業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)  経営成績等の状況の概要

①  経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、一部の国において新型コロナウイルスの感染再拡大の動きがみられるものの、各国の経済対策やワクチン接種の進展により、前連結会計年度の急激な景気の落ち込みからの回復基調を維持しました。

我が国経済においても、世界経済の回復に伴い輸出が好調に推移するとともに、内需に関しても2021年末にかけてサービス支出が増加したことで、回復傾向にあります。

他方、足元ではウクライナ情勢に端を発して、エネルギー・原材料価格が高騰するとともに、急激な円安が進むなど、今後は厳しい経済環境が予想されます。

この結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、ワニスや可塑剤の増収により323億74百万円前連結会計年度比3億16百万円1.0%増)となりました。損益面におきましては、営業利益は27億8百万円同13億7百万円32.6%減)、経常利益は27億98百万円同12億63百万円31.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億63百万円同5億51百万円21.1%減)となりました。

 

 


 

 


 

 

 

 


 

 


 

 

セグメント別の売上高の概況

区    分

前連結会計年度

当連結会計年度

増  減

金額

構成比

金額

構成比

金額

増減率

 

百万円

百万円

百万円

    精密化学品部門

20,227

63.0

17,153

52.9

△3,074

△15.2

    機能材部門

3,261

10.2

3,807

11.8

546

16.8

    機能樹脂部門

3,808

11.9

5,881

18.2

2,072

54.4

    化成品部門

4,215

13.2

4,932

15.2

716

17.0

化学工業セグメント

31,512

98.3

31,774

98.1

262

0.8

その他

545

1.7

599

1.9

54

10.0

合  計

32,057

100.0

32,374

100.0

316

1.0

 

 

 

<化学工業セグメント>

当セグメントの売上高は、317億74百万円となり、前連結会計年度と比べて2億62百万円の増収となりました。


(精密化学品部門)

電子材料の出荷数量は増加したものの、樹脂原料や農薬中間体および医薬中間体の出荷数量が減少したことにより、 売上高は171億53百万円 となり、前連結会計年度と比べて 30億74百万円の減収 となりました。


(機能材部門)

接着剤およびゴム薬品ともに需要が堅調に推移したことにより、売上高は38億7百万円となり、前連結会計年度と比べて5億46百万円の増収となりました。


 

 (機能樹脂部門)

紙用加工樹脂の需要回復およびワニスの需要拡大により、売上高は58億81百万円となり、前連結会計年度と比べて20億72百万円の増収となりました。

 


 (化成品部門)

可塑剤は原料価格の上昇に対応した販売価格の調整に加え、需要回復による出荷数量の増加により、売上高は49億32百万円となり、前連結会計年度と比べて7億16百万円の増収となりました。

 


<その他>

化学分析受託事業の売上高は、組成・構造解析などが増加したことにより、5億99百万円となり、前連結会計年度と比べて54百万円の増収となりました。


 

 

 

 ②  財政状態の状況

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末と比べて14億13百万円増加し、178億37百万円となりました。これは、主として預け金の減少を、棚卸資産や受取手形および売掛金の増加が上回ったことによるものです。

固定資産は、前連結会計年度末と比べて30億46百万円増加し、145億80百万円となりました。これは、主として事務研究棟・研究別館レイアウト変更工事や新多目的プラント(N-2)の建設による増加です。

この結果、当連結会計年度末の総資産額は324億17百万円となり、前連結会計年度末と比べて44億59百万円の増加となりました。

(負債)

流動負債は、買掛金や設備関係未払金が増加したことから前連結会計年度末と比べて26億61百万円増加し、121億62百万円となりました。

固定負債は、前連結会計年度末と比べて2億86百万円増加し、35億5百万円となりました。これは、主として長期借入金の増加によるものです。

この結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて29億47百万円増加し、156億68百万円となりました。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産額は、前連結会計年度末と比べて15億11百万円増加し、167億49百万円となりました。これは、主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものです。

 

