齢、性別を問わず、役職員がチャレンジできる企業であり、日本を牽引する人材を育成し、やがて世界に価値を示していく企業を目指します

 

■利益の追求

収益性

効率化、生産性の向上を目指し変化し続け改善します 現状維持は衰退と考えます

合理性

経済合理性を考え迅速な経営判断を下します

 

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループの目標とする経営指標は、決済処理金額及び営業利益成長率になります。当社グループは、これら経営指標の拡大を通じ、対面キャッシュレス決済インフラを担う企業として、より安全で便利な決済インフラを提供し、日本のキャッシュレス決済比率向上に貢献してまいります。

 

 

(3) 経営環境

当社グループのビジネスが立脚するキャッシュレス決済市場においては、キャッシュレス化の拡大や、キャッシュレス決済におけるセキュリティの強化が国家レベルの課題(注1)となり、政治・行政・業界団体が一体となって、具体的対処の期限を定めて推進されております。

また政府は、「2027年6月までに、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す」ことを閣議決定(注2)しております。更に、「2025年までにキャッシュレス決済比率を40%程度とし、将来的には世界最高水準の80%を目指す(注3)」としております。

このような環境の中、セキュリティの強化を最重要課題として捉え、人的・物理的な情報管理体制を構築・運用しております。その上で、テクノロジーの進化や競争環境の変化に対応するべく、決済アプリケーション開発や決済センター機能開発のための技術力の向上ならびにさらなるお客様満足度の向上を追求したサービスの拡充に努めてまいります。

なお、新型コロナウイルス感染症が当社グループの経営環境に与える影響は、現時点において限定的なものではありますが、先行きは不透明な部分もあり、継続して注視してまいります。

イニシャルについて、決済端末に対する顧客需要は引き続き堅調であり、足許で新型コロナウイルス感染症の大きな影響はございません。またストックについても、固定費売上であり稼働端末台数が堅調に拡大しているため影響は軽微でございます。フィーについても、稼働端末台数の増加に伴い決済処理件数が拡大しているため、コロナ禍においても堅調な伸びを示しております。スプレッドは、繰り返し発出された緊急事態宣言に伴う店舗の営業自粛や人々の移動制限の影響を受けましたが、同時にコロナ禍の影響を受けづらい新規加盟店の獲得に注力したことにより、安定的に拡大しております。加えて当社グループは幅広い加盟店に決済ソリューションを提供することで、リスク分散を行っており、コロナ禍により消費需要が伸びた加盟店も有しているため、イニシャル、ストック、フィー、スプレッドともに、足許で大きな影響はございません。

(注)  1.2022年  クレジット取引セキュリティ対策協議会

         「クレジットカード・セキュリティーガイドライン3.0版」

 2.2017年 内閣府「未来投資戦略2017Society5.0の実現に向けた改革」

 3.2018年 経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略

①次世代マルチ決済端末の拡販

当社グループの決済端末は、1台の決済端末にクレジットカード決済機能や電子マネー決済機能、Visa、Mastercard、JCB等のブランドが推奨する非接触決済、プリンター機能を搭載した決済端末です。さらに、訪日外国人の決済ニーズに対応するため、銀聯、Alipay、WeChatPay(注1)、免税機能などのアプリケーションを搭載し、オールインワン端末として展開しております。また、従来の決済端末OS専用アプリケーションに加え、これまで培った経験を活かし、大手クレジットカード会社、国内メーカーとの共同事業として、より利便性の高いAndroid OS上に決済アプリケーションを開発し次世代マルチ決済端末として展開してまいります。

 

(注) 1.中国で一般的に広く利用されているスマートフォン決済アプリケーション。

 

