文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は125年以上という長きにわたり、大きな社会変動を乗り越えて良質な製品とより良いサービスを提供してきました。この伝統と実績を受け継ぎ、「人を大切に、技を大切に」を経営理念とし、如何なる市場環境変化の時代においても、高収益体質企業を実現させ、長年蓄積してきた「人と技術」を通して、高品質の製品とサービスを提供し、価値創造企業へ向けて更なる挑戦を行うことを経営の基本方針としております。
(2)中期経営計画
当社グループでは、2021年度より現中期経営計画をスタートさせ、最終年度となる2023年度において売上高390億円、営業利益30億円を目標に進めてまいりました。しかしながら、デジタル化の加速による半導体市場向け製品の需要拡大等が大きく寄与し、2021年度の業績は売上高372億円、営業利益39億円と最終年度の営業利益の目標値30億円を初年度で達成しました。また、関係会社である日本ピュアテック株式会社の全株式の売却による影響や、コスト面でもウクライナ情勢などの影響受けた世界的な不透明感の高まりによる原材料価格の高騰、コンテナ不足による物流費の上昇など現中期経営計画の策定時には想定していなかった事象が発生しました。そのため、業績見通しを変更し、中期経営計画を見直すことにいたしました。
新中期経営計画は、2022年度から2024年度までの3か年とし、最終年度の2024年度において売上高400億円、営業利益35億円を目標として、各種施策を実行してまいります。また、EBITDA75億円、ROE6.0%を重要経営指標といたします。中期経営計画の方針に変更は無く、「成長戦略の推進と成果の実現」を最重要課題とし、3つの重点施策に取り組んでまいります。
①成長事業の拡大
成長事業分野の製品においては、デジタル化社会の実現に貢献する電子材料向け製品への積極的投資を継続し、事業の更なる拡大に注力します。
基盤事業分野の製品においては、差別化できる製品ラインアップの充実化や、生産効率化等を進め、採算性向上と収益拡大に注力します。
また、「快適性の向上」・「エネルギーマネジメント」・「健康(命)を守る」の3分野を対象とした新製品開発を進め、新たな価値を創造します。
②グローバル化の推進
東南アジアを中心とした新興国市場のニーズの掘り起こしを行い、海外現地企業とのアライアンス等あらゆる可能性の探求を行い、海外市場における事業機会の獲得を図ります。
また、海外販売拠点の活動を更に強化し、新市場の開拓や営業拡販を引き続き強化していくとともに、海外市場において高い競争力を発揮できる製品については、積極的に経営資源を投入し、売上拡大と業界発展に繋げてまいります。
③経営基盤の強化
原材料調達においては、様々な災害や感染症、カントリーリスクに対しても順応できる持続可能かつ強靭な体制の構築に努めます。
工場のスマート化を推進し、品質改善・設備管理及び業務改善につとめ、安定操業の実現とコスト競争力の強化に取り組みます。
成長分野や海外展開、製品開発等に経営資源を重点配分するとともに、事業ポートフォリオの最適化に引き続き取り組みます。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
新中期経営計画(2022~2024年度)をスタートさせ、最終年度の2024年度において売上高400億円、営業利益35億円を目標といたします。また、EBITDA75億円、ROE6.0%を重要経営指標とします。
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新中期経営計画 最終年度(2024年度) |
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目標値 |
売上高 |
400億円 |
営業利益 |
35億円 |
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重要経営指標 |
EBITDA(※) |
75億円 |
ROE |
6.0% |
(※)EBITDA=営業利益+減価償却費
(4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の普及や各種政策等により感染者数が減少し、緩やかな回復基調が見られましたが、新たな変異株による感染再拡大、さらにウクライナ情勢の影響もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。当社グループを取り巻く経営環境は、デジタル化の加速、新たな価値観の創出、ニーズの多様化等による需要拡大が見込まれるものの、原材料価格の高騰や物流混乱によるコスト上昇が継続する懸念もあり、より慎重な経営のかじ取りが求められます。
当社グループでは、「(2)中期経営計画」で示しました重点施策に加え、以下に示す取り組みを進めて参ります。
(新型コロナウイルス感染症への対応)
新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、従業員及び関係者の感染リスクを低減するために、引き続き会議のオンライン化、テレワーク及び時差通勤等を推進し、会社や工場の安定した運営につとめます。
(地政学リスクへの対応)
ウクライナ情勢等の地政学リスクの増大により、世界経済の見通しは不透明感を増してきています。原料調達や製品出荷等のサプライチェーンの維持・確保に取り組みます。また、原材料価格の上昇が続くなか、販売価格の是正に注力します。
(デジタルトランスフォーメーションへの取り組み)
デジタルトランスフォーメーション(DX)は生産効率化や競争力維持・強化のために必要な技術です。デジタル化技術を導入し、データの利活用・連携に取り組んでまいります。
(サステナビリティへの取り組み)
当社では、ステークホルダーの皆様との信頼関係と企業価値の向上を目指すサステナビリティ経営を推進するため、2022年4月にサステナビリティ委員会を立ち上げ、サステナビリティにかかわる方針や個別施策の立案・審議・決定を行っております。気候変動に関する取り組みとして、温室効果ガス排出量の算定を実施しました。今後、気候変動に係るリスク及び機会が当社の事業活動や収益等に与える影響について、TCFDの枠組みに基づく内容の開示に取り組んでまいります。
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