 ③  キャッシュ・フローの状況

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

増減(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

5,218

△1,329

△6,548

投資活動によるキャッシュ・フロー

△2,094

△2,075

19

財務活動によるキャッシュ・フロー

△680

△273

406

現金及び現金同等物に係る換算差額

2

17

15

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

2,445

△3,660

△6,106

新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額

49

49

現金及び現金同等物の期首残高

1,884

4,330

2,445

現金及び現金同等物の期末残高

4,330

718

△3,611

 

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金という)は、前連結会計年度に比べて36億11百万円減少し、7億18百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、13億29百万円の支出(前連結会計年度は52億18百万円の収入)となりました。主な支出は、棚卸資産の増加額37億96百万円、法人税等の支払額12億50百万円、主な収入は、税金等調整前当期純利益27億68百万円、減価償却費14億74百万円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、20億75百万円の支出(前連結会計年度は20億94百万円の支出)となりました。主なものは、有形固定資産取得による支出20億42百万円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、2億73百万円の支出(前連結会計年度は6億80百万円の支出)となりました。主なものは、配当金の支払額5億15百万円、長期借入金の返済による支出3億55百万円、長期借入れによる収入6億円等であります。

 

 

 ④  生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

金額(千円)

金額(千円)

(%)

  精密化学品部門

13,934,018

13,367,137

△4.1

  機能材部門

2,431,056

3,448,561

41.9

  機能樹脂部門

3,872,016

5,443,704

40.6

  化成品部門

4,118,805

4,734,557

14.9

化学工業セグメント

24,355,897

26,993,961

10.8

その他

合  計

24,355,897

26,993,961

10.8

 

(注) 1  金額は、販売価格で表示しております。

2  セグメント間の取引については、相殺消去しております。

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、化学工業セグメントは、受注生産は行っておりません。

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

金額(千円)

金額(千円)

(%)

その他

 

 

 

受注高

543,456

600,961

10.6

受注残高

23,090

24,517

6.2

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

増  減

金額(千円)

構成比(%)

金額(千円)

構成比(%)

金額(千円)

増減率(%)

精密化学品部門

20,227,186

63.0

17,153,164

52.9

△3,074,021

△15.2

機能材部門

3,261,232

10.2

3,807,999

11.8

546,767

16.8

機能樹脂部門

3,808,174

11.9

5,881,162

18.2

2,072,987

54.4

化成品部門

4,215,753

13.2

4,932,155

15.2

716,402

17.0

化学工業セグメント

31,512,346

98.3

31,774,482

98.1

262,135

0.8

その他

545,096

1.7

599,534

1.9

54,438

10.0

合  計

32,057,443

100.0

32,374,017

100.0

316,573

1.0

 

(注) 1  セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2  主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下の通りです。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三菱瓦斯化学株式会社

14,390,914

44.9

11,242,878

34.7

住友電工ウインテック株式会社

3,062,990

9.6

4,600,111

14.2

住友化学株式会社

3,782,673

11.8

4,023,869

12.4

 

 

 

(2)  経営者の視点における経営成績等の状況に関する分析・検討内容

本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 ①  財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

  経営成績

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増  減

(百万円)

増減率

(%)

売上高

32,057

32,374

316

1.0

営業利益

4,015

2,708

△1,307

△32.6

経常利益

4,062

2,798

△1,263

△31.1

当期純利益

2,615

2,063

△551

△21.1

 

 


 

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、樹脂原料は顧客の在庫調整により出荷数量が減少したものの、ワニスは需要が拡大したことに加え原料価格の高騰に伴う値上げの実施や中国子会社の新規連結が寄与したこと、可塑剤は原料価格の高騰を反映した値上げや新型コロナウイルス感染症拡大の需要減少から回復したことにより、前連結会計年度に比べ3億16百万円の増収となり、323億74百万円となりました。

なお、販売価格の上昇により前連結会計年度に比べ売価差は12億円の増収となりましたが、樹脂原料の出荷数量の減少が影響し数量面では9億円の減収となりました。

(営業利益)

営業利益の主な増減要因は下記の通りです。なお、セグメント別の営業利益分析については、その他セグメントの営業利益が全社の営業利益に占める割合が僅少なことから、化学工業セグメントとともに全社での営業利益分析を行っております。