②各種QRコード決済ならびにポイントアライアンス

当社グループは、ポイントサービス事業者やプリペイドカードサービス事業者など、加盟店開拓とサービス提供をコアビジネスとする複数企業との提携を進めております。クレジットカード決済機能や電子マネー決済機能だけでなくポイントカードやプリペイドカード、QRコード決済(注1)機能も搭載し、決済端末としての付加価値を高めるとともに、これらサービス事業者の加盟店開拓力による決済端末の設置拡大を進めております。

また、金融機関がアクワイアリング事業者(注2)としてビジネス展開される中で、当社グループの決済端末アプリケーションを採用いただき、独自QRコード決済、ウォレット決済アプリケーションを提供するなど、金融機関とのアライアンスによる加盟店開拓についても拡大してまいります。

 

(注) 1.商品を購入する際に、店頭レジに掲げられている専用QRコードをスマートフォンのカメラで読み取って、支払いをする、又は購入者のスマートフォンに表示された購入者の専用QRコードを決済端末で読み取って支払いをする決済方法。

2.国際ブランドからライセンスを取得し、クレジットカード等を受付ける加盟店の開拓、審査、管理を行う事業者。

 

 

 

③決済センター機能の拡充、取引照会WEBサービス拡充

キャッシュレス決済市場において、安心・安全な決済インフラを提供すべく、決済端末と決済情報処理センターを結ぶネットワークセキュリティを強化することで、大手加盟店のPOS機能との連携をセキュアな環境で提供するなど、加盟店ニーズに対応した機能を拡充してまいります。

また、大手加盟店向けの取引照会機能の拡充や、売上管理、販促データなど加盟店向け販促機能に加え、GMOインターネットグループが提供するEC決済事業と融合し、O2O(注1)やオムニチャネル展開(注2)に寄与するデータ還元を拡充してまいります。

 

(注) 1.on-line to off-lineの略で、ネット決済からリアル店舗決済へ、またはその逆。

2.Web、TV通販、ダイレクトメールやリアル店舗など複数のチャネルからのお客様へのアプローチのこと。

 

④自動精算機・券売機のキャッシュレス化、IoTマネタイズのサービスの提供

2017年9月期より無人販売機領域で新たなキャッシュレス決済サービスとしてIoTサービスの提供を開始しております。IoTサービスは、当社グループの組込型端末の競争力を武器に、関連事業者とアライアンスを組んで下記2点のサービスを展開しております。

 

a.現金決済が主流であった無人販売機領域にキャッシュレス決済に代表されるクレジットカード決済、電子マネー決済、ポイント決済、社員証決済、学生証決済、などを1台の決済端末で実現するサービス

b.業務データ(商品別売上・在庫データならびに社員証決済における購入者データ)と決済データ(決済種別及び決済金額・利用時間帯等)を融合しデータ配信するデータ還元サービス

 

上記IoTサービスについては、ホテル、アミューズメント施設の精算機、大手小売業のセルフレジへの提供、コインパーキングの自動精算機への展開を開始しております。

無人販売機またはセルフでの顧客操作型決済サービスは、新型コロナウイルス等感染症対策(対人接触機会の減少)及び昨今の要員の採用難により省人化の需要が見込まれており、クレジットカード業界においては開拓余地の大きい市場であります。対象機器として、飲料自動販売機、コインランドリー、レンタル自転車、オフィススペース設置のコンビニ商品自動販売機、プレミアムコーヒーマシンなど多岐にわたります。これらの無人販売機領域には継続的な商品補充・材料補充などが必須のため、IoT化による売上データ把握をベースにした補充データ配信サービスのニーズが高まると考えております。

 

⑤FinTech/マネーサービスの提供

加盟店数の拡大と取扱額の増加の成長曲線を計画する中で、早払いサービスを提供しております。当社グループとGMOインターネットグループの金融事業におけるシナジーと、関連事業者との業務提携を通じて加盟店へのレンディング、ファクタリングなどマネーサービスの拡充を検討しております。これにより、加盟店のキャッシュ・フロー改善と更なる売上向上に寄与しwin-winの関係性を強化してまいります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 情報セキュリティの強化

当社グループは、決済処理サービスにおいてクレジットカード情報を取り扱うため、クレジット業界特化のPCISSC(Payment Card Industry Security Standards Council)というグローバル規模の業界団体が定めたセキュリティ基準PCIDSSに準拠し、認定を受けています。この認定は、毎年更新が求められ、QSA(Qualified Security Accessor)というPCISSCが認めた専門機関によって、サーバー設置場所でのセキュリティ・レベルの確認と外部からのネットを介した攻撃対応力がチェックされます。 

また、当社グループでは、一般社団法人日本情報経済社会推進協会の「プライバシーマーク」を2014年4月に取得し、その後定期的に更新することで個人情報の保護に努めています。 

加えて、リスク管理委員会を定期的に開催し、セキュリティに関する課題、リスク認識、対応策、その進捗について経営幹部が情報共有し、経営の重要テーマと認識し意思決定を行っています。

 

 

② 新たな決済手段への対応と新分野への進出

当社グループの対面決済サービス事業分野には、クレジットカード、デビットカード、銀聯カード、電子マネー、ポイントカード、QRコード、社員証、学生証など、様々な決済手段が存在します。また、決済端末についても有人店舗に設置されるほか、自動精算機、自動販売機、券売機、オフィス内コンビニ、コーヒーマシンなど、様々なカテゴリーの機器に組込まれて設置されています。当社グループが今後も持続的に成長するためには、新たな決済手段に対応して、新たな販売形態にいち早く進出することが重要な課題であると認識しております。

 

③ 決済システムの安定的な稼働

利用者と加盟店が安心・安全な環境で決済を実行するためには、決済システムが安定的に稼働しており、問題が発生した場合には適時に解決される必要があります。当社グループは、業容を拡大しながらも決済システムを安定的に稼働させるために必要な投資や人材育成を行うことが重要な課題であると認識しております。

 

④ アライアンスの推進

決済処理サービス分野には、クレジットカード会社、金融機関、決済端末の取扱企業、決済端末を設置する加盟店、電子マネー決済事業者、通信会社、ポイント決済事業者、QRコード決済事業者、プリペイド・ウォレット決済事業者など様々な関連事業者が存在しております。当社グループが今後も持続的な成長を達成するためには、様々な関連事業者とアライアンスを推進し、効率的な加盟店獲得やサービスレベルの向上が重要な課題であると認識しております。

 

⑤ 組織体制の整備及び内部管理体制の強化

当社グループは現在、成長途上にあり、今後もより一層の事業拡大を見込んでおります。そのため、人材の採用と育成を継続的に行う必要があるとともに、事業規模の拡大に合わせて事務処理能力の充実、業務運営の効率化、加盟店管理体制の強化といった組織体制を整備し充実させること及びコーポレート・ガバナンスにおいてリスク管理体制、コンプライアンス遵守体制といった内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。

 

⑥ 感染症への対応

新型コロナウイルス感染症による新規感染者数は、当連結会計年度においても一定水準を維持して推移しましたが、徐々に経済活動の再開が見られ、新型コロナウイルス感染症の影響が大きかったホテル・旅行関連の加盟店においては緩やかな回復傾向が見られました。一方、飲食関連の加盟店においては、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が増加する期間では決済処理金額が落ち込む傾向が続きました。このような状況の中、当社グループでは、
・コロナ禍において安全かつ安心な支払い手段であるキャッシュレス決済を積極的に推進し、提供し
 続けること、
・セルフレジなど、省人化対応・非接触化対応による決済ソリューションを加盟店へ提案すること、
・Afterコロナにおける国内消費の回復、海外旅行客によるインバウンド需要の回復を見据えた     

 加盟店開拓を進めること、
・社内職場環境の見直しと在宅勤務体制の実施により役職員を感染リスクから回避すること、
 等が重要な課題であると認識しております。

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