販売価格の上昇での増益12億円、数量差等で2億円の増益となりましたが、原料価格等の変動費の上昇により25億円の減益、固定費の増加で2億円の減益となり、結果として、前連結会計年度に比べ13億7百万円の減益となっております。

(営業外損益)

営業外収益は、非連結子会社からの受取配当金や工場から産出される廃棄物の有価売却を当連結会計年度も行ったことや、受取補償金の計上により、前連結会計年度より増加いたしました。営業外費用は円安による為替差損の計上があったもののリース解約損や原材料売却損の計上がなかったことにより前連結会計年度より減少いたしました。

(特別損失)

当連結会計年度の特別損失は、経常的な固定資産の除却などにより、固定資産除却損30百万円を計上したにとどまり、前連結会計年度に比べ改善いたしました。

②  経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況

「第2  事業の状況  1  経営方針、経営環境及び対処すべき課題等  (2)中期経営計画  ①前中期経営計画の総括」に記載の通りであります。

 

③  キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、国内外における事業遂行のための設備投資計画等に照らして必要な長期資金を金融機関等からの借入により調達しております。一時的な余資については兄弟会社である住化ファイナンス株式会社に預託しております。また、短期的な運転資金は銀行借入による調達や自己資金を充当することとしております。調達にあたっては、必要な資金を適切な時期に過不足なく機動的に調達することを旨とし、資金の安定確保と金融費用の極小化を目指すこととしております。

なお、当連結会計年度においてデリバティブの利用はありませんでした。

資金調達に係る流動性リスク(支払期日に支払いを実行できなくなるリスク)の管理については、当社は、年度毎に資金繰り計画を作成するとともに、資金繰り表を日々更新したり、銀行と当座貸越契約を締結することで管理しております。

資金の配分方針については、適正な手許現金および現金同等物の水準を定め、企業価値向上に資する資金の配分に努めており、水準を超える部分については、成長投資、株主還元等への原資といたします。

成長投資については、2022年度にスタートした中期経営計画の3ヶ年において100億円の設備投資を計画しております。これらの資金は、自己資金の充当や銀行借入により調達する予定としております。なお、2021年度の設備投資は46億41百万円となり、銀行借入による調達や自己資金を充当しております。

株主還元については、株主の皆様への利益還元を重要な経営方針として位置づけ、財務体質の強化と今後の事業展開への対応を図るために必要な内部留保を確保しつつも、安定配当を実施していくことを基本方針としております。当社の配当政策については、「第4  提出会社の状況  3  配当政策」をご確認ください。

 

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループのフリー・キャッシュ・フロー(営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローの合計)は、34億4百万円の支出となりました。財務キャッシュ・フローでは、配当金の支払いや長期借入金の返済などを行った一方、新規の長期借入金の調達6億円を行いました。結果として、現金及び預金は7億18百万円となりました。また、流動比率は(流動資産/流動負債)は、146.7%であります。

なお、有価証券報告書提出日現在においては、新型コロナウイルス感染症の影響を限定的なものとして見込んでおり、今後の資金繰りにおいて大きな影響を与えるものでないと考えております。

 

④  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、過去の実績や当連結会計年度の状況に応じて合理的に考えられる方法に基づき、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付に係る負債、繰延税金資産等に関する見積りおよび判断を行っております。これら見積り等については、見積り特有の不確実性を伴うため、実際の結果は見積りと異なる場合がございます。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5〔経理の状況〕の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。また、以下の会計上の見積りについては、経営者の判断が、財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。なお、当連結会計年度末において新型コロナウイルス感染症の影響を限定的なものとして仮定し見積りを行っており、連結財務諸表に重要な影響を及ぼしていないと考えております。

(繰延税金資産)

繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性および将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度および繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。当該見積りおよび当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等の見直しが必要となった場合、認識する繰延税金資産および法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

(固定資産の減損損失)

当社グループは、投資の決定単位である各社の事業別に資産のグルーピングを行っており、遊休資産等については、個々の資産を1つの単位として資産のグルーピングを行っております。減損の兆候がある資産グループについては、当該資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、追加の減損損失が発生する可能性があります。

 

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